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- 2008/08/14 16:37おしらせ 8/14 2008
- いつもご訪問してくださる方も、今回はじめて「シャルハ」に迷いこんで来てしまった方も、暑い中のご訪問、どうもありがとうございます。本日、「名もないふたり編」が完結しました。昨年の初夏から掲載を続け、約一年あまりの連載中、たくさんの方にお世話になり、ご迷惑をかけ、無事終了することとなりました。本当にありがとうございました。「シャルハの大地」は、この後、第二巻:「ボロルマとアンヒーフ編」、 ... [続きを読む]
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- 2008/08/07 22:28serial№080 最後の子「終章:終焉の歌」
- 旅立つふたりを見送る。姿が森の奥に消え、エルムとハルは家の中に戻ったが、剣の聖女と私は、言葉を交わさず、ただ東に広がる森を眺めていた。柔らかい風がそよぎ、空の高いところで告天子鳥(ひばり)がさえずっている。ソルと出会った冬から、数年が過ぎていた。随分と短い時間の中で、いろいろなことが起こった。イニの民がこの地で培ってきた年月の中で、もっとも変化の激しい時間。イニの最後の者として、親や村長の ... [続きを読む]
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- 2008/08/01 00:00第九章:月の王
- 霧が、薄れた。白き光を放つ円柱の結界の中がみるみるうちに透き通り、光の粒子が「さふぁん」と音を立て柔らかな波のようにふたりの竜のもとに押し寄せた。結界を保つ体制を崩さず、その中心に目を凝らすと、…血まみれの人影が横たわっている。「ティスア!!」「セラ、ちょっと待った!術者が動いたら結界の基礎がずれる」あわてて駆け寄ろうとするセラを制し、若き緑竜がひとり結界の中に足を踏み入れた。緑竜(リィム)―― ... [続きを読む]
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- 2008/07/31 21:30serial№:078 ソル「家族」
- あわただしく旅の準備をし、気づけば明日は出立、という具合だった。女性の寝間に入るのはどうかと思ったが、夜、看病をしてた頃の習慣でスーリーンの様子を見に行く。とても安らかな顔で寝ていた。救い出してきた頃とは、全く違う。寝具からはみ出た足先をそっと触れると、ほんのり温かかった。氷のように冷たかった、あの時とは違う。「――んん、…そる?」「あ…、ええと、…すまない、起こしてしまった」「うう、…ん」 ... [続きを読む]
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- 2008/07/27 15:00外伝【竜の齢】〜もくじ
- 下記は2008年8月1日〜8月31日まで、期間限定で掲載する小説です。(リンクが作動可能になるのは8月1日午前0時からです)石和が某出版社の公募に応募し、一次にも引っかからなかった超問題作です。舞台はシャルハの世界ですが、ソルやスーが生まれるかなり前の時代で、“名もないふたり”に登場する晶竜・ランキの両親の馴れ初めのお話でもあります。(ついでを言えば、シャルハの裏番長ラティルトと赤竜のアネゴ ... [続きを読む]
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- 2008/07/24 04:24serial№077 最後の子「つがい」
- カガが去ってから、私はソルとクラドの出立の準備を手伝うのに大忙しだった。何ヶ月も馬を走らせるのだから馬具の手入れも念入りにしなきゃいけないし、途中いつでも運よく“物を交換するひと(ソリルツォフ)”たちに遭遇するとは限らないから、今のうちに換金しておかないといけない。ぱたぱたと小さな家の中を走り回って支度をする私をみて、ハルワーチが笑った。「スーってさ、忙しそうにしてるほうが元気そうですよね」「そ ... [続きを読む]
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- 2008/07/17 21:32serial№076 ソル「理由」
- 出立は、三日後と決まった。急ではあったが、夏のうちに立てば、来年の春が訪れるまでには帰って来られる。「じゃあ、三日後に見送りに来るわね?」そう言いながら、スーリーンに包んでもらった揚げ菓子の包みを幸せそうに抱え、剣の聖女カガは丘を下り、去っていく。森にその姿が消えたのを、俺はぼうっとしながら見ていた。薬師の親子はまた建てかけの家に戻ってしまい、クラドは森に食料を調達しに行ってしまった(剣の聖 ... [続きを読む]
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- 2008/07/10 22:12serial№075 ソル「人間の砦」
- 「俺は、砦を作りたい」するりと、その言葉が出てきた。このシャルハを旅して思ってきたこと、スーリーンを失いそうになって思ったこと。これが、今の俺の望みだった。「人間や、戦う力のない者が避難出来て、安らげる居場所を作りたい。文字通りの城のような砦でなく、人の心のより所となる砦だ。…だた、かくまうのではなくて、外敵から身を守る方法を身につけたり、生活の糧を得られるように働けるような場所だ。外の世 ... [続きを読む]
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- 2008/07/03 22:04serial№073 ソル「こたえ 2」
- 「…ソル、すまんなあ。面倒なのを連れてきてしまって」丘を下って、薬師の親子を呼びに行く際、クラドは情けない声で俺に詫びた。いや、と言って苦笑を返す。…クラドが連れてこなくても、遅かれ早かれ、こういう事になるような気はしていた。俺に発破をかけに来た人物が、スーリーンに危害を及ぼすような禍々しい者で無かっただけまだましというものだ…。建てかけの家で様子を窺っていたエルムとハルワーチは複雑そうな顔を ... [続きを読む]
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- 2008/06/26 22:06serial?072最後の子「こたえ」
- 小さな家に訪れた美しい客人は、家の中に入り、世界樹の飲み物を目にした瞬間、うっと言葉を詰まらせ、うれしさのあまり、みるみるうちに顔を高潮させた。隣にいた私の腕を掴むやいなや、小さな子どもみたいに、こしょこしょと耳元で囁く。「ランキね?」「ええ、彼が、あなたの、大好物だと、言って、いたから。大昔、人間を助けてくれたのに、ずっと、投獄されて、いたんですもの。…これくらいは、お礼を、させて」「悪か ... [続きを読む]
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- 2008/06/19 22:02serial?071 最後の子「予兆」
- あの悪夢から帰還して、数日が経っていた。目覚めたときは、あれはただの夢だったんじゃないかといぶかしんだが、左手に残った痣と握っていた水晶の欠片が現実のことだったのだと物語る。人間の私には鍛冶聖との契約の呪印は負担になるらしく、微熱を出し床に伏せっていた。正直にいうと起きて仕事をしたかったが、例に漏れずソルが「寝ているべき」と言って寝室を出してくれなかった。古い硝子窓から、柔らかい光が寝室に ... [続きを読む]
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- 2008/06/12 21:41serial?070 最後の子「猶予」
- 震える声で交渉しようとする私を、ラティルトはただ胡散臭そうに見下ろしていた。ランキ――晶竜は、その端正な顔を強張らせて私を諭す。「人の子、そんなことをしても妖仙王の養子御の心を傷つけるだけだ。…己の大切なものが、その身を犠牲にして盾になることを人は単純に喜べないだろう」それに、と竜は続ける。「彼の存在は貴女(あなた)にとって救いだった。しかし、ソル(陽の光を放つ者)にとっても、貴方はやっと現れた生 ... [続きを読む]
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- 2008/06/05 21:31serial?069 最後の子「魅入られし者」
- 壁を撫でながら、ラティルトは私に目をむけ、苦々しく笑った。「ランキがいなきゃ、スーリーンを今すぐにでも俺の剣の核にしてやってもいいんだが……」その言葉に、晶竜(ボロル)はその美しい顔を歪める。「…ラティルト。人の守護者・竜族の前でそのような言葉を発するか。いい度胸だ」「ああ。本当に惜しい。久しぶりに、いい剣が作れそうなのに……。いいか、ランキ。いい剣を作れるか作れないかは職人にとって、物凄い重要な ... [続きを読む]
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- 2008/05/29 21:54serial?068 最後の子「拒絶の防壁」
- 私は必至に思い出す。私が作ったことのあるもの。料理、身の回りにある指物(こもの)、機で織った織物、衣……。そんな、戦いには無縁のものばかりだ。本当にそうか?…本当に、そうか?砂塵巻き起こる戦場に走り寄る。策なんて、考えてない。焦る。――焦る。思い出せ。思い出せ……!!ふと、心に浮かんだのは――。ソルに仕立てた、あの衣のことだった。ソルは、言った。――この色、目を閉じたときの闇の色に似てる ... [続きを読む]
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- 2008/05/22 21:40serial?067 最後の子「咆哮」
- 竜晶は速度を出して、ある程度、追っ“手”との距離をとり、砂が盛り上がった丘にラティルトと私を降ろす。遠くから、あの手が追ってくるのが分かる。私は奥歯を噛み締め、それに臨んだ。いざとなったら私を連れて逃げられるように、後ろではラティルトと晶竜(ボロル)が待機している。「いいか、スーリーン。ここは夢の世界。つまり仮想の現実だ。シャルハであって、シャルハでない。異世界に属しているわけでもないが、シャ ... [続きを読む]
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- 2008/05/15 22:25serial?066 最後の子「夢の訪問者 2」
- 男は走り続ける私に、目をきっちり閉じ、深呼吸をするよう指示を出す。つぶされたような肺で、深呼吸など不可能に思えたが、……目を閉じて息をしてみると、驚くほど肺に空気が入ってくるのが分かった。男は囁くように、何か呪文を唱えている。ソルが唱える美しい響きの妖仙語の呪文とは違っていて、尖ったような、咽喉の奥から巧みに空気を操って出すような、奇妙な言葉だった。ああ、この人、人間じゃない。なぜか、そう ... [続きを読む]
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- 2008/05/08 23:12番外編:著作権について
- 小説を書き始めて、いつか調べよう…と先延ばしにしていた「著作権」について調べてみました。石和の個人的な考えも書いてあります。◆ 「著作物(works)」って何? ◆◇ 広辞苑(第五版)での定義↓ ◇著作者が著作したもの著作権法では、文芸、学術に関する著述のほか、音楽・絵画・彫刻・建築・写真などの作品を含む。(=著作権を主張できる人、つまり私たちによって作られたもの全般、の意と解釈していいかと…)。 ... [続きを読む]
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- 2008/05/01 22:11間章?‐?最後の子「手紙」
- その手紙が届いたのは、暗森(くらもり)が初夏を迎えた頃だった。ソルの大切な防具と交換して得た家畜たちは、沢山のかわいらしい赤ちゃんを産み、畑の作物はぐんぐんと育つ。毎日が忙しくて、くたくたに疲れてしまうのだけど、きらきらと輝く命が育つのを目の当たりに出来るのはすばらしいこと…。あの、恐ろしい世界から戻ってこられた分、それが以前よりも尊く、愛おしく感じられた。この一見単調に思える毎日でさえ、尊い ... [続きを読む]
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- 2008/04/29 18:272回目の雑誌投稿
- いつも来てくださる方、ふらりとこのページに遊びに来てくださった方、どうもご訪問をありがとうございます!さて、明日、小説の投稿を再開して、2回目の投稿を行う予定です。今回も、集○社さん。20字×20字のフォーマットが100ページ程度の中編です。受賞の発表は11月だそうです。いつも思うのですが、毎回、自分の子どもを送り出すような気分です…。きっと私の母も、私をモンゴルへ送り出すとき、こん ... [続きを読む]
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- 2008/04/24 22:49第?部 あとがき
- いつも読んでくださって、ありがとうございます。ひとり暮らしをはじめて、一年が経ちました。ひとり暮らしをしなかったら、小説を書こうなどというムボーな行動には出なかったでしょう…。ひとりになって、じっと考えることが多くなって、寂しい思いをしたり、転職したことを後悔したり、家族のありがたみを今更ながら再認識したり、「これから自分、どうなっちゃうんだろう…」なんて鬱々したり……。でも自分を内観する ... [続きを読む]
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- 2008/04/17 23:14ツーショット2
- 2008年4月にトップページに乗せた絵です。ひさびさに大きな紙(A4くらい)に描いたので緊張しました。下書きもろくに書かなかったから、よく見たら、体のバランス、ヘンです。ああああああ〜。とりあえず、白描でアップしてみました。師匠曰く「きみ、色彩感覚ないからねえ…」ですので、色を塗るのが恐いです。夜逃げ(←引越しのこと)したときにほとんど画材を処分しちゃったので、ただ今思案中。いつものごとく鉛筆→ ... [続きを読む]
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- 2008/04/10 22:57serial?060最後の子「心の平安の在り処(ありか)」
- ソルは毎晩、私が寝付くまでそばにいてくれる。その日も古い書物を読みながら寝台に腰掛けていた。私は、ソルの衣を仕立てていたときにふと湧き出た欲求を思い出し、赤面した。やっぱり、男の人の背中に触れたいなんて、恐ろしく不謹慎だ。私はどうかしている。「スー?どうした?」熱か?と言って、大きな手を額に置いてくれた。武器を扱うし、今は鋤や鍬も持つから、とてもごつごつしてる。本当は恐い。ソルは男の人だ ... [続きを読む]
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- 2008/04/04 19:43serial?059 最後の子「想いを織る」
- 私は一心に機(はた)を織る。ハルワーチが探してきてくれた糸を、冬の木々からもらった枝で染め上げる。媒染が上手くなかったのか、素材がよくなかったのか、私の腕が落ちたのか。何度も繰り返して染めた糸は、黒ともいえない、灰や藍や臙脂(えんじ)が入り混じったような、複雑で、なんとも愚鈍(ぐどん)な色だった。――私の色。そう自嘲せずにはいられない。それでも、それを織ってみる。機を織ること以外、何も考えない。 ... [続きを読む]
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- 2008/03/27 22:50serial?058 ソル「忘れられた子達」
- それを見たとき、天が自分を試しているように思えた。さあ、おまえはどうするのかと。地下都市の奴隷倉で、法願(ブグド)を使って彼女の身体を診た時、気の道がずたずたにされていたこと以外にも、気づいていたことがあった。思い過ごしだろうと、思った。その可能性がなかったとは言えないのに、考えなかった。…いや、どさくさに紛れて認めたくなかったのだ。咀嚼した柔らかい食べ物を口に流し込み、何とか彼女に食 ... [続きを読む]
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- 2008/03/21 20:02serial?057 ソル「機(はた)」
- 「何か、いい方法はないかねぇ」エルムがそう言った。スーリーンがひどく取り乱した数日後だった。自我が戻ってきたスーリーンは以前よりも痛々しかった。どこかで整理のつかない気持ちを鎮めようとしているのか、無意識に自分の身体をつねり、手を噛み、痣(あざ)を作ってしまう。体力がなく、すぐ力尽きてしまうので、家畜の世話や農作業で無理をさせられない。何か気を紛らわせるものがあれば、と思っていたとき、ハルワ ... [続きを読む]
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