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- 2008/10/12 00:00十月十二日(日)今日の詠草
- 友逝きぬ*知らぬまにあの友もこのひと達もふと消えて居しわれは何故居る*残されし時間は短しその時間をただ眠り居るここち良きまま (時間=とき)*つづまりは楽しきひと世三十一の文字に気圧され果てる夕焼け (三十一=みそひと)*雄ごころをつひに分らずひとは消ゆけだし融けゆく虹かあるひは... [続きを読む]
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- 2008/10/11 13:45十月十一日(土)今日の詠草
- 残る生死*此の歳になほ望むこと不遜なりと云ふな鴉よ吾は生きて在り*終の身を如何に生くべきそを問へど山の鴉はガアと啼くのみ*七十余年残る生死の鬱陶し出るに出られぬ迷路に似たり (生死=しゃうじ)*思ひみればわが存在の儚さに気付き居り夜は徐々に更けゆく... [続きを読む]
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- 2008/10/10 23:33十月十日(金)今日の詠草
- 無量の夜*いちにちの終始を窓にみられつつ無量の夜といふ闇に居る*秋の空その高みより降り下る雨濡らしをり土を心を*闇ならぬ夜を街中に否みつつ遠き潮騒ひ恋ふ熱帯魚*秋の夜にチチヨと虫の哭きにけり暗黒を恋ふ性の悲しも... [続きを読む]
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- 2008/10/09 06:39十月九日(木)今日の詠草
- 神の御意思*神は何故「死」に苦しみを与へしや笑みて死にたし秋の夕辺に*亜麻色に果実ゆるりと腐ちゆき心萎ゆ身のごとき倦怠*朝毎に剪る深爪の心地良さたとへば死して行く世に在りや*分かち得ぬもの抱きゆく秋の野の風は俄かに寒き貌見す... [続きを読む]
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- 2008/10/08 22:45十月八日(水)今日の詠草
- 在る思ひ*四、五日を冷蔵庫に居し桃三個身もだへしつつ佳き香放つも*あかるさは徐々に失せゆく秋の空のいまを限りに沈む夕陽 (夕陽=せきやう)*月読みの見そなはすかなやつがれの御身に映し恋ふ人の在る*青嵐ふかば吹けこの短か世に恋はばやと思ふひといまだ在り (思ふ=もふ)... [続きを読む]
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- 2008/10/07 23:11十月七日(水)今日の詠草
- 秋海棠*死に遅れはた生き残り日の暮れてとにもかくにも用足して寝む*秋海棠子規の好める花にして一句残せりなんとシンプル 病床に秋海棠を抜きにけり 子規*声も無くひと等ひしめく午後五時の乾ききりたる町並みをゆく*カツプより盛り上がるほど鬱憤を秘めてダージリンテイはゆらめく... [続きを読む]
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- 2008/10/07 00:00十月六日(火)今日の詠草
- 秋寒の夜 *たはやすく死は希み得ず秋寒むの夜に味気なし塩抜きの飯 (希み=のぞみ) (飯=いひ)*不味き飯孤り食む夜のさみしさは亡妻よおまへの汁を吸ひたし (亡妻=つま))*貧血と高血圧と腎不全 死すも可笑しくなきこの身なり*風冷ゆる真蒼の空を泳ぎゆく雲ひとひらの翳のたしかさ ... [続きを読む]
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- 2008/10/05 00:00十月五日(日)「氷原十月号」 「ナイル十月号」掲載歌
- 氷原十月号掲載歌 老のなげき *くれなゐはなつかしき色そを見つつまた思ひ出す若き日の恋*大吟醸かをりゆたけしゆらゆらと病む身に辛しその黄金いろ*おもねりの無き世に非ず老ゆ程に右顧左眄する我が身の哀し*身もこころも襤褸のごとく疲れ果て透析といふ枷に泣き居る (襤褸=らんる)*媚薬めく緋色の粒は絶妙にひかり老爺はしばし・・・ 恍惚*時ならぬ電話にひびくふるさとの訛がかへすわれをむかし... [続きを読む]
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- 2008/10/04 00:00十月四日(土)今日の詠草
- 蔭る一花*曼珠沙華激く泣き居り耳ふさぎたくなるほどの甲高き紅 (激く=しげく)*死びと花のうぜんかずら彼岸花こころ湿らす花や野に咲く*逆光に蔭る一花の艶然と秋を枯れゆく 花魁草は*吾を呼ぶや薄明どきに見上ぐれば月は詮なき面して蔭る (面=おも)... [続きを読む]
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- 2008/10/03 00:00十月三日(金)今日の詠草
- 老ゆらくは斯く*斉れゆくか雨墜ちぬ空木犀のいぶせき香あり何をいまさら*独り居の栖家なりせど階段の下の真闇に棲むをんな居り*空を飛びこよひまた来る眉月の細くありたるあたりより汝*老ゆらくは斯くなるものと覚悟せり杖に頼りて歩む数歩を... [続きを読む]
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- 2008/10/01 14:51十月二日(木)今日の詠草
- プロの卓球選手である四元奈緒美さんが、NHKの企画で四国遍路を巡礼している。なかなか風景が綺麗で、毎朝たのしみに見て居る。彼女ひとかどの俳人で、毎日一句を詠むのだがこれが又楽しい。 ひとり遍路*眉を挙げひとり遍路の歩を進む美しきをとめの脚やかなしき*マンジュシャゲ炎と燃ゆる中をとめ子は清しき眸何故に翳らす*土の匂ふ道の尠くなりゆくを悲しみて燃ゆ緋のマンジュシャゲ*蜩をつひに聴かざり 杣道... [続きを読む]
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- 2008/09/30 00:00九月三十日(火)今日の詠草
- 悲しきゆふぐれ*ゆふぐれはつね悲しかり残生のあと数年のいのちと知れば*かへらざる今ひとたびの逢瀬など思ひ孤木に倚りて面伏す*月光はなないろに見ゆもやのなかひとつ判然とせぬ光点*立つ一樹木の葉隠れに散らし居るは秋の光の砕かれし光陰 (光陰=かげ)... [続きを読む]
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- 2008/09/29 15:36九月二十九日(月(1))村本希理子さん、(2)山岡弘道氏の歌集評
- (1)”風韻無限”に対する村本希理子さんの評並びに選歌ネットが縁でお知り合いになった船坂圭之介さんの歌集を頂いた。あとがきによると、作者は腎不全で人工透析を受けられている、とのこと。また、歌より、奥様に先立たれ、故郷を遠く離れた土地でひとり暮らしていらっしゃる様子もうかがえる。より、死を身近に感じられ、また、孤独感も強く感じられているのだろう。残された時間の中で、いっそう精彩を放つ世界をいとおし... [続きを読む]
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- 2008/09/28 22:11九月二十九日(月)今日の詠草
- 終日彷徨*悲しみを零す相手も失ひて終日秋をひとりさまよふ*したたらす雨の数滴渇水を恐れ居る吾は嵐を待ちぬ*また深く心に沁みぬ七十余年を茫然と生き越し一世*わが胸に限りも知れぬ寂しさを措きて遠山颪は去りぬ... [続きを読む]
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- 2008/09/28 00:00九月二十八日(日)今日の詠草
- パブテスマ *嘗て君受けしとふそのたまきはるパブテスマこそわれに悲しき*秋雨止むひととき巡邏なさずして書を読みて居り街の警部補*陽炎のほの見ゆ朝は心にも無き「お愛想」を言はねばならぬ (陽炎=かぎろひ)*秋ゆゑのかすみか知らず遠山にかたちおぼろの欅の一樹 ... [続きを読む]
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- 2008/09/27 00:00九月二十七日(土)今日の詠草
- 歌想湧かず、絶不調。 うたかたの夢*臆面も無く生き居ると恥ぢるごと歩み忍ばせ往く菩提道*色冴ゆる苺ひとしほ甘ければ禁じられ居ることつい忘れ*うたかたの夢にかも似つはるか日の美しき幻まな裏走る*夕暮れは秋にそぐはぬ氷雨降る中にわたくしのみの冷酷... [続きを読む]
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- 2008/09/26 00:00九月二十六日(金)今日の詠草
- わが位置 *曇日のひとところわが位置の在り秋にやうやく馴れ初むる頃*懈怠とは斯くのごときや雨しげき夜を足裏の火照りに惑ふ*誰彼のことふと思ふ秋といふもつとも遠き季のはづれに*遠々の貌みづからを闇となしやがて消えゆく友の忌や明日 ... [続きを読む]
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- 2008/09/25 00:00九月二十五日(木)今日の詠草
- 角川書店雑誌『短歌』十月号の「歌集歌書を読む(小黒世茂氏記)」に小書”風韻無限”が採りあげられて、好意的書評を頂いている。 思いがけぬことで驚くと同時に嬉しかった。それだけ世間の見るべき人は見ていてくれるのかと身の引き締まる心地で、一層精進しなくてはと覚悟を新たにした次第。 自己愛*思考する性持たざりきわかき日は 而して斯くまどふ七十路*懇々と圧しくる空午後の陽のとめどなき遥け... [続きを読む]
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- 2008/09/24 00:00九月二十四日(水)今日の詠草
- 過去の放埓*あしたこそあらめわが詩は窓の縁に薔薇落日に酔ひしのけぞり*鷲づかみなせりむんずと秋の野に措き忘れたる愛か桔梗を*大空の極みに充つは死者どちの憶ひか秋の星またたかず*はるばると空より到るわが肩の雨 そは杳き過去の放埓... [続きを読む]
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- 2008/09/23 00:00二月二十三日(火)今日の詠草
- わが位置*曇日のひとところわが位置の在り秋にやうやく馴れそむる頃*耽り居れば秋の陽のごと輝ける詩あり謂あり「出エヂプト記」*やさしさの欲しきよひそか遠のきて見詰むれば夕焼けは血の色*さびしさにわが恋ふ月も無き秋の夜にふと酔ひぬ自死の誘ひ (誘ひ=いざなひ)... [続きを読む]
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- 2008/09/21 11:02九月二十二日(月)今日の詠草
- 血の匂ひ*啜りつつある生臭き秋の夜のトマトジユウスは誰が血の匂ひ*夜々経るもなほ消へがたきわが胸の水底に殺意めく幻暈めき (幻暈めき=めくるめき)*こころ破れ在る所以なり夕つ陽を呑み下したくなせり含嗽*やがて逝く秋の陽坂をころげつつ焼き尽くすわが私的状況... [続きを読む]
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- 2008/09/19 23:29九月二十一日(日)今日の詠草
- ”孤独の楡” *垂直に立つを余儀なくさせられておろかしきかも楡よ孤高の *汝れもまた孤独のひとりさすらひの宿の夜に聴くダミアは昏し*綾羅なすかの過ぎ去きを思ひつつ秋水辺のかぜにたかぶる*秋天に孤を映しつつ綾のわが背を光(かげ)の射るごとく刺す (背=そびら) *われをしも攫ひゆけ雲 眩暈のさなか杳たるひとをわが幻つ... [続きを読む]
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- 2008/09/19 20:59九月二十日(土)今日の詠草
- 熱きマグマ*地底より立ち上がり来る悔恨の熱きマグマか秋の夕映え*地の塩か天の銀河か秋の夜に脳葉を深く侵す 悔恨*薄荷酒のみどりの薫り口中に革命のごとくあがる火の熱*孵化されぬもの等ひしめく冷蔵庫白き柩といふ明るさや... [続きを読む]
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- 2008/09/19 00:00九月十九日(金)今日の詠草
- 夜の飢餓感*斯までしてわれを生かしむ怯懦とはいふべくもなし夜の飢餓感*巧まざる残酷に在り若さとはその届かざるホリゾンを恋ふ*自我の無き孤立を楯と降る星の下へ残余のあゆみ進めつ*ゆつくりと昇る煙のなかにして亡母の墓碑その蔭に秋桜... [続きを読む]
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