たれ たれを さん プロフィール

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たれ たれをさん: ibisノベル
ハンドル名たれ たれを さん
ブログタイトルibisノベル
ブログURLhttp://ibisnovel.com/
サイト紹介文ibisノベルの公式ブログです。ブログ小説として『終ノ刻印』などを連載中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供60回 / 71日(平均5.9回/週) - 参加 2017/06/12 21:24

たれ たれを さんのブログ記事

  • 第52話 その約束は
  • 「えー……」 夜になって。 楓さんと泪さんが帰り、黎も早速日本を発った。それから小一時間ほどして、遊びにいった三人組が帰ってきた。 衣服が汚れ、少しぼろぼろになった茜の様子を見るに、どうも単純に遊んでいたようでもないけど。 で、それからしばらくの間、楓さんと泪さんがやってきて、発覚した状況を三人に説明した。 その中で、黎が一旦日本を離れるという話をした途端、由羅が声を上げたのだった。「ねえ、真斗… [続きを読む]
  • 第51話 所長の従兄妹
  •      /真斗「ただいまー」 って、俺の家じゃないけど、まあ何となく口をついて出る。 戻ってきたのはもちろん事務所の方だ。「真斗。早かったのね」 こちらを見て、黎は首を傾げた。 授業も受けてくると思っていたのだろう。 俺もそのつもりだったけど、結局飯だけで帰ってくることになってしまった。原因は無論、俺の後ろにいる二人であるが。「おや、お客さんですか?」 黎と一緒に座っていた上田さんが、俺の後ろの [続きを読む]
  • 第50話 特訓
  •      /茜「ち……っ」 こちらが放った咒法はあっさりと弾かれたが、それは予想の内だ。 あくまで隙をうかがうためのもの。「ふん!」 疾風のごとく、ハルバードが振るわれる。 かわし、背後に回る。 相手はこちらの姿を捉えてはいたが、身体そのものは私に背を向けてしまっている。 僅かではあるが、こちらの方に時間的猶予が生まれる。 好機!「はあああああっ!!」 ずっと溜めていた力を解放する。 右手よりあふれ [続きを読む]
  • 第49話 とある来訪
  •      /真斗「何よそれ!」 案の定、由羅は怒った。 朝になり、茜が戻ってくるのを待って、昨夜のことをざっと皆に説明したところで、一番に声を上げたのが由羅だったわけである。 事務所にいるのは、俺と由羅に、黎と茜、そしてイリスと所長である。「茜、別に何も悪いことしないのに!」「落ち着けって」「そんなの無理に決まってるじゃない! ねえイリス!?」 俺がなだめたところで、焼け石に水だったようだ。 一方、 [続きを読む]
  • 第48話 前門の虎、後門の狼
  •      /茜 多勢に無勢。 それは認めるしかなかった。 しかも相手は精鋭だ。 それを相手に真斗はよくやっていると思う。 ならば私は、この男を――「その程度か。拍子抜けよ!」 ザインが右手を掲げる。「――?ジィオ・ラグルア?!」 打ち下ろされる、雷撃の咒。「――はあっ……!」 避けたりなどしない。 真正面から押し退ける。「――?スィークティアスの光?よ!」 溢れた光が、雷撃を呑み込み、溢れて弾ける [続きを読む]
  • 第47話 強襲
  •      /真斗 深夜。 公園にて、俺達は落ち合っていた。「時間通りだな」「当たり前だろう」 身軽な俺とは対照的に、茜はそれなりの荷物を身につけている。 帰る準備は万端らしい。 ちなみに俺は、途中まで茜を送り、その後は囮になる予定だ。意味があるかどうかは知らないが、多少の気休めにはなる。「……確認しておくが、由羅あたりにつけられていないだろうな?」「大丈夫だろ」 念には念をということで、一旦茜と大 [続きを読む]
  • 第46話 国外脱出計画
  •      /真斗「だからね。明日あたりがあぶないと思うの」「うんうん。私もそう思う」 昼下がり。 柴城興信所内のテーブルに座り、何やら熱心に話す少女が二人。 淡い金髪と濃い金髪で彩られた二人組の少女は、はっきりいって日本でお目にかかれるような人種の人間ではない。 いや人間かどーかも怪しいけど。 とにかく、あまり日本人っぽくないその二人は、さっきからずっとああやって、あれこれと作戦を練っているようだ [続きを読む]
  • 第45話 優雅な午後のひととき
  •      /アルティージェ「ご苦労様だったわ」 昼下がり。 ようやく訪れてくれたその相手は、まずそう労ってくれた。「あれで良かったの?」 悪いとは言わせない、とそんな感情をちょっと込めて、聞いてみる。 わたしの前に座る銀髪の少女は、微笑んで頷いてくれた。「そう?」「ええ……。姉さんも、これで少しは変われると思うわ」 そう言って、レネスティアはわたしの出した紅茶に口をつけた。「ふうん」 どうやら彼女 [続きを読む]
  • 第44話 最強の王②
  • 「く――――あ……」 全てが収まった時、全身を打つ苦痛に俺は顔をしかめていた。 もうどこが痛いのかすら分からないくらいに、激痛が全身を巡っている。 俺に限らず黎も由羅も、吹き飛ばされている。「…………!?」 ハッとなった。 エクセリア――――あいつは!?「ふふふ……あははは。なぁんだ。その程度?」 俺がエクセリアを見つけたその場所に、アルティージェは立っていた。 その足元には、ズタズタになって倒れてい [続きを読む]
  • 第43話 最強の王①
  •      /真斗 暗闇に、火花が散る。 最大限の気迫を込めて、斬撃を打ち込んでいく。 蒼い軌跡を描いて打ち込まれるそれを、一振りたりともかわすことなく、アルティージェはその槍剣で受けていた。 どれもが重い一撃に違いないというのに、乱れることなくそれを受けていく。「は――!!!」 ギィンッ! ガギッ! 剣戟が響く。 今の俺の力は尋常ではない。 エクセリアの借り物とはいえ、由羅にだって充分に対抗できる力 [続きを読む]
  • 第42話 エルオードVSブライゼン
  •  結界内の校内は、それこそ何の音もしなかった。 風すら、消えている。 雨さえも、届かないようだった。「来たわね」 涼しげな声が、響く。 校内にあるベンチに腰掛けていた人影が動き、こちらへと振り返った。 間違い無く、あの時俺とエクセリアの前に現れた少女だ。 そして値踏みするように、こちらを眺めやる。「三人、か。別に真斗だけで良かったのにね」「そっちの都合なんざ知るか。由羅は?」「そんなにあの子が大事 [続きを読む]
  • 第41話 門番
  • 「お。終わったか」 戻ると、何やら待ってましたとばかりに、所長がこっちを見た。 消えてしまっているかと思ったが、エクセリアもしっかり座って待っている。「ああ」「そうか。いや実は相談なんだけどな。このお嬢さんも新たに所員に加えてはどうかと思ってなあ」「はあ?」 何を言い出すかと思ったら、何やらとんでもないことを口にする所長。「いや少し話してみたんだが、まだ小さいのにしっかりしてるし、昨夜の一件を見て [続きを読む]
  • 第40話 ディーネスカの紋章
  •  隣の部屋に移って。 少し疲れたように、黎は長椅子に腰掛ける。「お前、本当に大丈夫なのか?」「だるいけれど、動けないわけじゃないわ」 少なくとも本調子ってわけではないらしい。当然だろうけど。「あなたには、色々謝っておきたくて」「今更かい」「そうね……今更ね」「別に責めてるわけじゃねえけどな」 けれど、やはり今更といえば今更だろう。「第一、俺に謝ることなんて、あるようでないだろ」「……かもね」 せい [続きを読む]
  • 第39話 及ばないとしても
  •      /真斗「目が覚めたのか」 枕元で、声がする。 落ち着いた声は茜に似ていたが、もっと静かな声。「――時間は!?」 ベッドから身を起こすなり、俺は時計を捜した。 いったいどれほど眠ってしまったのかと思い、慌てる。「昼を過ぎたところだ」 俺が時計を見やると同時に、答えがあった。 時計の針は、一時を過ぎたところだ。 どうやらずいぶん眠ってしまっていたらしい。「……っと」 飛び起きようとして、ハッと [続きを読む]
  • 第38話 真の刻印
  •      /茜 二人を追う。 追うのは見知らぬ少女と、由羅。 信じがたいことではあったが、あれは明らかに由羅だった。 あの封印をどうやって解いたのかは分からない。あんな代物、イリスでもなければどうにもならないと思っていたのに。 どうやったのかは分からない。 しかし確実に分かるのは、あの二人に黎がやられたということだ。 放っておくわけにはいかなかった。「さすがに憑いているものの力だけはあるわね。逃げ [続きを読む]
  • 第37話 エクセリアの答え
  •      /黎 夜になって。 わたしはそっと、その場を訪れていた。 隣の部屋。 この事務所を徐々に覆っていく、冷気の源。 その結界された空間は、すでに凍っていた。 中心に、氷漬けにされた妹の姿がある。 やはり、その身に剣を受けて。 その姿はこれまで幾度と無く見てきた。 何も変わってはいない。 しかし、変わったものもある。 それはわたしの心境――この子を見る、わたしの気持ちが、違う。 この憎悪の空間 [続きを読む]
  • 第36話 一縷の望み
  •      /真斗「初めて見たな。そういうの」 部屋に入って。 エクセリアを寝かしつけるジュリィの姿を、俺はまじまじと見てしまっていた。 歌っているのが誰かなど分かっていたが、それでもこうやって改めて確認すると、どうにも多少は驚いてしまう。 そして同時に、気持ち良さそうに目を閉じているエクセリアに対しても。 何もかも、意外だった。「似合わないかしら」 苦笑気味に、黎は言う。「そうでもないけどな」 肩 [続きを読む]
  • 第35話 子守唄
  •      /真斗「――あれが、結果か」 早朝になってやってきた茜は、何の感慨もないかのように、ただそうとだけ言った。「ああ」 俺の気の無い返事に、ため息が聞こえてくる。「一応、結界は強化しておいた。しばらくはもつだろう」「すまない」「お前……少しは寝たのか?」 呆れたようにこちらを見る茜に、俺は苦笑して首を横に振った。「そんな気分じゃなくてさ」 はあ、と息を吐いて天井を見上げる。 視線の先に映るの [続きを読む]
  • 第34話 最初の決着
  •      /真斗「お前……」 それは一瞬だったので、はっきりと見たわけではなかった。 今こうして見るエクセリアは、これまでと何ら変わらない。 けれどさっき、こいつは泣きそうな顔をしていた。いや、泣いていたのかもしれない……。「……どうしたんだよ。えらくしょげた顔して」「…………」「だから……」 黙ってしまったエクセリアを前に、俺は半ば途方に暮れていた。 今のエクセリアは外見そのままの子供のようで、 [続きを読む]
  • 第33話 アルティージェと名乗りし
  • 「……?」 さも当然のように、そいつはそこにいた。 俺の知らない顔。 淡くて長い髪をした女――いや、少女というべき年齢だろう。 細い顎をつんと反らして、どこか見下すようにこちらを見ている。――いや、俺ではなくエクセリアを。「なぜ……そなたがここに」 僅かなりとも驚いた様子で、エクセリアが小さく口を動かす。 顔見知りか……?「ふん、なぜですって? わたしがあなたに言ってやりたいことがないとでも思って [続きを読む]
  • 第32話 糸口
  • 「――――?」 思わず声のした方向を振り向いた途端――「おわっ!?」 何かに体当たりされた。 いや、抱きつかれたのだ。「おまっ……由羅――!?」 俺は驚いて、抱きついてきた奴の名前を口にした。 ふわりとした淡い金髪が、視界一杯に広がっている。 間違いなく、あいつの髪。「お願い……私と来て!」「お前、いきなり……」 俺は慌てて由羅を引き剥がそうとしたが、馬鹿力で抱きしめてくる由羅の腕はびくともしない。「 [続きを読む]
  • 第31話 たまさかの逢瀬というには③
  • 「はー……疲れた」 目的の所までやってきた俺は、手摺にもたれかかって遠くを見る。 ここはまだまだ途中の場所だが、視界が開けていて、京都の町並みを遠くまで見渡せる。 個人的に気に入っている場所だ。「どうだ? けっこう見晴らしがいいだろ?」「そうね……」 隣にやってきた黎は、頷いて、同じように遠くを眺めやる。「清水寺なんかでも見えただろうけど、こっちの方が落ち着いて見られるしな」 時間帯のせいもあるだ [続きを読む]
  • 第30話 たまさかの逢瀬というには②
  •  というわけで。 俺たちがやって来たのは、大学よりもさらに北にある、上賀茂神社。 ここには開けた場所があって、まあちょっとしたピクニック気分になれる。 人も意外に少ないし。「……こんなところもあるのね」 しみじみと、黎がつぶやく。「まあな」 頷いて、俺は適当に腰を下ろした。「北から南に向かって俺の知ってるところを順番に案内してやるよ。スタートは、とりあえずここからってことで。くらま鞍馬なんかもいい [続きを読む]
  • 第29話 たまさかの逢瀬というには①
  •      /真斗「――お前」 間違いなくそいつは、昨日俺の前に現れた奴だった。 黎の話からすると、確かエクセリアとかいう名前の……。「……いきなり何だ?」 じっとこちらを見つめるそいつの表情に少々気圧されながらも、とりあえず口を開いておく。 だがそいつは答えず、ゆっくりとした足取りで俺を眺め歩き出した。 ぐるりと、一周。 ……何か見せ物にでもされたようで、面白くない。「おいこら。何とか言えよ」「… [続きを読む]
  • 第28話 生きる為とはいえ
  •      /由羅「あ……」 見つけた。 直接彼の家に行く勇気は無くて、ここなら……と思って来てみて。 見つけることができた。 真斗。 うん……元気そう。 ちょっと安心する。 だって真斗、あの時あんなだったから。 よし、行って声をかけよう――そう思って。 一歩踏み出したところで、身体が震えた。 それ以上、歩けなく――ううん、近づけなくなる。「――――」 私の視線の先にあるのは、真斗だけじゃなくて。  [続きを読む]