toikimi さん プロフィール

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toikimiさん: かきがら掌編帖
ハンドル名toikimi さん
ブログタイトルかきがら掌編帖
ブログURLhttp://toikimi.hateblo.jp/
サイト紹介文10年あまり通っていた童話教室で「宿題」として書いたものに加筆修正して載せています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供19回 / 58日(平均2.3回/週) - 参加 2017/07/25 13:38

toikimi さんのブログ記事

  • 過去の記事 …
  • イソップの太陽
  •  30年も前のことだけれど、ありありと覚えている。 古びたオフィスビルが立ち並ぶ街角、道路をはさんで向かいあっている2棟のビル。共に7階建てで、片方が灰色、もう片方は煉瓦色だった。 私が数ヶ月のあいだ夜間の警備員をしていたのは、灰色のビルのほうだ。 学生時代の仲間と起業したアイデア商品の会社が倒産し、心底がっかりしながら、アルバイトの掛け持ちをして借金を返していたのだ。 警備の仕事をし始めてまも [続きを読む]
  • テレビ離れと情報の最適化
  • しばらく前までは、在宅時にテレビ(地上波)が点いているのが、普通の状態でした。BGM代わり、時計代わり、見ていてもいなくても、テレビが点いていないと物足りない。家に帰るとまず、テレビをONにしていました。ところがいつからか、一方的に流れ込んでくる情報に疲れを覚えるようになって、  もしかしたら、無くても大丈夫かもしれない  朝夕のニュースと、おもしろい海外ドラマがあればいいと思い、ためしてみました。 [続きを読む]
  • りんどう坂
  •  祖父が、青紫色の花束を持って、目の前を通りすぎていく。「おじいちゃん!」 奏多は思わず、高い声で呼びかけた。「おお、奏ちゃん。もう学校は終わったのか。今から病院かい?」「うん」 奏多の母親は先週から入院している。 仕事大好き人間の母は、夏の暑さを気にもとめずに働いていたが、9月に入ってから体調をくずし、会社でひっくりかえって救急車を呼ばれた。全治一週間の予定だ。目をはなすと、勝手に退院して仕事 [続きを読む]
  • 「麴のちから!」〜今は塩麹が必須食材です〜
  • 数年前ブームになっていましたが、私が塩麹を使い始めたのはここ半年くらいです。原材料が米麹と塩だけのものは、なかなかお店に置かれていないので、ネットで購入したりしています。「麴のちから!」 山元 正博 著100年、3代続いた麴屋に生まれ、頭のてっぺんからつま先まで麴まみれで育ち、麴とともに生きているという著者の、「麴愛」に満ちあふれた本です。「塩麴の一夜漬け」大根、白菜、キャベツ、きゅうりなど [続きを読む]
  • 結晶
  •  正美にとって最大の悩みの種は、長年続いている肩こりだった。 まるでゴツゴツした石が、両肩に埋めこまれているようだ。ただこっているだけはなく、ちょっとしたはずみで、首から肩にかけてつってしまうと、寝違えたように痛む。自分の頭の重さを支えきれず、出勤できないことさえあるけれど、「肩こりのため会社を休みます」とは言いづらかった。 整形外科から民間療法まで、いろいろな治療や施術を受けてきた。 肩こりに [続きを読む]
  • 夾竹桃の庭
  •  さよ伯母さんは、6月の千恵の誕生日に、いつもプレゼントを贈ってくれる。 お正月やお彼岸に会ったとき、千恵が話したことをよく覚えていて、ちゃんと千恵のよろこぶものを選んでくれるのだ。 今年届いたのは、アクセサリービーズのキットだった。宝石箱のようなパッケージのなかできらめくビーズやパーツを見て、(これで、伯母さんにネックレスをつくって、お誕生日のプレゼントにしよう) と、思いついた。 千恵からさよ [続きを読む]
  • ミニ間リスト
  • ミニマリストさんの記事を読むのが好きです。あの境地まではとうてい行き着けないけれど、もっと物を減らしたいとは思っていて、自分なりに実行してきました。最近では、存在することを忘れていた物(あ、こんなのとっておいたんだ、みたいな)を発見したら捨てる、というマイルールを作りました。加齢とともに、もの忘れが多くなるので、今後ますます有効なのではないかと期待しています。とはいえ、まだ使用可能な物を処分する [続きを読む]
  • 闇夜のカラス会議
  •  寝入りばな、美里はカラスの声で目をさました。 近くにある公園には木が生い茂っていて、カラスが巣を作っている。朝晩、呼び交わすように鳴く声は、普段から聞きなれていた。(こんな夜遅くにめずらしい。カラスって鳥目じゃないの?) 不思議に思って耳をすます。 自分ではよく覚えていないけれど、美里は幼いころ、カラスのことばを聞きわけていたそうだ。「あれは、オハヨウ、いまのは、サヨウナラ」 などと、得意そう [続きを読む]
  • カバンが重い
  • 今週のお題「カバンの中身」毎日持ち歩いているショルダーバッグが重い。 勤め先の近くに引っ越して、「電車通勤中に読むための本」が荷物から減ったけれど、そのわりに軽くはならなかった。中身を確認してみると、以前に整理したこともあって、特に意外な物は入っていない。 財布(2つ)…現金&各種カード用とクレジットカード用 携帯電話(2つ)…通話専用ガラケーと格安スマホ スマートフォン充電用のマイクロUSBケ [続きを読む]
  • ゲンコツ花火
  •  雪矢は子どものころから、走ることが好きだった。 飛びぬけて速かったわけではないけれど、同じ速度でどこまでも走り続けることができた。だから、距離の決まっていないかけっこでは、いつも一番だった。 実業団の長距離選手となった現在まで、ずっと走り通してきたことになる。レギュラーとサブメンバーをいったりきたりの選手生活も苦にならない。走る以外の「仕事」に時間をとられるスター選手より、よほど性に合っていた [続きを読む]
  • ほおずきの灯り
  •  日が暮れるのを待って、和奈は新盆の白い提灯に火をともした。 窓辺に提灯をつるしてから、母に声をかける。「次は、迎え火だね?」 母は小さくうなずいたけれど、立ちあがろうとはしなかった。 和奈はひとりでベランダに出ると、用意しておいた迎え火をたいた。マンションの7階なので、煙を気にしながら、ささやかに火をたくことしかできない。(こんなに小さな迎え火で、お父さんに見えるのかな……) 心もとない気持ち [続きを読む]
  • 林間学校
  •  林間学校の第1日目、真志は初めて、本物のカッコウの鳴き声を聞いて感心した。(ほんとに「カッコウ、カッコウ」って鳴くんだなぁ) 夕食後、先生のお話や注意事項を聞くために、レクリエーションルームに集まった。 正面の目立つ場所に、大きな額がかかっていた。5つの漢字が筆書きされた、不思議な書だ。 ずいぶんと縦に長い「気」、丸文字のような「心」、横向きに倒れた「腹」、大きな「人」という字の下には小さな「 [続きを読む]
  • まるごとスイカの夏
  •  電車を降りたとき、向かい側のホームに、カコとみーこの姿が見えた。 急いで階段をかけおり、ちょうど改札のところで一緒になった。「ぶーちゃんはバイトで遅くなるって」 私の報告に、ふたりはそろってうなずいた。「じゃ、先に行ってようか」 手土産のケーキや飲みものを買いながら、商店街をのんびり歩いていく。福引のテントの前に行列ができていた。学校が夏休みなので、日に焼けた子どもたちが目立った。 住宅地に [続きを読む]
  • 砂のウサギ
  •  千早さんのところに、なつかしい人が訪ねてきた。20年ほど前、マンションの同じ階に住んでいた牧野家の長男、マコト君だ。 彼の母親が病気で長期入院することになったとき、千早さんは隣人として、子守役を買って出た。人見知りだったマコト君が心を開いてくれるには、少し時間がかかったけれど、後になってみればいい思い出だった。 退院した母親の転地療養のため、牧野さん一家は引っ越していった。 それ以来の再会だ。 [続きを読む]
  • そよ風に乗って
  •  夏風邪が長びいたせいで、礼美はもう5日も学校を休んでいます。 最初の2日間は、お母さんがつきっきりで看病してくれたし、おととい、昨日はバトンタッチしたお祖母ちゃんに甘やかされて、小さな子どもに戻った気分でした。 けれど今日は、朝からひとりで留守番。礼美は退屈していました。 息をしているだけでも苦しかった病状はおさまって、昨日までなら、いくらでも眠れたのが、今朝は横になったまま時間を持てあまし [続きを読む]
  • 落とし穴
  •  真夜中に、ふと目がさめた。(何か、音がしたかな) 耳をすますと、庭の方から話し声が聞こえてくる。針が落ちる音のような、小さな声だ。「――それから、ミドリ町のミドリ公園では、二日前に殺虫剤が散布されました。皆さん、しばらくのあいだ注意して下さい」 そんなことを言っている。 私は横になったまま、聞き耳をたてた。「以上で、今月のお知らせはおしまいです。他に何か発言したい方はいらっしゃいますか?」「 [続きを読む]
  • カタツムリの夢
  •  一晩中、降りつづいた雨があがりました。 紫陽花の葉かげで眠っていたカタツムリは、目をさまして、のんびりと動きはじめます。くもり空と、しめった空気が、気もちのいい朝でした。 丸いかたちに寄りあつまって咲く紫陽花が見えてきました。「また、青くなった。やっぱり、雨がふるたび、青くなる」 ひとりうなずきながら、あざやかな青い花をながめます。 さいしょ、花は白っぽい色をしていました。カタツムリは、花 [続きを読む]
  • 16番の下足箱
  •  天に向かってまっすぐ伸びた煙突を目当てに、圭太は道をさがしていた。 社会人になってから3年半、いよいよ会社を辞める決心をして、ワンルームのマンションからユニットバスもついていないアパートに引っ越してきたばかりだ。 近所に銭湯があるのはわかっていたし、家賃は半分以下になる。(ただ寝に帰るだけの部屋だから、これで十分だ) 来月から圭太は、後継ぎのいない遠縁の職人に弟子入りするのだ。 タオルと石鹸 [続きを読む]
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