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- 2008/04/20 02:40ざまぁみろ(中編)
- 首にズシリとした力が加えられた。 人の頭がすっぽりと入りそうな黒い箱。 それをぶら下げる為の紐が僕の首にかけられていた。 続いてその箱と繋がっているヘッドホンを装着させられる。 複数の手を器用に使ってそれらの作業を終えて少女は軽く微笑み、僕の向きに合わせて手を振った。 向きに合わせたというよりは、そういう向きの手を振っていたのだけど。 何の反応も示さない僕を見て、少女は少し悲しそうな表情を浮... [続きを読む]
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- 2008/02/14 00:23ざまぁみろ(前編)
- 「お化け屋敷は好きかい」 前を歩いていたユキト君は、突然振り向いてそんな事を言った。 正直なところ、特に思い入れがあるわけでもない。 その場の気分次第と言ったところだろうか。 そんな事を思い、返事をしあぐねていた。 「僕の家は割と広いんだよ。ただ、かなり古くてね、雰囲気が少々――物々しいんだ。 お化け屋敷が苦手じゃないなら――」 ――僕の家に来てみないかい―― 前に居たはずのユキト君は僕の耳... [続きを読む]
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- 2007/09/18 00:15濡れ女と牛鬼
- 有名な夫婦の妖怪です。同一とも言われていますが、それはさておき。話の流れとしては――濡れ女が通りがかった人に赤ん坊を抱かせて姿を消す。危機を感じて逃げようとするものの、赤ん坊が石のように重くなって手から離れない。そうこうしている内に牛鬼が現れる。なんとなく、ここの赤ん坊が子泣き爺じゃないかと思ってみたり。まぁ、濡れ女と牛鬼が海辺の妖怪であるのに対して、子泣き爺は徳島県山中にいるとされる妖怪なので... [続きを読む]
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- 2007/09/14 23:13回転ドア
- 放って置くとそのうち止まるとは思うものの、止まりそうになっても再び勢いを取り戻して回る回転ドアを見ていたら、見えない誰かが回して遊んでいるんじゃないかと思った。誰かというのは、妖怪"回転ドア回し遊び好き"ですね。この妖怪"回転ドア回し遊び好き"は、一度回転ドアが回ると誰かが止めるまで回して遊び続ける妖怪です。非力なため、自分で回し始めることができないのがかわいいところです。もちろ... [続きを読む]
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- 2007/09/04 21:29手首
- 随分と更新が滞っていたので、夏休みに起こった話でも書いてみようと思う。 夏休みのある日、先輩の家で呑んでいた。 メンバーは俺、先輩、先輩の嫁さんの3人。 呑んでいたと言っても、俺は酒が呑めない方なので、最初に一杯呑んでからは烏龍茶とかコーラとかを飲んでた。先輩の嫁さんも付き合い程度なので軽く。先輩は酒に強い上に無類の酒好きなので、かなりの量を。 最近手に入れた穴あきサンダルにつける飾りを自作し... [続きを読む]
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- 2007/06/07 01:12視線の先に――(第4話)
- その日、何もかもが面倒に思えていたのだが、学校をサボる理由にはならないので、とりあえず学校には行く事にした。そして教室のドアの前、中にはクラスメイトが居る――当たり前の話だが。そう思うと、急にドアを開けたくなくなった。 先に断っておくが、僕は虐められてなどいない。友達は少ない方だし、クラスでも目立たない方なのは否定のしようもないのだが。 突っ立っていても埒が明かないので、他の人がドアを開け... [続きを読む]
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- 2007/05/23 23:21視線の先に――(第3話)
- 「で、どうなるの?」 彼女の疑問はもっともだが、あんな得体の知れない化け物の生態なんて、僕だって知るわけがない。とはいえ、この数日で分かった事もある。 まず、普通の人には全く見えないらしい。友人に話してみたのだが、全く相手にしてもらえなかった。 そして、人に気付かれる事が嬉しいらしい。こっちが向こうに気付くたび、喜んでいるのが感覚的に分かるのだが、それが無性に腹立たしい。 幸いな事に、実害とし... [続きを読む]
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- 2007/05/16 21:25視線の先に――(第2話)
- 「ヤツと目を合わせてしまったんだよ、君は」 数日前の夜、ぼくは不意に視線を感じた――しかし、誰かがいるわけがない。 狭い上に大して物も置いていない殺風景な自分の部屋に居たのだから。 しかし、感じるものは感じるのだ――得体の知れない何者かの視線を。 視界の端で何かが揺らぎ――その場所に目をやる。 しかし、あるのは見慣れたいつもの風景。 そんな事を数度繰り返したが、結局は何も見つける事はでき... [続きを読む]
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- 2007/05/12 17:25視線の先に――(第1話)
- 放課後の保健室。ベッドに横たわっているのは同じクラスの女子生徒だった。そして、僕はベッドの横で椅子に座って、あまり接点のない彼女の目覚めを待っていた。今、この部屋にはぼくと彼女の二人しかいない。彼女の友人達はそれなりに心配しながらも帰宅し、保険医は職員会議で席を外しているからだ。 今、目覚めてくれると都合がいいのにな――そう思いながらも、どう声をかけていいのか分からず、矛盾した思いだけが僕の... [続きを読む]
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- 2007/04/15 16:03姥捨て山の呪い(第3話)
- 姥捨てを行なった者は急激に老化して――死に至る。 その噂が広がったからなのか、姥捨てを行う必要がないくらいに村が潤ったのかはさて置き、姥捨ての風習は廃れていったそうだ。そして、それからしばらくは平穏な日々が続いていたが、捨てられた者たちの呪いはそれだけでは収まらなかった。山に入った老人が神隠しに遭いだしたのだ。 目撃した人間の話によると、空中から無数の白い手が伸びてきて老人をどこかに消し去っ... [続きを読む]
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- 2007/04/09 23:28姥捨て山の呪い(第2話)
- 目が覚めてみると、自分の車の中でハンドルに突っ伏していた。 太陽が真上まで昇っていたから、おそらくは数時間。記憶が飛んでいて、正確な時間も道順も覚えていなかったが、そんな中でも鮮明に残っている記憶はあった。 朝日が緩やかに昇り始め、山姥の姿が目視できる程度に明るくなってきた時――山姥はどこかに消え失せた。ありえない現象が、視界の端に捉え続けていたバックミラーの中で起こっていた。 ――白い無... [続きを読む]
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- 2007/04/07 15:31姥捨て山の呪い(第1話)
- 少し前に実家に帰省した時の話だ。 俺の実家はものすごい田舎にある。 どの位かと言えば、山を越えるのは当たり前で、最終的には未舗装の農道を延々走らなければならないくらいに。しかも、直線ならそれなりにスピードも出せるのだが、カーブが多くててそれもままならない。 そしてもう一つ、俺のばあちゃんが生まれるよりも前の話ではあるが、普通に姥捨ての風習もあったらしい。しかし、現代に生きる俺としてはただの昔... [続きを読む]
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- 2007/04/05 00:37入れ替え子(第3話)
- 小雪と呼ばれていた少女が名前を失ってから二十余年の時が流れた。年の頃を違う事なく美しく成長した彼女は、内心で喜びにうち震えていた。黒い着物に長い黒髪。そして手には鮮やかな配色の手毬。 夕日が辺りを照らしている。あれからも建て直される事はなく、今にも朽ち果てそうな鳥居を挟んで二人の少女が立っていた。 名を失った少女が目の前にいる少女に名を問うと、少女は『香月』と、無表情のままに名乗った。 ―... [続きを読む]
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- 2007/04/02 21:16入れ替え子(第2話)
- しばらくして、小雪を呼ぶ声が聞こえた。 先ほどの電話の主――小雪の母親だった。 「おかあさん!」 大きな声で叫んだのは人形少女だった。 鳥居の向こう側に見えるのは紛れもなく自分の母親だった。小雪は『ママ』と呼びかけようとしたが、声が出なかった。 「ねぇ、おかあさん。そっちに行ってもいい?」 人形少女が言うと、小雪の母親は早く来るようにと促した。 ――ママ! ママ! 叫ぶが――声は届かない... [続きを読む]
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- 2007/03/31 22:44入れ替え子(第1話)
- ある夏の日、西の空が夕焼けに染まる頃。 家路についていた少女はあるものに目を奪われた。 それは今にも朽ち果てそうな鳥居の奥に佇む子供の姿。 幼い頃から言われていた事があった。 ――宮には一人で近づくな。 その言いつけを忘れたわけではなかったが、彼女は鳥居の下へと辿り着いた。 そこに居たのは黒い着物に長い黒髪の少女。手には鮮やかな配色の手毬、顔には子供らしくない薄い笑み。人形という表現がぴ... [続きを読む]
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- 2007/03/27 22:29魅入られたが為に(第4話)
- 彼女と過ごす日々は充実したものだった。 他の人に彼女は視えないらしく、彼女と話す僕を周囲の人は奇妙な目で見ていた。彼女に出会ってから、友人は一人、また一人と減り、今では誰一人としてぼくと係わり合いになろうとはしなくなっていた。 しかし、そんな事は些細な事だった。僕の傍には彼女が居るのだから。 ある晴れた日、僕は彼女と出かける事にした。 目的地は彼女の思い出の地。 ハイキングコースを外れ、獣... [続きを読む]
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- 2007/03/25 14:21魅入られたが為に(第3話)
- あの夢を最初に見たのは、小学生になるかならないか――確かそのあたりだったと思う。そして、忘れた頃になると同じ夢を見るということを繰り返し、今となっては何度見たのかすら覚えていない。 始めから終わりまで寸分違わぬ夢――ただ一点を除いては。 その一点とは登場人物の自分が年を重ねていること。その夢を見た時の自分がそこにいるのだ。まるで、自分が主演のホラー映画を見せられている様にすら思う。さらには、僕が... [続きを読む]
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- 2007/03/23 21:12魅入られたが為に(第2話)
- 視線を上げて見えるのは光が漏れる程度に古びた屋根だった。屋根が見えるという事は、その手前には剥き出しの梁が見えるという事だ。そこには何の不思議もないのだが、その梁から先端が輪状になった縄がぶら下がっているのは、不思議と言うよりは気味が悪い。真っ先に連想できるのは首吊りだが、それ以降は一切の候補が出てこない。 他に見るべき物もなく、ただぼんやりと輪を眺めていると、その輪はするすると降りてきて、目... [続きを読む]
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- 2007/03/21 16:47魅入られたが為に(第1話)
- この世で一緒になれないなら、せめてあの世で――。 女は男を見つめて言った。その視線の先で男は頷いた。 二人の居る小屋は薄暗く、雨が屋根を叩く音だけが響いていた。 「あの世に逝っても、来世になっても、私は貴方だけを――」 言葉の終わり際は嗚咽へと変わり、言葉としての意味を成さなかったが、二人には言葉がなくても分かり合えていた。少なくとも、女はそう思っていた。最後の口付けを交わし、薄闇の中でも顔が... [続きを読む]
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- 2007/03/16 02:14カガミノムコウガワ(後編)
- 正門で待っていた少女は、無事に戻ってきた親友を見て胸を撫で下ろした。 学校に向かう段階で泣きそうになっていた親友は、笑顔すら見せて『大して怖くなかったよ』と言った。二言、三言と言葉を交わし、早めに立ち去ろうとしたが、親友はとんでもない事を言い出した。 ――見せたいモノがあるから、一緒に入ろうよ。 耳を疑い、聞き返してみたが返答は同じだった。『明日にしよう』とも言ったが、聞く耳は持ってもらえな... [続きを読む]
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- 2007/03/13 01:18カガミノムコウガワ(前編)
- 「怖いよぅ」 深夜の校舎を懐中電灯も持たずに一人で歩くのは、この小学校に通う少女。静まり返った空間に反響するのは少女自身の足音。明かりとなるのは申し訳程度の非常灯。少女は無機質な空間と自身の足音に怯えながらも歩を進めていた。昼間の自分の行動を恨みながら。 最近学内で流行っている『えんじぇるさま』と呼ばれる遊びを、友人に誘われるままに行ってしまったのがそもそもの間違いで、待ち受けていた結末は悲... [続きを読む]
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- 2007/03/08 00:39滴る水は……(後編)
- 逃げ出してから一週間――久しぶりに自室に戻ってきた彼は玄関を入ってすぐ脇にあるユニットバスに立ち入った。そこにあるのはガムテープでぐるぐる巻きにされたロータンク。部屋を逃げ出した時となんら変わりの無い状態がそこにあった。? ロータンクをじっと見つめ、耳を澄ます。 音は――ない。? 彼は意を決してガムテープを剥がし始めた。 この一週間は友人の家に泊めてもらっていたのだが、様々に諭された挙句、追い出され... [続きを読む]
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- 2007/03/06 00:52滴る水は……(前編)
- 妙に水音が気になった。 夜中にたまたま目が覚め、たまたま聞こえてきた水音。もう一度寝ようとしたが、一度気になった水音を鼓膜が捉え続ける。無視しようとしても、耳は音を捉え続ける。 水音の正体はトイレのロータンクという事は分かっている。詳しい理由は知るところではないが、ただ水滴が滴っているだけなのだ。何の不思議もない。 しかし、一度気になり始めた水音は耳から離れないどころか、むしろ大きくなっ... [続きを読む]
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