|
- 2007/05/18 16:11第12話 ドアがひらいた。
- 旅の猫に道をおそわり、ついに飼い主の所にむかった。そこは隣町のハズレの、とてもちいさなアパートだった。「まるでダンボール箱みたいだ」 誰かがいった。「今度はボク達がおどかす番だね」そう言うと、みんな楽しそうにわらった。しぜんと足早になってドアをめざした。なつかしい匂いがボク達の鼻をくすぐりだした。チャイムを押した。ハイ、と返ってきたのはまぎれもなくあの声だった。いつもの足音が近づいてきた。カギをは [続きを読む]
|
- 2007/05/16 21:58第1話 ダンボール箱
- ある日突然、ダンボール箱に入れられてここに運ばれた。 最初はいつもの遊びだと思った。そう、ワクワクドキドキのかくれんぼだと。箱の中から首を出して、そ〜っと様子をうかがうと物かげから飼い主がワッと飛び出す。ボク達はビックリしてまた箱のなかに首をひっこめる。 あきるまで繰りかえした。楽しかった。でもその日は、いつもと少しだけちがっていた。 ................................................................ [続きを読む]
|
- 2007/05/16 17:57第6話 ボク達は・・・・・
- すぐさま顔役をたずねた。わけを話し、探すのを手伝ってくださいと頼んだ。「バカヤロウ!!」顔役はいきなり怒鳴った。 「いいか、おめえ達はな・・・」いったんためらうように言葉をきった。そしてボク達に背中を向けて、絞りだすようにいった。「おめえ達はな、捨てられたんだよ!!」うすうす分かっていた。でも誰も口にできなかった。怒鳴られて、ようやくはっきりと自覚できた。ボク達は・・・・・捨てられたその時から、や... [続きを読む]
|
- 2007/05/16 07:09第2話 雑草がゆれていた
- ずいぶん長いことフタを閉じられ、揺らされた。ボク達はいつもよりスリリングな状況にワクワクした。揺れがおさまっても、しばらくジッとしていた。それからそ〜っとフタを頭で押し上げてチョッピリ顔をのぞかせた。いつ飼い主が飛び出してくるかと胸をワクワクドキドキさせながら。・・・・・あれ?ここはどこだろ?知らない場所だった。雑草がゆれていた。 ... [続きを読む]
|
- 2007/05/15 08:42第3話 助けなきゃ!
- もう少し首をのばしてみた。飼い主は、いつまでたっても飛び出してこなかった。ちがうドキドキが、ボク達の胸にひびきはじめた。みんな箱から飛びだした。大声で飼い主を呼んだが返事はなかった。なにか良くないことがおこったに違いない。もしかして、ノラ犬のやつに追われているかもしれない。だとしたら、早く助けなきゃ!みんな耳をピンと張り、毛をさかだてた。鳴き続けながら、探しまわった。 鳴きつかれ、探しつかれて、段... [続きを読む]
|
|
|
- 2007/05/14 16:03第4話 限界
- 翌日も、朝から周辺を探しまわった。あせりと不安は増すばかりなのに、動きはにぶかった。 みんなお腹がすいていた。もうまる一日、なにも口にしていなかった。もしかして、どこかに食べ物が落ちていないだろうか?飼い主探しに、食べ物を探す作業がくわわった。だけど、どこにも食べられる物なんて落ちちゃいなかった。川の水ばかり飲んだ。 それでも空腹は満たされなかった。限界だった。ついに盗みをした。いけないことだって... [続きを読む]
|
- 2007/05/13 17:16第5話 誰もいなかった
- ひもじさが少しおさまると、冷静さが戻ってきた。もしかしたら、急用で帰宅したのかもしれない。ボク達はカンを頼りに家にたどりついた。足早に勝手口に向かった。ドアの前まで行くと、かすかになつかしい匂いを感じた。でもドアにはカギがかけられていた。勝手口だけでなく、出入口すべてにカギがかかっていた。そして、誰もいなかった。家のまわりはなぜかきれいに片付けられていた。もうどこも探すあてはなかった。そこで、ま... [続きを読む]
|
- 2007/05/11 18:41第7話 ギャング集団
- ボク達は日ましに、ノラ猫のギャング集団になっていった。肩をいからせて、街をウロつき歩いた。 ?盗みは日常茶飯事だった。 ?酒もギャンブルもおぼえた。 ? ?あれほど好きだったダンボール箱なのに見つけるとズタズタに引き裂いた。 ? そうせずにはいられなかった。そんなある日。 ... [続きを読む]
|
- 2007/05/11 12:51第8話 ときが、止まった
- ボク達は、チンピラ仲間とともに港にいた。いつものように、漁師を取りかこんでいた。獲物があがったら、おどしとるためだ。 そこにいっぴきの大きな猫が、ゆっくりと近づいてきた。飼い主を探していた頃に知りあった、旅の猫だった。彼はボク達の前でたちどまり、物静かに言った。「他にすること、無いのか?」 ?「ハァ?」チンピラ猫が、すっとんきょうな声をあげた。 それには目もくれず、落ちついた声でこう続けた。「きみ達... [続きを読む]
|
- 2007/05/10 20:29第9話 その日から始まった
- しばらくして、誰かがつぶやくように言った。「もうどうでもいいさ。ボク達は捨てられたんだ」旅の猫が言った。「今はきみ達が捨てているよ。自分自身をね」みんなハッとした。そのとおりだった・・・そのままトボトボとねぐらに戻った。みんな無言でうなだれ、うずくまっていた。それぞれが、なにか考えているふうにもみえた。 そのうち誰からともなく話しはじめた。「どうして捨てられたんだろうって、時々考えてた」「じつはボ... [続きを読む]
|
- 2007/05/08 21:05第10話 アルバイト
- どんな仕事でも手当たりしだいチャレンジした。けっこう大変なときもあった。マッサージは猫背の客が多くてキツかった。 調理場でひたすらウドンをこねた。 ショウジ貼りは手間がかかるものだと知った。もう破るのはよそう。 電話番はラクチン。ネコなで声はお手のものだ。 運転代行にも挑戦した。左ハンドル車は不慣れでこわかった。??自動車修理。クルマの下はなぜか落ち着く。 オペレーター。マウスの扱いがうまいとほめられ... [続きを読む]
|