- 2008/05/08 15:30『のぼうの城』 和田竜
- 手書きのタイトルにオノ・ナツメさんのイラスト、と誰もが手に取って見たくなる装丁ながら、石田三成の忍城攻略と歴史ファンの興味をそそるテーマ。これはただものではない本が現れたと思い、さっそく読んでみました。主人公の「のぼう様」こと成田長親の人物がまた独特。たとえば司馬遼太郎の小説の主人公などは、ともすると超人的な能力と魅力を備え、私などはかえって違和感を覚えるのですが、この「のぼう様」の無能ぶりにはむ [続きを読む]
|
- 2008/05/02 00:37千住家の教育白書
- 長男の博氏は日本画、次男の明氏は作曲、娘の真理子氏はバイオリニストと3人の世界的芸術家を育てた母、千住文子さんの子育て記録です。愛情を持って自然体で子供に接することが、どんな教育理論よりも重要であることがよくわかります。著者は文筆が本業ではないはずですが、描写がきわめて細やかで子供たちの様子が目に浮かぶよう。あえて事がらを時系列に並べていないところが、かえって飽きさせません。別に子供を芸術家にしよ... [続きを読む]
|
- 2008/05/01 01:40英語は逆から学べ!
- 派手な装丁の割にはかなり学問的な内容がつまっています。子供は特別な訓練もせず誰でも母国語を習得できるのに、大人が言語を習得しようとすると、なぜ難しくなってしまうのか、わかりやすく解説されています。効果があるのか、ブックスタマでもよく売れています。脳を活性化するCD付き。... [続きを読む]
|
- 2008/04/22 02:58『子子家庭は波乱万丈』 赤川次郎
- ドイツ・オーストリアを舞台にした赤川次郎の小説に、それと対応したエッセイがセットになった単行本ということで読んでみたのですが、小説の方は物足りませんでした。ミステリーの要素はあまりありません。エッセイの方は、筆者の映画やクラシックに関する豊富な知識に彩られておもしろく読めました。今の日本の死をもてあそぶ風潮に対する批判など、小説を読んでいてもわからない、赤川次郎本人の肉声に触れられるのが魅力です。... [続きを読む]
|
- 2008/04/16 01:33クーリエ・ジャポン パリ特集
- チベットの動乱が世界を騒然とさせている。欧米諸国のメディアは中国政府の人権侵害を非難し、中国側は逆に西側メディアの偏向性を攻撃する。今号ではワシントンポスト、中国の環球時報、ルモンドやインドのアウトルックの記事を掲載しているが、もっとも興味深いのは、亡命中国人らが発行している「新世紀新聞網」だ。これを読むと、チベット問題の本質が人権や宗教と別に、自治あるいは経済にあることが見えてくる。ちなみに「新... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/04/12 01:17『論理と感性は相反しない 』 山崎ナオコーラ
- 学生のころ、塾の英語の先生が趣味で造花を作っていたのですが、例えばバラを作る時も、現実にはない色で作るそうです。なぜかと言えば、「造花で現実にある花をまねてもつまらない。実際にはないものを作るからおもしろい」のだそうです。小説も、現実には起こらない話を作るからこそおもしろいのかも知れません。神田川歩美、矢野マユミズ、ボルヘスなど多彩な登場人物がオーバーラップして登場する短編集です。「人間が出てこな... [続きを読む]
|
- 2008/04/08 01:48その数学が戦略を決める
- ワインのおいしさが簡単な方程式で予測できるという話をあなたは信じるだろうか?あなたの好みの異性のタイプや、将来離婚するかどうかまで予測できてしまうとしたら?今や「絶対計算」がそれを現実のものとしてしまった。膨大なデータの集積が可能になったため、まったく違う数値の相関関係を計算して、これまで不可能だった未来の予測や、専門家の直感に頼っていた事柄まで、測定可能になったのだ。ぶどうを収穫した年の降雨量と... [続きを読む]
|
- 2008/03/31 23:54ケースで学ぶマーケティングの教科書
- マーケティングといえば、4Pとかアイドマなんて言葉がかならず出てきたものですが、インターネット時代ともなれば、マーケティングも変化して当然でしょう。最近は店頭で見た商品をすぐ買ったりせず、ネットで調べてから買う人が増えているのではないでしょうか。この本はマーケティングの基本理念はしっかり押さえながら、インターネット時代の変化にも対応した内容となっています。また、「ビリーズ・ブートキャンプ」や「ヘル... [続きを読む]
|
- 2008/03/28 00:59神を見た犬
- ブッツァーティはイタリアの現代作家ですが、この『神を見た犬』は幻想小説の短編集になっています。ちょっと星新一を思い出させる作風ですが、もう少し人間の心の奥底に踏み込んだ小説です。ある男が病院に入院する。その病院は7階建てで、階が下になるにつれて、病状の重い患者が入院する仕組みになっていた。男は最初7階に入院するが、ベッドが足りないとか、治療の機械がないとかいろいろ理由をつけられながら、徐々に下の階... [続きを読む]
|
- 2008/03/17 01:36『生命文明の世紀』 安田喜憲
- 若い人たちの間で経済成長が必ずしも善ではないという考え方が共有されつつあるそうです。温暖化がこれだけ実感されていながら、我々の周りでは加速度的に大量のエネルギーが消費されています。自動的につく電気に自動的に動く便座。ここまで必要なのでしょうか。この本のテーマは物質文明から生命文明への転換です。日本にはもともとあった生命や自然を尊重する文明があったことを、我々は知るべきだと思います。... [続きを読む]
|
- 2008/03/12 00:17クーリエ・ジャポン
- バグダッドでは今でも戦争が続いている。その中で”戦場通訳”をなりわいとしている男がいる。彼は毎日何十人もの人に会うが、決して自分の顔を人に見せることはしない。自らを「裏切り者」と名乗る彼の苦悩はいかばかりのものか。上記”バグダッドの日常”特集のほかに、今号の白眉は世界報道写真賞特集である。写真の持つメッセージ性をまざまざと見せ付けられる。モルディブといえば人気の観光スポットだが、そこで30年もの長... [続きを読む]
|
- 2008/03/04 02:24黙読の山
- 著者は詩人ですが、エッセイなので特に詩に造詣のない私のようなものにも楽しく読める本です。普通の人が読まないような本についての寸評も語られ、氏のなみなみならぬ読書量をうかがわせます。「コゼットは小雪」の章では外国の作品が訳によっていかに趣を変えるかについて述べられていて、例として『レ・ミゼラブル』が出てきます。明治36年の黒岩涙香訳の『噫無情』ではジャン・バルジャンは戎瓦戎(ぢゃん・ばるぢゃん)、コ... [続きを読む]
|
- 2008/02/28 07:12君に届け
- 妻が「このコミックは大ヒット!泣ける!」というので読んだのですが・・・。あだなが「貞子」の少女、黒沼爽子は見た目が陰気なため誤解されているが、本当は明るくて超前向きな女の子。そんな彼女はさわやかでクラスの人気者の同級生、風早翔太に思いを寄せるが、「貞子」と呼ばれている自分がクラス一番の人気者の彼に気持ちを伝えるなんて到底できない。好きな男子に気持ちを伝えられないでウジウジする少女漫画の王道。男性に... [続きを読む]
|
- 2008/02/24 23:47お寺の経済学
- 日本全国にコンビニよりもたくさんあるお寺。私たちの身近にありながらあまり知られていないお寺を、経済的側面から読み解く書。お寺稼業は本当に楽なのか?檀家制度はいつから始まったのか?お寺の収益構造とは?日本のお寺に未来はあるのか?外国人からたずねられても、お寺のことはけっこう答えられなくて恥ずかしい思いをしたりします。日本人として一仏教徒として、最低限の仏教会の知識を押さえておいてはいかがでしょうか。... [続きを読む]
|
- 2008/02/21 00:47「残業ゼロ」の仕事力
- 時間があるとついついダラダラ仕事をしてしまうもの。これまで2時間くらいは毎日普通に残業していましたが、子供ができてからできるだけ早く帰るようにしています。かといって仕事の内容が悪くなったかといえば、今までいらない資料まで作っていたような気がします。トリンプ元社長の吉越氏の著書。残業ゼロもそうですが、仕事に対する考えかたは斬新です。先日某企業を見学に行ったのですが、どんな仕事にも時間を区切って取り組... [続きを読む]
|
- 2008/02/08 01:49エンゾ・早川の体型大全
- かくいう私も「ペロンペロン歩き」の常習者であったが、革命家エンゾ早川によって目からウロコが落ちた。この本を読んでからはスキーの前傾姿勢をイメージして歩くようにしている。あなたも早くこの本を読んで、デキる男・デキる女への第一歩を踏み出してほしい。目指すは女性なら茅ヶ崎の歌姫、男性ならつよそうな老人である。... [続きを読む]
|
- 2008/02/01 00:21『日本進化論』 出井伸之
- ソニーの代表取締役を務めた出井伸之氏が、これからの10年の日本の飛躍に期待をこめて上梓した一冊。日本経済が低迷してしまった原因をするどく突きながら、日本の持てる力、その可能性について力説します。氏のわかりやすい語り口は、どなたが読んでも心に響くものがあると思います。 [続きを読む]
|
- 2008/02/01 00:16谷崎潤一郎犯罪小説集
- 江戸川乱歩自らが述懐する所によると、青年期の彼にとって、もっとも刺激的な作家は谷崎であったというから、この小説はまさに乱歩の世界の原点といえます。大正期の退廃的な東京を舞台に繰り広げられる精神の危ういところから発生する犯罪の数々。谷崎一流のfemme fataleな女性の描写は垂涎です。... [続きを読む]
|
- 2008/01/24 02:30『平成よっぱらい研究所』 二ノ宮知子
- 「のだめカンタービレ」で一世を風靡した二ノ宮知子さんですが、メジャーになる前はこんなめちゃくちゃをやっていたのか、という本です。酔っ払って○○を出して騒いだとか、犯罪すれすれの行為(というか犯罪そのもの)とか、読むと明日への活力が生まれるエピソード満載です。... [続きを読む]
|
- 2008/01/19 17:50検証本能寺の変
- 「本能寺の変の真相は?」最近テレビコマーシャルでもやってますが、明智光秀がなぜ織田信長に叛旗を翻したのか、歴史の謎となっています。この頃、あたかも朝廷黒幕説が定説かのような言説が増えていますが、果たして当時の朝廷にそれだけの力があったのでしょうか?この本は単独犯説、室町将軍黒幕説、イエズス会黒幕説などさまざまな説を検討し、より真実と考えられる結論を導いていると感じました。「本能寺の変」通は必読とい... [続きを読む]
|
- 2008/01/18 00:43『東京奇譚集』村上春樹
- 村上春樹の5つの短編からなる短編集です。現代の世相を如実に描写しているかと思うと、SFばりにぶっとんだ世界に入ってみたり。村上春樹独特の世界です。いろいろ描いてしまうと読む楽しみが損なわれるのでこのくらいで。電車の中で読むのにちょうど良い長さですので読んでみて!... [続きを読む]
|
- 2008/01/14 00:02『13階段』 高野和明
- 傷害致死の刑期を終えて出所した青年・三上は、世話になった刑務官・南郷に、こう声をかけられた。「一緒に無実の死刑囚を救わないか」それが三上と南郷、それぞれの人生を大きく変える事になるとも知らずに。死刑制度をはじめ、日本の刑法がかかえるさまざまな問題を盛り込んだ本格ミステリーです。被害者の感情にそぐわない量刑、死刑の持つ非人道的な側面など、今話題になっている問題が随所に盛り込まれています。内閣改造があ... [続きを読む]
|
- 2008/01/12 02:26クーリエ・ジャポン
- あなたはバラクの妻、ミシェル・オバマを知っているだろうか。日本政府が現在、アイヌのサケ漁を禁止していることを知っているだろうか。アフリカの国家、アンゴラが経済成長率20%というきらびやかな繁栄を誇っていることを知っているだろうか。そして、その繁栄の陰に失業率80%という現実があることを。ひとつでも知らない人は今月号のクーリエ・ジャポンを買う価値があると思います。月に向かうリチャード・ブランソン氏の... [続きを読む]
|
- 2008/01/02 10:31『西の魔女が死んだ』梨木香歩
- あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。サーバーのトラブルのため、しばらくブログが更新できず申し訳ありませんでした。「西の魔女」はまいの祖母の通称。中学校に溶け込めなかったまいは1ヶ月ほどの期間、祖母の家で暮らすことになった。祖母はイギリス人で、田舎の一軒家でパセリやセージを育て自給自足のような生活をしていた。そこでまいは祖母から「魔女」の手ほどきをうける。読むとしっとりと... [続きを読む]
|
- 2007/12/10 01:53『きのう何食べた?』 よしながふみ
- ゲイでハンサムな弁護士筧史郎と、その彼氏で同居している美容師矢吹賢二がおりなすコメディ。43歳にもかかわらず異様なまでの美貌を持つ史郎は、毎日6時に仕事を終えてごはんを作るのだが、これがいっぱしの主婦並にかなりの腕前。作り方も詳しく書いてあるので、「これおいしそうだな」と思ったら実際に作れます。個人的には6話めが気に入りました。ナスを食べながらため息をつく男性。妻がそのわけを聞いてみると、彼が昔ホ... [続きを読む]
|