|
- 2008/03/13 08:39ミスコンの罠 17
- 今回、という言葉に引っかかりを感じる。 発信器とそのシステムが高度すぎやしないか? 確かに、白コン予備選で3位、俺以外の上位は雪村と藤平。 この二人を襲うような奴はたぶんいないだろうから、最初の対象者として俺がなったのは解る。 そう思えば導入がこの時期というのも白コンでの上位争いの過激さから理解出来なくはない。 けれど、このシステムの高度さはどうだ。 発信器の開発、その模写の正確さ ... [続きを読む]
|
- 2008/03/06 14:13ミスコンの罠 16
- 「いいか?……じゃ、相沢その紙を見てくれ。ああ、吉成、あの校章を持ってきてくれないか?」 「わかりました」 八木の言葉に吉成がその場を離れ机の方へと向かう。 俺は言われた通り五味に貰った紙に目を向けた。 『保護対象者プログラム』 そう書かれた紙の内容をざっと読み、一介の学校がする事か?と少し驚いた。 それは保護対象(濁して書いてあるが、要は強姦被害に遭う確率の高い生徒とい ... [続きを読む]
|
- 2008/03/04 15:41ミスコンの罠 15
- 会長は雪村の呼びかけに「ああ」とだけ答え、一番奥の机からゆっくりこちらに来ると雪村の横に座った。 「相沢くん、改めて紹介するね。こっちの眼鏡が、白鷺の生徒会長」 「八木信篤(やぎのぶあつ)だ。この前はみっともない所を見せて、すまなかったな」 「……いえ」 苦笑いを浮かべて俺を見る八木に、そう言えばこの人の前で素を見せてしまっていたと思い出す。 たぶん気付かなかった。とは思うけ ... [続きを読む]
|
- 2008/03/03 18:07ミスコンの罠 14
- 「どうした?……和希。と相沢か」 その声に固まっていた三人がそれぞれ動き出す。 会長と同じくらいの長身の男は柔らかな笑顔を俺に向け、最後に出現したその会長の脇を通りもう一度中に入って行く。もう一人の軽そうな容貌の男は書類が山積みの机に向かい、その中から何かを探しているようだった。 そして中でも小さくて可愛らしいと表現出来る少年が走り出し、突進するようにして座っている雪村の首 ... [続きを読む]
|
- 2008/03/01 17:49ミスコンの罠 13
- 雪村につれられて生徒会室へと足を進める。 やっと夕日の落ちて来た、赤く染まった廊下を眺めながら、俺は雪村の真意を計りかねていた。 雪村とユウヤはどんな繋がりがあるのか。 今俺に話ししたい事とは何なのか。 ぐるぐる考える事はそれで、だけど答えは今は聞けず雪村の背をみながら軽く溜息を吐いき後に続いた。 そして目指した生徒会室は職員棟の三階、一番奥にある階段を上がった先にあった。 その ... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/02/29 14:40ミスコンの罠 12
- 大野は言っていた。 俺の悪夢の住民であるあの男は俺を──正確には俺とユウヤを狙っている。 それは恐らく死を意味するのだろう。 あの時ユウヤはあの男の組織を壊滅させた。 俺が囚われそして捨てられた、人身売買を資金源に様々な闇の活動していたあの男の組織を。 その時俺は病院にいて壊滅した事とあの男を取り逃がした事だけしか知らされなかったけれど、よく考えれば解る事だったんだ。自分の資金源を ... [続きを読む]
|
- 2008/02/28 11:53 ミスコンの罠 11
- ……いつも望むものは俺の手から砂のように零れ落ちていく。 始まりは父と母そして、記憶がなくなり帰ることが出来なくなった。 俺の全てだったフェンリルとユウヤ、不意に戻った記憶によって離れる事になった。 代わりだったとは言え、大切だった仲間、恋人達、気付く事ができずに失った。 理由は様々だったけど全部無くしてしまってる。 だから、きっと今度も同じなんだ。 無くして辛い思い ... [続きを読む]
|
- 2008/02/27 02:29 ミスコンの罠 10
- 椋介が居る教室を背に廊下を進む。 そこにある窓を見るとすこし陰ってきた空が見えた。 6時をもうとっくに過ぎたと言うのにまだ明るいと言える空は夏がもうそこまで来ている事を雄弁に語っている。 学園は白コンが終わると期末が始まり、その後はもう夏休みへの期待で浮き足立つだろう。 そんな活気が今の学園を支配してはいる。 けれど其れに反して俺の気分は下降をたどり、今までに経験した事のない苛立ち ... [続きを読む]
|
- 2008/02/26 01:03 ミスコンの罠 9
- 椋介の想いは椋介のもので、今、何も言わないのは椋介の意志だ。 それを無視して今否定するのは俺のエゴでしかないような気がした。 でも自分の気持ちに気付いてしまった以上、椋介にははっきりと無理なのだと伝えるべきとも思う。 これ以上椋介を俺に縛り付け、苦しめる事なんてするべきじゃない。 そう結論づけ、言葉を吐こうと口を開けるが、喉の奥が乾き中々その言葉は出てこなかった。 どうして言えない ... [続きを読む]
|
- 2008/02/25 01:06 ミスコンの罠 8
- 「ああ、確かに俺には関係ない事だろう。俺だって知りたくはないさ。……お前と藤平の事なんてな!」 低い声で吐き出されたその言葉と同時に、ガタンと教室に大きな音が響く。 喉もとに圧迫感、鎖骨の辺りと背中に衝撃が走り、痛みに顔が引きつった。 「……痛っ」 手首を捕まれたまま椋介の腕が俺の喉下に入り体重を込めて押しつけられ、その重圧に耐えられなかった俺の身体は背後にあった ... [続きを読む]
|
- 2008/02/24 01:07 ミスコンの罠 7
- 「りょう…すけ…」 誰も居ないからと迂闊に自分の思考に嵌りすぎていた。 いくら放課後の教室だからって、誰かがここに来ないとは限らないのに、そんな簡単な事すら予想出来ずに醜態を晒していた自分に腹が立つ。 椋介の目に今の自分はどんな風に映っているのだろうか。 それはずいぶんと惨めで情けない表情を晒している筈で……。 「樹哉、お前……どうし…」 「な ... [続きを読む]
|
- 2008/02/23 00:24 ミスコンの罠 6
- 第一資料室から出た俺は混乱した頭を持て余し、目的もなくただ足を動かしていた。 脳内を占めていたのはユウヤの事、そして藤平の事だった。 そうして進めていた足下の感触が変わったと理解して、動きを止める。 気が付くと、目の前に広がった農園とも言うべき場所に立っていた。 小さめの畑が二つ縦に並び、そこを合わせた大きさが一つその横に在る。その二つの畑の奥に大きな温室が見えた。 どこだ?ここ。 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/22 10:28 ミスコンの罠 5
- 「……っ。来るな……悪い。今俺に触れないで」 「……お前の闇ももうすぐ終わる。いや、終わらせる。──これが雄弥からの伝言だ」 「な、に…?」 「お前にビショップがそう接触したのなら、ラルフ・フィッツの尾っぽを掴んだってことだ。一般人の俺にはここまでしか教えられてないがな」 俺の直ぐ側の椅子に座った大野は、古い地球儀の押しピンを触った。 「これがユウヤの今 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/21 09:14 ミスコンの罠 4
- 大野の胸ぐらから手を外し「すみません」と謝ると、大野は首をさすりながら苦笑いしながらも「気にするな」と許しをくれた。 「紅蘭。その名がキーになるというのは、本当だったんだな……そんなに大事かその名が?」 椅子に座り直している俺に、大野が問いかける。 「大事、だよ……その名前に、それを付けてくれた思いに、何度救われたか解らない」 N.Y.の親元に帰った後、自分の心の ... [続きを読む]
|
- 2008/02/20 09:49 ミスコンの罠 3
- 頭の中にどんよりと、黒い物が渦巻く。 現実にユウヤに手が届きそうな今、湧いて出るのは怒り。 なんだ。 俺はずっと、ユウヤを求めると共にユウヤを憎んでいたのか……。 ……っ、 「……どういうこと?守るって誰から?それに、どうやって?チームすら抜けたユウヤ一人でそんな力ある訳ない」 言いながら席を立ち大野へと迫る。 椅子が床を滑る音が耳について、 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/19 00:23ミスコンの罠 2
- 『フェンリル』は人種も性別もバラバラで、尚かつ曲のある人物(と、いうより変人だ)を、フランス外国人部隊で将校を務めていたダーク・ウルフと呼ばれる男が纏めていて、各国・要人からの要請・依頼が後を絶たない程に有名だ。 しかし、 『 チーム・フェンリルが加わった方が勝つ。 』 戦場でそう謳われたそのチーム名も一般人が知る事はほとんど無い。 そんな名前を大野は言葉にした。 その上、仲間しか知 [続きを読む]
|
- 2008/02/18 11:09ミスコンの罠 1
- ランキング本戦もあと1週間と迫ったその日、俺は家で難解なメールを受け取っていた。 それは以前、大野とユウヤの関係を調べてくれと依頼したビショップからの物だ。 ── 親愛なるRO。お前にとって変革が訪れる。 そんな言葉から始まる短く刻まれた文章に、心が揺れた。 藤平の事で一杯だった脳内に一気に入り込んできたその文字達の中にある、大野の名前。 そして続いた謎かけのような言葉に、眉を潜め [続きを読む]
|
- 2008/02/17 01:13 ミスコンの罠 序章 4
- 低い男の声が狭い静かな室内に響くと、洋充の瞳が輝きだす。 その光を琉維は見つめて、その無邪気な光が残酷な事象の幕開けに思え、絶望の涙を流していた。「アラン!丁度良かった。入って?」 洋充の言葉に「失礼します」と入ってきたのは、黒いスーツに身を包んだ、銀髪の男。 見た目の年の頃は40代半ば。しかし、深く刻まれた皺は彼を年よりも老けさせていた。 左目は美しい装飾が施された眼帯をし隠れていたが、裸 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/16 12:03 ミスコンの罠 序章 3
- 「高松家の為、その容姿と身体を差し出すならば生かしてやろう」 それが琉維8歳の時に現当主であり、実の父である高松信夫に言われた絶望の言葉だった。 幼い琉維に選択の余地はなく、従うしかなかった。 それから琉維は、信夫の命令で女にも男にも抱き、抱かれてきた。 何年もそうやって過ごしていると感覚は麻痺し苦痛に感じなくなる。 あまつさえ快楽を感じるようにもなるというものだ。 それは ... [続きを読む]
|
- 2008/02/15 21:51 ミスコンの罠 序章 2
- 「でも、あなた!これご覧になりまして?」 そう言って静子が差し出したのは、一枚の紙。 それを一瞥した男はさも興味がない様子で、その紙を静子の手から抜き取ると、部屋の隅のゴミ箱へと捨て去った。「こんなものは今はどうでも良いじゃないか」「どうでも良くありませんわ!なんの為に高いお金を払って彼処に通わせていると思ってますの?全てはお家の為。この高松家を今以上に繁栄させる為に……」「そうだ ... [続きを読む]
|
- 2008/02/15 00:48 【RO】 ミスコンの罠 序章 1
- あの日──。 色んな事に混乱し藤平の元から走り去った。 あれから俺は藤平を避け続ける日々を送っている。 何度か偶然藤平と遭遇はしたが、あいつが言葉を発する隙すら与えずに逃げていた。 今度あの熱い腕に縋ったら、二度と離れられないような気がして。 そうなった後に捨てられたら、俺はもう二度と這い上がれないから。 それが怖くて向き合えない俺。 ……卑怯だな。 「── ... [続きを読む]
|
- 2008/02/14 13:54 フリーSS「Chocolat idéal」
- Chocolat idéal 僕の師匠は伝説のショコラティエ。 史上初のM.O.F.(フランス最優秀技能者章)を三部門獲得した凄い人。 数年前まで東京に高級チョコレート専門店を3店舗、洋菓子店を5店舗も持っていたらしい。 そんな師匠は現在、田園率が60%山が30%住宅地が10%なドがつく田舎の僕の町で小さな小さな洋菓子店を営んでいる。 その名も「西洋菓子店」。 どうしてもっとおしゃれな名前を ... [続きを読む]
|
- 2008/02/14 00:30 凪 12 <完> ※R18
- 【※直接的な男同士の性描写が含まれます。ご注意ください※】「いっ…ァアッ!…三輪、みわ……」 しつこい程に解きほぐされたそこに三輪の熱い楔を埋め込まれ、その衝撃に俺は弾けた。 仰向けの状態で飛び散った白い自身の飛沫が俺の腹を濡らす。 中に納まった其れを馴染ますようにジッとしてる三輪が、俺の放った飛沫を指で掬い取りくちゃと音を鳴らして啜ったのをどこかぼんやりと眺めていた。「この味を味わうのも ... [続きを読む]
|
- 2008/02/13 12:10 凪 11
- あれから、俺が泣きやんでも尚倒れたままの益子さんを放置して、三輪のマンションへと連れられた。 三輪が乗ってきていたバイクの後部に跨り体温を感じれば夜の寒さなど気にはならず、返ってその暖かさが心に浸みた。 三輪を手放さずに済んだんだ。 そんな実感が湧いてきて、幸福感に満たされていた。「─…片山さん」 ホテルを出てから黙ったままだった三輪が、部屋の前まで来ると初めて俺に声を掛けた。ドアを支 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/13 00:43 凪 10
- 俺の上で馬乗りになっている益子さんが邪魔で何も解らない。 三輪か? 本当に三輪が来てくれてたのか?俺の幻聴じゃなく?「み、三輪っ」 振り返った益子さんが上げたその言葉で、見ているものは三輪で俺の聞き違いでもなんでもないのだと解る。「益子!その人から退けっ」 三輪の怒号の後、咄嗟の事に避ける事が出来なかったのか、益子さんの左頬に三輪の拳が吸い込まれるようにしてめり込んで行くのを、どこか ... [続きを読む]
|