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- 2007/08/10 21:54第59話「手術室のランプが消える時」
- 僕に続いて弟も実家に到着し、妹と父との4人がそろった。僕らは父の車で病院に向かう。ちょっと母の顔を見るのが不安だったのだが、病院に着くと、母は思ったより元気そうに見えた。「…おや、みんなよくきてくれたね。ホントに参ったよ。この私が手術だなんてねぇ…」「…あのさ、お腹…痛むの?」「…う〜ん。そんなに痛くもないんだけどさぁ。鈍感なのかなぁ」「痛みがないほうがいいじゃん…まあ、切られるのは痛いんだろ... [続きを読む]
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- 2007/08/08 21:47第58話「緊急帰省…母の身に何が?」
- さて、なんとか取材や原稿書きも少しはこなせるレベルになっていた僕。かつてゴウさんや佐渡さんたちが一時代を築いた「アゴラ」という若者雑誌のセックス特集は、若手の安生さんと僕のコンビに引き継がれることになった。セックス特集は、想像していたより、はるかにきつい作業なのである。まず、企画を練り上げてページ構成をきっちり立てなくてはいけない。毎回ネタを考えるのがひと苦労なのだ。毎号「クリトリス愛撫特集」「... [続きを読む]
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- 2007/08/06 22:01第57話「地震後の惨劇」
- モデル兼任で編集・ライターの修業を積んでいた僕。相変わらず、仕事の半分以上はエッチ系の雑誌であり、もう僕は女性のヌードを見てもなんとも思わなくなってきた。何しろ、日常的に職場で見る写真の7割は女性のハダカ…ハダカ…またハダカ…もういい加減に飽きてします。ほとんどのスタッフは同じ心境だったと思う。もはやパン工場にとっての小麦粉に似たようなものである。(…そう考えるとあの社長はやっぱりすごいなぁ…こ... [続きを読む]
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- 2007/08/03 23:35第56話「15連敗の伝説」
- 結局弟は一浪した甲斐なく、再び5連敗を記録。前年から続く連敗を10に伸ばして、実家に連れ戻された。僕はようやくひとりになれたものの、キッチン暮らしの不快さは相変わらずであった。弟は2浪目は予備校も辞めさせられ、宅浪となった。一度電話を入れてみたところ、「…どうだ。少しは勉強してるか。あまり親不孝をするなよ」「…まあ、とにかく毎日走っているから…」だから、体は鍛えなくていいって。鍛えるべきは頭だろう... [続きを読む]
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- 2007/08/03 21:29第55話「クッキング愚弟」
- 僕は社会人になってからも、以前と同じ6畳のアパートで暮らしいたが、実はこの頃、想わぬことで引っ越しをするハメになる。というのも、弟が都内の予備校に通うために上京することとなり、図らずも僕と同居することになってしまったからだ。世の中には“愚弟”という言葉があるが、まさに弟は正真正銘のバカなのだ。もちろん、謙遜でもなんでもない。たとえば、彼が高校3年の正月のこと。帰省した僕が実家で寝ていたところ、妙... [続きを読む]
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- 2007/07/31 23:24第54話「雪が舞うから淫行罪?」
- ミミちゃんが実は16歳と聞いて、さすがの僕も困ってしまった…。20歳を過ぎてからは、未成年者は守備範囲外である。ましてや16歳。考えてみれば当時の僕とは6学年違うだけなのだが、だから抵抗ないということにはならない。実は「スナック銀河」時代にも、ませた高校生からラブレターをもらったことがあったのだが、さすがに相手にはできなかった。18歳でも少し抵抗があったのに…。とにかく、気持ちが一気に引いていったことは... [続きを読む]
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- 2007/07/27 22:58第53話「危険なEカップ」
- 渋谷のテレクラでは、女子高生と、たまに社会人の女性からもかかってくる。デパートガールなどもいた。休日にも出動して、新宿、六本木、新大久保のテレクラにも出かけた。OLさん、店員、ホステス、人妻…非常に多くの女性と話した。なかには中学生までいたし、明らかに男からのイタズラ電話もあった。ただ、なかなかデートには持ち込むことができなかった。中学生のコなどは、よく自宅に電話をくれたりもしたが、さすがにこっち... [続きを読む]
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- 2007/07/26 23:14第52話「テレクラ通い」
- フーゾク関係には非常に疎かった若き日の僕。なかでもテレクラというのは、まったくピンとこない業種であった。それもそのはずで、80年代半ばではまだ黎明期だったのだ。当時の認識としては、欲求不満の人妻を相手に、個室でテレホンセックスをする場所…というイメージを抱いていたのだが、どうも実態はだいぶ異なるらしい。まずはひとりで事前取材ということで、編集部から紹介のあった渋谷の某店に出かけてみた。店長に挨拶... [続きを読む]
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- 2007/07/25 20:47第51話「人命に関わる仕事」
- 以前、ソープランド取材に無理矢理同行して周囲を唖然とさせた、ユリコ。つまりは、僕の彼女なのであるが、僕がコスモ企画に入社した当時、彼女は1学年下だったので、まだ学生で演劇を続けていた。向こうはまあ時間もそれなりにあるのだが、肝心の僕はあまりにも忙しい毎日を送っていた。だから、デートなどもまったくできず、たまに会ってもロクすっぽ時間が取れないので、僕は非常に弱い立場にあったのである。基本的には終... [続きを読む]
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- 2007/07/24 21:41第50話「100万部雑誌の恐怖」
- 新橋のオトナのおもちゃ屋で借りてきた“女装セット”を持ったまま、佐渡さんの後に続いて僕は会議室に入った。そこにはあるべきはずのイスやテーブルが片付けられ、臨時の簡易スタジオと化していた。カメラマンとヌードモデルらしき女性も待機している。どうやら撮影が始まる様子である。僕に撮影の手伝いをさせようというのだろうか。ただ“女装セット”なのに、女性モデルがきているのがちょっと変であった。「ええとね。ま... [続きを読む]
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- 2007/07/23 20:03第49話「筆圧王の怖ろしい罠」
- 取材デビューはなんとか無事に済んだ僕だが、ライターへの道はまだまだである。もともと僕は“モデルあがり”だったため、当初はモデル役としても起用されることも多かった。僕が入る以前は、最年少で見た目だけ普通な谷クンが主に活躍していたようだったが、当面は、彼の分も僕が頑張るしかなかった。そしてある日、いつものように資料室にこもっていた僕は、とても“イタい”写真を発見してしまったのだ。それは当時売上げを... [続きを読む]
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- 2007/07/20 21:17第48話「怪しい初取材」
- 社長の書いたコラムのタイトルは『名器は変幻自在』といった。まあ、女性器に関する超マニアックな偏執的な内容で、エッチとかエロという内容を超越したものだった。男が読んでも嫌らし過ぎて気持ちが悪くなってしまう…ある意味すごくパワフルなのであるが…正直閉口させられた。「な、なんというエッチな人なのだろう…恐れ入った」 これよりずっと後になって判明したのだが、実はこの社長は過去に公然わいせつ罪で摘発を受... [続きを読む]
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- 2007/07/18 23:41第47話「エロ過ぎたコラム」
- 9月1日朝10時。時間通りに僕はコスモ企画に初出社した。その日はたまたま朝イチで定例のミーティングがあり、その場で僕は全スタッフに紹介されたのだ。まずウルタ社長が、僕を全員に紹介してくれた。僕は立ち上がって一例し、大きな声で「甲斐です。宜しくお願いします」と挨拶を交わした。「甲斐君は編集の経験はないが、なかなかガッツを持っている。何人か知っている人間もいるようだが、よろしく頼むぞ。じゃ、ひとりずつ... [続きを読む]
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- 2007/07/11 22:48第46話「採用決定!」
- コワモテ社長の言葉に怯むことなく、僕はきっぱりと言った。「ハイ。厳しい世界であることは私の想像の域を超えているかもしれません。ただ、私は演劇に取り組みながら、毎日深夜4時まで酒場で働き始発に乗って帰る日々をずっと続けてきました。同級生たちが海やスキーに出かける間も、ひたすら稽古場とバイト先を往復するだけでした。毎日酒場で、ゲロ掃除やケンカの仲裁にあけくれ、時にはヤクザ相手に震え上がったこともあり [続きを読む]
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- 2007/07/09 22:39第45話「面接に賭けろ!」
- スナック銀河を退店してから、その後しばらく僕は、抜け殻のように過ごした。求人誌を片手に近所の公園をブラブラしたり、あてもなく…。公園のベンチに寝そべって、流れる雲をず〜っと眺めたりもした。それまで、昼はずっと稽古場に閉じこもり、夜は店に出て朝まで働く日々を何年も過ごしていたので、こんなのんびりした時間は、本当に貴重だったのだが、不安のほうが大きく、愉快な気持ちにはなれなかった。(…オレの人生って... [続きを読む]
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- 2007/07/04 16:35第44話「サヨナラ銀河」
- 「いや〜トシ君。寂しくなるよ〜」「スイマセン。今までありがとうございます」僕が銀河で働くのも今日で最後になる。嬉しいことに、噂を聞いた大勢の常連さんが集まってくれた。あの幼稚園の先生、ユカもいた。僕の公演に来てくれた、大学生4人組は特大の花束をくれた。うらやましいくらい仲のいいカップル、堤さんと文香さんもプレゼントをくれた。「この人に頼んだら、こんなのを買ってきちゃってゴメンね」と手渡されたのは... [続きを読む]
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- 2007/07/03 23:05第43話「深夜のドライブ」
- 僕はゴウさんの車の中で、あらためてMプロで見学したこと、永山さんと話したことをひと通り報告した…。ゴウさんはそのことに関しては時折相づちをうつなどして、静かに聞いていた。ゴウさんのシビックは武蔵野市内を抜けて、三鷹市の周辺を走っていく。「おお、ここが野川公園だよ。学生の頃はよく来てたなぁ…芝生が気持ちよくてねぇ」などと、時々学生時代の思い出などを聞かせてくれたゴウさん。やがて、僕らは一軒のファミ... [続きを読む]
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- 2007/07/02 21:34第42話「女優たちの勧誘」
- 稽古の後、僕はバーガーショップで永山さんからじっくりと話を聞くことができた。僕も大学でやっていた舞台の話などをしたりして…。永山さんは少し影のある二枚目という雰囲気の人で、なかなか魅力的である。だが、彼も役者として大変苦労している様子だった。「芝居の仕事の関係で、できるバイトって限られるからね。オレも何度職を変わったかわからない…。今は大森にあるビジネスホテルでやっているんだ。オレは今26歳だけど... [続きを読む]
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- 2007/06/29 23:53第41話「俳優養成所一日入門」
- 演劇に青春を賭けた僕の夢…。しかし、夢を形にする段階にきて、僕の中には迷いが生じていたのだった。そして、そんな逡巡を僕はそのままゴウさんたちに正直に打ち明けた。やがて、それまでじっと無言で耳を傾けていたGさんが、少し顔を赤らめつつ、ゆっくりと口を開いたのだった。「…オレは二浪してやっと大学に入ったクチなんでね。学校を中退するってのは結構大変なことだと思うよ。それと引き替えにして君は演劇に打ち込ん... [続きを読む]
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- 2007/06/29 12:16第40話「ユリコ仁王立ち」
- ルビーさんにひとりずつ自己紹介をしたが、さすがにユリコがいると雰囲気が変である。彼女もそんな空気を察したようで、「中は狭いようだし、私はここでいいです」と、自ら廊下で待機することを申し出た。少しホッとはするものの、壁の向こうで彼女が立っているというだけで、僕には十分強大なプレッシャーである。個室内にライトを設置すると、まずは彼女だけの写真を撮影することになった。自然な微笑み方など、なかなか撮影慣れ [続きを読む]
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- 2007/06/28 23:26第39話「いまだかつてない吉原体験」
- 「もしもし、コスモ企画のゴウと言いますが、明日モデルのバイトをお願いしたいんですよ。吉原のソープランドへ取材に行くんですが、とは言っても、実際のサービスを受けてもらうわけじゃないんだけど…」というわけで、ソープランド取材のモデル役をやることになった僕。電話を切った直後、心に何かひっかかるものがあった。実は、翌日はユリコとデートの約束をしていたのである。この電話を受けた時間がもう深夜、実家住まいの... [続きを読む]
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- 2007/06/26 19:59第38話「燃えろ!アタック」
- 閉店後の片付けを終え、始発を待つ間、みんなはコウちゃんをネタにして盛り上がっていた。ある常連さんで、奇特にもコウちゃんファンの女性がおり、江藤さんたちがくっつけようとしているらしかった。「コウちゃん。あのコならいけるよ、アタックしろって!」「いやあ、あのコは…オレはちょっとカンベン…」「贅沢言うなよ…コウちゃん、あのコのどこがダメなのよ。いいコじゃん。顔だってまずまずのレベルじゃないの」「いや、... [続きを読む]
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- 2007/06/22 23:18第37話「ママ・ドント・クライ」
- その日は土曜日だったので、店は盛況だった。僕はかなり疲れていつものように始発電車でアパートに帰り、ドロのように眠った。…目が覚めると、目の前に母の顔があった。ちなみに、自分ではあまりわからないが、僕の顔は母親にそっくりらしい。遊びに来た高校の友人などは、母の顔を見るなり、笑いをこらえていたほどである。そんな僕そっくりの顔を、久しぶりに見た。「やっと起きたか〜。よく寝てたなぁ。しかし、まあ、よく散... [続きを読む]
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- 2007/06/21 15:25第36話「行き止まりの街」
- 芸能プロダクションで僕を面接してくれたのは、M大OBの人だった。何度か話すうちに、彼は僕にマネージャーの仕事を丁寧に説明してくれ、僕の気持ちは傾いた。確かに、就職すれば俳優の夢を捨てることになるのだし、芸能界で裏方として働くということが、はっきりイメージできたわけではない。それでも、だんだん僕の中でヤル気も芽生えてきたのだった。彼らも熱心に誘ってくれた。しかし、突然先方から“不採用”の通知が一方的 [続きを読む]
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- 2007/06/20 16:41第35話「野獣死すべし」
- 緒方さんとの、抜け殻のようになった撮影の後、また男性誌の仕事があった。この本は当時“FF戦争”などといって、勢いがあった写真週刊誌のパロディという形態をとっているが、実質「エロ雑誌」に近いモノだ。誌名も「ピンクフォーカス」と言う情けないものである。担当は別の男性ライターだった。前回に比べれば実にお手軽である。1カットだけなので実質30分で終わりだ。コストパフォーマンスは抜群ではあるものの、僕はつま... [続きを読む]
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