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- 2008/08/16 10:19『ベガスの恋に勝つルール』の節度
- ジョイ(キャメロン・ディアス)のボス、バンガー(デニス・ファリナ)に招かれて保養所で過ごした二人には、もうお互いがひかれあっていることがわかっています。パーティーでファースト・ダンスさえ踊り、唇を重ねあう二人にはもう何の障害もないように見えるんですね。そのときのジョイといえば、見事にセットしたブロンドの髪、それにコーディネイトしたゴールドのチューブトップドレス。まあ、紳士でなくても男はみんな金髪が [続きを読む]
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- 2008/08/15 17:34『ダークナイト』、擬態との戯れ
- バットマン(クリスチャン・ベイル)が闇の騎士(Dark Knight)ならハーヴェイ・デント検事(アーロン・エッカート)は光の騎士(White Knight)です。二人はいわば表裏一体というわけで、だからでしょうか、ハーヴェイにはコイントスでものごとを決める癖があります。もっとも最初は「どちらも表」というコインを使用していて、そのあたりが彼が表=光の騎士たるゆえんなんでしょう。でもレイチェル(マギー・ギレンホール)を失... [続きを読む]
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- 2008/08/04 16:07『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』、パリの光
- 21世紀に多少なりとも映画に興味を持ちつつ生きていながら、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の作品を観ることがないというのは、一つの不幸だと思います。いや、逆の表現が正しいでしょうか。侯孝賢監督の作品を観るということは、一つの幸福を手に入れることだと。ただし、それは同時に一つの不幸を手にすることでもある、という条件つきなんですが。つまり僕たちは、たぶん、侯孝賢監督の作品を観てしまうことで、自分の不幸と... [続きを読む]
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- 2008/08/03 15:45『ハプニング』、シャマラン的家族再生の儀式。
- タイトルの『THE HAPPENING』は名詞ですから、出来事、事件というほどの意味です。でもこの場合、原義に戻り、現在進行形の名詞化で「起こりつつあること」と解釈する方が近いかも知れません。人々の周辺で、今起こりつつあること。何が起こりつつあるのかはわかりません。何しろ現在進行形ですから、登場人物たちにも、観ている僕たちにも、そしてたぶん監督自身にも、それはわからないわけです。人類は滅亡するのか?あるいは生... [続きを読む]
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- 2008/07/28 10:15『たみおのしあわせ』、男なら走るべし。
- この映画には、移動手段としての自家用車が出てきません。もちろん道路には車が走っていますし、移動シーンがないわけでもない。しかし登場人物たちが車に乗るシーンはないんです。彼らの移動手段はもっぱら自転車か徒歩、あるいは電車です。配達レディたちは毎朝自転車に乗って担当区域へ散っていき、民雄(オダギリジョー)と瞳(麻生久美子)は、小津監督の作品を思わせるような爽やかさでサイクリング・デートを楽しむ。配達レ... [続きを読む]
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- 2008/07/19 18:42『イースタン・プロミス』は「3」でアホになる。
- 『イースタン・プロミス』の人間関係は、「3」を基本ユニットに構成されています。たとえば、ロシアン・マフィアのボス、セミオン(アーミン・ミューラー=スタール)とその息子キリル(ヴァンサン・カッセル)と運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)の3人。看護士アンナ(ナオミ・ワッツ)と母ヘレン(シニード・キューザック)と伯父ステパン(イエジー・スコリモフスキー)の3人。会話の中でわかることですが、伯父ステ... [続きを読む]
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- 2008/07/15 20:09『近距離恋愛』、犬を愛する男
- トム(パトリック・デンプシー)は犬が大好きで、街角や立ちよった店の中で犬を見つけるたびに体中を撫で回してはキスをします。「女たらし」のトムがなぜ犬を好きなのかというと、たぶんその気になったときの女性の表情が、犬がエサを欲しがるときの顔に似ているからかも知れません。もちろん、そんな風に犬に喩えているのは僕ではなくてトム自身です。... [続きを読む]
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- 2008/07/12 17:13『告発のとき』の星条旗
- この映画の原題は『エラの谷で(IN THE VALLEY OF ELAH)』。旧約聖書サムエル記に由来し、ペリシテ軍とイスラエル軍とが対峙する中、巨人ゴリアテに少年ダビデが挑んだ地とされます。もともと『Death and Dishonor(死と不名誉)』と題されたルポを映画化するにあたり、ポール・ハギス監督がこのタイトルを選んだ理由は、「エラの谷」とイラク戦争を重ね合わせたからなんだそうです。なぜ若いアメリカ人を「エラの谷」に送りこむの... [続きを読む]
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- 2008/07/03 01:26『西の魔女が死んだ』、サチ・パーカーの陽だまり
- おばあちゃん(サチ・パーカー)が客を迎えるテーブルがあります。窓際の穏やかな日差しの中、桟の上にはおじいちゃんの写真と一輪挿し。おあばちゃんは来客があると、決まってこのテーブルについて、ハーブを浮かべたお茶を一緒に飲むんですね。彼女はまるでこの暖かい陽だまりのような人で、演じるサチ・パーカーにはハマり役と言っていいでしょう。もっとも、この映画が彼女のキャリアにとって幸福な作品と言えるかどうかはわか... [続きを読む]
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- 2008/06/26 10:24『ぐるりのこと。』のぺろりのこと。
- 夏目先輩(木村祐一)と一杯やって法廷画家の仕事を紹介され、カナオ(リリー・フランキー)が帰ってくる。すると浮気を疑った翔子(木村多江)が、マッサージ師に教えられた通り彼の手の甲をぺろり、と舐めるんですね。もちろんカナオからのお返しはなくて、そのままちょっとコミカルなやりとりを挿んで二人が夜の営みに入るまでを、カメラは長回しで見せてくれます。... [続きを読む]
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- 2008/06/25 08:14『山のあなた 徳市の恋』の慎み
- 最初にお断りしておきますが、僕はこの映画のオリジナルである清水宏監督の『按摩と女』(1938)を観ていません。ですから僕はこの『山のあなた 徳市の恋』を語る資格を半分以上欠いているわけですので、どうにか残りの半分のところでご容赦いただけないものかと思っています。... [続きを読む]
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- 2008/06/15 23:14『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、戻すということ。
- たとえばどうして三谷幸喜監督の『マジック・アワー』にあまり食指が動かされないかというと、決して退屈な思いをするだろうと思っているわけではなくて、観る前に自分が「たぶんこのあたりじゃなかろうか」と下した値踏みと、たぶんほぼ過不足のない作品に仕上がっているだろうからです。それがロン・ハワード監督なら、その都度上方あるいは下方に大きく値踏みが外れて、いったい本当に同じ監督が作品を撮っているのだろうかと疑... [続きを読む]
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- 2008/06/03 12:42『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』、与えられている男女のおとぎ話
- ちょっと破廉恥なパーティーからワシントンに戻ったチャーリー(トム・ハンクス)が、補佐のボニー(エイミー・アダムス)と会話しながら登院し、テレックスで届いたアフガン情勢に目を通します。そこですぐさま彼は、議会の承認を必要としない極秘予算から、アフガン対策費を倍にするよう指示する。... [続きを読む]
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- 2008/05/28 10:28シドニー・ポラック氏の死によせて
- シドニー・ポラック氏の最後の作品は、『フィクサー』ということになりました。この映画をプロデュースした彼は、主人公が所属する弁護士事務所の経営者役で出演してもいます。スクリーンではいたって元気そうに見えたのですが、実際はそうではなかったのでしょうか。... [続きを読む]
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- 2008/05/26 23:10『最高の人生の見つけ方』のエベレスト
- カーター(モーガン・フリーマン)とケンカ別れをして旅行から戻ったエドワード(ジャック・ニコルソン)が、会議の席で部下たちに突然「ダンテの『神曲』を読んだことがあるか?」と尋ねるシーンがあります。そこで僕たちは、この映画の構成が『神曲』を意識しているだろうことに気づきます。... [続きを読む]
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- 2008/05/13 11:43『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、男は黙ってツルハシ!
- 冒頭、荒涼とした西部の景色から、ツルハシを振り下ろすダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)の描写で映画は始まります。彼は自分が掘った穴を登り、降り、ツルハシを振る。ダイナマイトを仕掛け、首尾を確かめるためにはしごを降りようとしたとき、踏み板が外れてダニエルは転落してしまいます。それでも彼は、散乱する岩盤の破砕の中に鈍く光る金を見つけだし、仰向けに寝たまま地を這いずってその金屑を売りにい... [続きを読む]
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- 2008/05/08 17:17『フィクサー』、隠す女
- 『フィクサー』の見どころのひとつは、ティルダ・スウィントン演じるカレン・クラウダーでしょう。彼女は農薬会社の法務部本部長で、集団訴訟の担当者です。彼女に課された仕事は、農薬被害の実態を隠し、できれば集団訴訟に勝利すること。映画はこの薬害隠蔽をめぐって展開されます。... [続きを読む]
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- 2008/05/01 00:13『ランジェ公爵夫人』の海鳥
- モンリヴォー将軍(ギョーム・ドパルデュー)の求愛に、ランジェ公爵夫人(ジャンヌ・バリバール)は頑なに最後の一線を超えることを拒んでいます。二人の恋のゲームは何ヶ月もの間、同じような攻防を繰り返します。しかしモンリヴォー将軍に拉致され彼の隠れ家に連れこまれて、とうとうランジェ公爵夫人は彼のものとなる覚悟を吐露するんですね。相手の所有物となる、相手を我が物とする、恋ならではのエロティックな歓喜と恍惚が... [続きを読む]
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- 2008/04/15 21:44『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、帰る女と待つ男。
- 主人公のエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、自分を捨てた男の部屋の灯りを通りの反対から眺めながら、その通りを渡る勇気を持てないでいます。通りを真っ直ぐに渡ることができない彼女は、そこで、ちょっと「遠回り」をしようと旅に出ます。そんな彼女がどうやってその場所に帰還するのか。大ざっぱに言ってしまうと、この映画はそういう物語だということになります。... [続きを読む]
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- 2008/04/09 02:12『ノーカントリー』、疎外された主人公
- weekly? どころか monthly? の更新になってしまってます。とにかく体調がすぐれないのが原因なんですが、まあ、それは言いわけでしょうか。どうぞご容赦ください。... [続きを読む]
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- 2008/02/26 10:19『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の鏡と剃刀
- 年末からドタバタしていたせいで、2月も終わろうとする今になって、これが今年初めてのエントリーです。とにかくまあいろいろありました。様々なところで様々な人にご迷惑をかけ、それがようやく落ち着きつつあるところです。そんなわけで二ヶ月のブランクがあった拙ブログ、この間訪問していただいた方々には、新しい記事が一向にアップされず無駄足を運ばせることになった失礼をお詫びします。少しずつブログもペースを戻してい... [続きを読む]
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- 2007/12/20 23:16『眠れる美女』の老い
- 主人公のエドモンド(ヴァディム・グロウナ)は、いつも煙草を吸っています。でもその姿は、たとえば『勝手にしやがれ』(1959年、ジャン=リュック・ゴダール監督)のジャン=ポール・ベルモンドのカッコよさにはほど遠い。そこに「老い」があるんですね。確かに、彼が階段を昇る冒頭のシーンから、すでに彼が老いていることは明らかに見て取れるし、「眠れる美女の館」での最初の夜の、ベッドに横たわる少女のしなやかな指と、あち... [続きを読む]
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- 2007/12/14 00:11『エンジェル』の隠された視線
- 僕が『エンジェル』を観にいったのはシャーロット・ランプリングのため、と言ったら、フランソワ・オゾン監督に失礼でしょうか。でもそれほどに、思春期の頃に観た『愛の嵐』(1973年、リリアーナ・カヴァーニ監督)のシャーロットは鮮烈だったわけで、当時一緒に映画館に足を運んだ仲間は、みんな、映画よりも彼女にやられてしまったんですね。ダーク・ボガード扮する元ナチ党員の愛玩少女という役どころでした。... [続きを読む]
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