箱月 さん プロフィール

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箱月さん: ( hide - and - seek )
ハンドル名箱月 さん
ブログタイトル( hide - and - seek )
ブログURLhttp://bkptef844z.blog.fc2.com/
サイト紹介文オリジナルの「お話」と「詩」を展示しています。
参加カテゴリー
更新頻度(1年)情報提供112回 / 9日(平均87.1回/週) - 参加 2017/09/10 19:50

箱月 さんのブログ記事

  • 鳩時計
  • 死んでしまったら何が残るの?思い出? そんな奇麗事何にも残りはしないよ灰になって消えるんだその時はもう焼かれる炎が熱かったかさえわからない私はねただ 返してほしいだけなの 私をあの時にぶっ壊れた私を時計の針は逆回転して螺子は吹っ飛び開いた扉から 鳩は十三回を過ぎても鳴き続けるまるで助けを求めるみたいにでも助けなんか来なかったんだ扉が開く度に呼んだのに光が差す度に絶望を押し付けられるなんて残酷な時間 [続きを読む]
  • 言い訳
  • 言い訳しないでよあなたが死んだ理由生きることに魅力を感じないなんてそんな当たり前なこと辛いことがあったからって死ねば終わると思ったら大間違いあなたは天国にでもいってラクになったのかしら?死後の世界なんて信じていないけれどあなたが死んで悲しむ人がいなかったとしても誰にも迷惑のかからない死に方なんてないの幸いかどうかは分からないけれど私はあなたが死んだことに泣かされたわ悲しかったのかどうかは分からない [続きを読む]
  • スローモーション
  • あまりに儚く散ったから大切なものだと信じられずに夢 現つ まぼろし生きるよりも死ぬよりもなにが欲しいとかどれを選ぶとか私の気持ちをはかる天秤の単位は何なのでしょうか蝋燭 灯り 揺れて愛されたいがために泣き崩れ愛するが故に涙する私たちを乗せた天秤はなにを教えてくれるのでしょうか瞳 知る 輪郭人見知りの声は消えるあまりに儚く散ったから大切なものだと信じられずにけれども零れた破片は私を泣かせる喚かせる [続きを読む]
  • nothing but not nothing
  • 私を撫でるその指に歯形をつけて今日を終えるの私は静かにあなたの寝顔を見つめて過ごす明日が来るまで考えるなんにもないを私は空っぽになりたいから誰の呼びかけも知らず目の前の空気に微笑む私を殺す手に触れて思い返す幸福は色褪せずあなたにもたれかかり命消える最後の抱擁感じるなんにもないを私は空っぽになったのだからあなたが泣いていることなんて気づかなくても罪じゃない忘れるあること全て私は空っぽにならないとなの [続きを読む]
  • 願い
  • 蟠りを抱えた瞳に見ることの出来る世界とは色も持たずにただいるだけで限りの見えてる可能性に縋りついて正と負の思いを巡らせる命を持つという不幸を愛して退屈な悲劇を見ては叫ぶ音にならないその響きは、振動も起こさずに重厚な鎧を纏い 強ばった顔つきで朗らかな笑い声を上げる罪深きこの限界は、自壊せず 破壊もされず、ただ存在を見せつける喉に渇きを訴えられ 濁った水を睨んでは透明だと思い込んで舌を伸ばす理不尽を食 [続きを読む]
  • 子供
  • 気がついたときそれは遅い私は既に息をしている良い子という褒め言葉頂くために、何でもしてみせましょう憎しみ隠して笑います貴方の愛する可愛い仮面で戻れるのならその腹へ受精の瞬間など待たずして私は外へと逃げたいわそうすれば 命と呼ばれることもなかった気づかなかったそうしたら幸福だった不幸でも悪い子というお叱りを頂くために、自由を生きてみせましょう破瓜の痛みすら笑います貴方の知らない仮面の下で戻れるのなら [続きを読む]
  • 分厚い雲の灰色の空 見上げて僕は雨を待ってた泣き方忘れた僕の代わりに 涙を流してはくれないか約束破った僕のことを 誰も責めることはなかったが余計に蟠った灰色の心 お陰様で今日 僕は寝不足なんだ笑ってはくれないか なんてちっぽけな悩みなんだってそんなことで埋め尽くせるほどに世界は狭くもないんだぞ気がつけば弱音ばっかり吐いてるが夢だけ飽きずに並べた頃もあった紡ぐのは同じくちびるなのにどうしてこうも違う [続きを読む]
  • 微笑
  • 夢はどこからやってくるのかしら目蓋閉じて静かに重なるもうひとつの世界混じり合う幼き日々をたどる庭に埋めた花の種はけして芽吹くことはなくそれでも確かに愛おしく涙に濡れた頬にそっとくちづけするのはあなたのためじゃなくていつかの過ちをただ忘れたいから浅い眠りの中で言葉にならない想いを引き出しにしまい鍵をかけて忘れようとする憂いの静寂に添う私は指を組んで祈りたもう明日の日のせめてもの安らぎを醜さ包み込んで [続きを読む]
  • おはよう
  • おはよう、今日の僕昨日の僕にはちゃんとさよならを言えたかい?過去に操られるのはごめんだよ今日は朝から会議があるんだちゃんとさよならを言えたかい?やあ、今日の君昨日は酷く泣いていたね忘れろなんて言わないけれどもっとらくに生きなよでも、今日も髪型きまってるねそれなりに生き甲斐はあるよまあ、たまに嫌になることもあるけれど、悪い人生じゃないこれで空でも飛べたりしたら、なんの文句もないんだけどなよう、親友今 [続きを読む]
  • 8(最終話)
  • ふたり目も女の子だった。また出産に立ち会った明は、お疲れさま、と由香の額にキスをした。名前は、由香が決めた。「友」自分のように友達に恵まれるように。友を連れて帰ると、まだ二歳の陽には妹にママを取られたと、赤ちゃん返りもした。そんなふたりの子供を抱えても、少し余裕を持っていられたのは、明がどんなに疲れて帰って来ても、話だけは聞いてくれていたからだと思う。それと、陽の遊び相手をしに、綾子と木綿子もよく [続きを読む]
  • 7
  • 明は、陽にきょうだいを作ってあげられたらいい。なんて言うようになった。「きょうだいはいた方がいいしね」「そうだね」由香は照れたように微笑んだ。「ねえ、洋介くんは、どんな風に由香を抱いた?」「どうしてそんなこと聞くの?」「僕のことだけ考えてほしくて、由香に欠片も余裕を与えないようにしてるつもりなのに、由香はいつだって、違う人を見てるんだ」「そんなことないよ。わたし、明のこと好きだよ」「でも、それ以上 [続きを読む]
  • 6
  • 三か月後、由香は、元気な女の子を出産した。想像以上に痛くて、それが何時間も続いたものだから、産まれた瞬間は、ただただ終わった、とほっとしていた。でも、小さくて、触ったら壊れてしまうんじゃないかと思いながら、はじめてその子を抱いたとき、嬉しくて、そして、洋介に見せてあげられない悲しみに、ぼろぼろと涙がこぼれた。出産に立ち会った明も、頑張ったね、と泣いていた。名前は、明が付けた。「陽」もちろん、洋介の [続きを読む]
  • 5
  • 三人で暮らしいてる家に、明を呼んだ。「あんた、本当に由香と結婚するつもりなの?」「冗談でプロポーズしたなら、こんな怖いところにまで来たりしないよ」明はおどけたように言う。「僕は、これでもいい会社ってやつに勤めてるんだ。由香と子供に苦労をさせるつもりもないし、ちゃんと大事にするよ」「でも、ゲイなんでしょ?」「うん。だから、きょうだいを作ってあげるのは無理かもしれないね」「どうして、由香ちゃんと結婚す [続きを読む]
  • 4
  • 葬儀ではじめて顔を合わせた洋介の両親に、妊娠を告げることは出来なかった。言ったら、複雑な顔で喜んだりしただろうか。それとも、苦労はかけられない、と止めただろうか。でも、由香の気持ちは決まっていた。それでも、今まで大切に育ててくれた両親には、未婚の母になることをどうしても言えなかった。実家から、今まで以上に足が遠のいた。三人で、一軒家を借りた。そうやって、新しい暮らしをはじめた。「あ、由香」「え、明 [続きを読む]
  • 3
  • どうして、あの日に限って、朝食を作ろうとなんてしたんだろう。なんで、ベーコンエッグは焦げたんだろう。突き詰めれば、フライパンがちょっと古かったせいと、強過ぎた火加減だろうけれど。でもどうして、ありがとうが言えなかったんだろう。なんで、あんなに怒ってしまったんだろう。綾子は睨むような目つき。木綿子は下を向いている。由香はくちびるを噛んでいた。馬鹿。馬鹿。馬鹿。ばかばかばかばか。どうして、ベーコンエッ [続きを読む]
  • 2
  • それは、午前中も早い内から、気温が三十度に達した暑い日だった。「これ、あげる」洋介は出かけ際に、由香にくしゃくしゃの紙袋を渡した。それはミスタードーナツの袋で、そう言えば洋介は甘いものが好きでよく買ってたな、と思った。「いってくる」洋介はそうくしゃっと笑った。「ちょっと! ちゃんとヘルメットのベルトしなさいよ! いつも言ってるでしょ! 違反取られるわよ!」ヘルメットをただ頭に乗せただけで、スクータ [続きを読む]
  • 1
  • 「明日な、バイトの面接だからな、仕事行く前に起こしてくれな」洋介は首の後ろを掻きながら、何とも情けない声で言った。寝る寸前にそんなことを言われたが、由香はしっかりとそのことを頭に入れた。洋介が前のバイトを辞めて、もう三ヶ月が経つ。おこづかいも尽きて、中古で買ったゲームのやりこみにも飽きて、きっともうすぐ春だから、新しい春物の服が欲しいとか思ったのかも知れない。もしかしたら、洋介は変温動物で、冬の間 [続きを読む]
  • 1
  • はじまりは母がパチンコに行ったことだった。母は昔から生活費がピンチになりかけるとこっそりパチンコに行っていたらしい。そして、そういうときには絶対負けない勝負強さを母は持っていた。手相の神秘十字というのも持っているのが母の昔からの自慢だった。問題はその日がそのお店の十周年だったことと、それに伴ってやっていたくじ。レートは四円に限る。一円二円では稼げないし詰まらない、と母は言う。席に着いてから千五百円 [続きを読む]
  • 8(最終話)
  • 三泊なんてあっという間に過ぎた。時間を取り戻すようにたくさん話をして、知らない夕が怖いと思ったことも忘れるくらいだ。もしかしたら、何でもないようにしていた夕も、実は探りながら、おっかなびっくり加奈子と接していたのかも知れない、とも思った。けれど、もう、そんな必要はない。夕は車でアパートまで送ってくれた。「家族のとこに帰るの?」「ううん。まだ帰らない」「どうするの?」「駅の反対側にレオパレスを借りて [続きを読む]
  • 7
  • 駅で待っていると、加奈子の前で白のバンが停車した。運転手は夕だった。夕が笑顔で言う。「乗って。大丈夫。わたし、ドライブ好きなの」電話で話した予定では電車で行くことになっていたので、加奈子は少々面食らった。ドライブが好きだなんて、夕はそんなにアクティブだっただろうか。「電車だと、座れるかも分からないし、車の方が楽じゃない? レンタカー借りちゃった」「う、うん」レンタカーのお金を半分出そうかと思ったが [続きを読む]
  • 6
  • 「夕?」呼ぶとその女性はあの柔らかな笑顔で振り向いた。やっぱり夕だ。でも、明らかに違う点があった。うさぎの耳がない。「久しぶり。加奈子。会いに来ちゃった」「久しぶりって……勝手に消えて、急に現れて。意味わかんない」加奈子は再会の喜びより、怒りが先に立った。「ごめんね。でも、わたしもいろいろあって」怒りが先に立ったけれど、すぐにそれは収まった。色んな感情が入り乱れて、泣きそうだった。そして、「うさぎ [続きを読む]
  • 5
  • 妊娠三ヶ月。つわりはあるけれど、加奈子は少々過保護になった健吾を鬱陶しくも嬉しくも思いながら、あーだこーだ言いつつ、でも幸せに過ごしていた。数日前、通院している産婦人科に行く市営バスので、女子高生に席を譲られた。はじめはなぜか分からなかったが、市役所でもらって鞄に付けていた、お腹に赤ちゃんがいますマークを付けていたことを思い出し、照れるというか、女子高生の優しさに嬉しくなった。母子手帳ももらったし [続きを読む]
  • 4
  • 懐かしさの理由も、懐かしく思ったことも、すっかり忘れて日常にいた。自転車で市立図書館に通い司書として働き、うちでは健吾と何だかんだ言いつつ仲良く過ごす。変わらない日常。冬が近づき、誕生日プレゼントに送った黒のトレンチコートを着て、健吾は通勤している。我が旦那ながら、格好いい。朝、見送る背中を見つつ、加奈子はほくそ笑む。今日は駅近のカフェで久々に大学時代の友達に会うことになっている。久保田実来、とい [続きを読む]
  • 10(最終話)
  • 有紀は放心状態で、警察に何を聞かれても答えられなかった。それでも家に帰されたのは、未成年だったからだろうか。有紀の世界はあの一瞬からモノクロに変わった。何ひとつ色を持つことが出来ない。手にしたものから色褪せていく。ハルの事件は一応報道されたが、一日で消えた。世間は許せないくらい、ハルに無関心だった。両親もハルについて有紀に問いただすことはなかった。娘が変な事件に巻き込まれた。両親はそんな風に思って [続きを読む]
  • 9
  • ハルの妹さんの事件は結局何も報道されなかった。殺人じゃなくて、自殺だったからだろうか。新しい学校への通学はハイキングコースではない。どこまでも平坦な道を歩く。頭痛は相変わらずだが、マシになった。今通っているのは公立校だ。成績が悪い訳ではないのに、私立から転校ということで、初っ端から良い印象はなかった。ただ、悪いという訳でもない。マイナスからはじまった方が良いと、どこかの誰かが言っていた気がするので [続きを読む]