rhotta さん プロフィール

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rhottaさん: hellog〜英語史ブログ
ハンドル名rhotta さん
ブログタイトルhellog〜英語史ブログ
ブログURLhttp://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/
サイト紹介文堀田隆一による英語史(英語の歴史)の毎日更新ブログ。英語学・言語学一般の話題も扱っています。
自由文このブログの書き手は堀田隆一です。まずは,アクセス・ランキングのトップ500記事 (http://user.keio.ac.jp/~rhotta/cgi-bin/frequently_accessed_articles.cgi) あるいは全記事の標題の一覧 (http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/hellog_archive.html) をご覧下さい。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供32回 / 26日(平均8.6回/週) - 参加 2017/07/26 15:45

rhotta さんのブログ記事

  • #3037. <ee>, <oo> はあるのに <aa>, <ii>, <uu> はないのはなぜか?
  •  現代英語の綴字で feet, greet, meet, see, weed など は頻出するし,foot, look, mood, stood, took のように も普通に見られる.それに比べて,aardvark, bazaar, naan のような は稀だし,日常語彙で , もほとんど見られないといっていよい.長母音を表わすのに母音字を重ねるというのは,きわめて自然で普遍的な発想だと思われるが,なぜこのような偏った分布になっているのだろうか. 古英語では,短母音とそれを伸 [続きを読む]
  • #3036. Lowth の禁じた語法・用法
  •  Tieken-Boon van Ostade の論考の補遺 (553--55) に,"LOWTH'S NORMATIVE STRICTURES" の一覧が掲げられていた.A Short Introduction to English Grammar の1762年の初版より取ってきたものである.備忘録として以下に記録しておきたい.・ Adjectives used as adverbs (pp. 124--5)・ As   instead of relative that or which (pp. 151--2)   improperly omitted, e.g. so... [続きを読む]
  • #3035. Lowth はそこまで独断と偏見に満ちていなかった?
  •  Robert Lowth の後世への影響力は計り知れない.伝統的な解釈では,A Short Introduction to English Grammar (1762) で示された Lowth の規範は,彼自身の独断と偏見に満ちたものであるというものだ.そして,Lowth の断言的な調子は,彼の高位聖職者としての立場と関係しているとも言われてきた. しかし,Tieken-Boon van Ostade (543) によれば,この解釈は必ずしも当たっていないという.Lowth の批評家の多くは,彼のロ [続きを読む]
  • #3034. 2つの世界大戦と語彙革新 (2)
  •  昨日の記事 ([2017-08-16-1]) で,戦争が語彙に及ぼす影響について取り上げ,2つの世界大戦より具体例を挙げた.戦時に様々な戦争用語が生まれるというのは自然なことであり,疑うべきことではないが,戦争と「著しい」語彙革新とが常に関連づけられるものかどうかは慎重に調べる必要がある.というのは,むしろ2つの世界大戦期には,語彙革新が相対的に少なかったというデータがあるからだ. Beal (29--34) の A Chronologic [続きを読む]
  • #3033. 2つの世界大戦と語彙革新 (1)
  •  Baugh and Cable (293--94) によれば,戦争は語彙の革新をもたらすということがわかる.戦争に関わる新語 (neologism) が形成されたり借用されたりするほか,既存の語の意味が戦争仕様に変化することも含め,戦争という歴史的事件は語彙に大きな影響を及ぼすものらしい.例を挙げてみよう. 1914--18年にかけて,第1次世界大戦の直接的な影響により,語彙に革新がもたらされた.air raid (空襲),antiaircraft gun (高射砲 [続きを読む]
  • #3032. 屈折比較と句比較の競合の略史
  •  標題について,「#403. 流れに逆らっている比較級形成の歴史」 ([2010-06-04-1]),「#773. PPCMBE と COHA の比較」 ([2011-06-09-1]),「#2346. more, most を用いた句比較の発達」 ([2015-09-29-1]) 等で取り上げてきた.英語には,語尾に -er, -est を付す屈折比較と more, most を前置する迂言的な句比較が競合してきた歴史がある.その複雑な歴史を Kytö and Romaine が要領よくまとめているので,引用したい (196) [続きを読む]
  • #3031. have 完了か be 完了か --- Auxiliary Selection Hierarchy
  •  標題は,英語史における完了を表わす構造の変異と変化を巡る大きな問題の1つである.本ブログでも「#2490. 完了構文「have + 過去分詞」の起源と発達」 ([2016-02-20-1]),「#1653. be 完了の歴史」 ([2013-11-05-1]),「#1814. 18--19世紀の be 完了の衰退を CLMET で確認」 ([2014-04-15-1]) などの記事で取り上げてきた.英語に限らず他の言語にも,have 完了と be 完了の分布やその変化を巡って類似した状況があり,「#263 [続きを読む]
  • #3030. on foot から afoot への文法化と重層化
  •  表記の話題は,「#2723. 前置詞 on における n の脱落」 ([2016-10-10-1]) と「#2948. 連載第5回「alive の歴史言語学」」 ([2017-05-23-1]),および連載記事「alive の歴史言語学」で取り上げてきたが,これを文法化 (grammaticalisation) の1例としてとらえる視点があることを紹介したい. Los (43) によれば,on foot から afoot への変化は,韻律,音韻,形態,統語,語彙のすべての側面において,文法化に典型的にみられ [続きを読む]
  • #3029. 統語論の3つの次元
  •  言語学において統語論 (syntax) とは何か,何を扱う分野なのかという問いに対する答えは,どのような言語理論を念頭においているかによって異なってくる.伝統的な統語観に則って大雑把に言ってしまえば,統語論とは文の内部における語と語の関係の問題を扱う分野であり,典型的には語順の規則を記述したり,句構造を明らかにしたりすることを目標とする. もう少し抽象的に統語論の課題を提示するのであれば,Los の "Three [続きを読む]
  • #3028. She is believed to have done it. の構文と古英語モーダル sceolde の関係
  •  I believe that she has done it. という文は that 節を用いずに I believe her to have done it. とパラフレーズすることができる.前者の文で「それをなした」主体は she であり,当然ながら主格の形を取っているが,後者の文では動作の主体は同じ人物を指しながら her と目的格の形を取っている.これは,不定詞の意味上の主語ではあり続けるものの,統語上1段上にある believe の支配下に入るがゆえに,主格ではなく目的格 [続きを読む]
  • #3027. 段落開始の合図
  •  日本語では段落の始めは1字下げして書き始めるのが規範とされている.近年この規範と実践が揺れ始めている件については,「#2848. 「若者は1字下げない」」 ([2017-02-12-1]) の記事で触れた.では,英語についてはどうだろう. 英語の本を読んでいるとわかるとおり,通常,段落開始行は数文字程度の字下げが行なわれている.しかし,これには別の作法もある.例えば,字下げは行なわない代わりに,段落を始める語の頭文字を [続きを読む]
  • #3026. 歴史における How と Why
  •  歴史言語学は言語変化を扱う分野だが,なぜ言語は変化するのかという原因 (causation) を探究するという営みについては様々な立場がある.本ブログでも言語変化 (language_change) の「原因」「要因」「駆動力」を様々に論じてきたが,「なぜ」に対する答えはそもそも存在するのだろうかという疑念が常につきまとっている.仮に与えられた答えらしきものは,言語変化の「なぜ」 (Why?) に対する答えではなく,「どのように」 ( [続きを読む]
  • #3025. 人間は何のために言語で情報を伝えるのか?
  •  ホモサピエンスは言語を得たことにより,膨大な量の情報を柔軟に収集し,保存し,伝達できるようになった.しかし,どのような情報を何のために言語で伝えたのだろうか.Harari によれば,これには2つの説があるという.1つは「川の近くにライオンがいる」説,もう1つは「噂話」説である.前者は人間の生命に直接関わる関心事に端を発する説であり,後者は人間の社会性に注目した説である.まず,前者の "the there-is-a-lion- [続きを読む]
  • #3023. ニホンかニッポンか
  •  イギリスを指す英語表現には,The UK, Great Britain, Britain など複数ある.オランダについても,The Netherlands と Holland の2つがある.公式と非公式の違いなど,使用域や含蓄的意味の差はあるにせよ,ひとかどの国家が必ずしも単一の名称をもっているわけではないというのは,妙な気がしないでもない.その点,我が国は「日本」あるいは Japan という名称ただ1つであり,すっきりしている. と言いたいところだが,実 [続きを読む]
  • #3022. sneeze の語源 (2)
  •  「#1152. sneeze の語源」 ([2012-06-22-1]) を巡る議論に関連して,追加的に話題を提供したい.Horobin (60) は,この問題について次のように評している.. . . Old English had a number of words that began with the consonant cluster , pronounced with initial /fn/. This combination is no longer found at the beginning of any Modern English word. Wha... [続きを読む]
  • #3021. 帝国主義の申し子としての比較言語学 (2)
  •  昨日の記事 ([2017-08-03-1]) で,帝国主義と比較言語学の蜜月関係について触れたが,このことは,世界的ベストセラーとなった Yuval Noah Harari による Sapiens (邦題『サピエンス全史』)でも触れられている.比較言語学の嚆矢となった William Jones の功績は,そのまま帝国主義のエネルギーとなったという論である.Harari (335--36) の議論に耳を傾けよう. Linguistics received enthusiastic imperial support. The E [続きを読む]
  • #3020. 帝国主義の申し子としての比較言語学 (1)
  •  19世紀後半から20世紀前半にかけて,著しく発展した比較言語学や文献学の成果を取り込みつつ OED や EDD の編纂作業が進んでいた.言語学史としてみると実に華々しい時代といえるが,強烈な帝国主義と国家主義のイデオロギーがそれを支えていたという側面を忘れてはならない.Romain (48) は,次のように述べている. The energetic activities of intellectuals such as James Murray, Joseph Wright, author of the English [続きを読む]
  • #3019. 18--19世紀の「たしなみ」としての手紙書き
  •  英文学史上,18--19世紀は "the Age of Prose", "the great age of the personal letter", "the golden age of letter writing" などと呼ばれることがある.人々がいそいそと手紙をしたため,交わした時代である.近年,英語史的において,この時代の手紙における言葉遣いや当時の規範的な文法観が手紙に反映されている様子などへの関心が高まってきている.とりわけ社会言語学や語用論の観点からのアプローチが盛んだ. 18-- [続きを読む]
  • #3018. industry の2つの語義,「産業」と「勤勉」 (2)
  •  昨日の記事に引き続き,industry の多義性と意味変化について.industry という語について,「器用さ」から「勤勉」の語義が発展し,さらに「産業」へと展開した経緯は,労働観が中世的な「個人の能力」から近代的な「集団的な効率」へとシフトしていった時代の流れのなかでとらえられる. 西洋においても日本においても,中世の時代には,領主から独立して農業をうまく経営する「器用な」農民は自分の時間を管理する達人であ [続きを読む]
  • #3017. industry の2つの語義,「産業」と「勤勉」 (1)
  •  多くの辞書で industry という語の第1語義は「産業;工業」である.heavy industry (重工業),the steel industry (鉄鋼業)の如くだ.そして,第2語義として「勤勉」がくる.a man of great industry (非常な勤勉家)という表現や,Poverty is a stranger to industry. 「稼ぐに追い付く貧乏なし」という諺もある.2つの語義は「勤労,労働」という概念で結びつけられそうだということはわかるが,明らかに独立した語義で [続きを読む]
  • #3016. colonel の綴字と発音
  •  (陸軍)大佐を意味する colonel は,この綴字で /?k??n?l/ と発音される.別の単語 kernel (核心)と同じ発音である.l が黙字 (silent_letter) であるばかりか,その前後の母音字も,発音との対応があるのかないのかわからないほどに不規則である.これはなぜだろうか. この単語の英語での初出は1548年のことであり,そのときの綴字は coronell だった.l ではなく r が現われていたのである.これは対応するフランス [続きを読む]
  • #3015. 後期近代英語への関心の高まり (2)
  •  「#2993. 後期近代英語への関心の高まり」 ([2017-07-07-1]) で,近年,後期近代英語期の研究が盛り上がってきていることに触れた.その理由は様々に説明できるように思われるが,Kytö et al. (4--5) の指摘している4点に耳を傾けよう.19世紀の英語が研究に値する理由として,先の記事で触れたものと合わせて確認しておきたい. (1) 19世紀中に識字率が上がったことにより,多種多様なテキストが豊富に生み出された.と [続きを読む]
  • #3014. 英語史におけるギリシア語の真の存在感は19世紀から
  •  昨日の記事「#3013. 19世紀に非難された新古典主義的複合語」 ([2017-07-27-1]) でも触れたように,19世紀は専門用語の造語のために,古典語に由来する要素が連結形 (combining_form) としておおいに利用された時代である.古典語とはラテン語とギリシア語を指す.前者は英語史を通じて多大な影響を及ぼしてきたものの,後者の存在感は中英語まではほとんど感じられない.ようやく初期近代英語期に入って,直接の語彙借用がな [続きを読む]
  • #3013. 19世紀に非難された新古典主義的複合語
  •  英語の豊かな語彙史について「#756. 世界からの借用語」 ([2011-05-23-1]), 「#1526. 英語と日本語の語彙史対照表」 ([2013-07-01-1]),「#2966. 英語語彙の世界性 (2)」 ([2017-06-10-1]),「#2977. 連載第6回「なぜ英語語彙に3層構造があるのか? --- ルネサンス期のラテン語かぶれとインク壺語論争」」 ([2017-06-21-1]) などで取り上げてきた.しかし,豊かであるがゆえに,歴史上,むやみに借りすぎだ,作りすぎだという [続きを読む]