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- 2007/05/27 10:24アーリンの章 21
- 『そんな事はありません。偉大なる魔女ラクシュミ。』エモは会釈をしてお茶をすすった。『若い魔法使いや。…偉大なるはやめとくれ。ラクシュミでいいよ。』『わかりました。…ア−リン。少しの間,外で遊んでおいで。』ア−リンが待ってましたとばかりパタパタと表に出ていった。『…ラクシュミ。あの娘の魔法の力は強大です。あまりにも強くて…道を誤ると危険です。』『ほう…』『魔法を伝授してくれとは言いません。ただ見守... [続きを読む]
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- 2007/05/27 10:24アーリンの章 21
- 『そんな事はありません。偉大なる魔女ラクシュミ。』エモは会釈をしてお茶をすすった。『若い魔法使いや。…偉大なるはやめとくれ。ラクシュミでいいよ。』『わかりました。…ア−リン。少しの間,外で遊んでおいで。』ア−リンが待ってましたとばかりパタパタと表に出ていった。『…ラクシュミ。あの娘の魔法の力は強大です。あまりにも強くて…道を誤ると危険です。』『ほう…』『魔法を伝授してくれとは言いません。ただ見守... [続きを読む]
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- 2007/05/26 09:45アーリンの章 20
- ラクシュミはシ−リウスの輝きにイシュタルの復活を見ていた。根拠はない。それは幾度となく彼女を危機から救った彼女自身の第六感であった。シ−マ達親子はボ−ミリアの首都タンバ−ラの郊外にある農園で暮らす事となった。農園の主であるオ−ツは一角の人物でシ−マ達を快く迎えいれたのである。それにそもそも勇名を馳せるランドスレイド騎士団の紹介とあっては断る術もなかった。ア−リンはエモに連れられてタンバ−ラの街を... [続きを読む]
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- 2007/05/26 09:45アーリンの章 20
- ラクシュミはシ−リウスの輝きにイシュタルの復活を見ていた。根拠はない。それは幾度となく彼女を危機から救った彼女自身の第六感であった。シ−マ達親子はボ−ミリアの首都タンバ−ラの郊外にある農園で暮らす事となった。農園の主であるオ−ツは一角の人物でシ−マ達を快く迎えいれたのである。それにそもそも勇名を馳せるランドスレイド騎士団の紹介とあっては断る術もなかった。ア−リンはエモに連れられてタンバ−ラの街を... [続きを読む]
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- 2007/05/25 23:14アーリンの章 19
- シ−マ達親子の数ヵ月に及ぶ旅もいよいよ終わりに近づいてきた。ランドスレイドの騎士団は中部モスニアの国境を越えボ−ミリアの地に足を踏み入れたのである。ユ−リニオンの南方に位置するこの土地は豊かな農業生産国であった。エモはア−リンの魔法の力が錆びる事を恐れていた。出来る事ならば自分の手元に置いておきかった。(ランドスレイドの)アカデミーに連れて行く事が出来れば…とは思うものの,シ−マが反対する事は目... [続きを読む]
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- 2007/05/25 23:14アーリンの章 19
- シ−マ達親子の数ヵ月に及ぶ旅もいよいよ終わりに近づいてきた。ランドスレイドの騎士団は中部モスニアの国境を越えボ−ミリアの地に足を踏み入れたのである。ユ−リニオンの南方に位置するこの土地は豊かな農業生産国であった。エモはア−リンの魔法の力が錆びる事を恐れていた。出来る事ならば自分の手元に置いておきかった。(ランドスレイドの)アカデミーに連れて行く事が出来れば…とは思うものの,シ−マが反対する事は目... [続きを読む]
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- 2007/05/24 23:12イレーヌの章 1
- 崖の上に女が居た。遥か下方に黒々とした海面が渦を巻いている。岸壁を打つ不気味な波の音が辺りにこだましていた。この世の果てと呼ばれている冷たい北の海であった。女の後方にはいくつか松明の明かりが揺らめいていた。女は追われていた。衣服のあちこちは裂け,顔は紫色に腫れ上がっている。暴力を受けた痕跡があった。女は後方に目を転じ,ゆらゆらと迫ってくる松明の明かりをボンヤリと眺めた。その目には涙が滲んでいた。あ [続きを読む]
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- 2007/05/23 20:31アーリンの章 18
- 野に咲く花が揺れていた。夜風は二人に優しかった。この人だったら……シ−マは一人抱えていた不安をレントに話しはじめた。『オ−マの村に一人の預言者が訪れました。』レントは相槌を打ち無言で先を促した。『預言者はア−リンを指し言いました。あの娘は世界に破滅をもたらすと…。そうなる前にア−リンを殺すと村の長に宣告されたのです。私はその晩,子供達を連れて村を出ました…。』ア−リンが世界に破滅を…?確かにア−リンの魔 [続きを読む]
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- 2007/05/22 21:24アーリンの章 17
- 一行はル−デ−ルの村を後にした。半月分程の食料が村人達から手渡された。毎日,野営の準備を終える頃,ア−リンはエモから魔法の講義を受けていた。エモの教育は熱心で温かかった。『ア−リン。そろそろ攻撃魔法も覚えていこうか。』『こうげき?』『そう。炎の呪文や雷の呪文。』『…でも…壊したいものなんて…ないです…。』『うん。ただ万が一という時が必ず訪れる。君が戦いを望んでなくてもね。』『ふりかかる火の粉?』『ふ... [続きを読む]
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- 2007/05/21 21:19アーリンの章 16
- 一行が村に戻る途中,シ−マと鉢合わせになった。村に残っていたライザック達の目を盗んでシ−マは飛び出してきたのであった。『お母さん!』『心配で来ちゃった…』幼い二人はシ−マの胸に飛び込んだ。エモは言った。『シ−マさん。我々はア−リンに命を救われました。』シ−マは勇敢な幼い娘と息子を誇りに思うのであった。その晩,疲れ果てたア−リンはベッドに潜り込むなり深い眠りに落ちた。それは雪を抱いた山脈であった。山の稜... [続きを読む]
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- 2007/05/20 20:44アーリンの章 15
- 二百に近い打ち合いの果て勝負はついた。剣では勝てぬと踏んだディーモンが自身の魔法を行使しようと思考した,そのわずかな瞬間に生じた隙をレントは見逃さなかったのである。『勝機!』雄叫びを上げ上段から振り下ろしたル−ン・ブレイドを真横に転じディーモンの上半身を一気に叩き落とした。『メェェェエ!』ディーモンは悲鳴を上げて地に倒れ込んだ。レントはバタバタともがいているディーモンの首を叩き落とし,とどめを刺... [続きを読む]
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- 2007/05/20 00:08アーリンの章 14
- 稲妻の光はあらぬ方向に四散した。次の瞬間,暗黒魔術師の体に激痛が走った。魔術師が下を向くとエモが放った魔法の矢 複数のル−ン・アロ−が突き刺さっていた。暗黒魔術師は自身の魔法が完全に遮断された驚愕と激痛に襲われながら地に伏した。一体,誰が…あんなにも強力な防護の魔法を…暗黒魔術師は最後の力を振り絞って絶叫した。『我が神,ベリア−ルよ!』そして絶命した。神殿の奥に何かが現れた。それはドシンドシンと大地... [続きを読む]
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- 2007/05/19 18:31アーリンの章 13
- 月明かりの下を歩く四つの姿があった。ア−リンとマシア。そして村民に変装したエモとレントである。皆,無言であった。数人の騎士達が援護のため少し距離を開けてついてきていた。村にはライザックを含め三名の騎士達が万一に備え残っていた。やがて村外れの廃墟にたどり着いた。刻に浸食された古い神殿であった。月明かりに照らされた神殿は不気味なほど静まりかえっている。何処かでフクロウが鳴いていた。しばらくして暗い廃墟 [続きを読む]
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- 2007/05/18 19:42アーリンの章 12
- 月光の中でレントは剣を振るっていた。彼の日課である。彼が持つ魔力を帯びた剣,それはル−ン・ブレイドと呼ばれる魔剣であった。先史魔法文明の遺産。かつて氷の巨人が住む洞窟で奪取したものであった。それにしても,なんというタイミングの悪さなのか…いや,これはア−リンの宿命なのか…?レントは何かア−リンを中心に時の車輪が回り始めたような気がしていた。エモがあそこまで剥きになるのもはじめて見た。何にしても……... [続きを読む]
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- 2007/05/17 19:27アーリンの章 11
- ア−リンとマシアは隣室で眠りについていた。『で,でも…』シ−マは混乱していた。『シ−マさん。ア−リンの持つ先天的な魔法の力は強大です。私はあれ程までの力を持った子供をかつて見たことがありません。…おそらく後1年もすれば私の力を追い越していくでしょう。』エモは熱く語った。エモの魔法の力を知っている騎士達である。そのエモにこうまで言わせるア−リンの魔法の力とはそれ程のものなのか?!『シ−マさん。ア−リンの援... [続きを読む]
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- 2007/05/16 23:48アーリンの章 10
- ル−・デ−ルの村を訪れた時の事であった。村の長が一行を温かく出迎えた。長は宿を提供し豪勢な食事で騎士達をもてなした。夜も更けた頃,村長は改まった口調で話しかけてきた。『ランドスレイドの方々にお願いがございまする。』既に,そうなるのではないかと予測していたライザックは『どうぞ,話しを続けて。』と促した。一週間程前の事でございます。村に一人の魔法使いがやって来ました…。その黒いロ−ブを纏った魔法使いは... [続きを読む]
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- 2007/05/16 18:31アーリンの章 9
- オ−マの村を出てからふた月が経過しようとしていた。南のボ−ミリア地方まであともう半分の地点まで到達していた。『ねぇ,母さん…最近キレイになった気がするんだけど…』『ひょっとして好きな人でも出来たの?』ア−リンがニコニコしながら尋ねてきた。『なに,おませな事言ってるの!お母さんをからかうもんじゃありません!』『は−い。ごめんなさい!』ペロっと舌を出してパタパタと去っていくア−リンの小さな背中を見ながら... [続きを読む]
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- 2007/05/15 21:07アーリンの章 8
- レントは37歳。ライザックの率いるこの隊では最年長の騎士であった。しかし剣の腕はライザックを遥かに上回り,おそらくランドスレイド騎士団の中でも五本の指に入っていた。相手はスフィラである。下手をすれば一個のパ−ティ−が全滅に追い込まれる程の力を有する。そのスフィラがレントを前に一歩も動けずにいた。『あなた。いい男ね。』何を思ったかスフィラは急に甘い声で囁いた。『さぁ。私をすきにしていいのよ…。』両の手... [続きを読む]
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- 2007/05/15 07:38アーリンの章 7
- 二人は気付かなかったのだが光球は出現していた。出現した場所が二人から離れていたために見過ごされてしまったのである。ア−リンの魔法の光は制御される事もなくフワフワと森の奥へと消えていった。夕食の後シ−マは小川で水浴びをしていた。月光の底で水面はキラキラと白く光っていた。シ−マは清らかな水の流れの中で身体を拭いながら,ふと自分の年齢の事を考えていた。28歳…。気付いたらこの歳になっていた。19歳でア−リンを... [続きを読む]
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- 2007/05/14 20:55アーリンの章 6
- 騎士団の中にエモという一人の若い魔術師が居た。ある夕刻,野営地のすぐ脇の小川にア−リンが水を汲みに行くと,エモが石の上に座って何かしら熱心に読んでいた。ア−リンに気付くと視線をあげ『おつかれさん。』と声をかけてきた。『エモさん,何を見てるんですか?』ア−リンはエモの手に握られている羊皮紙の巻物を見ながら尋ねた。『魔法の古文書さ。』途端にア−リンの視線は古文書にくぎづけになった。ユ−リニオンに住む者なら [続きを読む]
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- 2007/05/13 22:01アーリンの章 5
- シ−マ達 親子は心の底からくつろいでいた。ランドスレイドの騎士達は実に思慮深く思いやりがあり絶えず親子を気遣っていた。ア−リンとマシアの幼い二人は,街道を行くパ−ティ−と呼ばれる冒険者のグループをはじめて目の当たりにしていた。マシアはボルンという巨漢の騎士に,すれ違ったパ−ティ−の事を尋ねた。(マシアは彼に懐いていた)ボルンは嫌な顔一つせずマシアの質問に答えていく。『彼等は冒険者というんだ。』『冒険者... [続きを読む]
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- 2007/05/13 09:37アーリンの章 4
- 男は剣を拭い赤く血に染まった兜を脱ぐと『大丈夫か…?』と尋ねてきた。20代後半であろうか。色黒で精悍な男であった。『オレはライザック。ランドスレイドの騎士だ。』安堵のあまり地面にへたれこんだシ−マはぎこちなく笑顔を浮かべ『あ…ありがとうございます…助かりました。』と礼を述べた。あるいは,この出会いもまたシ−マの魔法の力が間一髪のところで働いたためかもしれない。ガヤガヤと森の奥から数人の男達が姿を現し... [続きを読む]
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- 2007/05/12 19:16アーリンの章 3
- こうして荒野を渡る旅が始まった。比較的安全だと思われる隊商道を親子は南下していた。しかし夜の荒野は亡者とモンスター達の世界である。隊商道とは言え危険である事に変わりはなかった。だが不思議と命に関わるような苦難は少なかった。それはシ−マ自身,遂に気付かなかったシ−マの隠れた魔法の力が働いていたためであった。シ−マの魔法の力は危険を察知し事前に回避するようシ−マの意識に絶えず働きかけていたのである。もし... [続きを読む]
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- 2007/05/11 19:38アーリンの章 2
- ボ−ミリアの地は今,春を迎えていた。肥沃な土地には様々な作物が実り,点在する牧場には牛や馬,羊達が悠々と生活している。ア−リンは弟のマシアと共に収穫の作業に追われていた。今年は近年稀に見る豊作の年であった。ア−リンは12歳。弟のマシアは7歳であった。『姉ちゃん,今年は大漁だね!』マシアが嬉しそうに話しかけてくる。ア−リンも笑顔で頷いた。ア−リン親子は遠い北の村からこの地にやって来た。正確に言えば逃げてき... [続きを読む]
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- 2007/05/10 22:48アーリンの章 1
- その年,北の山脈から吹く風は異様なまでに冷たかった。黒々とした空は陽の光を遮り,暗い未来を暗示しているようにも思えた。その世界はユ−リニオンと呼ばれていた。剣と魔法の論理が支配する世界。暗い地の底では死の王が,大空には竜の王が存在し,世界には様々な種族達が溢れていた。この物語は,後に【白き魔女】として世に知られ【精霊の主】フィノンによって滅ぼされる魔法使いア−リンを中心に語られる青春群像である。 ... [続きを読む]
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