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- 2008/07/18 21:41花は夜明けを待って咲き揃う 【10】
- 「まあ・・・。首が落ちるからな」「そこが潔いんだっての。分かってねぇな、お前ら。そー言うお前は何が好きなんだよ、平助?」「えー。菫とか。優しそうでいいですよねー」「相変わらずちっせぇやつだな!」酒の勢いに任せて繰り広げられる会話に、依亜は思わずわらった。「なんか・・・妙に人柄出ますね」「じゃー、依亜は?」「う・・・ん。梅、かな。香りが好きですね」その瞬間、周囲の空気が固まった・・・ような気がした。おずおず、といった感じで永... [続きを読む]
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- 2008/06/08 13:13花は夜明けを待って咲き揃う 【9】
- 「あれ、お二人も行くんですか?」「悪いか」翌日、門の前にいたのは斉藤と井上だった。「いえ、副長が"あの馬鹿達"とおっしゃっていたので」「私達もお酒は好きですから。さ、行きますか。他の皆さんは仕事から直接向こうに行くみたいですし」辺りはまだまだ薄明るい。しばらく歩いて、三人は提灯に灯の入った一軒の料亭に着いた。中から聞こえてくる、やけに騒々しい音には、聞き慣れた声が混じっている。「これ・・・」「"あの... [続きを読む]
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- 2008/05/25 13:23花は夜明けを待って咲き揃う 【8】
- 「なんでまた・・・。私、酒は苦手でそのような席は・・・」「自分達の傷口が閉じた祝い酒ってとこだ。騒ぎたいやつだけ騒がせておけばいい」「そっ・・・のようなことを、幹部の方ばかりで・・・・・・」依亜の口がポカンと開く。「一応外泊のできる立場だ。問題はない。お前の場合は、三月の減給をもって、特例として門限遅れを認める」「げっ、減給ですか!?三月も!?」「断るか?」「・・・・・・いえ」元々使い道の多い金でもない。「なら急な話だが、明日の夕七... [続きを読む]
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- 2008/05/09 21:12謝罪
- 誠に申し訳ありません。この前UPできなかったら、テスト週間に入ってしまって(汗)しかも今回は土日を挟んでしまうので、最低でも今日から更に2週間、更新できません。本っ当にごめんなさい。。。こんな"常磐"ですが、気長に付き合ってやってくださいm(_ _)m緋風 桜*... [続きを読む]
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- 2008/04/25 23:05花は夜明けを待って咲き揃う 【7】
- 依亜は立ち止まる事無く、自室の手前まで走った。色々な意味で動悸が治まらない。――どうしよう・・・。葛山さん、びっくりしてた・・・・・・。どうしようどうしよう・・・「おい」「っ、わぁぁあ!!」突然背後から掛けられた声に、依亜は飛び上がった。「っ!?こっちがびっくりするだろうが!」後ろにいたのは土方だった。「すっ、すいません!考え事・・・してて。何か御用ですか?」「ああ。・・・大丈夫か?顔が青いぞ?」「平気です!えっと・・・急に全力... [続きを読む]
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- 2008/04/11 21:55花は夜明けを待って咲き揃う 【6】
- 「お久しぶりです、奥沢さん」この日は朝からよく晴れていた。久しぶりに隊務の早く上がった夕七つ(午後5時頃)、依亜は壬生の光縁寺に来ていた。新撰組の菩提寺となっているこの寺に、奥沢栄吉は眠っている。鴨川の土手から手折ってきた野の花を手向けながら、依亜はそっと、墓前に手を合わせた。時折、子ども達のはしゃいだ声がかすかに聞こえてくる。「なかなか来れなくて、本当にすみません。・・・でも、この前沖田さんと話をして、... [続きを読む]
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- 2008/04/07 14:08花は夜明けを待って咲き揃う 【5】
- 「昔江戸にいた頃、やたら女遊びの激しい兄弟子がいたんですよ。お金と時間があれば吉原で遊んでいるような」「吉原って・・・・・・あの、幕府御公認の?」「そう、色町です。まあ、彼自信も隅に置けない色男で、女の人にはよくもてたんですよ。廓の外でも中でも。で、彼は一人の遊女に心底惚れ込んじゃいまして。自分の刀を質に入れてまで、その人のところへ通い続けたんです」「そんな・・・」「兄上から頂いた立派な刀の代わりに、腰にあったのは... [続きを読む]
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- 2008/03/30 21:01花は夜明けを待って咲き揃う 【4】
- 「落ち着きましたか?」嗚咽がしゃくり泣きに変わり、しゃくり泣きがすすり泣きに変わる頃、沖田は依亜に声をかけた。「・・・はい。ほん、と・・・に、すみませ・・・」「大丈夫ですよ。・・・理由も、きちんと聞かせてもらえますか?」「・・・・・・怖、かった・・・。人の体、に、刀が刺さった、あの・・・瞬間・・・。怖くて、怖く、て・・・。自分で決めたくせに・・・・・・」膝を抱える依亜の腕に、力がこもった。「中途半端なま、ま・・・人を殺、した・・・・・・。自分で望んだ... [続きを読む]
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- 2008/03/28 16:41花は夜明けを待って咲き揃う 【3】
- 沖田は土方に告げたとおり、隊の消灯時間をニ刻程すぎてから、依亜の部屋へ向かった。土方が言ったように、部屋にはまだ明かりが点いていた。「依亜さん、ちょっといいですか?・・・・・・・・・・・・依亜さん?」呼びかけても返事はなく、沖田はそっと、障子を開けた。そこには、行灯(あんどん)の傍で壁にもたれ、小さく膝を抱える依亜の姿があった。「依亜さん」「え・・・。あ、あのっ、沖田さん!?なんで・・・あ、すいません。時間過ぎて―」「その... [続きを読む]
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- 2008/03/22 14:47花は夜明けを待って咲き揃う 【2】
- 「藤堂君、山南だ。入ってもいいかな」「あ、どうぞ」障子を開けて、山南が部屋に入ってくる。何気なく振り返ってそちらを見た沖田は、山南の後ろで揺れる赤い下げ緒を見て、心の臓を掴まれた気がした。「うぁっ・・・あ、う・・・いや、ひっ、土方さんか」藤堂も同じだったらしい。完全に声が裏返っている。「何だ。それが見舞いに来てやった人間に対する挨拶か?」「いや、すみません。ありがとうございます。とても嬉しいです。紛らわしい下げ... [続きを読む]
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- 2008/03/10 14:42花は夜明けを待って咲き揃う【1】
- 池田屋の一件から十日、沖田は永倉や斉藤、原田と一緒に藤堂の部屋にいた。「あー、もう早く動きたい!!毎日毎日布団の上じゃ、別の意味で死ぬ・・・」「ですよねぇ。毎日毎日飲みたくもない薬ばっかり・・・」「お前らなぁ。その体で動いて、もし傷が開いたり倒れたりされたら、こっちが迷惑なんだよ」池田屋で倒れた沖田、怪我をした藤堂と永倉は、この十日、ひやすら暇である。他の者が以前にも増して厳しい見回りを昼夜欠かさず、残党を探... [続きを読む]
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- 2008/02/23 18:17風待月 【10】
- 「俺、お前が口でなんて言ったって、土壇場になったら絶対に動けないと思ってたんだ。今までそんな隊士は山ほどいたから・・・。男でもそんなザマなのにって、イラついてた」永倉は未だ、その口以外を動かさない。「でも、お前はそんなことなかったし、怪我しても相手に向かっていった・・・。散々ガキみたいなことしてきて、都合がいいのは分かってる。でも、仲直り・・・してほしい」「・・・・・・えっと、あ、ありがとうございます。でも、あの、も... [続きを読む]
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- 2008/02/11 17:45風待月 【9】
- ぼうっとしていた依亜は、誰かに背を押されて我に返った。「早く祇園で手当てしてこい」土方だった。「平気です!止血すれば・・・」「行け」「お願いします!」雑用でも何でも、動いていなければ・・・・・・きっと手が震えてしまう。依亜は頭を下げた。そしてそんな依亜が、ほんの一瞬、辛そうな顔をした土方に気付くことはない。「・・・これは命令だ。逆らうなら、この場で首斬って晒してやる」「・・・・・・分かりました」にべもない土方の物言いに、依亜は... [続きを読む]
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- 2008/02/03 11:22風待月 【8】
- 刀に胸を貫かれたまま、浪士は膝を折り、その場にくずおれた。「おまっ・・・藤森、か?ってことは、もう土方さんが着いたのか?」顔についた浪士の血を拭いながら、永倉が言った。「いえ・・・あの、私が一人で突っ走ってきて・・・。隊は今着く頃かと・・・。永倉先生・・・その手・・・・・・」「あ、ああ・・・。ちょっとやりすぎた。平助よりはましだけどな」「平助も!?」永倉が簡単に自分の止血をしていく。普段の調子はどこへやら。全く普通の会話をしてい... [続きを読む]
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- 2008/02/03 10:38風待月 【7】
- ものすごい声量で、土方が怒鳴ったような気がした。葛山が自分の名前を呼んだような気もした。けれどそのどちらにも、依亜は足を止めなかった。いや、止めることができずに走り続けた。依亜が池田屋に着いたとき、表口には武田観柳斉ら三名が立っていた。わずか十人の第一隊から、表だけで三人、おそらくは裏口にも数名を割いているだろう。依亜は二十名程の浪士という土方の言葉を思い出し、それに対峙しているであろう見方の数に... [続きを読む]
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- 2008/01/27 12:00風待月 【6】
- 「こりゃ、総司の勝ちかな」原田が呟いたのは、出発してから一刻(約二時間)が経とうかという頃だった。あの後、待てど暮らせど連絡した諸藩からの応援は、ただの一人も来なかった。隊の苛立ちは募り、ついに近藤が新選組単独での行動に踏み切ったのだ。日和ることなくただ幕府の為に動く――その、藩とは違う新選組の特性故の判断だった。そして今に至るのだが・・・・・・未だ土方率いる第二隊は、怪しい店を発見していない。「何か賭けで... [続きを読む]
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- 2008/01/19 16:09風待月 【5】
- 「第一隊は、局長中心に腕の立つやつらで少人数の構成だ」土方が隊士の名前を書き出した紙に、印を付けていく。腕の立つ者というだけあって、沖田や藤堂、永倉といった幹部の名が多い。しかし依亜の目を釘付けにしたのは、他の名・・・・・・奥沢栄吉の名だった。「逆に第二隊は大人数。こいつは俺の指揮だ」言いながら、淀みなく動いていた土方の筆が、"藤森祐哉"の上で止まる。沖田と原田の視線を痛い程感じながら、しかし依亜は... [続きを読む]
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- 2008/01/13 11:43風待月 【4】
- そう言った斉藤本人も、土方がどこにいるのか分からず、依亜は昼食を作ってから屯所中を走った。ようやく土方を見つけたのは、彼が前川邸の蔵から出てくるところだった。「副長!!」「藤森・・・!お前、どうしてここに・・・。中、見えたか?」「いえ・・・。何が入ってるんですか?」依亜を見た土方は、一瞬ギクリというように身を引いたが、またすぐに普段の彼に戻った。「・・・戦は、始まりますか?」「俺達新選組が動けば、ほぼ間違いなく、な」「... [続きを読む]
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- 2008/01/06 15:07風待月 【3】
- 最近の依亜は、沖田と手合わせをした翌日の朝、自力で起きることが辛い日が増えた。その日に朝から仕事が入っていれば、斎藤が起しにきてくれたが、非番の日は、朝食の準備に遅れることもあった。今日、六月五日も、例に漏れず寝過ごし、起きたときには、随分高くまで日が昇っていた。「うわっ・・・やっちゃった・・・・・・。今日は・・・昼ご飯のほうだっけ。よかった・・・いや、それでも急がなきゃ」手早く身支度を整え、顔を洗うために部屋を... [続きを読む]
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- 2008/01/04 15:19風待月 【2】
- 「はぁはぁ・・・いつもありがと・・・はぁ・・・ございます・・・沖田さん・・・」「最初は驚きましたけどね。楽しいから、平気ですよ。それよりは依亜さんの体のほうが―」「若さで乗り切りますって」「おー、頼もしい台詞ですねー」あの飯屋の一件以来、依亜は互いの都合がつく限り、夕食前、沖田に手合わせを頼んでいた。勝敗の決定はいつも同じ、"殺されたら負け"である。今も依亜は、防具の上から心の臓辺りに痛烈な一撃を食らい、床に伸... [続きを読む]
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- 2007/12/29 15:33風待月 【1】
- ―――蝋燭の火が闇に揺らぐ。初夏の熱気が篭もった部屋に、男が四人。「本気かよ…。そりゃ、ちょっとした軍隊並みだぜ・・・?」声の主は新選組副長・土方歳三。その隣は同じく副長・山南敬介。二人はこの深夜に、二人の監察から報告を受けているところだった。その監察の名は、山崎烝と尾形俊太郎。この二人なくして、新選組の諜報活動は成り立たないと言っても、過言ではない。今宵の集まりは、藤堂と依亜の報告を裏づけ、今後の... [続きを読む]
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- 2007/12/26 14:49緑陰に潜む陰 【10】
- ガキィィィィィン―沖田達がいつ刀を抜いたのか、依亜には分からなかった。気づいたのは、頭に響く耳障りな金属音がしてからだった。沖田が自分に向かってきた男の刀を、自分のそれで受け止めたのだ。そして藤堂は、その隣で自分の斬り捨てた男の血によって、朱に染まっていた。藤堂に斬られた男は、胴を横一文字に裂かれ、血と共に大量の内臓をぶちまけている。「っ…はぁ…がはっ……はぁっ…」「―っ!!」それを見た瞬間、依亜は自... [続きを読む]
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- 2007/12/09 11:20緑陰に潜む影 【9】
- 依亜の見ている道の先から、侍風の男が二人、走ってきた――――その手にそれぞれ血刀を提げて。依亜は思わず腰を浮かした。「どうした?」葛山の問いに、依亜は視線で答える。葛山達も外を見てすぐに立ち上がったが、斉藤は悲鳴にも、部下の行動にも動じない。そしてそんな依亜達によって、店内でも外の様子に気づき、悲鳴が上がった。「動くな」「ですがっ―」普段となんら変わらない斉藤の声に、奥沢が反論する。これが"鬼"... [続きを読む]
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- 2007/12/07 21:47緑陰に潜む影 【8】
- 斎藤が三人を連れて行ったのは、五条の通りにある飯屋だった。正午を少し過ぎたこの時間、人通りは多い。皆、強い日差しから逃げるようにして道を急いでいる。「今日は無理矢理すまない。ここの代は、俺が持つ」店に入りながら斎藤が言った。「いえっ。それは―!」「ありがとうございます!!」斎藤の申し出を断ろうとする二人を遮って、依亜が大声で言った。奥沢達は一斉に青くなって、依亜を見るが、当の本人は全く気にしない。鼻歌を... [続きを読む]
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- 2007/11/30 17:50緑陰に潜む影 【7】
- 「藤森、この後何か予定はあるか?」依亜が斎藤に声を掛けられたのは、ある午前中の見廻りが終わったときだった。「えっ・・・・・・と、何人かで外に食事に行くつもりです。何か用事ですか?」「・・・俺も一緒に行って構わないか?」「え?」「今日"藤森祐哉"を連れて行きたい所がある。無理を言うが」「構いませんよ。連れにも話しておきます」「門で待っててくれ。副長に報告したら、すぐに仕度して行く」「はい」「でもそれ、ほんとに俺達も行... [続きを読む]
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