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- 2008/01/09 02:22粉雪-第7話-
- どうしてだろう、涙が勝手に溢れてくる――― 賑やかな雑踏の中で、今まで感じた事の無い程の寂しさに翻弄されながら、俺は溢れてくる涙を止める事ができなかった。――どうしよう、俺…涙を拭う事もせずに立ち尽くす俺を、行き交う人はまるで不審者でも見るように遠巻きにしてい... [続きを読む]
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- 2007/12/21 23:22粉雪-第6話-
- 俺は一人、その場に残されたまま、呆然と手元の紙カップを見詰めていた。――何ショック受けてんだ?俺…何がショックだったのか、俺には分からなかった。だけど、何かが俺にショックを与えているのは確かで、ショックを受けている自分自身にも更にショックを受けていた。俺は午後の講義に出... [続きを読む]
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- 2007/12/18 18:47粉雪-第5話-
- その日午前中の講義を終えて、次の講義までどうやって時間を潰そうか学食で考えていた俺のところに、行成がやってきた。俺の向かいの椅子に当たり前のように座る。紙カップのコーヒーをすすりながら、俺の目をじっと見詰めて静かに言った。「バイト先で知り合った女と付き合う事にした」俺にしてみたらまさ... [続きを読む]
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- 2007/12/16 19:29粉雪-第4話-
- 19年間行成は常に俺の側にいた。家も隣で、家族ぐるみで付き合ってきた。――でも彼女ができたからってそれが変わるのか?確かに今までみたいにいつでもツルんでいられる訳じゃなくなるけど、でも、俺と行成の関係が変わる訳じゃ無いのにな。――やっぱり変なヤツだな。そんな事考えていた俺は、ふと、思... [続きを読む]
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- 2007/12/15 13:37粉雪-第3話-
- 家に帰ってからも、何でだかさっきの行成の言葉が気になって仕方無い。ベッドに仰向けに寝転んで、じっと天井を見ながら、そればかり考えてしまっていた。中学生の頃まで、行成はあんなにぶっきらぼうなヤツじゃ無かった。どちらかと言えば大勢で騒いでる事の方が多い位の明るい性格だった。実はあの頃は俺... [続きを読む]
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- 2007/12/14 15:54粉雪-第2話-
- 「ユキは恋愛に興味無いんだとばっかり思ってたよ」「何で」「だってモテない訳じゃ無いのに付き合おうとしないじゃん」「何も知らない女となんか付き合えねぇよ」「付き合いながら知るって選択肢は無いわけ?」「無い」「あそ」何でこんな無愛想なヤツがモテるんだか。女の子達の心理は全... [続きを読む]
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- 2007/12/13 12:30「粉雪」連載開始しました
- BL短編「粉雪」の連載を開始しました。とても短いです。10話位で終わるかと思います。幼馴染大学生の恋模様。イスカにちょっと行き詰まり気味なもので…なかなか更新の無い中、いらしていただき、拍手もいただけて、本当に嬉しい反面申し訳なく思っております。行き詰まり気... [続きを読む]
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- 2007/12/13 12:04粉雪-第1話-
- 大学生になって初めての冬が来る―― 高校生だった頃、思い描いていた大学生活…。可愛い彼女と手を繋いで買い物したり、遊びに行ったり…大学にさえ入れば、きっと毎日は薔薇色なんだろうと勝手に思っていた。現実は、そう甘くないね。日毎寒くなるのを感じな... [続きを読む]
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- 2007/12/13 11:59「粉雪」目次
- 「粉雪」目次各話の後に記述してあるリンクより飛ぶ事ができます。同窓リンク、別窓リンクございますので、お好みの方法でどうぞ。第1話 同窓 別窓第2話 同窓 別窓第3話 同窓 別窓第4話 同窓 別窓第5話 同窓 別窓第6話 同窓 別窓第7話... [続きを読む]
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- 2007/10/24 17:20鶍の嘴-第18話-
- 「灯、ちょっといいか、明日なんだけど」 背後からふいに聞こえた声に、灯はハッとして窓にかけた手を離した。「灯?」「カーテンを…」閉めようとして、と言いかけた灯は半ば予想していた窓の外の光景にたじろぎ、息を呑んだ。 そこには誰の姿も無かった。 激しい動悸を抑える事... [続きを読む]
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- 2007/10/20 23:46鶍の嘴-第17話-
- 叔父の家に来てから、一週間が過ぎようとしていた。 灯は森の家にはあれ以来なんとなく近付けずにいる。 その日は夕方から急に暗雲が立ち込め、雷鳴を伴った強い夕立になった。灯は自分の部屋に宛がわれた座敷で、外の雨音に耳を傾けながら本を読んでいた。貫は仕事をしているのだろう。家の中は外の喧... [続きを読む]
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- 2007/04/29 16:42鶍の嘴-第16話-
- 森の入口へたどり着いた時、灯は先程と辺りの様子が異なる事に気付いた。 何が、という事はない。 徇の家の庭で夕闇に霞始めていた空は、まだ真昼の光をたたえていたのだった。「どうして…」 口に出してはみたものの、灯はそれ以上深く考えるのをやめた。... [続きを読む]
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- 2007/01/01 17:16謹賀新年
- 昨年は当ブログにお越しいただき、ありがとうございました!2007年ものんびりマイペースに更新していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお引き立てのほどお願いいたします。... [続きを読む]
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- 2006/12/08 05:48鶍の嘴-第15話-
- 「ああ、いつの間にか随分時間が経ってしまったね」 徇は灯の気持ちを代弁するかのごとく、晩霞に彩られる水平線を眺めながら言った。「あの、僕はそろそろ」 灯は少し慌てた素振りで椅子から立ち上がった。「あの夕焼けと夜空の境目の色は、昔を思い出させる」 徇はまるで灯の言う事など聞こえてい... [続きを読む]
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- 2006/11/08 16:46鶍の嘴-第14話-
- 「自己紹介がまだだった、僕は徇と言います。君は?」「灯です」「あかり、良い名だね」 徇は噛み締めるように言い、カップを口に運ぶ。その口元は先ほどからずっと微笑んだままだ。「徇さんは、ひとりでここに住んでいるんですか?」 灯もカップに口を付けながら先ほどからずっと気になっていた事を... [続きを読む]
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- 2006/11/08 03:33鶍の嘴-第13話-
- 露台には、薔薇の蔓を模した白いガーデンテーブルと揃いの椅子が二脚、海を臨むように設えられていた。 テーブルの上にはティーセットの用意された銀のトレーが置かれている。 トレーには、カップが二脚、ソーサーやティースプーンと共に用意され、灯は違和感を覚えずにはいられなかった。「あの&hell... [続きを読む]
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- 2006/10/30 19:04鶍の嘴-第12話-
- 「君は、誰?」 あどけない様子で首を傾げながら、青年は灯の方へ近付いて来る。 肩ほどの髪を風になびかせた青年は、驚くほど美しかった。 柔らかい笑顔で灯を見詰め、通用門を開くと手招きをした。「ちょうどお茶の時間なんだけれど、よかったら一緒にどう?」 勝手に屋敷を覗き込んでいた後ろめ... [続きを読む]
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- 2006/10/01 01:57鶍の嘴-第11話-
- 森は昨日と同じように、ただ静かにそこに横たわっていた。 そして屋敷も、昨日と同じ場所に、確かに存在していた。 灯は屋敷の庭に通じる小さな門の前にいた。 そして、昨日とどこか違う屋敷の様子を感じ取っていた。 昨日はあまり気にしなかったが、その屋敷はどこか変わっていた。... [続きを読む]
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- 2006/09/23 19:43鶍の嘴-第10話-
- 見ているだけで心が清々しくなるそんな光景に目を細めていると、台所から物音がした。 流しの前にある小さな窓から中を覗くと、貫が朝食の支度をしている。「おはよう、貫さん」「おはよう、早いな」 貫は眠そうな目を瞬かせながら青菜を刻んでいた。「まだ寝ていても良かったのに。いつもはまだ寝... [続きを読む]
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- 2006/09/17 22:42鶍の嘴-第9話-
- 「貫さん」 食事も半ばに差し掛かったあたりで、灯は叔父に声をかけた。 叔父と呼ぶにはあまりにも年若い彼を、灯は日常名前で呼んでいた。「ん?」 軽く首を傾げるように目線を灯に移した貫は、優しい目で問う。「森の奥で大きなお屋敷を見たんだ。あそこには誰か住んでいるの?」「屋敷?」... [続きを読む]
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- 2006/09/17 02:10「鶍の嘴」目次
- 「鶍の嘴」目次各話の後に記述してあるリンクより飛ぶ事ができます。同窓リンク、別窓リンクございますので、お好みの方法でどうぞ。第1話 同窓 別窓第2話 同窓 別窓第3話 同窓 別窓第4話 同窓 別窓第5話 同窓 別窓第6話 同窓 別窓第7話 同窓 別窓第8話 同... [続きを読む]
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- 2006/09/15 16:53鶍の嘴-第8話-
- 次第に辺りは薄暗くなり、外から吹き込む風もますます涼しさを含んでくる。 そろそろ夕食の支度をしようかと灯が起き上がると、玄関の開く音が聞こえてきた。 灯は軽い足音を立てて玄関へ叔父を迎えに出る。「おかえりなさい」 笑顔で出迎える灯を見て、叔父はほっとしたように軽く笑みを浮かべた。... [続きを読む]
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- 2006/09/01 12:46鶍の嘴-第7話-
- どれ位の時間そうしていただろうか。 灯がフッと意識を現実に戻すと、窓から差し込む光はやや赤みを帯びて弱くなっていた。 そして灯は思い出す。 この家を訪ねてから、森の中で意識を取り戻すまでの空白の時間の事を。 叔父の家に着いたのは、今朝早くの事だった。 灯はこれ以... [続きを読む]
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- 2006/08/31 01:18鶍の嘴-第6話-
- 叔父の家に戻ると、部屋の中は薄暗く、叔父は留守にしているようだった。 居間のテーブルの上に、走り書きされたメモが置かれている。 「出版社に打ち合わせに行ってきます。夕方には戻ります」 灯はメモを手に取り、台所に行くと、冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注いだ。... [続きを読む]
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- 2006/08/30 15:38鶍の嘴-第5話-
- まるで獣道のようなかろうじて人ひとりが通れる程の道を、漆喰の壁に突き当たり、左に折れると、十メートルほど歩いたところで突然視界が開け、崖下の海を見渡す事ができた。 森の側からは見えなかったが、その大きな屋敷には海に面するように石畳を敷き詰めた露台をしつらえてあった [続きを読む]
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