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- 2008/12/03 00:07【この青い、世界の下で。】17
- 内心、思った。 ヴィステルのテンポに付いて行ける人間が居た。 そして、厄介な人物であることに間違いない。 と、サージェスは一人、納得した。 腹の探りあい。 手の内を簡単に見せないヴィステルもだが、ソレルという男もなかなかである。「——それで、レジスタンスを組織していながら、我々に協力を求めた理由は何です?」「…………術師は知将、ですね」 その言葉に、僅かに眉が動く。 ヴィステルにとって、知将など [続きを読む]
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- 2008/12/02 00:07【この青い、世界の下で。】16
- ギュレット王国繁華街、レッドグランド。 建物事態は、軒を連ねる他の店と何ら変わりはない。 いかがわしい店、と言うわけでもなく。 普通の、酒場だ。 どうする、と言うわけでもなく顔を見合わせる。 ヴィステルが頷くと、合図だった。 サージェスが扉を開ける。 ザワッ—— 賑わいが、一瞬にして消えた。 入ってきたサージェスたちを、余所者として見抜いたのか。 ただならぬ空気が、流れる。「——先程、シュート... [続きを読む]
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- 2008/12/01 08:16【この青い、世界の下で。】15
- 他国の人には冷たい。 それは万国共通の態度。 ヴェルファール王国側から来たとなると、もっと態度が悪くなる。 たとえそちら側から入国した、全くの他国の人間であっても、だ。 戦争の傷は、地の底に届くほどに深かった。 唯一それがないのが、繁華街だ。 繁華街と言えば聞こえが良いが、中は無法地帯と言うに相応しく、ケンカが耐えない。 そしてここに、軍が来ることはなかった。 つい最近までは。「二人とも、軍の... [続きを読む]
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- 2008/11/30 04:08【閃空輝光】6章02
- 6章:解かれた封印、守れない約束。 2 分かっていたから、怒ることもせず。 同じように生きるヒトだと言う。 私がヒトじゃなかったら、何だろう。 ヒトの形をした、ヒトを真似ただけの擬似生命体。 そんな生き物はいないケド。 例える言葉が、それ以外に見つからなかった。「それで、今すぐ出発?」「俺はそれには反対だ。ティルシアの魔力が回復してからの方が懸命だと思う」「あ、そっか」「コラそこ! 勝手に決めな... [続きを読む]
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- 2008/11/29 00:20【この青い、世界の下で。】14
- 「それで、逃したわけですか。話を聞くだけ聞いて」『…………』 嫌味を、言われた。 サージェスはエリオンに、『ほら、やっぱりな』という視線を向け。 エリオンは、『嫌になる気持ちが分かる』と、俯いて聞いていた。 嫌味を言うヴィステルの口調は穏やかで、表情も柔らかい。 だが、それが怖いのだ。 内心は、結構ご立腹であるところが、だ。「……ま、過ぎたことをとやかく言っても始まりません。虎穴に入らずんば、虎... [続きを読む]
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- 2008/11/28 00:20【L your M】10
- 10 冷たい世界の、願い 叶わない願いが、この世界には沢山あった。 叶う願いは、世界の半分もない。 世界は、こんなにも冷たい。 冷えそうな心を暖めてくれるのは、いつだってだ。 そんな冷たい世界で願っても、願いは叶わない。 叶うはずの願いも、叶わない。 それでも、どこかで信じている自分が居る。 世界の暖かさと。 願いがきっと。 ... [続きを読む]
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- 2008/11/27 08:10【この青い、世界の下で。】13
- 声は、角の向こう——サージェスが張り付いた壁の角から聞こえた。 相手もこの行動は予測済みだったらしい。 剣を、上部に構える。 真横に振れば、ちょうど首の辺りに行くだろう位置。 相手の気配は変わらず。 だが、殺気は薄れている。「ギュレット側に、停戦を崩そうと企てている裏切り者が居ます。その規模は不明です。 ただ分かっているのは、首謀者が大臣であるグリニードだということ。情報は今、集めています。 ... [続きを読む]
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- 2008/11/26 22:32お知らせ
- 今晩和、光咲まことです。更新に関するお知らせです。明日27日の更新は、日付け変更後から朝8時頃に変更させて頂きます。すみません、とうとう風邪に抗えなくなりました。今日は早々に布団へダイブ(笑)します。体調が回復次第、通常の更新時間に戻しますので、それまでどうか、遅い更新時間になることをご了承くださいますよう、お願い申し上げます。※このお知らせは、27日の更新が完了次第の削除となります。 何かござ [続きを読む]
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- 2008/11/26 00:07【この青い、世界の下で。】12
- 「——ところで、そこの物陰の奴……怪しいな」「え?」 と、サージェスの視線の先を見る。 無造作に詰まれた木箱の陰。 日の当たらぬ場所に、黒っぽい影。「バカ、反応するな」「……あ」 慌てて視線を逸らす。 幸いなことに、影は動いていない。 サージェスはその気配を探る。 微かにだが、殺意を感じられた。 サージェスほどの力量がなければ分からないほど、微々たるものだ。 向けられた理由は、二人が『余所者』だか [続きを読む]
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- 2008/11/25 00:09【この青い、世界の下で。】11
- 隣国——ギュレット王国への検問がある町、シュートリー。 戦争で一番最初に被害を受ける場所であり、一番最初の発端となる場所。 町は境界線で仕切られている。 サージェスの住まうヴェルファール王国側と、ギュレット王国側。 両方は互いに干渉せず、均衡を保ってこの町を維持していた。 唯一行き交うのは、どちらの国にも属さない人間。 寂しい町だった。「——さて、と。これからどうする?」「情報収集、と言いたい... [続きを読む]
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- 2008/11/24 00:04【この青い、世界の下で。】10
- 剣舞に使っていた剣を戻し、普通の剣を持つ。 装備はそれだけだ。 鎧などのアーマーは必要ない。 戦場に行くわけではないからだ。「…………しばらく、戻れそうもないな」 簡単な旅装束に着替え、サージェスは家を後にした。 街道を歩いていると、所々に人が居た。 どこか疲れていて。 どこかボロボロで。 座っていた。 停戦している今でも、こうした人たちは世界各地に居てしまう現状。 全てを救済するには、まだまだ [続きを読む]
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- 2008/11/23 00:59【L your M】09
- 9 願うは、このままで…… 願いはただ一つ。 忘れたものが、戻ってくるように。 あの頃に、戻れるように。 眠る瞬間に、願う。 ... [続きを読む]
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- 2008/11/22 00:24【閃空輝光】6章01
- 6章:解かれた封印、守れない約束。 1 目を開ける。 そこは緑に囲まれた空間。 空間を渡ることは成功した。「……ここが、セイル村ですか?」「まだよ。ここはセイルの上、時の森。私の力じゃ、ここまでが限界よ」 本当なら、真っ直ぐに渡れただろう。 だけど、私の力は半端。 半端だから、こんな中途半端な場所にまでしか渡れない。 それでも使えないよりは……と思えば、良い方だ。 「一日か二日かかるって意味は、こ [続きを読む]
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- 2008/11/21 00:19【この青い、世界の下で。】09
- 即答したのはサージェス。 だが、続きがあった。「と、言ったら……アナタは、どんな手を使う?」「——ただ、事実を伝えるだけだ。もしも情報が真実なら、戦争が起こる可能性も否定できない。 …………と、な。そうなる前に防いでしまえば、子供たちの笑顔を守れると思うだろう?」 言われ、窓の外を見る。 楽しそうに走り回る子供たち。 戦争を知らない世代。 できるなら、この笑顔があり続ける世界が続いて欲しいと、... [続きを読む]
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- 2008/11/20 00:03【この青い、世界の下で。】08
- 「いや、だって……ボク、この町に来てまだ二年だし。家柄もないし、王様見る機会なんてないし」「まあ……そーゆー意味じゃ、オレも最後に見たのは十四かその辺だしな」 と、納得する。「…………ちょっと、悲しい現実を見たぞ」「王、これが現実ですよ?」 国王を知らない、王国の民。 どこの土地でもあることだ。 王は一番安全圏にいて、国を見ている。 平和も、戦争も。 外に顔を出すのは、どこに潜んでいるかも分から... [続きを読む]
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- 2008/11/19 00:12【この青い、世界の下で。】07
- そういう予感ほど、当たるものはない。 痛む頭をどうにかしたかった。 空気が悪い。 滅多に不機嫌さを見せないサージェスが、あからさまに不機嫌だと言っているからでもあった。「——それで、軍が何の御用でしょう?」 刺々しい。 サージェスが軍を嫌いだというのは聞いたことがある。 それはどれくらいなのかは本人は語っていないため、分からなかったが。 今、物凄く分かってしまった。 これはもう、嫌いというだけの [続きを読む]
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- 2008/11/18 00:03【この青い、世界の下で。】06
- 舞うその姿は、剣の精がごとく。 神が与えた、彼の一族の力。「……あと二年。それまでに守れるだろうか?」 男が呟く。 答えたのは、一緒に居た青年だった。「守らなければなりません。彼らもそろそろ、我慢の限界なのでしょう」「……国境付近の、不穏な動き……か」「はい。戦争になりでもすれば、お優しい国王が終戦条約を飲むと見越してのことでしょう」「…………甘く見られてるな」「実際、そうでしょう?」「………... [続きを読む]
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- 2008/11/17 00:05【L your M】08
- 8 覚えているはずの、モノ 日を重ねるごとに、その頭痛も激しくなっていっている。 そう気づいたのは——そう気づかされたのは、愁耶が倒れた時だった。 痛みを訴えず、そのままフラッと。 痛みを忘れたから、痛いことに気づけなかったから、分からなかった。 言い訳だ。 俺は、言い訳して軽くなろうとしている。 多分、『悠輝は悪くありません』 そう言われるために。 なんて、弱い人間なんだ。 そんな俺が出来ること [続きを読む]
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- 2008/11/16 04:33【この青い、世界の下で。】05
- 年上の子から広まった『エリー』の愛称は、下の子に浸透してしまっていたのだ。 これではいくら訂正しても直せない。 小さい頃から身に着けてしまった癖が、大人になってから直そうとしても直せないように。 残された手段は、ただ一つ。 受け入れるしかなかった。 ……悲しいことに。「はぁ〜…………で、ボクに用があったんだろ?」「あ、そうだった。町長さんが来いって。先生も呼ばれてたし、何かあったのかな?」「さ... [続きを読む]
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- 2008/11/15 00:26【この青い、世界の下で。】04
- エリオンの目には、そこは別世界に映っていた。 青い空。 煌く白き刃。 舞う、青年。 笑い、悩み、悲しんで、楽しんで。 少年のようなあどけなさを残したサージェスが、今は『誰』なのだろう。 サージェスであって、彼ではない誰か。 この姿こそ『剣神』なのだと、エリオンは思った。「——エリー兄ちゃんってば!」「えっ? あー……呼んだか?」「さっきから呼んでるって。エリー兄ちゃん、ボーっとしすぎ。先生の踊... [続きを読む]
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- 2008/11/14 00:07【閃空輝光】5章40
- 5章:告げる想いと、新たなる展開。 40「よし。みんな、悪いけど」「時間がないんだな?」「荷物はまとめてるし」「付き合いますよ」 言って、三人はそれぞれの荷物を持っていた。 ギルドの依頼を受けるつもりでいたのだから、用意している状況には納得できる。 けど、あまりにもアッサリしすぎて、逆に拍子抜けしてしまう。 話を悟るのが早くて助かるけど。 本当は、私一人で行くつもりだったから。「ですが、問題が一つ [続きを読む]
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- 2008/11/13 08:02【閃空輝光】5章39
- 5章:告げる想いと、新たなる展開。 39 視えなければ、そう思うのは当然だ。 視えていた私たちだから、それが何かを言えた。「空間を渡って来たのよ」「く、空間を……ですか? そんな魔法、聞いたこともありません」「当然よ。この魔法は禁忌、だからよ」「……何故、ですか?」「——アイツ言ったよね? このままじゃ空間の狭間に堕ちてしまうって。堕ちたら危険。分かる?」「何となくは」「……えーっと?」 察した... [続きを読む]
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- 2008/11/12 00:11【L your M】07
- 7 忘れた、痛み 負う傷は、身体と心に。 それは小さな痛みから、大きな痛みまで。 どれも痛いはずなのに。 痛いはずのことも、忘れた。 [続きを読む]
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- 2008/11/11 00:08【閃空輝光】5章38
- 5章:告げる想いと、新たなる展開。 38 二人の手を掴み、捉えた僅かなヒトを掴ませる。 視えずとも、分かるはずだ。「うわっ! 何か居るし!」「だから、ヒトって言ってるでしょ?!」「……傍から見れば、凄く奇異の目で見られますね」 確かに、朝の食堂には他のワーカーたちが居るけど。 形振り構っていられない。「それは言わない! せーので行くわよ!」『せーの!』 空間は、魔法で作られたモノ。 失敗すれば、... [続きを読む]
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- 2008/11/10 05:15【閃空輝光】5章37
- 5章:告げる想いと、新たなる展開。 37 言ったのは、アルスフィルだ。 その反応に思わずといった形で、リュークが腰の短剣に手をかけていた。 私は必要ないと首を振る。 『来る』と、彼は言った。 それは魔物ではなく。「一体……何が?」「——ヒトが、来るのよ」 ユラリ。 ユラリ。 形が見えた。「……ヒト、ですか?」「……ヒト、って人間?」「多分ヒト」「——エルフって言うヒト、よ」 ヒトは、ヒト。 人間を [続きを読む]
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