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エッセイ〜行雲流水 http://hkiyota.blog.fc2.com/

幼少の思い出や、自然や日々の出来事への素朴な感動

主にー母の思い出、学芸会、みかんの花咲く丘、お地蔵さん、すみれの花、歌えよいざ良き友よ、雨降りおつきさん、冬の星座などー幼き日々などを書いています

燕雀
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2017/12/24

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  • 行雲流水

    小さなエッセイ...

  • 秋の日の幻想~落ち葉~

    公園や街路の木々が急に色めいて来た。自宅近くの東西にぬける並木の欅(ケヤキ)がオレンジ色になって、南北に通る公孫樹(イチョウ)並木も黄色い葉を散らせ始めた。並木通りの交差点のハナミズキは今年は特に深紅に染まっている。夕方からは少し冷えてきて澄んだ秋空に、半月(9,2月齢)の月が輝いて来た。公園の横を通ると、時折、冷たい風に落ち葉がはらはらと舞った。晩秋の佇(たたずまい)である。 ふと高校時代で暗...

  • 春の旅

    先日、奈良・京都を旅した。天気には恵まれたが、桜の方はまだ今一つだった。伊丹から大阪を通り、生駒トンネルを抜けて奈良盆地に入った。この地は、なだらかな山々に囲まれて昔ながらのたたずまいを見せている。何度来たか確かではないが、何度来ても、大和にはどこか心惹かれるものがある。 バスの車窓からぼんやりと外を眺めながら、ここが日本の古代史の舞台なのだとの感慨に耽った。昔、映画で見た倭建命(やまとたけるの...

  • 時が過ぎゆく~MEMORY~

    ミュージカル「キャッツ」にMEMORY(思い出)という歌がある。それは、昔、美しく売れっ子だった娼婦猫のグリザベラが、年老いて月の夜の街角で昔を懐かしみ歌う美しくも切ないメロディだ。 若くて最も輝いていた頃は懐かしい。楽しかった幸せな日々、そして悲しく苦しかった時など、誰にでもたくさんの思い出があり、折ある度に繰り返し浮かんでくる。思い出したくない記憶もあるし、時が浄化してくれる記憶もある。 ...

  • きさらぎの望月のころ

    3月の暖かい日、春の雨がやわらかく木々を濡らす。庭の木々の葉や花の新芽も急に伸びてきた。この時期は、寒かった冬が去り、桃の節句、お彼岸と春めいた節気(せっき)が続き、だんだん気分も和らいでくる。3月は弥生というが、この時期は旧暦では如月(きさらぎ)だ。だから「如月の望月」とは、3月末から4月初めに来る満月のことで、今年は3月23日がそれに当たるらしい。まさに桜が開花する季節なのだ。 願わくは ...

  • 雛人形

    娘が幼い頃、義母(はは)が作ってくれた木目込み。今も飾り棚の中にたたずんでいます。...

  • 早春の日に~父母がくれた幸せ~

    2月6日は父の25回、母の17回忌の法要の日だった。何の縁(えにし)か、父母は2人ともこの寒い季節に逝った。私達兄弟妹(きょうだい)5人は、東京に2人、埼玉、福岡、熊本とそれぞれ離れて住んでいるため、全員が集まるのはあまりない。 熊本の実家(今は弟が住んでいる)でお坊さんに読経をいただき、その後皆んなで近くにある墓に参りに行った。参拝を終えて菩提寺に向かって談笑しながら小道を歩く。右側には子供の...

  • 東風吹かば

    早春の陽気に誘われて太宰府に行く。梅の時期とあって駅から本殿まで切れ目なく人が連なっていた。近くの禅寺の傍の、いつもの静かな店で、焼きたてのパリっとした「梅が枝餅」を抹茶とともにいただく。参拝後、豆やに立ち寄る。砂糖としょうがで炒ったソラマメが美味しい。昼間の温度は16度とかなり暖かくなった。飛び梅は今一つ。東風(こち)が吹いてくれればと思う。 東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとて ...

  • 羊飼いの少女

    私は子供の頃よく絵を画いて遊んだ。しかし大人になってからは、絵を画くこともほとんどなく、美術についての造詣も無い。ただTVで名画と呼ばれる絵を見るのは好きで、壮年を過ぎた頃から、フェルメールなどの有名な画家の展示会があれば時々見に行くようになった。 先日のこと、書棚を整理していると分厚い美術書、コローとミレーの画集が出てきた。本や写真で何度も見た絵が多いが、それでもミレーの描く田園の美しい詩情に...

  • 雪の日の思い出

    朝起きると外は粉雪が降っていた。庭では紅い山茶花と黄色いバラの花がひっそりと雪をかぶっている。 外に出ると、枯れ木の街路樹に強い風が吹きつけている。歩けば頬に雪が当たって冷たい。風景はモノクロームの世界になっていた。 向こうから小学生達の元気な声が響いた。寒さなどものともしない、雪を見て楽しそうにはしゃいでいる子供達を見て懐かしさが甦える。 思えば私が小学2年生の頃だった。雪が降って校庭の周りが...

  • 冬はつとめて

    寒の入りとなった。今年の大寒は1月21日、それを過ぎると季節は2月初めの立春へと向かう。最近は季節感が昔と変わってきたが、やはりこの時期は冬が極まる。「冬はつとめて(早朝)。雪の降りたるは、言うべきにもあらず。霜などいと白きも、またさらでもいと寒きに、火など急ぎおこして、 炭もてわたるも、いとつきづきし(ふさわしい)」これは「枕草子」の一節だが、冬は早朝が趣があると言っている。そしてその風情をいき...

  • 新春に思う~春を待つ~

    年が明けた。床の間には、一昨日庭で切った千両(せんりょう)の紅い実が菊の花の脇にひっそりと差してある。朝起きて若水(はつみず)を取り神棚に供えた。昨日は時雨れていた天気は、夜には晴れてきたようで寒い朝となった。空はすこし霞んでいるが東の方の朝焼けに向かって初日を拝んだ。 心の中で呟く・・・めでたさも 中くらいなり おらが春 まだ、早春と言うにも早すぎるが、それでも年が改まると何んとなく春を待つ気...

  • 満月のクリスマスの夜

    今夜12月25日夜9時を過ぎた頃、ゴミを出しに外に出た。明日から冷えてくるとTVでも言っていたがやはり外は寒い。見上げると、真ん丸な月がくっきりと南の空に浮かんでいる。その明るさに驚いてすぐ調べると今日は満月だという。冷たい風が吹いていたが、満月の横に何とオリオン座が美しい姿を見せている。シリウスも白く光っている。暫し茫然として夜空を仰いだ。昨日夜のクリスマスイヴの空は厚い雲に覆われていた。クリ...

  • 丘の上のホテルから

    小高い山から湊を望むホテルの屋外の棚湯は風が吹いていて寒かった。お湯に体を深く沈めて眼下に広がる海と空をぼんやりと眺めた。夕暮れ時で、少し赤みがかった雲が点々と空に浮かんでいる。正面の海はまだ青々としていて遠くに白い船が見える。しばらくすると、急に薄暗くなってきて空が夕日で染まった。日が沈むと、ホテルの庭には、今、流行(はやり)の夢見るようなイルミネーションの世界が現れ、若い子供連れの家族が寒い...

  • クリスマスに寄せて

    11月になって、街ではイルミネーションが灯るなど今年もクリスマスの雰囲気が漂ってきた。今年の聖夜は雪が降っているだろうか、星は出ているだろうか、木枯が吹いているだろうか。 クリスマスにはだれもがそうであるように、子供の頃からの様々な思い出がある。 昔、日曜学校というのがあった。私の実家の裏にあった同級生のY君の家はクリスチャンだった。日曜日にその家に牧師さんが来て、子供達を集めて聖書の話をしてい...

  • 十三夜の月

    数日間続いた大陸からの大気のよどみも去り、今日は雲ひとつない晴天となった。時折ひんやりとした秋風が吹き抜ける。春にはすみれが咲く近くの公園では、桜が紅葉した葉を落としていて歩くとカサカサと音がした。見上げると木の間からマリンブルーの空が広がっている。 公園の隣の公民館では広場にテントを張って文化祭のバザーが行われていた。かしわご飯、カレーライス,とん汁、お汁粉、焼きそばなどを食べながら家族連れ...

  • 夕空晴れて秋風吹き

    今年の秋は早く涼しくなった。秋晴れが続き空が美しい…青い空、たなびく雲、夕焼け、そして月。川の水も気温が低いせいか澄みきっている。薄(すすき)も高く穂波が美しい。今年は何故か赤とんぼは見なかったが、黄色い蝶々をよく見かける。金木犀が一斉に匂い始めた。公孫樹(いちょう)や桜の葉も紅葉を始めている。 この日は秋風が心地よく夕暮れ時散歩をした。紅葉を始めた桜の木がある池の端に通りかかった時、手押し車に...

  • アイーダ行進曲

    混声コーラスのサークルに加入させていただいた。年老いた身なので気が引けたが、皆さんや先生に快く受け入れていただいた。私年輩の方もかなりおられるが、今は気恥ずかしい気持ちで練習にいそしんでいる。 先日、コンサートに初めてデビューした。高校生で歌って以来50数年振りのステージだった。その日は朝から練習場で音合わせ、会場への移動、ホールでの着替え、リハーサルなど初めての経験で最後の懇親会まで長い長い...

  • クリスタルのエンゼルフィッシュ

    クリスタルのエンゼルフィッシュ水底の世界はとても美しいここでは時はゆっくり過ぎていきます泳げばゆらゆらと光が揺らめきますでも、その光はやがては消えてゆきます水底の久遠の果てに...

  • 浜辺の歌

    日本には海や浜を謳った歌が数多くある。私は海辺で少年時代を過ごしたこともあって、海の歌はことのほか情景とともに懐かしい記憶となっている。 「浜辺の歌」は、昔母がよく歌っていた。成田為三のピアノ伴奏がまた美しい。形式はA-A’-B-A’と素朴な2部形式となっている。このB(さび)の部分「風の音よ、雲のさまよ・・」の詩句が詠唱される時の女性の高い声の響きはとても美しいと思う。 数日前、たまたまTV番組...

  • 落葉松の詩

    今年の夏は南九州は豪雨となっているが、福岡は幸いこれまでは雨量はさほど多くなく時々晴れ間も見える。 先日唐津に出かけた。その日は雨も降らず海も穏やかだった。久しぶりに海岸へ歩いて行った。穏やかとは言えやはり潮風はかなり強い。そこには青々とした松林、「虹の松原」が広い砂浜を伴って唐津湾に沿って延々と続いている。遠くから白いしぶきを立てた波涛が次々に押し寄せて来る。その寄せては返す波が美しい波紋を海...

  • 飾り棚の人形たち

    今年の梅雨はことのほか長く感じます。今日は思いついて人形の写真を撮ってみました。 一番左はコペンハーゲンに行った時に記念に買ったものです。「マッチ売りの少女」だそうです。コペンハーゲンはアンデルセンの住んでた街です。ロイヤルコペンハーゲンのブルーの色に惹かれたのかなと思います。 次の「籠を担いだ少女」は、フローレンスでの製作と書いてあります。義母(はは)の家の玄関に飾ってあったもので、今は形見に...

  • モーツアルトのピアノ協奏曲

    モーツアルトのピアノ協奏曲21番の2楽章のアンダンテは技巧的には難しくないがとても美しい。映画「みじかくも美しく燃え」のテーマに使われた曲で、この曲を聴くと若い脱走兵と美しい娘が蝶の飛ぶ花園をさまよい歩くシーンを思い出す。オーケストラパートのCD(マイナスワン盤)と合わせてピアノを弾くとモーツアルトの原曲のままの演奏を下手なりに楽しむことが出来る。 オーケストラはピアノとの協奏なので相当の音...

  • 公園で~ちょうちょ採り~

    今年もいよいよ6月、年の前半もそろそろ終わりに近づいた。相変わらず自然災害、異常天候は続いている。それでも今年は庭の様々な花がここ数年来で一番の当たり年だった。紅梅から始まって、水仙、肥後椿、コデマリ、オオデマリ、ドウダン、ボケ、バラ、そしてチューリップはパステルカラーで鮮やかだった。最近はサツキが白、赤、ピンクと絢爛としていて、紫陽花の淡いブルーとの対比が美しい。 昨年は何をしていたかと、ブロ...

  • 小料理店

    今日は朝から雨が降っていた。昨日(6月2日)梅雨入りした模様である。雨は午後からほぼ止み晴れ間も見えてきた。 終業時、社員の皆さんが誘ってくれたので5人で料理店に立ち寄った。福岡市の中洲にある10席ほどのL字のカウンターの小さな店だが、落ち着いた雰囲気がいい。おかみさんは花が好きで、何時行っても四季折々の花が店いっぱいに飾ってある。 着席してお絞りを使いながら冷たいビールを待つ。その間、花を眺め...

  • 花売りの思い出

    入社して間もない頃だった。当時はまだ行商、露店など野菜、果物、乾物などを売って生業とする人々がたくさんいた。昔は、おおらかなもので物売りも平気で会社に入って来て商売をした。靴磨き、新聞配達、納豆売りなど子供たちが生計の一部を支えるのは普通に見られた時代でもあった。 今は殆ど見られなくなったものに「花売り」がある。花売りは駅にも路上にも時には夜の歓楽街にも見られた。細々と花を栽培しリヤカーで街に売...

  • 私の散歩道~白鷺~

    私はよく近くの川沿いの道を散歩する。それは一時間ほどのコースで、堤には草木や花があり、また桜並木やクスの大木もあって季節の移ろいをよく感じる。今年も、枯れ草の中にイヌノフグリを見た時、春が来たと感じた。雨が降るときは傘をさしてゆっくりと歩く。雨滴が当たりボトボトと音を立てる。その音を聴くと、昔カラ傘をさして歩いた雨の日の情景が甦る。 子供の頃、小川沿いの道を歩いて通学していたこともあり、私は水中...

  • 青いピエロ

    私は青色が好きだ。昔はウルトラマリンブルーは大変貴重な色だったらしく、フェルメールの名画「青いターバンの少女(真珠の耳飾りの少女)」の青はラピスラズリーという鉱石で、宝石並みの値段がしたと言われている。 空の青、海の青は色素ではない。空、水のどこを探しても青の色素は出てこない。屈折光なのだ。ただ青は世界を美しく包む。人類はその色とともにありそれでどのくらい癒されてきただろうか。青は特に白との対...

  • 皇妃エリザベートの肖像画

    本屋で何気なく「ハプスブルグ家の12の物語」という本を手にした。ページをめくっていると皇妃エリザベートの肖像画が目にとまった。読んでみると肖像画では名画のようで強い印象を持った。 ハプスブルグ家は650年間、ヨーロッパの皇帝(神聖ローマ皇帝)として諸国王の上に君臨してきた。当然ながら、常にヨーロッパの歴史の中心的な存在であり、歴史の荒波に翻弄され続けてきた。エリザベートはその最後の皇帝フランツ...

  • 金色の馬車

    子供の頃、里芋畑の大きな葉っぱの下に小人が住んでいるような気がして仕方なかった。小人たちは月夜になると踊り出すのである。白雪姫から来る連想なのだろうが、このような空想は何時も孤独だった(と自分は思っていた、)私を慰めてくれた。子供ながらそんな心の内はひた隠しにしていた。人に知られるのが恥ずかしかったのだ。 フランスのロワール川沿いにシャンボールという美しい古城がある。数年前そこを訪れたが、森の...

  • 初夏の博多湾

    能古島から見た福岡市です。写真が全般にかすんでいますが、写真の、左が福岡ドームで、昔の地行の浜です。ここで私たちは泳いだり貝堀りをしたり相撲をしたりしていました。その横がホテルシーホークで、娘がここで結婚式を挙げました。うしろに油山が見えます。ここから見ると博多湾の波の静けさが分かります。...

  • 薊(あざみ)

    熊本の郷里の墓参りに行く。朝から青い空が広がり、時々そよぐ薫風が頬に快よかった。博多から新幹線で30数分、正午前に熊本に着く。いつもながら弟夫婦が墓掃除して、花入れの水を替え花と線香を用意していてくれた。 お参りを終えて、近くの氏神に寄ってみる。子供の頃遊んだ境内のイチョウやクスは当時より更に大きく成長していて静寂な森を形成していた。それから先祖からの菩提寺に回った。今再建中で、神社の雰囲気とは...

  • 春の名残のバラ

    今年の庭のチューリップは赤と黄色が日差しの明るさもあってか鮮やかなパステルカラーでした。今はピンクの花が数本だけ、名残惜しそうに最後の姿を見せています。ここ数日でオオデマリガ透んだ真っ白い花を見事に咲かせました。今は木々の緑が鮮やかになり薫風がそよぐ季節になりました。 これも母の話になりますが、私が高校で習った「庭の千草」というアイルランドの民謡を歌っていると、「それはひとり残れる夏のバラとい...

  • 子供の情景~トロイメライ(夢)~

    シューマンのピアノ曲に「子供の情景」というのがある。12曲からなる組曲だがその7番目があの有名な「トロイメライ」である。どなたでもご存知の小曲だが、夢見るようなメロディは汲めども尽きぬ情感・味わいがある。演奏の技巧的には易しいが表現は難しいと思う。 先日、散歩していると、若いお母さんが二人の子供を連れて歩いていた。お兄ちゃんが3、4歳位、妹は2歳だと思う。二人は手をつないでお母さんより前を歩いて...

  • 西洋人形

    何時からかはっきりした記憶はないが、旅行の旅先きで何の役にも立たない人形や肖像のようなものを思いつきで買って帰り,居間の飾り棚に無造作に放り込むようになった。和人形、西洋ドール、マリア様、菩薩様、ポンパドール夫人、インデアン人形などで、大きさも種類もまちまちで、素材も民芸、彫刻、陶磁器、ガラス細工とまるでガラクタの置き場所になっている。高価なものは殆どない。 写真の西洋人形は、ある日連れあいとデ...

  • りんごのひとりごと

    先日、スーパーの果物売り場でりんごを見かけた。何時も見ているはずなのに、その日は何故かその赤い輝きに心を奪われた。 私が子供の頃、りんごは北国の果物だったので、九州では貴重な食べ物だった。おやつで食べるのはたいてい1/4切れだった。それでも一人で一個づつもらえたときは嬉しくて外に持って出てハンカチでりんごをつるつるに光るまでふきあげた。当時「りんごのひとりごと」という歌があったが、子供心にも切...

  • すみれの花咲く頃

    すみれの花が咲きました。すみれを見ると母が洗濯物を干しながら「すみれの花咲く頃」を口ずさんでいたのを思い出します。春風がそよぐ日は、どこの家でも窓をいっぱいに開け、掃除、洗濯をしていました。今、日本すみれも楚々として散歩道に咲いています。「すみれの花咲く頃」は宝塚の歌みたいになっていますが、もともとはドイツ映画の主題歌「ライラックの花の咲く頃」だそうです。 「すみれの花咲く頃」 (一...

  • さくらが咲いた

    3月28日、近所の公園にて。まだ3~4分咲き程度でした。だからこそこれからという感じで春の気持ちを高揚させてくれました。「さくら」と言えば、阿蘇の童謡館で買ったCDに大変美しいメロディがあります。「さくら」 (関原斉子作詞 中田喜直作曲)さくら さくら さくらのつぼみ つつんでいるのは しあわせしあわせが しあわせが ひらくひらくみんなが みんなが まってるはるさくら さくら さくら...

  • 太宰府天満宮

    花菖蒲が咲くころだった。妻の両親を連れて大宰府天満宮に行ったことがあった。その日は参拝客でにぎわっていて、本殿横の広場では植木や古道具などの露店がたくさん出ていた。通りがかりに一体の白磁の観音像が無造作に並べてあるのに気がついた。何故かそれが欲しくなった。お顔がいいのである。値段の交渉をしたがその親父さんは二つ返事で、「半値でよかですよ」と言って新聞紙にくるんでくれた。その白磁の観音様は家の床の...

  • 早春賦

    山間の盆地の温泉町に高速バスが着いたのは午後2時半を過ぎた頃だった。外を見ると澄んだ青空が広がり、遠くに望む山の峰は冬晴れの斜光で深い陰影を刻んでいる。バスターミナルの前で、野菜や果物を広げて売っている露店の日焼け顔のおじさんやおばさんが、日だまりでなごやかに話をしていた。時々冷たい突風が頬を刺す。白い紙きれがヒラリと空に舞い上がった。紙ヒコーキが空高く飛んでいたのを見たのは何時の日だったろうか...

  • 正月の思い出

    寒い朝、外はまだうす暗かった。祖母が部屋に入ってきて、「早く起きなさい」と言った。元旦の日、小学低学年の兄と私は朝早く起こされて眠ボケ目(まなこ)で祖母に台所へとついて行った。台所の土間に降りると祖母は兄に、「お正月には必ず長男が若水(はつみず)を取るとよ」と言って、一つ年上の兄に井戸の水を汲ませた。その水をまず神棚にお捧げし、東の方に見える阿蘇の連山から昇る初日に向かって手を合わせた。 祖母は...

  • 静かな夜更けに

    暫くの間、カナダへ行っていました。その間色々と不義理もありましたがお許し下さい。旅行には様々な感慨があり、いずれ何か書ければと願っています。一つだけ、カナダのケベックで見た十五夜の月の輝きは胸を打ちました。 今日は福岡は素晴らしい秋晴れでした。少しだけ庭で草を取りました。そして何故か久しぶりにピアノを触ってみました。弾いたのは、ショパンのマズルカ変ロ長調op7-1です。うまく弾けなかったですが懐かし...

  • 皆さんへ~年末に~

    冬至が過ぎて一週間、今日は朝から日が差してきて青空が広がりました。庭の紅梅の葉が完全に一枚も無く落ちてしまいました。枯れ枝を見ると小さな花芽がたくさんついています。それから、近くを通りがかりにふと見ると、桜の花が幾つか咲いていました。一瞬、もう梅が開花したのかと思い通り過ぎようとしましたが、えっと思い引き返して良く見てみました。梅は枝から直接に花芽が出てきますが、桜は枝から細い茎が伸び、その先に...

  • 鳩時計

    熊本の実家にいた頃は、玄関に大きな背の高い時計があった。それは夜も昼も「ボーン、ボーン」と鳴っていた。その音は夕暮れ時には淋しく聞こえた。そして最近は柱時計の音を随分聴かなくなったなと思う。 福岡に移り住んだ頃、母が鳩時計を買ってくれた。それは木彫りの時計で、家をかたどってあり、時が来ると文字盤の上の方にある扉がカチャンと鳴って開き、そこから鳩が顔を出し首を振りながら「パッポー、パッポー」と...

  • 父の思い出

    私が子供の頃、父親というものは毎晩酒を飲んで夜遅く帰るものだと思っていた。休みの日は畳に寝転んいて子供と遊んだり話をしたりすることは殆どなかった。躾は母に任せっぱなしだった。 そういう父が、子供が高校生になると成績に関心を持つようになり、「勉強はしてるか」と言って夜帰宅しても二階の子供達の部屋に上がってきた。 男兄弟が4人いたが、皆知らん顔をして勉強している振りをした。時々「何しに来たと?」と兄...

  • 歌えよ、いざ、よき友よ

    先日、引き出しの中を整理していると色々なガラクタに混じって、小さなハーモニカが出てきた。10穴のハーモニカで子供が小学校の頃使っていたものだろう。手に取ってそっと吹いてみた。懐かしい音が響いた。 私の子供時代は、皆よくハーモニカを吹いていた。窓辺に腰かけたり、部屋に寝転んで空や雲を見ながら吹いていた。夕暮れ時などは、窓辺から「旅愁」などの曲が何処からともなく聞こえてきたものだ。 私は高校時代、...

  • 思い出~ある従弟のこと

    私の1歳下にKという従弟がいた。3人の姉がいて彼は末っ子だった。幼い頃に母親が亡くなり、それぞれに知り合いや孤児院に預けられて育った。やがて4人の子供を連れた新しい母親と父の家に一緒に住むことになったが、家の事業が失敗し暫くして彼の父も亡くなった。そして一番上の姉は自殺をしてしまった。 Kは訥々(とつとつ)として大人しい子だった。家庭に恵まれなかったせいか、どこか淋しそうなところがあった。私が高...

  • チューリップに寄せて

    今日は、家の小さな花壇にチューリップを植えた。花壇の土を耕し、腐葉土を混ぜて肥料を入れ、4列に球根を7個ずつ並べて土に埋めた。思いの外、時間がかかり、かなり疲れたが、気になっていた春の準備が出来てホッとしている。 チューリップの色は赤、ピンク、黄色の3色である。窓辺には、妻が白と真紅のシクラメン2鉢を買って、日当たりの良い場所に置いていた。5時過ぎ頃、外を見ると油山の上空の雲にピンクの夕焼け雲が...

  • 手作りのラジオ~悲しき口笛~

    数年前のことだった。頭の中で突如、遠くから美しい女性の歌声が聞こえ始めた。それはエコーなどの効いていない素声で、悲しく切ないメロディだった。私は意識が朦朧(もうろう)としていて、初めは何が響いているのか分からなかった。 丘のホテルの 赤い灯も 胸のあかりも 消えるころ みなと 小雨が降るように ふしも悲しき 口笛が 恋の街角 路地の細道 流れゆく・・・・・・ 聴いているうちに小雨...

  • 先生の朗読

    私は小学校3年生まで熊本市の郊外の小学校に通った。2年生までの担任は中村先生という中年のとても優しい女の先生だった。私は、1年生の秋ごろ宮崎県の田舎の小学校から転校してきた。 1年生の2学期、母に連れられて新しい学校に行き、先生のクラスに紹介された。その時ランドセルに前の学校の教科書を入れていった。それを見たクラスの子が珍しそうに―これが「たろうさん、はなこさん」(当時の教科書のタイトル)?―と先...

  • 冬の星座

    ロープウエイの窓から眺めると、明るい日差しに白樺の幹が美しく映えていた。札幌の街を見下ろす藻岩山(もいわやま)の展望台には、ロープウエイを乗り換えて登らなければならなかった。美しい山の稜線、地平線そして街並などが全方位360度に広がって見える。 空を見上げ何気なく、星もここから見るときれいだろうなと思った。展望台の売店に寄ると、星空のファンも来るのか、「ポケット星座図鑑」という小さな冊子が売って...

  • 夕日が沈むころ

    ここのところ、やっと秋の爽やかな晴天が続くようになりました。私は小高い丘陵地に住んでいて、夕方には福岡の南西に位置する背振山脈の西にかかる、夕日を見ることが出来ます。夕日は美しいが、どこかに哀しさを感じます。それは太陽が沈みゆく姿が「滅び」を連想させるからでしょう。 生き物はみんな、生まれ、成長し、衰退し、消滅し、また生まれます。一日も必ず暮れ、また新しい日が始まります。木の葉も必ず散り、新し...

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