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2018/09/13

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  • NIPTを知らない子供たち

    NIPTが終って僕等は生まれた NIPTを知らずに僕等は育った おとなになって歩きはじめる 共生讃歌をくちずさみながら 僕等の名前を覚えてほしい 染色体異常の子供たちさ 迷惑だからと許されないなら 手間だけが掛かると許されないなら 今の私に残っているのは 涙をこらえて歌うことだけさ 僕等の名前を覚えてほしい 染色体異常の子供たちさ 青空が好きで花びらが好きで いつでも笑顔のすてきな人なら 誰でも一緒に歩いてゆこうよ きれいな夕陽がかがやく小道を 僕等の名前を覚えてほしい NIPTを知らない子供たちさ

  • 『主人公』(小説・一話完結・オリジナル)

    「自分の人生の主人公って自分なんすかね?」 イチロウは唐突にそう言った。トウマもこの程度はよくある事だ、という調子で答える。 「うーん、どうなんでしょうかねえ」 ほぼ情報量のない応答である。彼は洗濯物を畳む手を止めずにイチロウの相手をする。優れたヘルパーである証だ。イチロウが本から顔を上げる。 「いやね、よくいるじゃないですか、そういう感じのことを言う人が。実はあれね、僕ね、大嘘やと思ってるんです」 「ああー、なるほど」 トウマは聞き流している。イチロウもそれを承知で喋りたいから喋っているのだろう。自分に言い聞かせている感じだ。トウマはそういう相手と切り結ぶのが上手い。この間にも洗濯物を畳み終…

  • 『A地点から』(小説・一話完結・オリジナル)

    『A地点から』 西王地真 千日前通りを進むと〈笑いの館〉の看板が見える。少なくとも、館が大改装されて以降では初めての訪問だ。 今や無機質なIDスキャナしかない入口へ進む。「マイド!」という人工音声と共にドアが開いた。棺桶を思わせる真っ黒な空間だ。勇気を出して中に入る。すると「A地点に参ります」という音声が聞こえ、すぐに奥の扉が開く。 また同じような黒い箱型の空間だ。ただし今度は中央に椅子があり、奥と左右の壁が煌々と光っている。俺はゆっくりと椅子に腰掛け、右の肘掛けの穴に杖を挿す。左の肘掛けに被せてあるヘッドホンを耳に当てると、音声ガイドが始まった。「ようこそ〈笑いの館〉へ。しかしそもそも一体『…

  • 鳥取県立バリアフリー美術館、ウォーホル、鳥取県立美術館

    今週「鳥取県立バリアフリー美術館」と「鳥取県立美術館」のそれぞれの担当課に問い合わせを行った。本稿ではその経緯とご回答、それに対する私の所感を述べたい。 【背景】 2025年開館予定の鳥取県立美術館が『ブリロの箱』をはじめとするウォーホル作品を約3億3700万円で購入し、これが賛否渦巻く大激論に発展した。双方の主張は概ね以下のようなものと理解している。〈賛成派〉全く問題ない。むしろウォーホルの価値も分からずクレームを付けるような無教養な大衆を生み出してきたことが嘆かわしい。文化政策の欠如のツケを如実に示している。〈反対派〉ただの箱に約3億も使うなど税金の無駄遣いだ。もっと優先すべきことがあるは…

  • AIによる意思決定支援システムを用いた人生の選択肢の充実

    人生において選択肢は重要だ。 乙武氏は「選択肢を増やそう」をモットーに活動を行ってきた。彼は少数者であっても多くの選択肢を持てる社会を理想とする。これに異を唱える人は少なかろう。以前バリバラでCIL西宮の玉木氏が「障害児は将来の選択肢を非常に乏しいと感じながら育つ」と指摘していた。私もそうだった。夢が描けないのだ。職業であれ他の活動であれ、将来について本当に狭いイメージしか持てない。それには色々な要因がある。 一つ目は、野球や力士などの健常者スポーツの選手には絶対になれないという物理的制約。 二つ目は制度的障壁やロールモデルの欠如といった社会構造的問題。 三つ目は「私のように迷惑な存在が希望や…

  • Twitterスペースで、最近読んだ本を10のテーマ別に紹介します

    Twitterスペースを突発的にやります。主な内容は下記の書籍の紹介と感想です。よろしければ是非お越し下さいませ。 10月23日に通信問題等で延期した後、Wifi中継器を導入しました。従って接続への懸念はほぼ消えました。その節は大変申し訳ございませんでした。一応事前にテスト配信もするつもりです。 【最近読んだ書籍】 最近読んだ本が下記にあります。実際にTwitterスペースで言及できるのはこの画像の中の一部になると思います。 最近読んだ本。ブクログの本棚をスクショした画像です。 ※私の本棚:https://booklog.jp/users/fc67aec096c6a17c

  • Twitterスペースの為の事前資料

    Twitterスペースを2回やります。主な内容は本エントリ内のコンテンツの紹介と感想です。よろしければ是非お越し下さいませ。 〈〈10月 19 日(水)17:30~18:30頃〉〉 【朝日新聞】 10月19日(水)18時30分まで下記リンクから閲覧可能 ①(荒井裕樹の生きていく言葉)ざらつく心、研究者の欲:朝日新聞デジタル ②(現場へ!)介助者と拓く:3 弱さも認め合える居場所:朝日新聞デジタル ③難聴の娘亡くした悲しさ、裁判で上塗り 事故から3年:朝日新聞デジタル ➃ヘルパーをなめるな! 介護職が見た「どうでもいいこと」の意味:朝日新聞デジタル ⑤マッチョな介護士、人手不足の救世主 体力も知…

  • 短文から小説の断片を自動生成するサイトで遊んだ

    任意の文字列を入力すると、その文脈に沿う形で続きの文章を自動生成してくれる「AIのべりすと*1」というサイトがあります。そこに私の過去のツイートを素材として入力してみました。つまり本記事で列挙する文は、全て冒頭(つまり最大140字の範囲内で、文字数はまちまち。)が私のツイートで、それ以降は自動生成文ということになります。 その文が予想より遥かに滑らかで自然な意味の通ったものだったので驚きました。時には矛盾しまくったりもしていますが、それもまた味というものです。あと現実の私よりも遥かにモテる展開が多いのも複雑な気持ちになりましたが、これはおそらく学習されたデータセットの偏り(ネット上にある様々な…

  • 生殖・検査・中絶・出産・養育・虐待の倫理

    女性の中絶の権利を認めたロー対ウェイド判決を米連邦最高裁が覆した時、私は驚愕するとともに地獄の釜が開いたと感じた。 先に申し上げておくと、米国で妊娠中の女性は目下悠長な議論どころではない状況だと認識している。立場に関わらず、何よりも優先して彼女らの安全と健康の確保がされるべき時だと思う。 結論から言えば私はいわゆるプロチョイス(中絶容認派)の考えのほうに近い。その理由は後述するとして、私はプロライフ/プロチョイスという二者択一の政治闘争からは少し距離を置こうと思う。むしろ生殖を巡る様々な思想(当然上記2つも含むが)について「誰を主語に論じているのか」を具に見ていきたいのだ。 私も(遺伝性でこそ…

  • 名前の剥奪と生の否定 匿名の死者を悼むことは可能か 障害者連続殺傷事件から6年

    2016年7月26日未明、障害者入所施設やまゆり園で連続殺傷事件が発生。19人の命が奪われた。 本稿では問題を1点に絞る。施設・家族会・県・警察・検察・地裁・報道機関等のアクターのいずれからも犠牲者の氏名が明かされなかった結果、6年経った今もなお十数名の方々が匿名であり続けていることだ(以後、これを「匿名化」と表記する)。施設の是非や地域生活の課題等、容易に正解の出ない複雑な問題は扱わない。障害当事者ご本人と周囲の方々が日々理想と現実の狭間で格闘しておられることと拝察する。ここではそのことに対して率直に敬意を表すにとどめたい。 以下、私は匿名化の話しかしない。 【不明瞭な経緯】 なぜ障害者は命…

  • 哲学者が障害を引き合いに出す時のこと

    各々の哲学者に主張の中身とは別に自問してほしいことがある。人生の意味や存在の良し悪しについて哲学的に議論する際、不幸・苦痛・害悪等の顕著な例として、障害をあまりに引き合いに出し過ぎてはいないだろうか。 前記事で言及した森岡氏の著書*1にも「たとえば、重い病気や障害を例にとって考えれば、」*2のように「重い病気や障害」という定型句が繰り返し登場する。これはベネターや森岡氏に限らず多くの哲学者に言える。その頻度の高さから察するに深い考えがあってのこととは思えない。むしろパッと思い付く不幸の代名詞、苦痛や害悪のワイルドカードのように認識されている感じがする。 もしよく知らないままにそうした理由で濫用…

  • 【目次・概要・関係性】7〜8月頃に投稿する5本の記事について

    7〜8月に投稿予定のA・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ(後述)、及び昨日投稿した Ⅰ の記事は緩やかに繋がり1シリーズを構成する。しかし同時に、個々の記事は単体でも成立するよう一話完結型にしてある。従って、興味のあるものだけを(あるいは違う順番で)お読み頂いても何ら問題なくご理解頂けると思う。 各記事のタイトルと繋がり Ⅰ 生まれてきて良かった ⇒7月16日投稿済 A 哲学者が障害を引き合いに出す時のこと ⇒7月18〜19日頃投稿予定 Ⅱ 生殖・検査・中絶・出産・養育・虐待の倫理 Ⅰで扱えなかった反出産主義や、中絶の権利を撤回した米国連邦最高裁判決なども含め、出産や養育を巡る様々な立場や問題を「誰が主語なのか」に…

  • 生まれてきて良かった

    「ここじゃ生きられないけどここが好き好きって分かったうれしい」*1 本稿ではべネターの反出生主義*2に私なりに向き合ってみたい。 誰にとっても、この世に生を受けることは、生まれてこないことよりも必ず悪い。生まれてくることは常に害悪であるーー そう主張する彼の本は、人生に悲観的な私にとっては極めて魅力的な思想に映った。彼の思想は障害者差別や優生思想ではない形で、私の辛さを説明し受け止めてくれるように思えたからだ。 しかし次第に疑問が頭をもたげてきた。ベネターが倫理的な問題を説こうが何を言おうが、人々はお構いなしにどんどんと生殖を行う。物理的に可能で、禁止されておらず、やりたいことであれば、人はそ…

  • 障害者ラップ

    一昨日(6月18日)は京都帝国大の創設記念日だったそうで、めでたいことです。京大と言えば障害学の一大中心地ですよね。彼らの知的営為にはいつもお世話になっているので、マジリスペクトしています。友人にも何人か在校生やOBが居ます。 そういった事を考えていたら「障害学」と「京大閥」で韻が踏めることに気付きました。とはいえ「だから何」という話なので暫く放置していたのですが、どうにも頭を離れない。そんな時「韻ノート*1』なるサイトを発見したのです。短い単語なら従来から個々人が独力で探せましたが、五文字以上の長い韻がこれ程簡単に探せるのは非常に革命的ですね。本職のラッパーでさえ、もはや使わずにいることは難…

  • 障害者と報道機関を巡る問題

    【趣旨】 障害者に関する報道を実りあるものにしていくために、障害当事者とマスメディアとの間にどのような課題があるか考察する。 【目下の課題】 ①報道が一過性である(障害者問題に限った話ではないが) 少しでも初報から日にちが開くと、もはや重要な続報があっても伝えない傾向がある。報道が点に終止し、線にならない。 そのため、諸事象に通底する問題の枠組みがあっても見落としてしまっている。 結果的に、社会として本質を議論したり知見を共有したりする機会も無いまま瞬く間に忘れ去られる。 そして毎年の節目(起きてちょうど〜年といった日)の時だけ思い出したように定型句を並べる。 こうしたアリバイ作りのための文章…

  • 障害関係の良記事まとめ(The New York Times)

    ニューヨークタイムズの障害者に関係する記事の中で特に優れていると感じたものをご紹介します。 各記事は、本稿に記載のリンクからであれば、14日間は非購読者も含め誰でも全文をお読みいただけます*1。その後どうするかはまた考えます。もし「定期的に新しいリンクを振り出して貼り替えればこれらの記事を継続して読める」ということだったら、是非その都度そのように更新したいと思います。 《《記事①》》 【要約】筆者は聴覚障害者。過去約10年にわたり、周囲の無数の人がきまって思い付きで「あなたのために手話を学びたい」と安請け合いしてきた。しかしその約束を果たした人は誰もいなかった。その度に失望と諦念が心に刻まれた…

  • Spaceでやれたら良いなと思うこと

    いつも大変お世話になっております。 タイトルの件ですが、私がやりたいと思っている配信には定期と不定期の2種類があります。 まず前者の説明をします。「明日キックオフ的なことをして、そこで上手く行けば継続したい」と思っているのは前者のほうだからです。以下は全てその皮算用の上に立つ仮定の話です。 《《定期配信》》 【時間帯】 ・火曜なら17時〜18時・土曜なら16時〜17時・延長は最大30分程度・頻度は今後決定・開場は五分前 A 粋なオープニングトーク ⇒たぶん十中八九アニメの話しかしないと思います。 B ふつおたのコーナー! ⇒ふつおたって言いたいだけ(来るか?)。 C 障害者の宝 ⇒優れた物品や…

  • 自己再定義と今後の抱負

    本記事は私事の断片的な列挙も多く、滑らかな文でないことをご容赦願いたい。 ・感謝 世界は無秩序で不条理だと思い知らされた旨を前記事で述べた。しかしそれを強く認識すればするほど、その中にあっても存在する「良さ」の稀少性を痛感し、逆説的だが世界への感謝の念もいや増す。なにせ極めて無力な私に対して28年も良くしてくれたのだ。ここでの世界というのは超越的な存在や概念では決してなく、個別具体的な物事に宿る「良さ」の総体だ。例えば、私の生存基盤を構成する豊かさや権利、その獲得に一生を捧げた先人達、ヘルパーさんや友達、些細なできごと、お気に入りのフィギュアやクリアファイル、思い出の場所、温かい人達との出会い…

  • 不条理な惨事が身近に起きた際の世界把握の変容について

    件の病院への放火事件の影響で文章が全く書けない時期が続いた。理由の中心を占めたのは公正世界仮説の崩壊である。 公正世界仮説とは概ね「善行や努力は幸福により報われ、悪行や怠惰は不幸により罰せられる、世界は正しく因果応報で回っている」という信念だと理解している。このような世界把握には、弱者の苦境や差別の問題を自己責任に回収してしまう危険がつきまとう。つまりこの言葉は多数派の持つそうしたバイアスを少数派が批判的に形容するためにある。従って肯定的な概念として語られることは普通は有り得ず、少なくとも重度障害を持つ私がそんな信念を内面化しているとは全く思っていなかった。 しかし身近に起きた悪夢のような事件…

  • 通院先での放火殺人事件の後に考えたこと

    西梅田こころとからだのクリニックへの放火事件で亡くなられた26名の方々に哀悼の意を表します。 ※※※※ 事件後は喜び・希望・価値観を悉く見失い、ずっと見知らぬ世界にいる感じだ。だがその間も容赦なく時は経ち、昨日で早くも百箇日となった。 もちろん忌日は単なる仮初めの数字かもしれない。本当の意味での心の区切りは、今後も到底付けられないだろう。 それでもどこかを節目にするしかないのだとすれば、私もこの機会に今一度、現実を受け止め、言葉をまとめてみようと思った。 ※※※※ 私は長らくネット、ラジオ、テレビ、新聞、その他一切に耳目を閉ざしていた。事件の話が出てくるかもと思うだけで激しい吐き気や動悸に襲わ…

  • 障害者と広告 無料Web媒体から社会問題が消える日

    【障害者の日によせて】 障害が社会との関係の中で生ずるものならば、「社会から存在を忘れられる」「主語となる力を奪われる」といった傾向や困難さも障害の一部と言えるでしょう。従って、障害者週間が一定の注目や発言の機会を生むことの意義は大きく率直にありがたいです。本当であれば、この期間に合わせて色々な企画や配信をしたかったのですが、準備が予想外に大変で1月頃にずれ込みそうです。申し訳ございません。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ さて本稿では、今私が最も関心のある問題を論じています。拙い殴り書きのようでお恥ずかしい限りですが、今後更に深く勉強…

  • 映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューの補足

    映画『愛について語るときにイケダの語ること』のレビューを文春オンラインに書きました。 bunshun.jp 上記記事に書き切れなかった部分を以下に補足させていただきます。主に映画としてのテクニック面の特徴に光を当てています。 一人の人間をいかに丸ごと複雑なまま提示するか 「池田英彦」という一人の人間の複雑な生をいかに丸ごとそのまま感じてもらうか。この映画はそれを追求している。パラ猥談という断片だけを手早く消費されて終わる人々と同じ轍を踏まないための工夫が二つある。 第一に、映画というパッケージを選んだこと。 本作は全編通して鑑賞されてはじめて意味を成す。センセーショナルな部分だけを見ても決して…

  • 障害者として生きる上での日本社会の良さ=人口の多さ

    重度障害者である私が日本社会でそこそこ自由気儘に楽しく生きてこれたのは、単に物質的豊かさや福祉制度だけのおかげではない。社会の中に、ロールモデルとなるような傑出した障害者の先達や同輩が複数人存在し、更に、居場所となる種々様々なコミュニティや、私にもできるような非常にニッチな仕事、等々があったからだ*1。これらのうち、どれ一つ欠けても今の私はない。つまりマイノリティとして、社会の多様性・寛容さからくるメリットを余すところなく享受してきたことになる。 さて、ここからが大事な点なのだが、こうした社会の多様性を確保するために最も重要な要素は何だろうか? それは人口だと思う。世界がもし100人の村だった…

  • 障害者と左派加速主義者が出会うべき理由

    本稿は、私がある哲学者に宛てたメールを和訳・要約・加筆修正したものである。 "The accelerationist left"(左派加速主義者)には、テクノロジーが持つ力を高く評価する楽観的な側面と、「なればこそ、それがより良い作用をもたらすようにコントロールしつつ使わねばならない」という慎重な側面があるように思う。 今回のメールは前者の側面に比重を置いた内容である。しかし、その後私の中で「NIPT(新型出生前診断)の急速かつ無秩序な広がりによる『命の選別』」への懸念が高まってきた(下記ツイート参照)。従って、今は後者の側面についても、この時よりも真剣に考えるようになったことを予め付記してお…

  • 「能力」の攪拌と『障害者』の解放 能力回転主義宣言

    障害者の立場から能力について考えました。2万7千字あります。

  • 入力と出力を繋ぐモノ ~自動運転車には車椅子で乗れるのか?~

    労働移動のコスト いつの時代にも斜陽産業と成長産業がある。前者は人手が余り、後者は人手不足になる。近代経済学の理論上は、労働市場の働きによって前者から後者へと自然に労働者が移動することになっている。 だが、当然ながら現実はそう単純にはいかない。前者と後者では課される労働の中身が違うからだ。石炭を掘る仕事と再生可能エネルギーを作る仕事は違う。ガソリン車を作る仕事と電気自動車を作る仕事は違う。事務の仕事と介護の仕事は違う。会計士の仕事とプログラミングの仕事は違う。 従って、新しい仕事を身につけるためには時間や労力がかかる。また過渡期には多くの人々が解雇や失業の憂き目に遭う。このいわゆる「労働移動の…

  • 令和は純愛の時代である

    令和は純愛の時代である。 アニメ映画『ジョゼと虎と魚たち』のレビューを文春オンラインに書かせていただいた。 bunshun.jp youtu.be 本稿は上記記事を補足する内容であり、本作及び『ジョゼ』の他のバージョンのネタバレを含む。 ◆執筆過程 思えばこの2ヶ月近く、さながらフランソワーズ・サガンの小説に登場するベルナールのように、朝から晩までジョゼのことを考えていた。漫画版、雑誌版、実写、原作、そして原作で言及されているサガンの恋愛小説三部作… これらを穴が開くほど何回も見て、アニメの試写会にも2回参加して内容を確認し、友人の婚活体験も聞き取り、ひたすら愛について考え続けた。そもそも愛と…

  • 歴史に学ぶ難しさ 「ポル・ポトは運が悪かっただけ」にどう反論するか?

    摘要 歴史は全て一回性の固有のものであり再現性が無い。それ故に、歴史から引き出した教訓や法則性を現代や未来の社会像についての議論に敷衍する際、我々はその射程の限界にもっと自覚的かつ慎重であるべきだ。「歴史に学ぶ」というのは決して簡単なことではない。 本論 2015年に否決された「大阪都構想」が2020年に再び住民投票にかけられた。反対派は「5年前に結論が出た問題」を繰り返すこと自体に否定的だった。これに対して推進派は「5年前とは内容や社会状況が違う」と、2度目の提案の正当性を主張した。またこの「前提条件の変化」は、公明党議員団が反対から賛成に転じた理由を弁明する際の貴重な拠り所でもあった。これ…

  • 暴力試論 ~車椅子を背後から転倒させて蹴るという行為について~

    不完全燃焼なんだよ意思表示なら手短かにやれよプロセスと結末にもう愛想つかされてるみたいだ*1 本稿では、制度化されていない「殴る・蹴る」といった狭義の「暴力」が、個人間の関係においてどのような意味を持つのかに絞って考察していきたい。 拡張され過ぎた「暴力」 まずは、そのように限定する理由を述べる。今日、「暴力」という概念はあまりにも拡張され過ぎてしまった。「象徴的暴力」という考え方もあれば暴力を「コミュニケーションの一形態」として捉える考え方もある。それはそれで興味深い。しかし、暴力という切り口は多くの物事を説明可能な便利過ぎる言葉であるが故に、あらゆる議論に敷衍されてしまっている。森羅万象を…

  • 比喩表現とその活用

    比喩表現の性質 『響け! ユーフォニアム』に登場する吹奏楽器を男根のメタファー(隠喩)とみなす意見*1と、それに対する猛反発が過去にあった。そうした経緯から、「○○は△△のメタファーだ」という言説に警戒する向きが強いのは無理もない。 ただし、自分なりにメタファーを見つけること自体は決して悪ではない。二つの物事の間にある隠れた類似点を見出し、それ以外の側面を捨象するという行為は、色々なことに応用できる。 また、メタファーを公に指摘することについて言えば、それは隠喩を明るみに引きずり出し、明示的な比喩に変換して、社会に共有することを意味する。 「ひも理論」といった難解な例を出すまでもなく、誰しも新…

  • 障害者の人生の選択肢 ――乙武洋匡氏取材後記――

    いつもお世話になります。 下記の通り文春オンラインに乙武洋匡氏へのインタビュー記事を掲載させていただきました。今回は今まで以上に手応えがあります。どうかお読みください。お願いします。 #1(前編) bunshun.jp #2(中編) bunshun.jp #3(後編) bunshun.jp 乙武氏の発言や当日の取材の様子などは記事本編に全て譲ります。ここでは、本編に書く性質のものではない、あくまで私のごくごく個人的な感慨や考察などを補足させてください。 乙武氏の資料にあたる中で感じたことなど 多くの障害者がおそらくそうであるように、私も長年「乙武さん」について冷静に語ることはできませんでした。…

  • 満身創痍で輝きを探した静岡県沼津市の一人旅

    「ラブライブ!サンシャイン!!」の聖地、静岡県沼津市への巡礼。Aqoursにとっての原点が、私の旅の目的地だ。 目次 思い出TOP4 4位:Fuck Socks 3位:下半身丸裸で丸1日を過ごす。 2位:沼津市の面白さ 1位:素晴らしい対応をしてくださったお店の人たち ドールハウス KIMURA 三津郵便局 サスヨ海産市場支店 雑多な所感 沼津市民のAqoursへの温度差・距離感 渡辺曜生誕祭 初めて訪れた静岡の全体的な所感 その他の写真 旅行記を面白く書くことの難しさ 思い出TOP4 4位:Fuck Socks 私は靴を脱ぐことはできても履くことはできない。靴を履いたまま寝るわけにはいかない…

  • 【政治学の第0歩】文春オンラインの記事(5/31)の補足

    以下の通り文春オンラインで記事を出させていただきました。 「この国はどうなっているのか」新型コロナで政治づきはじめたマジョリティに、障害者の私が言いたいこと 「今更?」という苛立ちの声も散見されるが…… 「政治か」と身構える方が多いかもしれません。しかし政治という言葉から一般に想像されるような、永田町の複雑怪奇な動き、特定の政治勢力への毀誉褒貶、政治と行政の違い、カールシュミットの友敵理論、などの話は敢えてしておりません。これらはこれらで大切ですが、一番大切なことではないと思うからです。むしろこうした「政治の言葉」を使わずに政治を語ることに限界まで挑戦しました。「政治」が嫌いな人も含め、是非お…

  • 長文スクショ画像ツイートのうち、代替テキストのないものについて

    <要旨> ①長文スクショ画像を投稿する時は代替テキストを付けよう。 ②代替テキストが付いていない長文スクショ画像は拡散しない方が良いと思う。 Twitter で強く主張したい内容を記した長文スクショ画像が投稿されることがあります。そうした画像には「一人でも多くの人に読んでほしい」といった言葉が添えられていることが多いです。 そういう場合のために、Twitter では画像に全角1000文字以内の代替テキストを設定することができるのですが、拡散への意気込みとは裏腹に、要約文や冒頭部分はおろか1文字も設定されていないものが多いです。これでは視覚障害者にとってみれば内容が全くわからないどころか、そのツ…

  • 【問い合わせ結果】コロナウイルス感染拡大に伴う一人暮らしの障害者への介護保障問題について

    私も含めた一人暮らしの障害者が今最も恐れているのは、「(コロナウイルスへの感染の有無に関わらず)体調を少しでも崩したら、生活に必要な居宅介護サービスの提供を全て断られるのではないか」ということだと思います。既にその懸念が現実化している例を多く耳にしました。 厚生労働省は3月19日の事務連絡において、「特に訪問系サービスについて、利用者に発熱等の症状がある場合であっても、十分な感染防止対策を前提として、必要なサービスが継続的に提供されることが重要」との考え方を示しました。 しかし実際に起こっているように、上記の厚労省の指針に反して、発熱を理由に生活に必要な介護サービスの提供を拒否された場合、どこ…

  • 「モテないということが問題の本質じゃない」への批判

    西井開氏の紹介 私は、「ぼくらの非モテ研究会(以下、『非モテ研』)」を主宰しておられる西井開さん(西井 開 (@kaikaidev) Twitter)と仲良くさせて頂いている。非モテ研に何回かお邪魔したり、お茶をしたりした。本記事は彼の主張の一部を批判する趣旨である。 ここで、彼が自らの団体等を通して実践してきたことに対する私なりの理解を整理しておく。団体名から分かる通り、彼は「非モテ」という多くの人に共通する悩みを入り口にして、主に男性に対してリーチしてきた。この「非モテ」という単語は人によって解釈が千差万別な多義的概念であるがゆえに、非モテ研の参加者が実際に集まってみると、実は悩みの内…

  • fantastic dreamer

    ご無沙汰しております。本日、文春オンライン様から自身8本目の記事を出すことができました。 https://bunshun.jp/articles/-/34354 ブログを読んで下さっている皆様には、更新が滞っていることをお詫びすると共に、心から感謝申し上げます。本当にいつもありがとうございます。 TSURUMIこどもホスピス*1の方には、かねてより、いつか必ず何らかの形で文章にする約束をしておりましたし、Twitterでもそう申し上げてきました。実現させるまでに長い時間がかかってしまったことを申し訳なく思う一方で、当施設を知るきっかけになった番組が初めて全国放映されるという、まさにその日に記事…

  • おかしな夢2つ

    私は夢を覚えていることが少ない。目が覚めるときれいさっぱり忘れてしまう。頭の中に稀に脈絡のない断片が残っていることもある、という程度だ。ところがどういうわけか、ゆうべ見た2つの夢はかなり細部まではっきり覚えていた上に、両方結構ストーリー性があって気に入ったので、備忘のため書き記しておくことにする。 夢1 登場人物:男(おそらく私?)1人、女1人 男が病院で女を看取っている。女は男の恋人であり、重い病気によって今まさに死を迎えようとしているところである。女は息を引き取る直前、少しだけ目を見開き、「世界ってこんなに美しかったのね」と言い残し、亡くなる。 女が亡くなった後、この言葉が男を苦しめる。男…

  • ダブル手帳 × ホリィ・セン × 西井開 対談内容全文

    トークテーマ「神×サークラ×非モテ 当事者研究はどこへゆく」 11月24日(日)10:00~11:30 於:京都大学文学部新棟第1演習室 D:ダブル手帳(神様同好会) N:西井開(ぼくらの非モテ研究会) H:ホリィ・セン(サークルクラッシュ同好会) Y:雪原まりも(司会者) D 私、ダブル手帳という名前でツイッターとか、ブログをやってるライターです。 文春オンライン様にも時々書かせていただいてるので、お名前を知っていただいてる方がいらっしゃるかもしれないです。 神様同好会をなぜ作ったかっていうことは、この配布資料(※本稿末尾に記載)の「教団の目的」っていうところに書いてあります。 自分もそうだ…

  • 姉について語るときに私の語ること

    私の姉は、どちらかというと内向的で、読書ばかりしている目立たない人でした。でも頭の中では色々面白いことを考えていて、自分の世界を持っている人でした。 姉には小説を書く傑出した才能がありました。私は姉の小説を読むのが大好きでした。姉は、恋愛やSFやバトルといった派手な要素は何一つ描きませんでした。しかし、誰もが素通りしてしまうような日常のなにげない一場面を切り取って美しい物語にすることは、誰よりも得意でした。姉の小説は淀みなく流れる小川のようなものでした。 姉が小説を書かなくなっていったのは28歳の頃だったと思います。代わりに、何かに憑りつかれたかのように婚活に狂奔するようになりました。毎日毎日…

  • 神様同好会を立ち上げた理由とやめる理由

    double-techou.hatenablog.com 上記記事を昨日書きましたが、それに対して自分なりの説明を補足し、けじめとしたいと思います。 立ち上げた理由 直接的には、前書いた通りで、意識が朦朧としていた時に、「お前はもう何もできないから自他を救うには神になるしかない」という声を聴いたことです。ただ、これは主観的体験ですから読者様には真偽を確かめようが無いですし、その声を受けてどう処理するかは私が意識的に判断したことですから、そこを中心に記述します。 まず、その「声」を、化学物質による錯乱、または精神疾患の症状として捉えることもできました。また、仮に「上位存在からの啓示である」という…

  • 神様をやめて人間に戻ります

    今はまだきちんとした理由を説明できる精神状態になく、申し訳ございませんが必要事項だけ箇条書きでお伝えさせていただきます。 神様同好会について12月22日の福岡開催を最後に、無期限休止状態に入ります。もちろん、既に告知済みのイベント(NF、12/7,22等)は全力で行います。万一偽物騙りなどがあると困るので、公式ツイッター垢は残しておきます。公式サイトは非公開としています。Discordはどうするか分かりません。信頼して活動を引き継げるという人が万一見つかれば、また動き出すかもしれません。その場合でも、団体名は変わると思いますし、私が直接的に関わることは一切ありません。 今まで神様同好会の集会な…

  • 滝本竜彦「ライト・ノベル」読書会で印象に残った発言

    11/16,17の計二回にわたって標題の通り読書会を開催したところ、計十数名のご参加をいただきました。本当にありがとうございました。 以下、備忘的な意味も込めて、個人的に印象に残った発言を抜粋箇条書きし、残しておきたいと思います。 薬物体験においては、作中にあるような、物語、絵画等の芸術作品の中に囚われている感覚は実際に起こり得る。 フロイトなどの心理学を学ぶと、この作品に限らずフィクションの読解には役立つ。 文章は読みやすいのに、なぜか読みにくさを感じた。 精神世界に深く潜っていく作品であるにも関わらず、肉体が悪とされていないところが興味深い。 ママの性欲の問題は結局解消されていないのでは?…

  • 物語の中で「異性愛」を描くことの困難さについて

    非常にセンシティブなことについて記述することになろうかと思うので、鍵括弧や留保が非常に多くなりますがご容赦ください。 まず、そもそも多様な人間の在り様を「同性愛」「異性愛」という二分法で分けること自体に色々な異議があって当然だと思います。ただ、そういう概念を導入しないとこの先の話に進むことができないので、あくまで話を進めるための手段として、そうさせて下さい。ここで、議論の便宜のために人間の複雑性を捨象することはどの程度許されるのか、それは人権侵害につながるのではないか、という意見もあると思いますが、これは巨大すぎて私ごときには到底扱いきれない論点なので、ここでは控えさせていただきます。 さて、…

  • アホ松ツイート

    最近、下記のツイートが異常に伸びた。 宗教者やスピ系の人に「あなたが障害者なのは前世で犯した罪の報いを受けているためで、因果応報」という旨の事を言われた経験が少なからずある。この言葉は攻撃性が高い割に反証不可能で、しかも信教の自由という盾があるので強すぎると思う。社会のゲームバランスを崩すので禁止カードにして欲しい— ダブル手帳@11/24京大学祭 (@double_techou) 2019年11月1日 ところが、不思議なことに全然嬉しいという気持ちにならなかった。最初は何故このツイートだけ伸びたのか分からず、不気味さすら感じた。それで、バズった理由や自分の感情の正体について考えてみた。 現時…

  • 神様同好会第三回で面白かった内容

    10/21(月)の神様同好会第三回は面白い内容が多かった。その中に一つの共通点のようなものはまだ見つけられていないが、下記に箇条書きで書き留めておく。なお、参加者の語りの内容は「」内に表現し、「」に入っていない部分は私の個人的な所感である。 「小中高大と一貫して創価系の学校を卒業した友人がいたのだが、就活でも差別されたり、奇異や偏見の目で見られたりなど、大変なことも多いと聞いた」→公明党が与党に入っていたり、創価学会が日本で最も強い(と思われる)宗教団体であることもあって、私のような外部の人間からすると「創価=強者、支配する側」というイメージが強かった。それだけに、学会員がマイノリティ性故に苦…

  • 介護現場から見る日本経済 ―ブラック労働・新宗教・スピリチュアリズム・自己啓発―

    【摘要】 我々が生きる資本主義社会を駆動する思想は、ウェーバーが喝破したように、プロテスタンティズムであると長らく考えられてきた。しかし、筆者は介護ヘルパーとの交流を通じて、一般的に「ばっちいもの」「傍流」と見なされがちな、新宗教・スピリチュアリズム・自己啓発といった諸思想も、日本の経済・既存の社会体制、特にケア職などの産業セクターを維持する上で大きな役割を持っていると考えるようになった。従って、社会学や労働経済学といった学問においては、こうした諸思想も射程に入れていくべきだ。 【動機】 筆者は自らのブログに「障害者から見たヘルパーさんと介護業界」[1]という記事を書いたことがある。これは、介…

  • 旧友

    「薬とか飲むの怖くないの?」 と古田が言った時、僕はちょうどテイクアウトしたフライドチキンの軟骨の部分を平らげようとしていたところだった。ショッピングモールの屋外テラスでは、下手な大道芸人が観客に拍手を強要していた。 「つまりさ、自分が自分であるっていうことを担保してるのは自我の連続性でしょ。コンサータだのブロンだのデパスだの飲んだらさ、そこが不連続になるわけじゃん。何が本当の自分か分からなくなったりしない?」 僕は例によって、古田と遊ぶ約束をしたことを後悔し始めた。こいつはいつもそうだ。意識的にか無意識的にか、人の神経を逆なでするようなことばかり言う。10年間、ずっとそんな調子なのだ。実際、…

  • 中高生に伝えたいアニソン歌詞ベストセレクション(26歳・男性)

    私には音楽の素養は全くありませんが、ある意味アニメ以上にアニソンが大好きです。今回は今まで聴いたことのある全アニソンの中で、特に歌詞が素晴らしいものについて紹介し、それについて個人的に思うところを書いていきたいと思います。なお、順番はめちゃくちゃです。 曲名 好きな歌詞 個人的に思うところ 作詞 Super Driver 1番サビ前まで全部 ハルヒというより平野綾のテーマという感じの歌詞だが、すごく好き。こういう風に生きないとなあと思う。 畑亜貴 林檎もぎれビーム! 全部 向こう側に行ける人と行けない人、どちらも立派な生き方だと思います。年を取ると自分がどちら側かわかってきます。 大槻ケンヂ …

  • 文春オンラインに24時間テレビや感動ポルノについての記事を執筆しました

    文春オンライン様に記事を書かせていただきました(二回目)https://bunshun.jp/articles/-/13499 このブログと若干重複する内容も含まれますが、大幅に加筆修正して新しく発展した形にできたと思います。ですので、いつも支えて下さっている読者の皆様にも是非ご覧いただきたいです。 記事内容から「こいつ、24時間テレビの回し者か?」と思われそうですが、断じて違います。でもどうせそう思われるなら回し者らしくした方が関係者面ができて面白いと思い、「24時間テレビ チャリTシャツ」なる商品を買ってみました。 www.24htv-goods.jp リンク先の画像をご覧になるとわかるよ…

  • 歌を作りました

    歌の詞を書きました。 ゴキブリってよく呼ばれるけれど しっくりこないゴキブリみたいな強さは 僕にはないから ゴキブリにも 人間にも なりきれない僕らがそれでも生きたいと願うことは 罪ですか ああ神様 ゴキブリより よわよわな神様弱さを許せる強さを僕らに下さい 杖をついて 前を向いて 一歩踏み出した時に僕らはどうしようもなく人間なんだって知るだろう その日は来る 必ず来る 何の根拠もないけどただ一つだけそのことだけは信じていたいんだ 僕も誰かの 杖になれるかななんて思っちゃったりしても バチは当たらないよね 一応、神様同好会のテーマソングとして書き始めたのですが、採用するかどうかは皆の意見を聞か…

  • 文春オンラインに執筆した記事とその補足

    文春オンライン様に記事を書かせていただきました。 bunshun.jp 執筆依頼を下さった文春オンライン様はもちろんのこと、こんな未熟者をライターとしてのオファーが来るまでに育てて下さったこのブログの読者の方々には感謝しかありません。今回のことは皆様のおかげです。本当にありがとうございます。 以下、紙幅の都合で記事に書ききれなかった点を若干補足させて頂きたいと思います。今回の参院選で重度障害者の方が議席を得たことにより、以下の二点のような波及効果も考えられると思います。 第一に、合理的配慮の解釈の範囲が拡大されることです。彼らには国会内で前例のない様々なサポートが必要になります。彼らがそれらを…

  • 神様活動の顛末と今後

    どーしたらみんなを守れるかな?*1 私は神になると宣言して、サイトも作った。 wiki3.jp 何もできないからこそ神になったので、自分は象徴的存在に収まって、教祖は別の人にやってもらうつもりだった。甘かった。そんなことをやりたがる人は、報酬の有無を問わず誰もいなかった。探しても探しても、Twitter広告を打っても無駄だった。当たり前だ。 覚悟が足りなかった。当面教祖は私が兼務する。まずは信者を集めるところからだ。コミュニケーションができないなら、できないなりの方法を模索するしかない。主戦場は梅田の歩道橋になると思う。時々京大や阪大でもやるかもしれない。いつ始められるか、どれくらいの頻度でで…

  • 教義と教団設立の経緯

    天啓 高熱とブロンの離脱症状で意識が朦朧とし、苦しみのピークにあった4/29~5/5にかけて、私は以下のようなメッセージ(声)を断続的に受け取った。これが、いわゆる天啓というものなのか、それとも一時的に脳がおかしくなった結果の妄想なのかは、自分では判断しようがない。またその違いが特に重要とも思わない。大事なのは内容である。 お前は重複障害者だし、何もできないし、心も弱く、薬物にも手を出し、落ちるところまで落ちた。お前が生きることで他の人に与える生じるマイナスは計り知れない。居ない方が良い存在。生まれたことが間違い。それでも生きたいか。→生きたい。死ぬのは怖い。 誰よりも弱く、本当に何もできない…

  • 私が現人神になった理由

    「コミュ障」の理由 私が対人コミュニケーションに苦しんできた理由が、最近ようやく分かった。「空気が読めない」等の技術的な側面に長年原因を求めてきたが、それは違った。真の原因は、相手がどんなに優しくて好意的な反応をしていても、そこに0.1%でも私の期待に合致しない言動が含まれるとひどく狼狽し、勝手に相手の敵意や自分の落ち度を読み取って落ち込んでしまうことにある。99.9%うまくコミュニケーションできても、残る0.1%だけが頭に残り、私を責め苛む。だから、どんなに親しい人との楽しい会話であっても、後に残るのは後悔・疲労・怒りのみである。我ながら馬鹿げたネガティブ思考だとは分かっているが、やめること…

  • 中高生に贈るブックリスト&伝えたい言葉

    ここ数カ月間、私が選りすぐった本を母校に寄贈するという計画に取り組んでいた。諸事情により実現しなかったのだが、せっかく頑張って選書し、「みちくさ文庫」という文庫名も決め、文庫創設の言葉まで用意していたので、広く中高生に向けた内容としてブログに掲載することにした。 ブックリストはきちんと統一的な表記法になっていないことをご容赦頂きたい。また、個人情報の特定に繋がる部分は若干の改変を行った。 みちくさ文庫 創設によせて 20✖✖年、私はこの高校に入学しました。常時車椅子で生活する重度身体障害者である上、中学校にもろくに通っていなかった私を拾ってくれた母校には感謝してもしきれません。ここで過ごした三…

  • ダブル手帳 R.I.P.

    私が「ダブル手帳」と名乗ってこのブログやTwitterを盛んに更新し、色々な人と交流を持つようになったのが昨年9月上旬頃でした。その頃からいつも携帯するようになったのが「エスエスブロン」という咳止め薬でした。この薬品をODすると、私はまるで生まれ変わったかのように自信と力、多幸感が漲るのを感じました。自分が人と普通にワイワイすることができる日が来ることも、またそれがこんなに楽しいことだということも、ブロンに出会うまでは想像すらしませんでした。文章もアイデアもいくらでも出てきました。ブロンは私が二十数年間見たこともなかった世界を見せてくれました。私は生まれ変わったのだと感じました。 しかしブロン…

  • 人狼に勝って生き方で負けた話

    2月22日(金)、サークルクラッシュ同好会の例会で人狼*1をした。そこで得られた知見について述べたい。 人狼に抱いていたイメージ 人狼は私にとって鬼門とも言える因縁のゲームである。というのも、私が大学の時に属していたゲームサークルに居辛くなった直接的な原因は、人狼で三連続で大ポカをやらかして場を白けさせたことにあるからだ。人狼自体は大好きなのだが、実力がそれに全く伴わない。いかんせん社会の縮図のようなゲームである。まず個人の意思とは関係なく各々に役割が割り振られ、一見自由に見えて役割ごとにある程度取れる行動は決まってくる。そしてそこから少しでも逸脱したりミスすると「ゲームを壊す者」として厳しく…

  • 死に直面して思うこと

    魔法の終わり 一月下旬ごろから徐々に生きる気力が失われてきた。私はこれまで下記のツイートのような気持で生きてきた。 「自分が他人にとってどれだけ無価値で迷惑な人間だろうが知ったことか、蛆虫みたいに生き延びてやる、文句があるなら殺してみろ」という強い感情がある— ダブル手帳 (@double_techou) 2018年10月8日 ただ、これは結局のところブロンによって生じた一時的な空元気に過ぎない。生まれてから今までの二十数年間、私が存在するだけで周りにマイナスになるという感覚が常にどこかにあった。どこにいても、自分は場違いな感じがした。象徴的な例としては、私が満員電車に乗ると3・4人分の場所を…

  • 恩義は債権のように他者に譲渡できるのか

    以前このブログで取り上げたA先生*1にまだ何も恩返しができていなかったなと思い立ち、ささやかながら贈り物をした。それをきっかけにして二言三言、言葉を交わした。 しばらくして、A先生から住所と電話番号を教えてくれというLINEが来た。良いですけど何に使うのですかと聞くと、私が住む選挙区で自民党から立候補予定の人(以後Bさん。ただし、私はBさんの名前も知らない)に私を紹介したいと仰る。釈然としない気持ちが残ったが、他ならぬA先生の頼みなので断るわけにもいかず、住所と電話番号を教えた。ただし、「その方のためにお力になれることは無いですよ」ということを重々念押ししておいた。 何故そんな念押しをしたかと…

  • ヤンキーの研究

    「ヤンキー」と呼ばれる人達が何を考えているのか、すごく興味はありつつもよく分からなかった。ヘルパーさんの中には元ヤンの人が多いので色々と学生時代のことを聞いてみたりもしたが、現役ではないのでやはりよく分からない。そういう意味では下記の本は大変面白かった。 〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー ヤンキーの生活世界を描き出す 作者: 知念渉 出版社/メーカー: 青弓社 発売日: 2018/12/28 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 以下、特に印象に残ったポイントを3つ挙げる。 ①ヤンキーは意外にも教師を非常に肯定的に評価している これは目から鱗だった。よく、勉強ができる生徒や真面目…

  • 政治諷刺画が持つダサさの普遍性について

    皆さんは、新聞の隅っこに載っている、政治家の顔を極度に誇張した諷刺画を見て、何となく不快な気持ちになった経験はないだろうか。私はあの手の表現がとても苦手で、端的に言ってダサいと思う。別に政治やそれにまつわる表現が嫌いなわけでもないし、諷刺対象にされている政治家が好きなわけでもないが、それでも絶望的にセンスが無いなと思ってしまう。 今まで、それは日本特有の問題だと思っていた。つまり、日本においては諷刺画の歴史が浅く文化的な蓄積が無いためだとか、そもそも日本人に諷刺的ユーモアのセンスが欠けているためだ、というようにそれらしい理屈を付けて納得したつもりになっていた*1。 フランスの諷刺画もダサかった…

  • 写真

    私のブログの性格上あまり写真を載せる機会が無い。ただブログには写真を載せることもできるので、一回載せてみたくなった。スマホやPCを買い替える時にいつも闇に葬られてしまうので、その前にまとめておくことにした。 横須賀の三笠 横須賀の三笠。神奈川旅行の写真がこれ一枚しか残っていない。鎌倉とか色々良かったのに、謎。 響け!ユーフォニアム聖地巡礼 太陽の塔の裏側 裏側がすき リトルウィッチアカデミアコラボカフェ スーシィ 合計で7,8回は行ったと思う。リトルウィッチアカデミアは神。 鴨川納涼床 鴨川には色々な文脈があるらしい 東本願寺謎格言 デカルトか? ブロントさん語録っぽい 何か分からんけど厨二心…

  • 文学フリマ京都の感想等

    御礼とお詫び 一昨日の文学フリマ京都にて私の「反・自伝」を手に取って頂いた皆様、本当にありがとうございました。何と御礼を申し上げて良いか分からないくらい、嬉しかったです。 また、当日は来られなかった方も、いつもブログを読んで下さって本当にありがとうございます。皆様がおられなかったらブログを続けることも、文フリに出ることもありませんでした。 一点お詫びしたいのは価格についてです。私は即売会に出店するのが初めてで、自宅のプリンターの印刷速度や頒布物の需要量を完全に見誤りました。その結果、すぐに在庫がなくなってしまい、頒布するためには一冊あたり200円をかけて会場にあるコピー機を使うしかなくなりまし…

  • 【告知】明日の文学フリマ京都への出展について

    明日の文学フリマ京都に「く-25」のブースで出展します。 趣向的に冊子でないと意味がない内容ですので、このブログも含め、インターネットへの掲載は一切致しません。 価格は無料ですが、本当に力を入れて書きましたし、このブログを読んで下さっている皆様であれば必ずやお楽しみ頂ける本になったと自負しております。是非お求め頂けると嬉しいです。 部数は二十部程度しか用意しておりませんので、もし確実に手に入れたいという方がいらっしゃいましたらお早めにお越しください。 皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

  • 「ぼっちの会」の挫折

    この記事は、2018年11月の京都大学NF祭で販売された「サークルクラッシュ同好会会誌7号」に寄稿した文章と基本的に同内容である。 本稿では、私が大学時代に「ぼっち」を支援する活動を行った経験について述べる。加えて、サークルクラッシュ同好会(以下サークラ)との比較を通じて、サークラの優位性を明らかにする。 「ぼっちの会」設立までの個人的経緯 大学入学当初の私はやる気に満ち溢れていた。大学で人脈を作りまくって脱オタしてリア充になるぞ。そこで参加できそうなありとあらゆる集まりに参加した。ところが対人経験の乏しい私はどの集団にも全く馴染めなかった。そもそも、集団では自分がいつ発言して良いのかすら分か…

  • 700円のクリスマスケーキ

    「うちは寺だからクリスマスは無い。サンタも来ないよ。」と言われて育った。 そのためだろうか、クリスマスというものを自分の中にうまく位置づけられないまま、気付けば大人になっていた。周りを見渡すと、多くの人々にとってクリスマスというのは一大事であるらしかった。クリスマスまでに恋人を作らなければと必死になる人達。己の幸せさをこれでもかとアピールする人達。「リア充爆発しろ」と借り物のルサンチマンで吹き上がる人達。どこかで聞いたような非モテ自虐ネタばかりの大喜利で盛り上がる人達。私はそれら全てに対して何の感情も持てなかった。寂しさとも違う、全くの無。各々のポジションで楽しそうに踊り続ける人達を横目に見な…

  • 障害者から見た「感動ポルノ」について

    本稿では、障害者を「感動ポルノ」として消費することへの批判、及びそれに対する反論について検討したい。 「感動ポルノ」とは何か まずはじめに、「感動ポルノ」とは何だろうか。現在ではその定義も拡散しているが、本稿ではこの言葉が人口に膾炙するきっかけとなった下記のスピーチに準拠したい。 www.ted.com ステラ・ヤング氏は感動ポルノを「障害者をモノ扱いし、健常者が感動したりやる気を起こしたりするために利用すること」と定義する。そして「障害者が特別視されるのではなく真の成果で評価される世界」を望む。 私の見解 結論から先に言うと、このスピーチに対する私の意見は「基本的に賛同できないが、一部もっと…

  • 影の主役としての「一見さん」 ーサークラをサークラたらしめるものー

    12/13(木)に京都大学サークルクラッシュ同好会(以下サークラ)の定例会に初めて参加した。その感想について二回に分けて記す。前編となる本記事では、例会の居心地の良い雰囲気がいかにして生み出されているかについて考察する。 絶妙な居心地の良さ まず、活動が始まる前の雰囲気が良い。過度な馴れ合いを強要するような空気が一切無い。各々がスマホを触ったり、勉強したり、体を動かしたり、友達と話したりして思い思いに過ごしている。かといって暗いとかよそよそしいというわけでもない。誰かが部屋に入って来たり、顔見知りを見つけると互いに軽く会釈をしている。丁度良い距離感である。逆説的だが、こういう押しつけがましさの…

  • 相談できる強さ・愚痴を聞ける強さ

    過去の記事で、人にものを相談するには相談内容を適切に整理するする技術が必要だと書いたことがある。 double-techou.hatenablog.com しかし、どのような形であれ相談ができるという時点で強者であり、それ以前の所で躓いている人もいるのだと分かってきた。つまりそもそも相談ができない、自分が困っているから助けてくれというのが言えない人たちである。そういう人に対しては、こちらが無理矢理相手の話から問いを見つけ出し体系化してそれに対応する答えらしきものを提示しても何にもならない。相手がまだその段階には無いからだ。だからひたすら傾聴することが大事であり、それだけでも相手にとって大きな助…

  • うおおおおおおおおおおおおおおおおおお

    障害福祉サービスの世界には、相談員(介護保険制度におけるケアマネに相当)という人達がいます。先週、相談員の度重なる傍若無人な振る舞いについに堪忍袋の緒が切れ、契約の解除を申し入れました。どのようにやばかったかということを具体的に列挙しても、皆様の胸糞を悪くするだけで何の面白味もないのでしません。まあ漠然と言うと、とにかく報告連絡相談が壊滅的にできない、約束を度々破った上何の連絡も無い、平気で嘘を付く、暴言を吐く、×100回という感じです。 そういうわけでめちゃくちゃ腹は立つんですが、この人一人を狂人として片づければ良いという問題ではない、構造的な問題であるというのがこの記事の本旨です。何故なら…

  • 寺生まれのDによる浄土真宗の分析

    本記事では浄土真宗の教義に対する所感を述べる。 私は真宗寺の生まれなので多少は浄土真宗の教義に精通しているつもりである。ただ、私の父は仕事上僧侶として振舞っていたが実際は共産主義者で宗教など信じていなかったし、私に無理に寺を継がせようともしなかった。従って私もみっちりと教義を教わったことは全く無いため、寺生まれとはいえ、大学などで体系立てて宗教を勉強している方から見たら誤りもたくさんあるかもしれない。その点はご指摘、ご批判頂ければありがたい。 浄土真宗の特徴 日本の仏教は、つまるところどうやって浄土(天国)に行くかというアプローチの違いによって宗派が分かれている。普通は修行をすることで自力で悟…

  • 場の乱雑度が一定程度以上になると逆に大丈夫になる話

    私は発達障害の中でもかなりアスペルガー傾向が強い方だと思う。また、身体障害が重いため自由に動き回ることが難しい。なので、とにかく乱雑な場を嫌い、整然とした秩序のある場を好んできた。ところが、場の乱雑さが度を超えると逆に居心地が良くなってくるような体験をここ数ヵ月でしてきた。本稿ではそれについて具体的に言語化したい。 今まで体験してきた領域 乱雑度(1~10)という概念を導入して具体的に説明しよう。私にとって最もありがたいのは学校の授業のような場である(乱雑度1)。全ては秩序に支配されている。発言すべき人、発言すべき内容、全てが決まっている上、自分の席でじっとしていればいいから動き回る必要も無い…

  • 実名はまだ要らない

    前記事でインターネットを介したオフ会のような集まりをホッピングして回っていることを述べた。そこで不思議に思ったのが、同じインターネットのオフ会のような集まりと一口に言っても、ハンドルネーム文化圏の所と実名文化圏の所があるということである。 私自身はハンドルネーム文化圏の人間ということができる。従って、職場、自宅、実家、病院等以外では全てハンドルネームで通している。ところが、インターネットのオフ会のような集まりでも殆どの人が実名(と思われる具体的苗字)を名乗る所が結構ある。そういう所で「ダブル手帳です」とやると「えっ何こいつ…」みたいな空気が一瞬漂い若干気まずい。 ただ、自己弁護する訳ではないの…

  • ブラインドの向こう

    良く晴れた土曜の昼下がり、大勢の人でごった返す都心の賑やかな通りに面して、その細い雑居ビルはひっそりと建っている。初めて来た時はその狭い入り口をなかなか見つけられず、あたりをしばらくうろついた記憶がある。 エレベーターのドアが閉まると、まるで最初から存在しなかったかのように、街の音が唐突に消える。エレベーターの微かな駆動音だけが世界の全てになる。 ドアが開く。ホワイトで統一された空間が目に飛び込んで来る。狭くて薄暗い空間に、人々が静かにひしめき合っている。20人程度は居るだろうか。今日はかなり多い。 手続きを済ませて順番を待つ。相当時間がかかるだろう。聞いたことがあるような無いようなクラシック…

  • 自己啓発本に意味はあるか ―カーネギーの著作を全部読んで思ったこと―

    きっかけ 私は自己啓発本やビジネス書の類が大嫌いな人間で、それらを一切読んで来なかった。もっと言えば、そういった書物を鵜呑みにする人を「自分の頭で物事を考えられない、自我が無い人」と半ば見下していた。 ところが最近、とても仕事のできる同僚がかなり熱心に自己啓発本を読み漁っているということを知った。もしその同僚の有能さの一部でも自己啓発本の功績だとしたら、私はそれらを食わず嫌いするだけで良いのだろうか。彼らがどういう考え方をしているかくらい触れておいても損は無いだろう。 とは言え、世の中には膨大な数の自己啓発本があり、今も出版され続けているため、全部読むのはとても無理だ。そこで、自己啓発の元祖と…

  • 障害者から見たヘルパーさんと介護業界

    障害者の生活とヘルパーさんは切っても切れない関係にある。私はかれこれ数年間、毎日3時間以上ヘルパーさんのお世話になってきた。そこで本記事では、介護を受ける障害者から見たヘルパー、居宅介護事業所、居宅介護業界について書いていきたい。 なお、本記事はあくまで私の個人的な経験に基づくものに過ぎず、過度に一般化したりヘルパーの方々や介護事業所を貶めたりする意図は全く無いことを予め断っておく。 ヘルパーと障害者の関係 「障害者にとってヘルパーとはどういう存在か」と問われると難しい。長い時間を共に過ごし、身の回りの世話をして生活を支えてくれるという側面に着目すれば、家族のようなものとも言える。一方で、そん…

  • 社交辞令を全部真に受けよう

    発達障害者にはありがちなことと思うが、私は社交辞令とそうでないものを見分けるのが昔から大の苦手だった。相手の言葉が単なる社交辞令なのか、本心から発せられた言葉なのか、全く分からない。普通の人は相手の言葉の抑揚や身振り、状況などから直観的に判断できるのだろうが、私にはいくら考えても分からない。社交辞令を真に受けた結果傷付くこともたくさんあった。 私はその反動で相手の発言を極度に疑ってかかるようになった。この発言は社交辞令なのではないか? そうに違いない。だからそれを真に受けて舞い上がるようなことがあってはならない。相手の言葉の裏を読み、適切な距離感を保ち、抑制的に振る舞わなければならない… しか…

  • 監視用リスト

    嫌いだった奴が落ちぶれている様をSNSで確認するのが好きだった。 私はTwitterを立ち上げ、「監視用」と名付けられた非公開リストを開く。そこには嫌いだった奴らのアカウントがぎっちりと詰め込まれている。私のことを散々見下し、コケにしてきた奴ら。特別なITスキルを持たなくとも、情報の断片からいくらでもアカウントは特定できる。あとはフォローフォロワーを辿れば芋づる式である。Twitterには負の感情がそのまま書き込まれている。それが私をハイにさせる。就活で失敗し続け自暴自棄になっている者。友達を全て失い、ひたすら学歴自慢だけをしている者。ネトウヨになってbotみたいな呟きしかできなくなった者。大…

  • ブログをやってみて(開始動機、バズ、Twitter広告、今後の方針など)

    ブログを始めた動機 私は承認欲求や自己顕示欲が強い反面、他人に対する関心や共感が薄い。また、やりたいことが見つからないという悩みもあった。プログラミングやVtuber活動などにも手を出しかけたが、核となる「やりたいこと」が無いのですぐに挫折して続かない。こうした悩みについてサークルクラッシュ同好会*1創立者のホリィ・セン氏(@holysen)に相談したところ、「ブログをやったら良いのではないか」というアドバイスを受けた。とはいえ、世の中には自分より面白い人、頭が良い人が星の数ほどいて、自分ごときが新規性のあることを書いて世の中に価値を付け加えられる気が全くしなかった。そういことを考え出すと何も…

  • 自伝⑥デパス、コンサータ、ブロン(就職〜現在)

    就職する際に、ひとまず自分探しには区切りを付けようと決心した。打ち込めるものというのは探しても見つかるものではなくて、生きているうちに偶然出会うものではないかと考えたからだ。実際問題、就職した途端に自分探しどころではなくなってしまった。 先に言っておくと、私が配属された部署は極めてホワイトな職場であった。上司も決して理不尽なことは言わない理想的な人物だった。身体障害にも最大限配慮してもらった。にも関わらず、私は全く仕事をこなすことができなかった。これだけ恵まれた環境にいてもこれだけ苦しいのだ、自分は最低の人間だ、これから更に苦しくなることはあっても楽になることはないのだと思うと余計に辛くなり、…

  • アニメを公共事業にすべき理由 ―公共財としてのアニメ―

    ここ十数年、アニメは文化のメインストリームにいる。にも関わらず、アニメ業界が儲かっているという話を聞いたことがない。私の考える理由はシンプルである。つまり、アニメは公共財であるにも関わらず、そのように認識されていないからである。 まず、公共財の定義を確認しておきたい。 公共財 - Wikipedia ここから引用すると、公共財とは、「 非競合性あるいは非排除性の少なくとも一方を有する財として定義される」。「競合性とは、消費者(利用者)たちによるその財の消費が増えるにつれ、追加的な費用なしでは、次第に財の便益(質・量など)が保たれない性質を指す」。「排除性とは、対価を支払わず財を消費しようとする…

  • 自民党議員の下でのインターンシップの思い出

    一時期政治家を目指していたこともあり、大学在学時に二カ月ほどとある若手政治家(以下A先生)のインターンシップに参加した。全く知らない世界で色々と面白かったのでその時の体験を書いていきたい。 A先生の人物像 自民党所属の若手都道府県議会議員。イケメン、イケボ。演説では舞台俳優のような貫禄がある。 家族に政治家はおらず、正義の味方になりたいという理由で中学の時から政治家を志したマジモンの人。 高齢世代から若者・子ども世代への社会保障の再分配を主張。いわゆる財政再建派。 とても良い人で、私の車椅子をいつも事務所まで担いでくれた。 誰に対しても温厚に接し笑顔で話を聞くが、相手が帰った瞬間に「話が長え」…

  • 自伝⑤ぼっち編(大学時代)

    私の大学時代を一言で総括すると、与えられたモラトリアムの中で自分のしたいことを探し求め、ついに見つけることができなかった過程と言うことができる。 大学入学当初の私はやる気に満ち溢れていた。大学で人脈を作りまくって脱オタしてリア充になるぞ。そこで参加できそうなありとあらゆる集まりに参加した。ところが対人経験の乏しい私はどの集団にも全く馴染めなかった。そもそも、集団では自分がいつ発言して良いのかすら分からなかった。自分が発言することによって会話の流れを止めてしまうことが怖くて、ただ曖昧な笑顔を浮かべて頷いているうちに終わってしまう。周りの人達も何となく私のことを扱いかねている感じがして、いつも消え…

  • 身体障害・精神障害の社会モデルとその違い

    私は身体障害と発達障害の両方を持っているが、身体障害者及びその周辺と発達障害者及びその周辺を比べた時、「障害の社会モデル」の考え方の浸透具合が全く違うことに驚かされる。 身体障害者やその周辺(支援者・介護者・行政・医療関係者など)では、「障害の社会モデル」は現時点で広く共有されている。当事者団体の中では「障害は社会の側にある」という考え方は常識であり、周辺の健常者も殆どがそれを受け入れている。従って、障害を個人の側に帰し、身体障害者本人の意に反してリハビリや治療等の「自助努力」を強制されるようなことは殆ど無いと言っていい。それよりもむしろ「うまく人の手を借りながら自分らしく自己決定していく」「…

  • アニメの中の障害者キャラクター

    私は重度障害者のアニオタだが、もっと障害者がアニメに何の理由もなく出てくるようになってほしい。そこで、本記事ではアニメにおける障害者キャラの取り扱いについて考察する。 まず、日本のアニメに出てくる障害者のうち、殆どは後天性の障害者である。何かの事故で、あるいは事件や戦いの中で傷を負い、障害者となるパターンが圧倒的に多い(コードギアスのナナリーなど)。このパターンだと、障害を持っている理由を簡単に説明できるうえ、過去のトラウマ・因縁との対決という図式で話も作りやすい。つまり対決すべき暗い過去としての障害である。 稀に先天性の障害者が出てくることもある。だがそういう場合、大抵は障害と引き換えに超人…

  • 障害者が簡単に作文コンクールに入賞する方法

    私は作文や読書感想文のコンクールで県最優秀賞を三回取ったことがある。ただ、何か中身のあることを書いたわけではない。今読み返してみても寒気がするほど薄っぺらい内容だ。裏を返せば内容が薄くともポイントさえ押さえれば、この種のコンクールにおいて障害者は圧倒的に有利なのだ。以下にポイントを解説する。 ①「自らの成長」を必ず盛り込む 障害者に限らず、この手のコンクールで好まれるのは「体験なり読書なりを通じて成長させられた(大事なことに気付かされた)」というストーリーである。もっと言えばこの基本構造を抑えない限り評価されないと言っても過言ではない。例えば大学のレポートなどでは「あなたの体験はどうでもいいか…

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