OS さん プロフィール

  •  
OSさん: THE S&R
ハンドル名OS さん
ブログタイトルTHE S&R
ブログURLhttp://snr23.blog.fc2.com/
サイト紹介文超短編、ショートショート、エッセイ、詩
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供74回 / 70日(平均7.4回/週) - 参加 2017/07/15 22:44

OS さんのブログ記事

  • 『闘いの代償』
  •  夏の終わりの快晴の日、われわれは所定の位置に腹ばいになり、敵兵が現れるのを待っていた。われわれが腹ばいになっていたのは草むらの中だった。草は夏の匂いを発し、木々が草の上に影を投げかけていた。 そのとき、猛スピードで接近してくる車のエンジン音が聞こえた。人を積みすぎたトラックが砂埃をたてながら、電車に乗り遅れまいとするかのような勢いで走ってくる。私は命じた。「初めに運転手を殺せ」トラックの運転手は [続きを読む]
  • 『酔いどれの講演』
  •  僕はある有名な作家の講演会に参加した。彼は登場し、舞台の中央に設置してあるデスクに腰掛けた。左手にはワインボトルを持ち、右手には吸いかけの煙草を持っている。彼は言った、ちくしょ、グラスがねえじゃねえか。誰かワイングラスを持ってきてくれないか。会場からは笑いが起こった。彼はグラスにワインをなみなみと縁の部分まで注ぎ、誰にともなく微笑みかけそれを飲み干した。彼は言った。「良いことばかり起こると人は飲 [続きを読む]
  • 『混沌の中の平穏』
  •  昔の友人は庭園にいた。私を見て、とても嬉しそうだった。私たちは庭園を歩いていた。あれがオレの妻だ。彼女はバラの茂みを刈り込んでいた。ようこそ、と彼女は言った。彼女が浮かべた笑顔とバラはよく似合っていた。私たちは大木の下のテーブルに座わり、友人はウイスキーのソーダ割りを持ってくるよう頼んだ。上等なウイスキーがあるんだよ、と彼は言った。革命軍は、この建物の敷地外にオレが出るのを許さないんだよ。指揮官 [続きを読む]
  • 『北風を聞きながら』
  •  彼はキッチンから二つのグラスとウイスキーのボトルを持ってきた。僕たちは暖炉の前に座り、水で割ったシングルモルトウイスキーを飲んだ。「いい味だな」僕は暖炉の火を見つめながら言った。「いいか、ストレートで飲んじゃいけないんだ。スコットランドのある紳士がそう言うんだよ。トワイスアップで飲めってね。それ以来、俺はこれじゃなきゃもう飲めなくなった」「何か読むものはある?」僕は訊いた。「本はないな。あるとし [続きを読む]
  • 『死への階段』
  •  男は、午前六時、刑務所内の死刑室で絞首刑にされた。死刑室は天井が高く、両側と前後には何層もの独房が並んでいた。すべての独房が囚人で埋まっていた。ここに連れてこられた誰もがいずれは絞首刑に処せられる。絞首刑の判決を受けた二人の男は、最上階にある独房に入れられていた。彼らはひどく怯えていた。男の一人は、寝台にすわって頭を抱えていた。もうひとりは寝台に横になり、天井を見つめながらブツブツ何かを呟いてい [続きを読む]
  • 『隣のコブラ』
  •  朝起きると、台所から朝食のいい匂いがしてきた。僕は一人暮らしなのにどうして朝食の匂いがするのだろうかと訝りながら台所へ向かった。一匹のコブラがフライパンを返している姿が見えた。コブラは言った。「おはよう。そこにある朝食さっさと食べちゃって」僕は意味がわからず、その場で気を失った。 目覚めると、ベッドの上だった。なんだ夢だったのか。こんな夢を見たのも昨日の映画のせいだ。クマのぬいぐるみに生命が宿り [続きを読む]
  • 『Gonna Die』
  •  俺は頭を両腕でかかえ、顔を地面に埋めてじっと横たわっていた。土は柔らかくひんやりしていて気持ちよかった。流れ出す血が生ぬるく、粘ついて感じられた。ライフルの弾が体を完全に貫いたときは、弾が地面に深く突き刺さるのを感じた。誰かが俺の足をつかんだ。そいつは俺に何か罵りながら、顔の前で手を振っていた。次の瞬間、目の前が真っ白になった。数人の男が俺を抱え上げ、フェンスに向かって走り出し、ゲートをくぐり医 [続きを読む]
  • 『芸の秘密』
  •  ある男が数十年ぶりに出所した。刑務所にいる間、男はネズミと小鳥に芸を仕込んだ。男はそいつらを使って大金を稼いでやろうと思いつき、近場にあったサーカス場に足を運んだ。男がサーカス長に言った。「うちの小鳥は歌を歌うことができ、ネズミはその後ろで踊ることが出来ます。だから俺を雇ってはみませんか」サーカス長は言った。「とりあえず、歌と踊りを見せてくれ」 男はポケットから指揮棒を取り出した。小鳥は指揮に従 [続きを読む]
  • 『愚か者たちの革命』
  •  道路を近づいてくる群衆の声が聞こえた。それから、ええじゃないか、ええじゃないかという唄が聞こえてきたかと思うと、てんでに踊りながら角を曲がってくる群衆の姿が見えた。道路は彼らで埋まっていた。最初、友人が彼を見つけ、次いで私も彼を見つけた。ええじゃないかの唄が止まって、みんなが地面にしゃがみ込むと彼もそれに習いしゃがみこんだ。再びええじゃないかの唄が始まると、群衆は飛び上がって踊りながら道路を進ん [続きを読む]
  • 『噂な話』
  •  ①ある無名作家が長編小説を書き上げ、ある編集者にそれを読んでもらった。そうすると、編集者が「まあ、よく書けているが、ここと、ここと、あそことあそこをこういう風に直してみたらもっと良くなるんだけどね」と言った。その作家は「冗談じゃねえ、そこの部分がもっともよく書けてんじゃねえか」と思ったけど口にはせず「そうですか、わかりました。書き直して来ます」と言って原稿を持ち帰った。 彼は家に帰りその原稿を机 [続きを読む]
  • 『象と少年の秘密5』
  •  その晩、少年は焚き火を見ながら考えていた。あの象が最後に少年を見つめた時、少年は罪悪感でいっぱいだった。あの象の目には、悲哀の色だけが浮かんでいた。象の牙には乾いた血がこびりついていた。少年はそれを、人差し指と親指の爪で剥ぎ取りポケットにしまった。少年がその象から得たのは、乾いた血の塊と孤独という観念だった。 大人たちは象牙を抱えて無事村へ戻ってきた。二本の象牙はあまりに太く、大きかった。大人た [続きを読む]
  • 『象と少年の秘密4』
  •  少年たちは樹木の生い茂った象にとっては絶好の隠れ場に到達した。象はすぐ近くにいる。少年には象の臭いが嗅ぎとれたし、象が木の枝を折ったり、踏み潰したりする音が聞こえた。大人たちの一人が少年にここで待つように言い、彼らは隠れ場の奥に踏み込んで行った。 少年はその場に立ち尽くして、奥から聞こえてくる音に耳をすませた。強烈な臭いが伝わってきた。月光の下であの象に接近し、巨大な牙を見たときに嗅いだ臭いと同 [続きを読む]
  • 『象と少年の秘密3』
  •  朝になると、象はもはや移動するのをやめて、ときどき餌を食べながらあてもなくさまよい歩いていた。自分たちがかなり象に接近していることを少年は知っていた。少年はサンに会いたくなってきた。あの象がもうすぐ殺されることを思うと、少年の胸には大切な存在が失われることのへの恐怖感が芽生えた。月光に包まれたあの夜、象を発見し、あとを追いかけ、あれほど接近して巨大な体と牙を見たことが、少年とサンにとってどんな意 [続きを読む]
  • 『象と少年の秘密2』
  •  夜中に月がのぼってから目が覚めた時、少年は確信した。村人たちに象の通った道を教えたところで、村に引き返せばよかったんだと。少年はあの象を夜に発見して追跡し、牙を備えていることを確認してから村に戻って、村人たちに報告した。そして、象を追跡する準備をした。でも、いったん追跡が始まると少年は役立たずになってしまい、村人たちの足手まといになってしまった。象の牙の重さは九十キロ近くあるかもしれないという。 [続きを読む]
  • 『象と少年の秘密1』
  •  少年は待っていた。相棒の犬のサンの気を鎮めるため体を撫でると、毛が逆立っているのが感じられた。少年とサンはじっと目を凝らして耳を傾けた。月の光が彼らの影を地面に映す。少年はサンの首に腕をまわす。サンは小刻みに震えていた。静寂が辺りを包み込んでいた。次の瞬間、象の影が二人を覆った。象は物音も立てず通り過ぎていった。象のにおいが鼻先をかすめた。強烈だった。少年はサンが象に向かって吠え立てないか心配に [続きを読む]
  • 『不思議な夢』
  •  昼休み。同期の友人と食堂で話しをしていた。 友人がおもむろに言った。「昨日、変な夢を見たんだよ」「どんやつ?」「えっとね。何かオレがね、小学生くらいになってて、その日がちょうど誕生日だったんだよ。でオカンが『おめでとう。これで友達と遊園地にでも遊びにいってらっしゃい』って10,000円くれたんだよ。オレはそんとき思ったよ、小学生の夏休みが人生で一番楽しい時期じゃないかってね」「へえー、不思議な夢だな。 [続きを読む]
  • 『一途な若者』
  •  あるところに一人の学生がいた。彼は勉強ができるわけでもなかったし、誰かに恋してもいなかったし、部活にも所属していなかった。彼が虜になっていたのは闘うことで、自分と同年代の、いや、上下関係無くすべての学生と闘った。そして、彼はチャンピオンだった。 ほんのちょっとしたきっかけで、彼は闘いたくてうずうずしてしまう。彼は人が食べたり、読んだり、話したりするときと変わらない真剣さで闘うんだ。闘うたびに彼は [続きを読む]
  • 『酔っぱらいの夢』
  •  会社帰りの酔っぱらいが小便をするため公園の公衆便所に入った。物をだして小便をしようと思うのだけれど、体が揺れて目標が定まらないし、物が二重三重に見えたり、大きくなったり小さくなったりして思うようにいかない。「オレがこんなになるまで酔っ払うことなんてねえんだけどな。これはきっと夢でも見てるにちがいねえ。ってことはここで小便をすると漏らすことになっちまうわけだ。まずはさっさと夢から覚めねえとな」と酔 [続きを読む]
  • 『ふしだらな詩』 『ゴシップ』
  • 『ふしだらな詩』誰もが真実を求めるだが大抵の人間は真実の奥深くまで潜ることを拒み真実の表面だけを撫でわかったきになり、現世を嘲笑しながら生きていく真実の奥深く潜るには、それ相応の代償を払わなければならないその代償から逃れるために、ある種の人々は危険だと承知しながらも毒に手を伸ばすそれでも真実を知りたいものがいる。すべてを犠牲にし、ついには自らの命まで差し出し真実を知ろうとするだが、真実はそんな彼ら [続きを読む]
  • 『恐怖のスカイダイビング』
  •  4,000メートル上空。教官が訓練生に言う。「飛ぶときは、空中に身体を投げ出すようにとびだせ。要は大の字だ。そしてそのままの状態を維持して降下しろ。高度1,000メートルまで降下したら右のヒモを目一杯引け。パラシュートが開く。もし、万が一のことだが、右のヒモを引いてパラシュートが開かない場合、左のヒモを引け。それで予備のパラシュートが開く。地上に到着すれば後はそこで待っていろ。迎えのトラックがやってくるは [続きを読む]
  • 『良い仙人』
  •  むかし、日本の山に、一人の仙人がいたんだ。彼は大勢の仙人と暮らしていた。大半の仙人たちは悪い仙人で、毎日イノシシやたぬきや、オオカミなんかを食べていた。悪い仙人たちは、ときどき人間も食べしまう。農民、商人、役人なんかを食べるんだが、大好物は商人だったよ。成功した商人はみんな丸々と太っていて、とてもおいしいからさ。 その仙人は、他の仙人とはちょっと変わっていて、空を飛ぶことができた。彼はとても良い [続きを読む]
  • 『高価なプレゼント』
  •  IT企業を起こし成功した超金持ちの息子を持つ母親が九州の田舎に住んでいた。ある日、息子から母親宛にプレゼントが届いた。「まあ、プレゼントなんて嬉しいわ。ダイヤのネックレスかしら?それとも豪華客船での世界一周旅行券かしら?案外その両方かもしれないわ」なんて言いながらわくわくして箱を開けた。中には薄汚れたコアラが一匹入っていた。 翌週、息子がプライベートジェットで久々に実家に帰ってきた。「mam、プレゼ [続きを読む]
  • 『ボクサーたち2』
  •  試合が自分のすぐ目の前で行われていたら、彼が挑戦者に毒づき、悪態をつくさまが見えただろう。挑戦者が攻撃を仕掛けると、彼は風に吹かれる草花のように、たじろがずに身をひるがえした。両足は軽快なリズムを取り、素早いジャブが数発、挑戦者の顔を捉える。それから、彼はまた挑戦者を罵り、相手に向かって左腕を突き出し、両足をしっかり踏ん張って相手の反撃から身をかわす。彼が身をひるがえすたびに観客がどよめく。 い [続きを読む]
  • 『ジジイの噴火』
  •  あるジジイが、若く美しい女性と結婚してハネムーン旅行で海沿いの高級ホテルへやってきた。彼らはチェックインすると、その日は一切部屋から出てこず、次の日の朝食まで姿を見せることはなかった。 ジジイは一人で朝食のレストラン会場に現れた。そして朝っぱらからステーキと5つ分の卵のスクランブルエッグ、山盛りのポテトサラダを平らげた。「プールサイドへシャンパンを用意しといてくれ」ジジイはウェイターにそう言って [続きを読む]
  • 『チャンピオン』
  •  観客は絶え間なく叫び続けて、食べ物を、次いでペットボトルやビールの入った紙コップをリングを去る彼に投げつけた。その間も、口笛や怒声がやむことはなかった。チャンピオンはとうとう、無名の格下相手に打たれすぎてへばってしまい、膝を折って倒れ込んだ。審判が彼の上にかがみ込み、両腕を左右に振って試合を中止させた。挑戦者がコーナに登り雄叫びを上げた。二人の男が元チャンピオンの体をつかんで抱え起こした。挑戦者 [続きを読む]