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- 2008/07/05 17:08やっと終わりました
- やっと最終章までたどり着くことができました。いままで書いた数少ない何編かは、短かったので勢いで書いたという部分が大きかったのですが、今度書くものはなるべく長いものを、丁寧に書く努力をしよう、と思っていました。最初に大体の話の流れと必ず入れるポイントだけを考えておいて、何とか進んできました。でも最後の最後だけを考えていませんでした。書き出すと思わぬ方向に進んでいくというのは予想できたので、最後は何と [続きを読む]
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- 2008/07/05 15:04天使が通り過ぎた(最終章)
- 「じゃあ、今はどうなの?」「え?」 健一さんが尋ねてきた。「今も、まだ、何もかも差し置いて香織さんの意識を真っ先に占めているのかな。つまり・・・」「振られた彼のことを、ってことですか?」「そう。」 私は健一さんがそんなことを聞いてくるとは思っていなかったので、こんなことを聞かれたことに少し驚いてしまった。「いえ。」「もう、もうそんなことは無くなりました。」 答えてから、そういえば最近はそんなことも [続きを読む]
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- 2008/07/01 01:15時間
- 一日が終わるのは早い。一週間が過ぎるのも。毎日追いかけられるように仕事をして、時間は過ぎていく。それなのに、月日の過ぎるのがまどろっこしい。時間というのは不思議。私は自分の中にたくさんの時計を持っている。 [続きを読む]
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- 2008/06/07 19:29本心
- ただ傍にいたいだけよく、この言葉を口にしてしまうけれど、言ってから、なんと陳腐な言葉なんだろうと思う。私はあなたのものではなく、あなたは私のものでもないのに。 [続きを読む]
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- 2008/05/27 20:26天使が通り過ぎた(31)
- 私がカクテルを何杯かと、健一さんがビールを何本か飲んだ頃、私は随分と久しぶりに自分がくつろいで陽気な気分でいることに気がついた。たったこれくらい飲んだくらいで、酔っ払うほどでもないのに。 「私、本当を言うと、あの時、健一さんに駅まで送って頂いて車を降りたとき、 どうしてアドレスを聞いておかなかったんだろうって、すごく後悔したんです。」言いながら、それほど自分では酔っていないと思っていたけれど、口 [続きを読む]
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- 2008/05/23 04:29本を読む楽しみ
- 最近、昔読んだ本を無性にもう一度読みたくなることがよくある。私が本を読むようになったのは中学3年のときであるから、子供の頃から本の虫だった人よりあまりたくさんの本は読んでいないと思う。中学3年のとき、作家の簡単な紹介をしてある冊子か何かの、太宰治の欄を見て「生涯で三度自殺を試みた」という一文にとても興味を持った。中学生の頃の私は死ぬことばかりを考えていて、生涯で三度自殺を試みた人の文章はどんなも [続きを読む]
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- 2008/05/17 10:29天使が通り過ぎた(30)
- 予想していた通り、クリスマスイブのこの日、ちょっと雰囲気の良い店はどこも予約客や順番待ちの列でいっぱいだった。何軒かの店を諦めたあと、以前何度か来た店を思い出し行ってみるとちょうどそれほど込んでいなかった。メキシコ料理の店だった。 「健一さん、タコスとか好きですか?」 賑やかな店内をちらと覗きながら、私は聞いてみた。 「テキーラ?大丈夫ですよ。」 私たちは運良く、たまたま席が空いた窓際の席に通さ [続きを読む]
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- 2008/05/11 14:54天使が通り過ぎた(29)
- 健一さんとの待ち合わせの駅に電車が到着すると、駅前の木樹に施されたイルミネーションが白く輝いているのが見えた。職場から数駅の場所なのだが、家と職場をただ往復するだけの毎日を送っていた最近の私は、この場所のイルミネーションが今年はこれ程華やかになっているとは知らなかった。年々豪華になっている気がする。 改札前は待ち合わせをする人でごった返していた。こんなに大勢の人の中から、たった一度会ったきりの健 [続きを読む]
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- 2008/05/09 02:07天使が通り過ぎた(28)
- 呼出し音は4回鳴った。もしかしたら登録されていない電話番号には出ないのかも、と思い始めた頃「もしもし」という声がした。久しぶりに聞く落ち着いた低いその声は、間違いなく健一さんの声だった。「もしもし。桜井です。桜井、香織です。」 私は健一さんが自分を認識できないかもしれない、と思いフルネームで名前を言った。自分をフルネームで名乗ることなど日常ほとんどないので、それは少し滑稽に響いたように思えた。そ [続きを読む]
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- 2008/04/13 02:47愛は植物を育てることに似ている
- 子供に付き合って本屋に立ち寄った。タイトルに引かれ一冊の本を手に取った。「無意識はいつも君に語りかける」何気なくぱらぱらと読み出した。平積みで目立つ場所にあったし、デザインからして今流行っているようなスピリチュアル系の本だろうかと思うと買おうとは思わない類の本なのだが冷やかし半分で眺める。私にしては珍しく5分くらい立ち読みした。そしてこれは買っても良いと思った。愛は植物を育てることに似ている、にし [続きを読む]
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- 2008/04/12 18:10天使が通り過ぎた(27)
- 私は一瞬この人は誰と思ったがすぐにあのケンイチさんだと思い出した。私は勝手に、ケンイチさんの苗字は港という字を書くのだと思い込んでいたのでピンとこなかったのだ。名前を見て、ああ、こういう字を書くのだなあ、とまず思った。住所は東京だったけれども私にはそれが東京のどの辺なのか少しも検討が付かなかった。恐らく埼玉に近いほうの東京と思われた。シンプルな茶色の紙に麻紐のリボンが掛けられた、ややどっしりした [続きを読む]
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- 2008/04/10 18:16天使が通り過ぎた(26)
- 「じゃあ僕も、」 ケンイチさんはすこしおどけた風に言った。「僕もあなたにコーヒーを引っかけてよかったのかな。」 私はすこしどきどきした。それはどういうことだろう。「どうしてですか?じゃあ私の気を引くために、わざと引っかけたのかしら?」 私はすこし大胆なことを言った。もしかしたら、あなたと会えてよかった、とかそんなことを社交辞令として言うのだろうと思った。「あなたが自殺せずにすんだから。」 やはりお... [続きを読む]
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- 2008/03/28 16:18校庭と桜の木と缶ビール
- その頃私がいた職場は今の部署とは違い、急な仕事が入らなければ普段はのんびりとした雰囲気だった。私は書類の整理やデータの入力作業や忙しいときには出来ない様々な雑用などで、それほど暇というわけではなかったけれど、隣の席に座る上司は、明らかに暇を持て余しているような時があった。一応係長というポストの席だけれども、忙しい部署から忙しい部署へと移る間の、息抜きのような席だと周りからは思われていた。 その日... [続きを読む]
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- 2008/03/20 18:02天使が通り過ぎた(25)
- 私が何と答えようかと思案しているうちに、ケンイチさんはぽつぽつと話始めた。「僕はあまり、何と言うか、あまり口に出して物事を言わないんです。口下手なのかもしれない。それでいつもいつも、女の子と付き合うようになっても、つまらないわねと言われる。あなたは何を考えているか分からないとか、私のこと好きじゃないのでしょうとか。女っていうのは、いちいち言葉に出して言わないと分かってくれないのでしょうね。」 私... [続きを読む]
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- 2008/03/11 13:35マイ・ブルーベリー・ナイツ
- 最近忙しいのもあるけれど、仕事から帰ると疲れて眠ってしまうことが多いので、ちっとも更新できません。この前の(24)をアップしたときは、この分だと順調に話しが続き、そして終わるかなあ〜、と思ったのですがそうでもありませんでした。これは私の癖で、話の続きを書くときは、いちばん最初から読み直してそして雰囲気を感じ取って話とイメージを繋げていくのですが、最近は、最初の何章かを読んだ時点で眠っています。いけな... [続きを読む]
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- 2008/02/24 03:35天使が通り過ぎた(24)
- 雨がほとんど止んだ周辺の景色は、すべてが水に洗われ清々しく感じられた。遠くの山は雲と霧にかすんで、来たときほどはっきりとは見えなかった。「コーヒーがおいしかったです。」「素敵なお店に連れて行っていただいて、ありがとうございました。」 無言でいると何とも言えない重い空気が漂っているような気がして、私は先ほどのお店の感想を言った。「そうですか。でもあれだけでお腹いっぱいになりましたか?」 ケンイチさ... [続きを読む]
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- 2008/02/23 04:58天使が通り過ぎた(23)
- いったん流れ出した涙は、止まることを知らなかった。自分を憐れむのは格好悪いことだと分かっていながらも、感情をうまく統制することが出来なかった。しゃくりあげている訳ではなかったので、ただ音もなく、涙が薄い水のように目から流れてくる。心の中で、通彦が荷物を取りに来いと言ってくれるのを少し期待していた。あと一回だけ、それでもう本当にさよならをするから会いたいと、そう思った。だが通彦は見事に私の期待を裏... [続きを読む]
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- 2008/02/21 02:16天使が通り過ぎた(22)
- コーヒーはしっかりとした濃い目の、だが後味は舌に残らない爽やかな味だった。ブラックでとてもおいしく飲むことができた。朝起きてコーヒーが飲めないと少しイライラとしてしまうのだったが、香ばしい香りのコーヒーが飲めたことで幾分落ち着き、満足した気分になった。ケンイチさんと私は、無言でゆっくりとそれぞれコーヒーを味わっていた。「ちょっと失礼していいですか?」 ケンイチさんはポケットからタバコとライターと... [続きを読む]
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- 2008/02/20 06:33天使が通り過ぎた(21)
- しばらく車を走らせて、昨日バスで通った道の、どこか途中を曲がった。少し行くと一軒家の、古い民家を改造したパン工房があった。目立たない看板が立っていたが、建物の雰囲気で何となくそういう店と分かる。隣の空き地が駐車場らしく車を止めた。「どうします?車で待っていますか?そしたら僕はすぐ買って戻りますけれど。」 ケンイチさんはそう言いながらシートベルトを外した。外は少し小雨になっていて、店までなら傘はい... [続きを読む]
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- 2008/02/16 18:17天使が通り過ぎた(20)
- ケンちゃんと呼ばれた人の車は、私が当初想像していたのとは違いコンパクトな女性が乗るような感じの車だった。メタリックブルーの車体はよく磨かれていて、車内は余分なものが一切無く綺麗に掃除がされていた。彼は私の小ぶりの旅行カバンを後ろの座席に乗せると助手席のドアを自分で開け、どうぞ、と言った。「失礼します。」通彦は私にそんなことをしたことは無かったので、随分と丁寧な扱いだなあと感じながら車に乗り込んだ [続きを読む]
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- 2008/02/12 06:51休日の夜
- 渋滞。少しづつしか進まない車の列。静かな車内。ずっとこのまま、渋滞してたらいい、そう思う。まっ暗な中で、無防備にこうして、眺めていられるから。... [続きを読む]
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- 2008/02/03 21:44天使が通り過ぎた(19)
- 部屋に帰った私は、先ほどの染み抜きをして重くなったズボンにアイロンを掛けながら、何だか変な展開になってきたなと頭の隅で思った。あの人はきっと何かお詫びの行動をしないと気が済まないのだろう。そんなこといいのに、と思う反面、やはり気になるということも分からないでもなかった。アイロンを掛けると染みはほとんど分からないほどになっていた。乾いているのを確認するときちんとたたんでカバンにしまった。 窓の外を... [続きを読む]
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- 2008/01/20 13:35天使が通り過ぎた(18)
- アイロンを借りるためにフロントまで出向くと、もうチェックアウトし始めた人たちが何組かいてロビーはやや混雑していた。フロントには二人の従業員がいたが両方ともチェックアウト客を相手にしていたので、切りのいい所で声を掛けようと暫くの間待っていた。 「先ほどは大丈夫でしたか?」 不意に声を掛けられた。振り向くと先ほどのコーヒーの男性が立っていた。紺色のセーターにフィールドコートを着て立っている男性は、昨... [続きを読む]
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- 2008/01/14 17:09天使が通り過ぎた(17)
- その男の人はこちらを本当に申し訳なさそうな顔をして見ていた。薄く小さめのフレームの眼鏡の奥から、きっちりと二重になった瞼と黒目が覗いていた。その表情は、何か私に同情しているようにも見えた。私は咄嗟に、今朝先ほど化粧もせずに部屋を出てきたことやコンタクトレンズではなく度の強いメガネでいるということを思い出した。そして髪は無造作にクリップで留めてあるだけなのだった。こんなところで、どうせ私はひとりな... [続きを読む]
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- 2008/01/11 00:43天使が通り過ぎた(16)
- 外の、静かに降る雨を見ながら、もう一泊ここにいられたらいいのにと思った。雨の降る日は、じっと閉じこもって本でも読んでいたいものだ。体が寒くなったらお風呂に行って降る雨の中を露天に入り、そしてまた暖かい部屋に戻って誰にも邪魔されずに本を読む。でも今日の夕方の新幹線で帰らなくてはならないのだ。 窓際に座った私は、大きく取られた窓から濡れている中庭を眺めた。綺麗に手を入れられている木々に音もなく雨が染... [続きを読む]
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