クロール さん プロフィール

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クロールさん: ネット小説「works」
ハンドル名クロール さん
ブログタイトルネット小説「works」
ブログURLhttp://ameblo.jp/fpkks223/
サイト紹介文「かっぱのななこ」超連載ちう。 火曜、土曜更新!
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供13回 / 36日(平均2.5回/週) - 参加 2017/06/20 22:38

クロール さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • 「かっぱのななこ」 8話
  • この屋敷に越してきた冬には、まだ苗ほどだった柿の木。すくすくと育ち、この秋はじめて実を付けた。私は縁側で、針と糸をつかって着物を直していた。 ハチローが帰ってきた。又、無駄なものを拾ってきたに違いない。 ゴロゴロと転がしてきた大きな白い箱は「れいぞうこ」というものだった。「でんき」がないと使えない、とハチローは嘆いていた。んなら拾ってくるな!なのだ。 あれから数年、私たちの生活はすっかり「ひと [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 7話
  • 刺さりそうな北風が山を駆け上がる。こりゃ雪になりそうなのだ。 里を逃げて5回目の冬がやってきた。かつての里は以前ほどの騒々しさは消え、どうやら「せんそう」は終わったらしい。「だんぷかー」や「とらっく」を従えて、「ひと」が次々と里を下りていく。 逃げかくれていた山は、食料も豊富で決して悪い環境ではなかった。しかし河童は水辺に住むのがしごく当然。沢も池も沼もない山では、やはり居心地はよろしくなかった [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 6話
  • もう誰もいなくなった「ひと」の家。朽ちた箪笥から、残っていた着物を盗み出し羽織る。帯の締め方がわからないので、麻紐を拾い適当に腰に結んだ。「うん、どこから見てもひとなのだ!」 弟のハチローは、未だ私の「ひと」の姿に慣れないらしく、怖がり寄り付かない。ぼうしをかぶった私は、「ひと」となりすまし、「ひと」の集まる場所へ近づいた。 騒がしい音がけためく森。林の木がすでに何本も切り倒されている。その切り [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 5話
  • 桜の花は、あれから20回は咲いただろうか。今やその木の下で、子供たちが集まり遊ぶ姿も見なくなった。 ていうか。 子供たちどころか「ひと」は里を次々と離れて行った。村の祭りは年々寂しいものとなり、仕舞には行われなくなった。 多分これがせっちゃんが言ってた「そかい」だ。その証拠に、里に「せんそう」がやってきた。 ある日、道ほどの幅の「くるま」が次々と里にやってきた。「だんぷかー」や「しょべるかー」や [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 4話
  • 朝と夜の風が向きを変え、すすきを揺らす秋。村の祭りも近くなった頃、「せんそう」が終わったらしいと、せっちゃんが話してくれた。 そういえば最近は遠くの「まち」に「あめりか」が飛ぶこともあまりなくなった。田んぼの稲が育つころには、せっちゃんは里を離れると言った。 「おみおくりに来てね」と寂しそうな顔してせっちゃんは言ったけど、「おみおくり」とは何なのだ?わからない。 そんなことより、せっちゃんと村の祭 [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 3話
  • カサカサにしおれ、色を無くしたアジサイ。それを掻き分け、私は待っていた。 騒がしいセミの声、夏が押しせまるころ、私はせっちゃんが帰る頃を見計らい待ち伏せた。            「また来てね」って言葉、ほんとかなぁ? だって私「河童」だし、あの時はなんとなくそんな気分だっただけで、日も暮れかけてたし、はっきり私の姿見えなかっただけなのかもしれないし、実はドクダミ欲しかっただけだったのかもし [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 2話
  • 傾きだしたおひさまが、子供たちの影を長くする。カラスが鳴くと、遊びの時間は終わり。 「又、明日ね〜〜!」 みんな手を振って、それぞれの家に帰っていく。夏は昼が長いのに、まだ遊べるのにもったいないのだ。 私は山を下り、せっちゃんの後を追った。 一人とぼとぼ歩くせっちゃんは袖をめくり、擦りむいたひじを「はんかち」で押さえていた。 「一人になると泣くかな?」 そう思ったけど、せっちゃんは泣かなかった。 [続きを読む]
  • 「かっぱのななこ」 1話
  • 河童は泣くと「ひと」になる それは古くからの言い伝え。「んなら、「ひと」になった河童はいるんか?」と聞かれると、ぐぅの音もないのだが。 長く降り続いた雨も止んだ、蒸し暑い晴れた日。ぶらさがったビワをほおばりながら、私は待っていた。 そろそろ学び舎が終わる時間。かすりの着物の藍と白の模様が集う、桜の木の下の広場。 「来た!」 1,2,3,4、・・5,6!6人!! 今日は6人も来た!ワクワクと胸が高鳴る [続きを読む]
  • [around the world] #5
  • 最後の車両。その扉を開ける。 そこにあの人はいた。「はじめまして、又忘れてしまったのかい?」 見覚えのある声と穏やかな笑顔。その手には2枚の切符を携えていた。 私が大好きな人。愛してやまない恋人。どうして私は、いつもこの大事な人を忘れてしまうんだろう。 自分の病を呪い、しゃくりあげて泣く私の頭を撫でで、あの人はそっと抱きしめてくれた。 この人と旅に出るため、私は一緒にこの電車に乗ったんだ。目的地も住 [続きを読む]
  • [around the world] #4
  • 車窓には町灯りも何も映らない。細かく揺れる車輪の音が、誰もが寝静まった夜を駆けていく。 朝を迎えに行くの?朝を逃げているの?方角もわからないよ! 思い出せない不安が、胸をざわつかせてる。 跳ねるような振動を合図に、機械のような音が耳に触れる。電車はトンネルに入り、煤っぽい空気が開けっ放しの窓から入ってくる。「君の必要なものは本当はこんな地図じゃないのかもね?」路線図を片手に持ち、ぼんやりしてた私に [続きを読む]
  • [around the world] #3
  • 次の車両は足の踏み場もなく、散らばった白い紙が通路を覆いつくしていた。全ての座席も白い紙で無造作に埋め尽くされている。その一番奥の座席に誰か座っている。 その人にたどり着くため、私はその紙を踏まないよう一枚一枚拾いながら歩いた。私の腕の中で束になっていく白い紙には、沢山の文字が書かれている。 何が書かれているのか、その内容以前に読めない文字。絵のような文字、どっちが上なのか分からない文字、ただ流れ [続きを読む]
  • [around the world] #2
  • 踏切の音を楕円形に鳴らし、私の乗った電車は追い越していく。窓の向こうにはライトアップされた巨大な風車が、亡霊のように青白く闇にそびえていた。 一つ目の車両、その真ん中あたりに一人の女性が座っていた。 キチンとした紺色のビジネススーツ。清潔そうな白いブラウスと黒のコンフォートパンプス。その席の周りには段ボールからトランク、様々な種類のカバンや紙袋が所狭しと置かれていた。 女性は小柄で細い眼鏡をかけて [続きを読む]
  • [around the world] #1
  • トクン     トクン鼓動に似た庇うような振動で、私は目が覚める胎児。向かいの席に置いたカバンが、音になった振動と共に揺れている。中に入れた折り畳み傘の柄が、右へ左へと振り子のようだ。薄い記憶の中で考える。私は眠っていたんだ。「どこかしら?ここは?」薄紫の並列する座席には誰もいない。おそらく電車の中。四角い窓はわずかに開いていて、夜の匂いと焦げた闇がひっそり顔をのぞかせている。切符を見せ改札 [続きを読む]
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