|
- 2007/08/04 16:03 佐助の道(再掲)
- ☆18歳以上女性推奨 舞台:江戸時代 青年×少年 佐助は、海苔屋の番頭である。佐助の道楽は丁稚の藤之助にきいてみるがいい。藤之助は、この家にあがってから外へ出たことなんぞない。店へもでない。毎日暗い納戸の厚い板戸に囲まれている。足首を柱へくくりつけられているからじっとしている。 藤之助の来る前は、みち藤という丁稚だった。みち藤は、帳場の裏へ佐助と並んで、妙にのぼせた様な顔をして ... [続きを読む]
|
- 2007/08/03 19:11 chrry garden 24
- 最初から読む「坊ちゃま方、もう少しで着きますよ」運転手の声に僕は、うとうとしていた目を開いた。外は真っ暗だった。「もう夜中だね」時代がかった乗用車の中で、体勢を立て直して、僕はつぶやいた。「うん」羅音は疲れたように答えた。羅音は神妙な顔で、前方の、羅音のお屋敷に続く道を見ていた。僕は、羅音の手を握った。「なつかしいね、この道」「うん」羅音の表情は、よく見えな ... [続きを読む]
|
- 2007/08/03 18:58 chrry garden 23
- 最初から読む 羅音は帰って来ない。 夜中、ドアの閉まる音に目が覚めた。僕はそっと起き上がり、羅音の部屋の前に佇んだ。「羅音、帰ったの?」僕は呼んだが、返事はなかった。 翌朝、朝食の後、僕は尋ねた。「羅音、昨日何してたの?」羅音は意固地に口をつぐんで答えなかった。「どうして、秘密にするのさ」「君に何もかも言わなくちゃいけないの? 僕が誰とつきあったって勝 ... [続きを読む]
|
- 2007/08/02 01:24chrry garden 22
- 最初から読む前回を読む「ひょっとして我慢できなくなっているんでしょう。しかし、あいにくと羅音さんは、いない」椰子が、にやりと笑った。うわっ、やっぱりこいつ、危険。「羅音はきっと帰ってくるよ」図星を指されてどぎまぎしながら言った。「そうだとしても、多分お疲れです」「何でそんなのわかるんだよ」「あの紳士の所へお出かけだからです。とにかく今夜は、羅音さんに期待しても無 [続きを読む]
|
|
|
|
|
|
|
|
|
- 2007/06/08 18:01 揺らぎ 3
- 僕はうつらうつらしていた。こういう気分は気持ちいいな。心に何もひっかかりがないっていうのは……。午後の初夏の日差しは、中庭にきらきらあふれていた。僕は半ば目を閉じてうつぶせの身体をゆらゆらとのばした。「おい、話す気になったか?」ミヒャエルの声が耳元でした。「何のこと?」僕は、もの憂く片目を上げた。温かい鉱泉につかっていた僕の頭のすぐそばにミヒャエルの裸足があった。僕はゆっくり顔を ... [続きを読む]
|
- 2007/06/06 13:53揺らぎ 2
- 今日、ミヒャエルが遊びに来た。彼は窓辺に置いてある地球儀をくるくるまわしながら「マーシャのことどう思う?」と聞いてきた。唐突だったので、僕は少しうろたえた。「どう思うって、どういう意味……」「どういう意味で?」ミヒャエルは、ひゃひゃっと笑った。「別に、答えないんなら、それでもいいけどさ」ミヒャエルはちょっと意地悪そうに言った。「いやだな、そんな言い方」僕は、肩 [続きを読む]
|
- 2007/05/29 15:58揺らぎ
- 僕は少し不安だ。マーシャが僕に気があるんじゃないかって思って。 学校がひけた時、彼が僕をおいかけてきて、いや、おいかけてきたわけじゃないと思うけど……。僕の前に、立ちはだかるようにして言ったんだ。いや、立ちはだかったわけじゃないんだよ。でも、なんていうか、僕の近くに来て、だから僕はちょっと歩をゆるめて。だって、立ち止まるほどのことじゃないと思って。「ねえ、今日ひまでしょ?」「ひまって [続きを読む]
|
- 2007/05/16 21:38 僕の夢十夜 2
- 貴族化した武士が命運尽きて滅びる話(平家か南朝についた者たちか)天然極彩色。インドのクリシュナの祭り行列が、伎楽よりももっと盛大に、寺の大門の壇からくり出していく。(目も鮮やかな色や飾りに、夢でこんなのを観られるなんて、起きているよりいい)と思った。クリシュナは青い身体で、絵で見た通りだ。左右にも美しい神々や牧女がいた。筆舌に尽くしがたい。 その後ろでは、行列の華や ... [続きを読む]
|
- 2007/05/16 14:05 クレーヴの少年たち的 断片
- 研究棟は、学部校舎の喧騒が嘘のように、いつでもスタティックである。そこで僕は、イタロ・カルヴィーノの見知らぬ庭園にまぎれこんだ子どもだ。学術誌のつめこまれた本棚のたたずまい。古びた光。大きな傷だらけの机。ドアの学会のお知らせ。本にうずまった二つの机。ファイルに綴じて広げたままの外国語のプリント……。92/2 ... [続きを読む]
|
- 2007/05/16 13:40 僕の夢十夜
- 夢でオペラの映像を見ていた。サロメの舞台の国。砂の砂漠。兵隊が行き交う。蹲る赤いラメ入りの衣装を着たサロメ(これも男性が演じている)。兵隊風(当時の、ではなくみんな風俗が現代風)の赤毛の男と、もう一人の男がいる。ヨカナーンも立っていた。上半身裸で獣の皮をまとうという例のいでたちをふまえて、しかしやはり現代風にアレンジされている。褐色の肌。ヘロデの王は、よく見えなかった。 ... [続きを読む]
|
- 2006/10/31 15:32 第八章 労働の賃金
- ジェームズは、もっと気前よく報酬を払ってくれる工場へ移った。「賃金が高いと、やる気がでるよ」ジェームズが笑顔になったので、ヘンリーもほっとした。 ジェームズは、言った。「一週間くらせる分を、四日間で稼げるんだ」 噂をききつけてやってきたアダムが、「それなら、あとの三日は、私と遊ぼう」と誘ったが「とんでもない、僕は働くよ!」と答えた。 それどころか、ヘンリー ... [続きを読む]
|
- 2006/10/28 17:23 第七章 自然価格と市場価格
- 「僕のレートはいくらなの」ヘンリーは、しおたれて言った。"quante?"と毅然として言ったわけではない。「自然にきまる」アダムは言った。(でたー! これが噂のレッセフェール?)ヘンリーは内心思った。「何をにやにやしているんだ? 君の利潤を考えているのか?」「僕にもリジュンがあるの?」ヘンリーは初めて気づいたように尋ねた。アダムはすかさず釘をさすように言った。「 ... [続きを読む]
|
- 2006/10/25 18:30 第五章 価格
- アダムは自信たっぷりに言った。「いいかい、ヘンリー。トマス・ホッブズが『リヴァイサン』で言うように、富は力なのだよ」ヘンリーは、おびえながらも切り返した。「でも財産をつかんだ人が、権力もつかむとは限らないよ」「うーん、確かに政治的な権力をつかむとは限らない。しかし、私には君を買う力があるのだ、わははは」アダムは勝ち誇ったように笑った。第六章 価格の構成部分「君 ... [続きを読む]
|
- 2006/10/24 17:54 第三章 分業は市場の広さに制限される
- ヘンリーは持ち前の美貌によって、同情を集め、施し物を多量に集めることができた。自分で使えるものは使い、使えないものはアダムに渡して使ってもらった。「アダム、ただいま、今日は上着をいくつかもらったよ」「また上着か、俺もういらないんだよね」「そうなの? 困ったなあ」「大丈夫さ、ヘンリー、君がキスさせてくれさえしたら、今日もここに泊めてあげるよ」アダムは、やっとこの時がきたと、ほく ... [続きを読む]
|
- 2006/10/23 16:32 第二章 分業の原理
- 「パンをください」「ヘンリー、お金は持ってきたかい? 先月のつけがまだ未払いじゃないか。さあ、帰った、帰った」パン屋は渋い顔で言った。「これでも一生懸命働いてるんですけど、いろいろ支払いがあって、僕……どうしてもパンが必要なんです。だって、朝から何も食べていないんで... [続きを読む]
|
- 2006/10/22 14:59 『美少年国富論』 第一編「生産と分配」 第一章「分業」
- 少年がピンを作っている。「ヘンリー、仕事なんてやめて、遊ぼうよ」アダムは誘った。「だめだよ、一日に一本のピンも作れないんだもの、僕」ヘンリーは悲しげにため息をついた。作業場には十人が働いていた。アダムは提案する。「一人は針金を引き伸ばし、もう一人は切断する。三人目が先をとがらせて、四人目は頭をつけるために……」 こうしてヘンリー... [続きを読む]
|
- 2006/10/09 10:31 淡い日々 断片1
- 四月。籠末君は、高校二年に進級した。「進級おめでとう」という言葉が、実体を持って響くのだった。 それなのに、籠末君は、相変わらずだ。画集で、DIAZの「若い女の肖像」を飽かず眺め、(柳尾さんに似てきれいだなあ)などと思っている。「柳尾さんのどこがいいんだ?」中学からの友人の荒井君に聞かれて「顔」と答える。「へぇ」荒井君は、籠末君の変さ... [続きを読む]
|
- 2006/09/24 15:07 surprise
- 6月12日 僕はとってもショックを受けている。 僕は、英語の小テストの追試を受けた。それはいつものことなので、なんら驚くに価しない。ところが、surprised at〜の「r」を1つ抜かしてしまい、追試に落ちてしまったのだ。 僕は、12時55分、再追試に招待された。学習室に行くと、やる気のなさそうな常連ばかりいて、とてもではないが入れなかった。... [続きを読む]
|
- 2006/09/22 20:41 駅
- 僕が駅に着くと、次の電車は30分後だった。 僕は高いtransparentな駅の上から、見下ろした。 駅前の寿司屋に、店の名が入った車が止まった。僕は目を凝らしたが、出てきたのは親仁だった。親仁は、店先を掃いている隣家の居酒屋の姐さんと、二言三言話してから、勝手口へ入った。 僕は間伐材のベンチに腰掛けている。 階段を上がってきたスーツ姿の若い... [続きを読む]
|
- 2006/09/21 22:53 夢十昼 僕は食べる
- 僕は、中等学校の調理室で、調理実習をしていた。僕は、近くに立っていた君を見つけ、「君の分もちゃんと用意してあるよ」と声をかけた。だが君はなぜか「どうせ食べないのに……」と答えた。僕はその返答を、不審に思った。 ざわざわしながら、皆が席についていた。なのに君は、窓辺に立っていた。大人しそうな顔をした少年が一人、君の側に座っているの... [続きを読む]
|