- 2008/05/16 16:12科学兵器―11
- 「攻撃の標的になりそうなところには、赤く記しをつけておいた。詳しい情報は、クリックすれば出てくる」ラウルから受け取ったメモリーチップをパソコンに読み込ませ、ファイルの中にあったマップを画面の上に出したレイナは、視線を上げるた。「ありがとう。お疲れ様。レオン、応接間にいるから」「分かった」笑みを見せたレイナに微笑み返したラウルは、執務室を出て行こうと踝を返す。「ラウル?」その背後に、レイナとセナの声 [続きを読む]
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- 2008/05/16 09:09君の願いと僕の願い―22
- 「だから、もうテニスは出来ないの」まるで、自分に言い聞かせるかのように、詩穂は言葉を紡ぐ。「ごめん……」「あ、いいよ別に。高校に入った頃からだから、もう慣れたよ」「詩穂!」その場に別の声が聞こえ、二人は顔を上げた。「おまえ、ずっと此処に居たのか!?」「お兄ちゃん?」キョトンとした表情を詩穂が浮かべ、進一は目の前に立っている長身の青年に、思わず目を見開く。注目の若手選手として、テニス雑誌などで何度も [続きを読む]
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- 2008/05/15 15:34科学兵器―10
- 「悪いが、俺にそういう趣味は無い」「勘違いするな。私にだって無い」ラウルが口の端を上げる。「冗談だ」だが、笑っていないその瞳で、彼は目の前の男の意図を探ろうとした。「貴様、何を企んでいる?」「おまえには、理解できない事さ」「ああ。理解しようとも思わないな」「そう警戒しないでくれないか? このプロジェクトは、政府から推薦されて進めている。その研究用の身体に、機械で作られたおまえが必要だ」「俺の身体デ [続きを読む]
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- 2008/05/15 09:20科学兵器―9
- 「姉ちゃん!」その場に響いた幼い声に、足を止めたレイナは振り返った。「あれ? 今日は、学校じゃないの?」通路を引き返しながら、レイナは軍本部のフロントまでやってくる。彼女を見上げたレオンが、その顔に嬉しそうな表情を浮かべながら、口を開いた。「今日はね、特別お休みなんだ。でも、父さんと母さんは仕事だから、チャンスだったわけ。兄ちゃんは?」「今、任務で外に出てるけど。あなた、此処までどうやって来たの? [続きを読む]
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- 2008/05/14 17:21科学兵器―8
- 「ふぅ……終わりっと」仕事を一つ片付け終わり、息をついたレイナはイスから立ち上がった。パソコンの電源を消し、ドアを開けた彼女は部屋の電気を落として外に出る。人の気配に視線を横に向けたレイナは、壁に寄りかかってこちらを見ているラウルと視線を合わせ、ビックリした表情を浮かべた。「ラウル、どうし――」彼女が言葉を言い終わる前に、ラウルに腕を引かれたレイナは自分が後にした執務室の中に連れ込まれる。「ラウル [続きを読む]
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- 2008/05/13 21:07君の願いと僕の願い―21
- バスを降りた進一は、冬の夜空を見上げて制服の上から着ているコートを羽織りなおした。部活の後、用事があって学校に残った彼は、結局帰るのがこんな時間になってしまった。家に向かって歩き出そうとした進一は、バス停から見える公園に、人影をあるのを視界に入れる。街灯に照らされている俯いた横顔は、見知っているものだ。足を公園へと向けた彼は、ベンチに座っている人影に近寄った。「筧?」ハッと顔を上げた彼女が、驚いた [続きを読む]
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- 2008/05/13 15:02科学兵器―7
- 「おはよう、ラウル」いつものように格納庫の監視ブースで、本を読みながらハレスを待っていたラウルは、入ってきた昨日の少女にチラッと視線を上げた。「おはよう」一応、返事を返したラウルは、字を目で追う作業に戻るが、カリンが隣にやってくると、頬に触れたやわらかい感触にハッと身を引く。丁度開いたドアからその様子を見ていたハレスが、彼女にあからさまに嫌そうな視線を送る。ラウルが鋭く少女を見据えると、小首を傾げ [続きを読む]
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- 2008/05/12 19:42科学兵器―6
- 「レイナ?」その場に響いた声に、我に返ったレイナが振り返る。駆け寄ってきたレンが、心配そうに彼女の顔を覗き込んだ。「どうかしたんですか?」「ううん。何でもない」「……泣きそうな顔してますけど?」「え? ……そんな顔してる?」半信半疑に目を細めたレイナは、いつの間にかちょっと見上げる形になったレンの、灰色の目を覗き返す。すると、こちらを小ばかにしたような笑みが、彼の顔に浮かんだ。「ふ〜ん。……やっぱ [続きを読む]
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- 2008/05/12 15:23君の願いと僕の願い―20
- 「筧、休みだな」隣の上矢の声に進一は、休み時間で活気付いている教師の中、廊下側の席に目をやる。朝、彼女の姿は教室に無かった。「あの後、病院に行ったのか?」「ああ。高沢と、筧のお母さんが連れて行ったみたいだ」「ふ〜ん……。でも、あんなに上手いのに、辛いだろうな。あの体じゃ、テニスは無理だろ?」「恐らくね」その場に崩れ落ちる詩穂の姿が目の前をちらつき、進一は目を伏せる。――何で、マネージャーなの?あの [続きを読む]
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- 2008/05/12 08:21コードネーム科学兵器―目次
- PHASE−1 PHASE−2 PHASE−3 PHASE−4 PHASE−5 PHASE−6 PHASE−7 PHASE−8 [続きを読む]
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- 2008/05/11 19:46科学兵器―5
- 「久しぶりに、あれやるか?」射撃訓練場に入りながら、ラウルがレイナに声をかけた。「いいよ。ハレスも――」「俺、パス」「……まだ、何も言ってないじゃない」「どうせ、勝負かなんかするんだろ? おまえら、ありえないからヤダ」「ありえないって……」「観客なら、喜んで引き受けるぜ?」納得しないような表情するレイナに、ラウルが拳銃を手渡す。「いいか?」「うん」このゲームは、元々小さい頃、ただ的を打つことに飽き [続きを読む]
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- 2008/05/09 17:31読者の皆様へ
- いつも、お立ち寄りいただき、ありがとうございます。今週は、試験期間でもないのに毎日テストで、その勉強のために更新ができず、続きを楽しみにしてくださっている方には、申し訳ありません。このテスト、普通のテストとは違ってSAC(School Assessed Coursework)って言うんですけど、大学に入るために必要なエンタースコアの半分は、この成績から成り立ってるので、気が抜けないんですよ。(苦笑日本と違って、受験でという [続きを読む]
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- 2008/05/05 07:00科学兵器―4
- 「レン、行くぞ」そんな彼を促し、ラウルはその場を去ろうとする。「え、ラウル?」「こいつらと喋ってると、おまえが汚染される」「おい、そこ! 勝手に行かない」ルカの声が、ラウルの背後を追った。「ねぇ」「うわっ!?」突然、その場に少女の声が響き、三人がビックリして声を上げる。振り向いたラウルとレンの視界に、クスクス笑っているレイナの姿が入った。「レイナぁ。おまえ、わざと気配消しただろ?」文句を言ったル... [続きを読む]
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- 2008/05/04 17:20君の願いと僕の願い―19
- 「なぁ、筧ってテニスできるのか?」「え?」西崎の声に、彼の視線を追った進一は、隣にある女テニのコートにラケットを持って立っている詩穂を目に居れ、驚いたような顔をした。「桜坂って、女テニのエースだろ? 幽霊部員らしいけど」「佑哉!」声のした方に顔を向けた二人は、こちらにかけてくる少女の姿を目に入れる。「お、由美。おまえ、部活はどうしたんだ?」「お願い、あの試合止めて!」「試合?」キョトンとする西崎の [続きを読む]
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- 2008/05/04 10:43君の願いと僕の願い―18
- 黒板に書かれた文字をノートに写しながら、詩穂は、ちらっと進一に視線をやった。あれから、彼とは一言も喋っていない。偶に、学校を休んだ時などは、宿題を家まで届けに来てくれてはいたのだが、翔や母親に渡してそのまま帰ってしまっていた。やっぱり、あの時のあの対応がまずかったのだろうか……。ため息をついた詩穂は、二たび手を動かし始めた。 「ねぇ」ジャージに着替えてあかねと一緒に部室から出た詩穂を、数人の少女た [続きを読む]
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- 2008/05/03 22:43君の願いと僕の願い―17
- 「ちょっとあんた、詩穂の事いじめてるんじゃないでしょうねぇ?」「あの、由美、喋ってただけだよ?」「ホントに?」いぶかしげに目を細めた由美が、進一を見下ろした。「なら、何でそんな泣きそうな顔してるのよ?」「してないよ」「してるわよ」「ごめん。今の質問、忘れて」一言言い置いた進一は、立ち上がる。「質問って、何?」由美に向けられた鋭い視線を、進一は真っ向から見返した。「何でマネージャーなのか、不思議に思 [続きを読む]
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- 2008/05/03 19:48科学兵器―3
- 「何なんだ、あいつ……」格納庫を横切りながら、ハレスがさっきの彼女を振り返りながら、怪訝そうに呟いた。「レイナのライバル出現?」「は?」「ま、勝ち目はねぇけど。おまえ、レイナにベタ惚れだもんな」「…………」「でも、気をつけろよ? 恋する乙女は怖いからな。三角関係って、結構しんどいぞ」「……何で、そう楽しそうなんだ?」「別に?」ハレスが、ニカッと悪戯っぽい笑みを浮かべた。「よぉ、二番隊」後ろから声が [続きを読む]
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- 2008/05/03 18:15君の願いと僕の願い―16
- 「それじゃあ、十分休憩」部員に休憩を入れた進一は、コートの外の芝生の上に座り、かばんを背もたれにしながら何かを書いている詩穂の姿を目にし、彼女のもとへと近寄った。たまに視線を上げ、女テニが練習しているコートに鋭い視線を向けている詩穂を見て、進一はふっと笑みを漏らす。「そこに居たら、宿題に集中できないんじゃない?」顔を上げた詩穂は、進一を見て笑みを浮かべた。「教室居ても、同じだもん。こっちの方が、気 [続きを読む]
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- 2008/05/02 16:20科学兵器―2
- 「セナ。あれ終わった?」「終わった」差し出された書類を見て、ポヤンとレイナが顔を上げた。「良く、あれで分かったね」悪戯っぽい笑みを浮かべたセナが、手にしている書類でレイナの頭を軽く叩く。「いったい何ヶ月、ここで君と缶詰状態にされてると思ってるんだ。いい加減、君の考えてることは、分かってきたよ」書類を受け取りながら、レイナは苦笑いを浮かべた。「そろそろ、任務行きたい?」「そうだな。でも残念だが、既... [続きを読む]
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- 2008/05/02 05:26君の願いと僕の願い―15
- 「はぁ……」腕の中にある、宿題の山を見て詩穂は思わずため息をつく。あの後、風邪をひいて寝込み、やっとの事で二回目の登校を出来た詩穂を待っていたのは、進んだ授業と宿題の数々だった。「筧」――由美は、彼氏とデートだし、あかねも委員会でいないし……。これ、一人でやれって、できるかぁ!?「筧」――大体、ろくに漢字も読めないのに、どうやって質問を理解しろって言うのよ?「筧?」――……あっちで、ちゃんと日本語 [続きを読む]
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- 2008/05/01 19:42科学兵器―1
- 『ほう、これが成功した身体か』『ええ。セルガが一緒に連れてきました』『でかしたな。この身体は、実験体に使える。ラウルが居た部屋に入れておけ』『はい』ニヤッと笑った男を、恐怖をたたえた色の違う二つの瞳が、見上げていた。 ベットの上で寝返りをうったレイナは、瞳を開けるとはぁっとため息をついた。サイドテーブルにおいてある時計は、既に十二時を過ぎている。ゆっくりと起き上がり、ランプの明かりをつけた彼女は、... [続きを読む]
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- 2008/05/01 11:08君の願いと僕の願い―14
- 「ここに置いとくよ」バックを片手に戻ってきた進一は、机に上に預かった宿題を置いた。「ありがとう」「筧、家に一人なの?」「うん。もうちょっとで、弟が帰ってくるけど」「弟居るんだ。親は?」「お父さんは、十時くらいに帰ってくるけど、お母さんは夜勤。二人とも、病院で働いてるから」「そっか。……借りるよ」「うん」机の上に置いてあったシャーペンを取り、進一は宿題のプリントの上に番号を書き始める。「腕、怪我し... [続きを読む]
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- 2008/04/30 20:07君の願いと僕の願い―13
- 『杉村』『はい?』『これ、悪いが筧に届けてくれないか?』『……筧ですか?』『ああ。家、隣だろ?』先週まで空き家だった隣の家。筧と書かれた表札を見て、進一は思わず苦笑いを浮かべる。――気がつかない俺も俺だな。門を開けて敷地内へと入り、進一はドアの横にあるベルを鳴らした。病院からの帰りなので、外はもう暗くなりかけている。数秒待っても反応が無く、彼はもう一度ベルを鳴らした。「いないのか?」踝を返そうとし [続きを読む]
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- 2008/04/29 20:00君の願いと僕の願い―12
- ――筧は、お休みか。担任が出席を取る声を聞きながら、教室の中に目を走らせた進一は、空っぽの廊下側の一番後ろの席を視界にいれ、心の中で呟いた。持っていた二つ折りの紙を空けた彼は、その上に書かれている内容を、もう一度読み返してみる。今朝、下駄箱に入っていたそれは、ボールを打つときのフォームの乱れから悪い癖まで、細かく書かれており、これを書いた匿名の誰かがかなりの観察力と、テニスの知識を持っていることを [続きを読む]
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- 2008/04/29 17:10君の願いと僕の願い―11
- 一年の指導をつけながら、進一は隣のコートで同じように指導をしている、彼女を見ていた。彼女の実力なら、コートの中で他の部員と一緒に練習していてもおかしくないはずだが、ラケットさえ持たず、ノートとペンを片手にコートの外から指示を出している彼女が不思議だ。「今度、聞いてみるか」呟いた進一は、自分の仕事に集中を戻す。結局、今日は一日中色々な人に囲まれていた彼女に、進一は話しかけることをしなかった。ただ、... [続きを読む]
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