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- 2008/05/25 18:43【第3章】SHY BOY―Part29
- みんなが黙り込む中で、ヒロはすくめた肩を下ろして気持ちを落ち着けると、またゆっくり話し出した。「それで、家にこもってた間ですけど、うちは昼間、父さんは仕事行ってますから、誰もいなくなるんで、1人でいるとその……どうしても、いやなことばっかり思い出したり考えてしまうことがたびたびあったんです。……で、そんなとき、偶然なんですけどね、4年前に亡くなった母さんのスケッチブックを見つけましてね」「へぇ、... [続きを読む]
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- 2008/05/25 18:34【第3章】SHY BOY―Part28
- ヒロの話が長くなりそうなのを誰もが感じたのか、通用門を出て大通りに出る前に、図書館の建物から門までの間の広場の一角にある藤棚の方へと、みんなの足が向かっていた。 4つある石造りのベンチの1つに、まずヒロがためらいがちに腰を下ろすと、隣のベンチに真由香が、向かいのベンチに淳一が、それぞれ心配そうな表情を浮かべて座る。 そして、淳一の隣にはめんどくさそうにしているサカチが、真由香の隣には傍観するよう... [続きを読む]
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- 2008/05/25 18:29【第3章】SHY BOY―Part27
- 事務局室のドアが再び開いたのは、それから15分ぐらいたってのことだった。 だらだらとした足取りのサカチと、眠たそうに大きなあくびをする淳一が、まず廊下に出てくる。「あっ! サカチ、ジュンくん!」「よう、おったんや……?」 自分たちを呼びながらかけ寄ってきた真由香と、落ち着きを装って彼女の後ろについている琢郎に、サカチはけだるそうに応じる。「ここ出ようとしたときにちょうど、おまえらが変なやつらと一... [続きを読む]
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- 2008/04/07 01:41【第3章】SHY BOY―Part26
- 「おまえはどいとけ! 邪魔やねん」 安西がヒロの右腕をつかんで、横にどかそうとするが、ヒロはその場から離れようとしない。「いやです、どきませんっ! これ以上、ぼくのことで、安西くんたちに迷惑かけたり、ケガさせたりなんて……、とてもできません!」 相変わらず身体ががちがちにこわばっていて、恐怖で声が裏返っているヒロだったが、顔だけは先ほどまでのおどおどした表情はすっかり消えていて、しっかりと安西の目... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:48【第3章】SHY BOY―Part25
- すぐに笑いを落ち着かせたソフトモヒカンは、かっとひんむいた目を安西に向けた。「てめぇ……、ふざけやがって! ちったぁ黙っとけやオラァ!!」 強烈な蹴りの一撃が、安西の腹部に入る。 ヒロは身体を縮めてスケッチブックで顔を覆い、淳一も痛々しく表情をひきつらせる。「くはっ……」 まともに受けた安西は、身体を"く"の字に曲げながら座り込んだ。 腹を押さえて、せきこむ。「さっきから気ぃ悪いねん、お... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:47【第3章】SHY BOY―Part24
- 「はぁ? ちょっ……、何やねんこいつ?」 ソフトモヒカンは、自分と似たような高さの背格好で、結んだ長髪、耳にピアスと首にペンダントを光らせ、すそを適当に出した水色のカッターシャツにグレーのズボン――という目立つ身なりの安西を、品定めでもするかのような目でにらみつけた。「帰ろうとしたら、出入口の方まで、金出せやの何やの、物騒な話聞こえてきたからやー、何やと思うて来てみたら……またおまえか」 安西は眼... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:39【第3章】SHY BOY―Part23
- 「お金なんか、ないです……」 腰を抜かした状態のまま、ヒロは消え入りそうな声で、自分を取り囲んでいる、巨体の坊主頭やソフトモヒカンの金髪、そしてユウの3人に訴える。 「ふん。なら、確かめたれや」 坊主頭が、ユウに向かってあごをしゃくり上げて指図した。 ユウは何も言わず、下卑た笑みの浮かんだ坊主頭の顔を一瞥すると、依然として情けなく座り込んでいるヒロの前に立ち、ヒロの肩にかかっている黒いかばんを、... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:38【第3章】SHY BOY―Part22
- 「えっ? 今のは、何なん……?」 淳一は顔をしかめて左側を振り向き、声のする芝生の方に近づいてみる。 安西やサカチも、淳一のぴったり後ろを歩く。 植え込みが途切れたところから、遠目で芝生をのぞくと、坊主頭やら、やたら派手な茶髪やら、陰険そうなのやらと、見た目にもたちの悪そうな3人組の男が、びくびくしている1人を取り囲んでいる。「おいおい、カツアゲかよ……。3人も寄ってたかって、しかもあんな金持って... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:37【第3章】SHY BOY―Part21
- ヒロは、ソフトモヒカンの金髪に取り押さえられながら、ヒロの体重の1.5倍はありそうな巨体の坊主頭に、背中を押されるようにして、図書館の入口より南東側手前にある、植え込みに囲まれた芝生まで連れて行かれた。 あと1人――ヒロがユウと呼んだ少年は、数歩離れたところから、ヒロをどうにかしようとすることもなければ、2人の仲間に力添えしようとする様子もなく、黒く無感情な目で、ただじっと見つめている。「ちょうど... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:35【第3章】SHY BOY―Part20
- 「さぁてと……、ジュンくん、そろそろ帰ろっかぁ。今日ってあれの日やん。もうそろそろ始まるやろ、行かなっ」 サカチが、ベルト部分にでびにゃんなどのキャラクターのマスコットをにぎやかにぶら下げた、白のエナメルバッグを肩に掛ける。「あっ……、そっか、あれやなぁ。今日はどんなんやろなぁ?」 サカチに促され、淳一は壁面の掛け時計をちらっと見ると、"Nintendo DS"をたたんで、サカチのかばんの中に無造作... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:33【第3章】SHY BOY―Part19
- 一方、図書館4階の、丸テーブルが並ぶ、メディアセンターの談話コーナー。 いつものように、J-POPのBGMが流れ、笑い声や話し声でざわついている。「ふう……、今回の英語って、範囲広くて大変やねぇ……。覚えきれへんかも」 真由香は広げたノートにそっとシャープペンシルを置き、ぱたんと音を立てて英語の教科書を閉じると、ほっと息をついた。「ちゃんとできてるやん」 その横で琢郎が、ルーズリーフや教科書、辞書などを... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:32【第3章】SHY BOY―Part18
- その3日後、その週の木曜日―― 梅雨明けはまだ先だが、ここのところずっと続いていた、すっきりしない梅雨空がいったん落ち着き、久々に傘のいらないおだやかな1日となっていた。 夏至を過ぎたばかりなので、18時をまわっても、雲の少ないからりとした青空に、太陽のあかね色が少しにじみ始めたかなというぐらいで、まだまだ空の様子は昼間とあまり変わらなかった。 藤尾台図書館のエントランスから、白のパーカーに水色... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:30【第3章】SHY BOY―Part17
- 「えーと……そ、それじゃぼく、また買い物して帰らんと、あかんので……。ごめんなさい」 ヒロは、スケッチブックやかばんなどをまとめて、ゆっくり席を立った。「わっ、出たで……、買い物。今日はなんや、にんじんか?」 サカチが、からかうような口調で言う。「いえ、今日は卵なんです。オムライスしますんで。ちょうど今日は特売日で、1パック半額らしいんですよ」「オムライスかぁ……、いいなぁ。おいしそうやねぇ」 も... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:27【第3章】SHY BOY―Part16
- 「あのなぁ……。おれ、今、そんなこときいとんと、ちゃうんやけど?」 安西はテーブルを右手の拳でこつんとたたき、結った後ろ髪が揺れるほど、大きく首を横に振った。「おまえが今言うたことの意味は、なんとなくわかるけどやぁ……、それは、さっき琢郎がきいたことに対しての答えやんけ。今、おれが知りたいことはやぁ、おまえが絵を描いとる理由とか目的やねん。……わかっとる? おれの言うとーこと」「あっ、は、はい……... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:22【第3章】SHY BOY―Part15
- その後、ゆっくりと15分ぐらいが経過した。「んと……、描けましたぁ。遅くなってホントすみませんでした」 ヒロは鉛筆をテーブルに置いて、充実感いっぱいに、ほっと一息ついた。 そして、スケッチブックから、ぴりぴりっと1枚ちぎる。 安西は腰をいすから浮かせてそれを受け取り、あらためて手にとって眺める。「へぇ……。こういう感じの、いつも描いとんや?」「は、はい。あの……、期待はずれやったら、めっちゃ申し... [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:21【第3章】SHY BOY―Part14
- 「あの……ホントに好きなんですねぇ、でびにゃん」 サカチたちのやりとりが落ち着いたところで、依然として真由香の横の席で、安西の絵を描いているヒロも、左手の鉛筆をスケッチブック上で動かしながら言った。 サカチたちがここに戻ってきてから、目の前で容赦なくくり広げられたでびにゃん騒ぎを、うるさく思っているような様子はなく、むしろ楽しんでいるようで、笑顔さえ見せている。「うん、かわいいもん」 真由香は大き [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:18【第3章】SHY BOY―Part13
- 席をはずしていたサカチと淳一が、一同のいるテーブルに戻ってきたのは、それから10分後ぐらいのことだった。「なぁ、真由香ちゃん真由香ちゃん、ちょっ……これ見てみぃ?」 サカチはうきうきした様子で、持ってきたイベント情報誌を、見開きにして真由香に渡した。「えっ、なぁに? どうしたん、サカチ? 何かおもしろそうなことでも載ってるん? ……って、あーっ……!」 真由香はそう言いながら、サカチが持ってきた [続きを読む]
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- 2008/04/07 00:17【第3章】SHY BOY―Part12
- そして、週明けの夕方――「あのっ……、あんまり動かないで下さい」「えーっ……、まだぁ!?」「あっ、えっと……。その、そんなこわい顔もしないで下さい……」 談話コーナーの一席。 体調はすっかり回復した安西だったが、いつものように4階に来るなり、彼が来るのを待っていたらしいヒロにつかまり、先ほどからずっと、絵のモデルとして、席を立つことができない状態にさせられていた。 安西の横の席では、琢郎が黙って... [続きを読む]
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- 2008/03/05 00:43【第3章】SHY BOY―Scene26
- 「おまえはどいとけ! 邪魔やねん」 安西がヒロの右腕をつかんで、横にどかそうとするが、ヒロはその場から離れようとしない。「いやです、どきませんっ! これ以上、ぼくのことで、安西くんたちに迷惑かけたり、ケガさせたりなんて……、とてもできません!」 相変わらず身体ががちがちにこわばっていて、恐怖で声が裏返っているヒロだったが、顔だけは先ほどまでのおどおどした表情はすっかり消えていて、しっかりと安西の ... [続きを読む]
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- 2008/03/05 00:38【第3章】SHY BOY―Scene25
- すぐに笑いを落ち着かせたソフトモヒカンは、かっとひんむいた目を安西に向けた。「てめぇ……、ふざけやがって! ちったぁ黙っとけやオラァ!!」 強烈な蹴りの一撃が、安西の腹部に入る。 ヒロは身体を縮めてスケッチブックで顔を覆い、淳一も痛々しく表情をひきつらせる。「くはっ……」 まともに受けた安西は、身体を"く"の字に曲げながら座り込んだ。 腹を押さえて、せきこむ。「さっきから気ぃ悪いねん、お [続きを読む]
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- 2008/03/05 00:32【第3章】SHY BOY―Scene24
- 「はぁ? ちょっ……、何やねんこいつ?」 ソフトモヒカンは、自分と似たような高さの背格好で、結んだ長髪、耳にピアスと首にペンダントを光らせ、すそを適当に出した水色のカッターシャツにグレーのズボン――という目立つ身なりの安西を、品定めでもするかのような目でにらみつけた。「帰ろうとしたら、出入口の方まで、金出せやの何やの、物騒な話聞こえてきたからやー、何やと思うて来てみたら……またおまえか」 安西は眼 [続きを読む]
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- 2008/02/05 01:49 【第3章】SHY BOY―Scene22
- 「えっ? 今のは、何なん……?」 淳一は顔をしかめて左側を振り向き、声のする芝生の方に近づいてみる。 安西やサカチも、淳一のぴったり後ろを歩く。 植え込みが途切れたところから、遠目で芝生をのぞくと、坊主頭やら、やたら派手な茶髪やら、陰険そうなのやらと、見た目にもたちの悪そうな3人組の男が、びくびくしている1人を取り囲んでいる。「おいおい、カツアゲかよ……。3人も寄ってたかって、しかもあんな金持っ... [続きを読む]
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- 2008/02/05 01:45【第3章】SHY BOY―Scene21
- ヒロは、ソフトモヒカンの金髪に取り押さえられながら、ヒロの体重の1.5倍はありそうな巨体の坊主頭に、背中を押されるようにして、図書館の入口より南東側手前にある、植え込みに囲まれた芝生まで連れて行かれた。 あと1人――ヒロがユウと呼んだ少年は、数歩離れたところから、ヒロをどうにかしようとすることもなければ、2人の仲間に力添えしようとする様子もなく、黒く無感情な目で、ただじっと見つめている。「ちょうど [続きを読む]
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- 2008/02/05 01:38【第3章】SHY BOY―Scene20
- 「さぁてと……、ジュンくん、そろそろ帰ろっかぁ。今日ってあれの日やん。もうそろそろ始まるやろ、行かなっ」 サカチが、ベルト部分にでびにゃんなどのキャラクターのマスコットをにぎやかにぶら下げた、白のエナメルバッグを肩に掛ける。「あっ……、そっか、あれやなぁ。今日はどんなんやろなぁ?」 サカチに促され、淳一は壁面の掛け時計をちらっと見ると、Nintendo DSをたたんで、サカチのかばんの中に無造作に押し込んだ [続きを読む]
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- 2008/02/05 01:32【第3章】SHY BOY―Scene19
- 一方、図書館4階の、丸テーブルが並ぶ、メディアセンターの談話コーナー。 いつものように、J-POPのBGMが流れ、笑い声や話し声でざわついている。「ふう……、今回の英語って、範囲広くて大変やねぇ……。覚えきれへんかも」 真由香は広げたノートにそっとシャープペンシルを置き、ぱたんと音を立てて英語の教科書を閉じると、ほっと息をついた。「ちゃんとできてるやん」 その横で琢郎が、ルーズリーフや教科書、辞書など [続きを読む]
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