たれ たれを さん プロフィール

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たれ たれをさん: ibisノベル
ハンドル名たれ たれを さん
ブログタイトルibisノベル
ブログURLhttp://ibisnovel.com/
サイト紹介文ibisノベルの公式ブログです。ブログ小説として『終ノ刻印』などを連載中。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供21回 / 11日(平均13.4回/週) - 参加 2017/06/12 21:24

たれ たれを さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 第13話 腕試し
  •         /茜「―――間違いない」 眼下に町を見下ろしながら、私は低くつぶやいた。 この町はとても明るい。とっくに深夜を回っているというのに。 もっとも全てがといわけでもない。一部の繁華街に光が集っているだけで、人も寝静まってかなりたつこの時間では、闇に沈んだ場所の方が圧倒的に多いのだから。 風が吹く。 身に染みる寒さを運ぶ風に、血の香は無い。が、それでも――残滓は残っている。 この町で、何 [続きを読む]
  • 第12話 京都見物
  •  京都市内のいいところは、まず迷子にならないことと、バスが多いことだ。 もちろん、これは田舎出身の俺の意見であって、一般的な見解ではないので悪しからず。 碁盤の目に配置された道と、どんな細い道にも名前がついているおかげで、どこにいても大体場所を把握できる。 全ての道の名前を覚えるのは、地元人でもない限りちょっと無理だが、大きくて主要な道はすぐ覚えてしまうものだ。 南北に走っている大きな道といえば、 [続きを読む]
  • 第11話 忍び寄る不安
  •         /由羅 不思議だった。 とてもとても、不思議。 あの人間――桐生真斗。 彼は不思議だった。 近くにいても、全然違和感が無いのだ。 今まで人間の傍にいくと、無性に不愉快になり、目障りで仕方が無かったというのに。 そういう人間を狩りの対象にすることは、とても気持ち良くて。 あの支配感を満足させるには、殺すのが一番だった。 一昨日までは、確かにそうだった。 ――だというのに。 今では全く [続きを読む]
  • 第10話 手助けだとしても
  •  事務所へと戻った。 急いで戻りはしたが、あの公園からここまではそこそこ距離がある。 ここに来るまでの間にだいぶ出血したようだったが、由羅はまだ大丈夫のようだった。こいつは実はけっこう大した奴なのかもしれない。 とにかく俺は急いで戻ると、所長の姿を捜した。 いつの間にかお開きになったのか、誰の姿も無い。「……ん?」 ――と、声。 見れば所長が、休憩室に使っている隣の部屋から出てきたところだった。「 [続きを読む]
  • 第9話 酔い覚ましにしても
  •  歓迎会が始まって、二時間近く。 いつもよりやたらめったらテンションの高い東堂さんのせいもあって、適度に盛り上がってはいた。 よほど最遠寺がやってきたのが嬉しかったらしい。いい歳して、まるで子供のようなはしゃぎ様である。 で、その東堂さんはいつも以上のペースで酒を飲んだせいか、早々にダウンしてしまっていた。いかにも幸せそうな顔で、引っくり返っている。「やれやれ……」 そんな様子を見て、所長が苦く笑 [続きを読む]
  • 第8話 次の出会い
  •         /由羅 私がこっそり住み着いているマンションの前で、私は降ろしてもらった。 サイズが大きかったせいか、バイクで走っていると風圧で後ろに流れて、顎のベルトで何とか止まっている状態だったヘルメット。 こんなの意味ないじゃないと言って返すと、文句言うなと言われてしまった。 ふんだ。何よ、偉そうに。「けっこういいとこに住んでるんだな」 大きなマンションを見上げて、少し感心したように言う真斗 [続きを読む]
  • 第7話 刻印
  •  彼女の左手に刻まれていた紅い刻印。 確かこれは……。 その印の意味――俺も知識としては知っていた。かつてそういった知識を習っていた九曜家に、その刻印咒があったことは覚えている。 本来ならば、決して習う類のものではない。 これは九曜家にとって、門外不出の刻印。それを俺が習えるはずもなかったが、何の偶然か、俺はそれを知ることができて。 ……そう。 ずいぶん昔のことだ。 とある奴が、俺に教えやがったの [続きを読む]
  • 第6話 由羅という名の
  •         /由羅 ……え? また驚かされてしまった。 斜め前に座っている人間が振り返る――そうすれば、何らかの反応があるはずだったのに。 いや、あるにはあったのだが、どうも予想していたのと違う。 彼はきょとんとして数瞬こちらを見つめた後、さっさと渡すものだけ渡して正面を向いてしまったのである。――その後の反応は、無し。 なんで……? またまたわけが分からなくなった。 この人間の反応は、まるで [続きを読む]
  • 第5話 それぞれの目覚め
  •         /由羅 ――痛い。 痛くて……目が覚める。 夜明けしていくらかたったせいか、部屋の中はすでに明るかった。 いつもは殺風景な部屋。 けど今は……滅茶苦茶だった。 私が揃えた数少ない調度品が、あちこちに散らばって、中には砕けてしまっているものもある。 数時間前にここに帰ってきた私が、暴れて壊してしまったものたち。 痛くて、痛くて……どうしようもなくて。 いつの間にか眠ってしまっていたら [続きを読む]
  • 第4話 幼馴染からの餞別
  •         /真斗 落ちこぼれ。 あまり認めたくないことではあったが、残念ながら俺はそういうレッテルを貼られてしまっていた。 俺自身は認めたつもりはなくても、周りの目は間違いなくそう言っている。 実際――自覚が無かったわけでもない。「……相変わらず弱いな。お前」 挑んだ俺をこてんぱんにのしてくれたその少女は、後でそんなことを言ってきた。「悪かったな。くそう」 不貞腐れたように引っくり返っている [続きを読む]
  • 第3話 少女二人
  •         /由羅 私はいったい誰なのか。 目覚めたものの、ちっとも思い出すことはできなかった。 満天の星空――新月の夜に、星々はよく映える。 周囲には明かりは無く、どこまでも広がる草原と、朽ちかけた古城があるのみだ。 何の障害も無いその場所で、それらを眺めるのが好きな者ならば、恐らくいつまでも見上げていることができただろう。 でも私は、崩れ落ちた古城の瓦礫に隠れるように、身を震わせていた。  [続きを読む]
  • 第2話 狂気の少女
  •  俺が大学に入ってから約八ヶ月。 これまでに受けた仕事は、三件。どれもがまともな内容では無かった。 世の中には色々と不思議なことがあるわけだが、こと日本において魑魅魍魎、妖怪変化というものは、そういった不思議の一つである。 実在するかどうかはともかく、その存在は誰もが知識として知っている。しかし実際にそれらを目撃した者となると少なく、例えそう公言したところで大半が冗談として扱われてしまう。 そのせ [続きを読む]
  • 第1話 気の乗らない依頼
  •         /真斗 教室内のエアコンが鳴りを潜めてから、約二ヶ月以上が経過して。 窓の外でも眺めてみると、だいぶ秋も深まってきたことが分かる。 そんな風景をぼんやりと眺めていると、机の上の携帯電話が慌しく震え出した。まったく誰だ授業中にと内心毒づきながら、俺は気だるげにそれに手を伸ばす。 隣の席では友人が机に突っ伏して寝ている姿が目に入ったが、いつものことだ。 大学の講義というのは随分と楽なも [続きを読む]
  • 序章 ある夜の邂逅
  •         /由羅 ――今夜二人目の獲物。 彼は、こちらが探すまでもなく現れてくれて。 私を愉しませてくれた。「それにお楽しみは、あなたでいいし」 そんな台詞が気に障ったのか、彼は激昂して銃の引き金を引く。 私も目が覚めてからしばらくして、そういう武器があることを知った。鉛の銃弾を撃ち出して、まず人間には避けられない速度でもって相手を襲い、殺すための道具。 これがなかなか厄介なもので、私の反応 [続きを読む]
  • 第47話 血の洗礼
  • 「これ、起きぬか」 心地良い美声に、レダは目を覚ました。 未だぼんやりとした視界には、こちらを見下ろしているプラキアの姿。「あ、えっと……」 相手が誰であるかも忘れて、寝ぼけた声を出してしまう。「ふむ……。再び仕事を忘れた挙句、かような場所で居眠りとは……大した身分じゃの?」 言葉と同時にぎゅうっと頬をつねられて、レダは悲鳴を上げて飛び起きる。 そしてようやく事態の把握に至った。「プ、プラキア様っ [続きを読む]
  • 第46話 墓標の少女
  •  レダがフォルセスカと共に、ゼル・ゼデスに戻ってきたのは一週間ほど前のこと。 案の定、帰るなりプラキアに大目玉をくらってしまった。 思い出してみれば、確かに怒られても仕方ない。何せヴァーグラフを手懐けようと頑張っていたあの日、自分の仕事もせずに頑張りすぎて、しかもその後許しも得ずに、フォルセスカの後についていってしまったのだから。 それからというものの、この一週間休みももらえずに、普段はやらないよ [続きを読む]
  • 第45話 親子
  •  空は徐々に青く、夜明けまで僅かだと知れる。 しかし対照的に、辺り一面は血の海だった。 今この場に、自分以外に立っている者などいない。 いや、その自分だって……。「…………っ」 がくりと膝をつき、痛む傷跡に手を当てて、イリスは表情を歪める。 目に見える者を全て殺し尽くして、終わってしまったことで……痛みがまた蘇ってきてしまう。 痛い。とても痛い……。 これから、自分はどうすれば良いのだろうか。 片 [続きを読む]
  • 第44話 先輩と後輩
  •  分かってはいたことだが、やはり戦場とは酷い場所だ。 特に、戦いの後――屍が累々と転がる様は、見慣れたくない光景である。 勝敗としては、僧会の勝利であっただろう。 しかし為に払った犠牲は大きく、またその後に起こった凶事により、その勝利すら意味を為さぬものになってしまった。 その凶事を起こした張本人のことは、まあ後回しだ。 その前に、会っておきたい相手がいる。 もっとも生きているとも思えないが……。 [続きを読む]
  • 第43話 惨劇の幕開け
  • 「何だその様は」 本陣に戻ったイリスに向けられたのは、ベルヌークの冷めた一言だった。 陣は荒れに荒れ、死体で埋まってしまっている。 味方のものと、壊れた残骸に成り果てた、人形だったもの。 どう見ても僧会の兵の屍の方が多く、アトラ・ハシースの者でさえ、かなりの数が死んでいる。「先に出した者たちも、全滅と聞いている。お前だけが帰ってきたかと思えば、片腕を失っているとはな。これではこの先使いものにもなら [続きを読む]
  • 第42話 ドゥーク・ロー・ブライゼン異端裁定⑤
  •  二人が対峙してより、どれほどの時間がたったのか。 ブライゼンがこれまでに受けた傷は、大小合わせてかなりの数だ。 流れ出た血も、もはや相当なものだろう。いかな魔族といえど、立っていられるのが不思議なほどの、重傷だった。 しかし一方のイリスも、決して無傷ではなかった。 いや、単純な傷の深さならば、彼よりも酷いものすらある。 彼女が他人の血でならばともかく、自身の血でここまで己を赤く染めたことは、今ま [続きを読む]
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