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- 2008/06/22 22:27ヘンゼルとグレーテルの反省 29(森で生きてきた)
- 29(森で生きてきた)「わしの話を聞いてくれ」 自分に目を向けた村人たちに向かって、グレーテルの父さんはとつとつと語り始めました。「わしは、この子の父親です。木こりをしておりました。親父も木こりをして、おり、ました…」 そこまで言うと言葉がつまってしまい、父さんはしばらく無言のまま天を仰いでいました。でも、深呼吸をして息を整えると、またぽつりぽつりと話し出しました。「子どもの頃から… 親父について... [続きを読む]
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- 2008/06/20 23:00ヘンゼルとグレーテルの反省 28(馴染みのない思考法)
- 28(馴染みのない思考法) 観衆に向かって熱く語りかける森番を不思議そうな目で見ていた村人たちは、やがてこそこそとささやき始めました。「おれたちが村を運営する?」「どういうことだべ?」「領主様の代わりをやろうってことじゃねぇか?」「領主様の代わり?」 おののいた声が言い放ちます。「そんなこと、できるわけねぇ!」 隅の方でしょぼくれていた領主様はにわかに元気づき、大きくうなづいています。女たちは、... [続きを読む]
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- 2008/05/19 23:31ヘンゼルとグレーテルの反省 27(崩れ落ちた領主屋敷)
- 27(崩れ落ちた領主屋敷) グレーテルの悲鳴に手をとめた森番と観衆は、火刑柱に縛られているグレーテルに一斉に目を向けました。グレーテルは訴えます。「その人を殺したって、何の得にもならない。それよりも、今までみんなから取り上げた分をちゃんと返してもらいましょうよ。そして、これからは甘い汁なんか吸わせないで、その人にもしっかり働いてもらいましょうよ」 命拾いできそうなグレーテルの提案に、領主様は頭に手... [続きを読む]
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- 2008/05/08 23:17ヘンゼルとグレーテルの反省 26(反乱)
- 26(反乱) 火刑柱に縛られたグレーテルを睨みすえた領主様は、火種の松明を掲げ持って、積まれた薪の山ににじり寄っていきます。 一歩、また一歩と、松明を手にした領主様が近寄ってくるにつれて、それまで気丈な言葉を発していたグレーテルも、さすがに恐怖に顔がひきつり、もう声を出すこともできません。 とうとうグレーテルの足元にやってきた領主様は、ひときわ高く松明を掲げると、その炎の先に目をやって、勝ち誇った... [続きを読む]
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- 2008/04/26 23:11ヘンゼルとグレーテルの反省 25(火あぶりの刑)
- 25(火あぶりの刑) 領主屋敷に連れ戻されたグレーテルを待っていたのは、火あぶりの刑でした。領主屋敷の裏庭に直結した刑場に引き立てられて行くと、その広場には、刑を執り行う準備ができていました。 うず高く積み上げられた薪の中央に、三本の火刑柱が立てられていて、そのうちの二本には、すでに父さんとヘンゼルが縛りつけられていたのです。(父さん! ヘンゼル!) 二人の姿を見て、グレーテルは息をのみましたが、 [続きを読む]
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- 2008/04/12 22:29ヘンゼルとグレーテルの反省 24(追っ手に捕まる)
- 24(追っ手に捕まる) グレーテルに呼ばれて、粗末な小屋のような家に足を踏み入れた森番は、ますます疑いの気持ちを強くします。こんな家に使いきれないほどの金貨があるなんて、とても思えません。あちこちに蜘蛛の巣がはっている家の中を、不審な顔をして見回している森番に、グレーテルは声をかけました。「ここにあるのよ、森番さん」 グレーテルの後について森番が納戸に入ると、そこには、すすけた背負子や錆付いた斧が... [続きを読む]
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- 2008/04/08 22:22ヘンゼルとグレーテルの反省 23(藁の中のグレーテル)
- 23(藁の中のグレーテル) 藁の束のようになったグレーテルを抱え上げ、森番は納屋を出て行きます。出て行く森番を、それまでずっと押し黙っていた父さんが呼び止めました。「森番さん、お願ぇだ! 金貨のありかが分かったら、そいつを逃がしてやってくだせぇまし! 逃げ切って見つからなかったということにして、逃がしてやってくだせぇまし!」 父さんは床に額をこすりつけ、平伏して森番に頼みました。「なに言ってるの、 [続きを読む]
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- 2008/04/07 18:20ヘンゼルとグレーテルの反省 22(脱出作戦)
- 22(脱出作戦)「おまえが案内する? それは無理だ」 森番は顔をしかめて答えます。傍らで、やきもきしながら事の成り行きを見守っていた牢の番人も、うなづいています。「おまえは囚われの身だから、ここから出られない」 グレーテルは残念そうにうつむいて言いました。「それじゃ、金貨のありかを教えてあげられないね…」 森番はあせります。「口で説明すればいい! 森のことなら、だいたいわかる」「そうね、口で説明す... [続きを読む]
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- 2008/04/05 22:25ヘンゼルとグレーテルの反省 21(駆け引き)
- 21(駆け引き) 振り返った牢の番人は、完全に足を止めてグレーテルを見ています。燭台の灯りに照らし出されたその顔は、欲望に燃えていました。「父さん、あの金貨、牢番さんに使ってもらいましょうよ。あんなに残ってるのに無駄にしてはもったいないもの」 グレーテルは、振り返った牢の番人と向き合っている父さんの背中に話しかけました。「なんでこんなやつに!」 父さんは、牢の番人を目の前にして、いまいましげに... [続きを読む]
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- 2008/04/04 21:52ヘンゼルとグレーテルの反省 20(残した金貨の使い途)
- 20(残した金貨の使い途) 地下牢の中では、時の流れが全くわかりません。いずれ死刑になる身だからか、食事はもちろん、水を与えられることもないので、時間を知るための手がかりが一切ないのです。 いったいどのくらいの時間が経ったのでしょう、牢屋の番人がやってきて、鉄格子の扉を開けながら言いました。「出ろ! 火あぶりの準備ができた」 燭台をかかげて牢の中に入ってきた番人は、父さんの腕の中でぐったりしている... [続きを読む]
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- 2008/03/30 08:57ヘンゼルとグレーテルの反省 19(復讐の誓い)
- 19(復讐の誓い) 大男と森番が足を止めたのは、馬小屋に隣り合わせた納屋の前でした。立ち止まった二人は、ためらうように顔を見合わせましたが、大男が首を横にふり、森番がうなづいて、納屋の戸の錠をはずしました。 グレーテルと父さんが引き入れられた納屋の中には、藁の束が積み上げられていました。森番は、中に入るとすぐ、戸の内側のかんぬきをかけました。高く積まれた藁の束を見回して、(ここが牢なら快適) と、... [続きを読む]
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- 2008/03/28 09:19ヘンゼルとグレーテルの反省 18(おかしな決まり)
- 18(おかしな決まり) グレーテルは腕を家来の大男につかまれたまま、父さんは体を縛った縄を森番に引かれて、地下牢に連れていかれます。 グレーテルは、父さんの縄を引いて歩いている森番に話しかけました。「森番さん、ずいぶん親切にしてくださったのに、ちゃんと言うことをきかなくてごめんなさい。彫像になるのは向いてなかったわ。火あぶりになって灰になったら、わたし、森のオークの木の下に埋めてもらいたいな。オー... [続きを読む]
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- 2008/03/26 23:17ヘンゼルとグレーテルの反省 17(ワーキングプア)
- 17(ワーキングプア)「そやつを直ちにひっ捕らえろ!」 格子窓の向こうで叫んでいるグレーテルを顎でしゃくって、領主様は家来に命令しました。 グレーテルは、大男の家来にあっという間に捕らえられて、領主様の前に連れてこられます。 領主様は、ねっとりとした目つきでグレーテルを見据えて言いました。「甘やかしたら、甘く見たね。もう容赦しないよ。砂糖漬けの刑は取りやめだ。新たに、おまえを火あぶりの刑に処す。そ... [続きを読む]
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- 2008/03/24 22:24ヘンゼルとグレーテルの反省 16(夢じゃなかった)
- 16(夢じゃなかった) 父さんを見て思わず声をあげてしまったグレーテルを、森番は睨みつけました。でも、父さんの方は、グレーテルに虚ろな目を向けただけで、表情を変えることもなく、森番に引かれて行ってしまいました。「父さん…」 彫像のふりをしっかり続けようと、姿勢を正したばかりのグレーテルでしたが、その場にへなへなと座りこみそうになりました。(うそでしょ、うそでしょ… 父さん… わたしを忘れたの?) ... [続きを読む]
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- 2008/03/22 08:13ヘンゼルとグレーテルの反省 15(お屋敷の偵察)
- 15(お屋敷の偵察) 月と星の明かりだけを頼りに、領主様の屋敷内を偵察して回ると、そこは迷宮のようでした。 敷地内の真ん中あたりに、母屋風の大きな建物が一棟あって、その北側に中庭があり、中庭の東側に離れのような小さめの建物が一棟ありました。この二つは、どちらも石造りです。といっても、砂糖に結晶しているようで、近づくと、胸苦しいほどに甘い匂いがしました。 中庭の周囲には、木造の建物も点在しています。... [続きを読む]
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- 2008/03/20 08:21ヘンゼルとグレーテルの反省 14(グレーテルの計画)
- 14(グレーテルの計画) 領主様が行ってしまうと、グレーテルは森番に縄を引かれて、花壇の中に連れていかれました。「ここで、じっと立ってるんだぞ。わかったな」 森番は、バラの木の根元に、グレーテルを縛った縄の先を結びながら言いました。グレーテルは、森番に話しかけます。「森番さん、私、ここで、このままの姿で固まってしまうのよね。ということは、縄で縛られてる女の子の像になるってことよね。そんなの、変じゃ... [続きを読む]
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- 2008/03/18 08:30ヘンゼルとグレーテルの反省 13(砂糖づけの刑)
- 13(砂糖づけの刑) 荷物のように運ばれて馬から降ろされると、グレーテルは、頭がくらくらして、足がふらふらしました。そのまま縄を引かれて、領主様の屋敷に入ったグレーテルは、ヘンゼルと同じように、お菓子の匂いに気づきます。鼻をひくひくさせて、グレーテルは思いました。魔女の家の匂いと同じ… 不吉な予感がしました。 グレーテルを縛った縄の端を持って前を歩いていた森番が、ふいにしゃがみました。グレーテルも [続きを読む]
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- 2008/03/16 08:24ヘンゼルとグレーテルの反省 12(ヘンゼルを探して)
- 12(ヘンゼルを探して) 領主様に唾を吐きかけたヘンゼルは、ただちに周囲の者に取り押さえられ、牢に閉じ込められてしまいました。壁からしみ出る地下水がしたたり落ちて床を濡らしている、じめじめした地下牢です。独房に放り込まれたヘンゼルは、体は縄で縛られたまま、足を鉄の鎖でつながれました。 燭台を手にした牢の看守が、鉄格子の扉に錠をおろして行ってしまうと、暗闇と黴臭さと絶望がヘンゼルを襲いました。 その... [続きを読む]
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- 2008/03/14 18:32ヘンゼルとグレーテルの反省 11(甘〜い生活)
- 11(甘〜い生活) ヘンゼルを縛った縄を引いて、森番は屋敷内の小道を館(やかた)に向かって歩いていきます。小道の周囲には、手入れの行き届いた花壇が配されていて、そこには色とりどりの花が咲いています。が… なんだか変です。 今はもう、どんぐりの実が落ちる季節なのに、この花壇では、赤、黄、ピンクといった春の花が咲き競っています。春の花は春の香りがするはずのに、漂ってくるのは、ただ甘ったるい匂いばかり。... [続きを読む]
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- 2008/03/12 18:38ヘンゼルとグレーテルの反省 10(もうひとつのお菓子の家)
- 10(もうひとつのお菓子の家) ブヒーッ!ブヒーッ!ブヒーッ! ヘンゼルに馬乗りになられた豚は狂ったように鳴きながら走り回り、その声は森中に響き渡りました。 森の中を馬で見回っていた領主様の森番も、やがて、その異常な豚の鳴き声を聞きつけます。「なにごとだ!」 森番は、豚の声がしてくる方に馬を走らせました。行き着いた先には、背中に子どもを乗せた豚が、方向を見失うようにして走り回っていました。背中の子... [続きを読む]
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- 2008/03/10 20:56ヘンゼルとグレーテルの反省 9(事件)
- 9(事件) 周囲のざわめきに目を覚ましたグレーテルは、目隠しをとると悲鳴をあげました。 テーブルの上には、割れた金の玉子の殻が転がっていて、床の上には白い羽が散らばっています。 そばには父さんが、ぐったりしたガチョウを手にして立っていました。「なにしてるの! 父さん!」 グレーテルは父さんの手からガチョウを奪い返しましたが、ガチョウはもう息絶えていました。「ひどい! 父さん、ひどい!」「よこせよ!... [続きを読む]
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- 2008/03/08 08:40ヘンゼルとグレーテルの反省 8(まぼろしの幸せ)
- 8(まぼろしの幸せ) グレーテルが大事そうに抱えて戻ってきた天秤ばかりを見て、父さんとヘンゼルは不思議そうに聞きました。「なにを買ったの? グレーテル」 グレーテルは微笑んで、女神の像を指差します。「ああ、あれ…」 二人はうなづいたものの、まだ不思議そうな顔をしたままです。「そんなものを買って、いったい何を計るつもりなんだい?」 父さんが聞いたときに、ふいにヘンゼルは思い出しました。「そうだ! 正... [続きを読む]
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- 2008/03/06 09:28ヘンゼルとグレーテルの反省 7(目を閉じればわかる)
- 7(目を閉じればわかる) 町の市場に着くと、まず荷車を買いました。木でできた小さめの荷車で、子どもなら二人乗れるくらいの大きさです。「こりゃあいいや!」 荷車を手に入れて、父さんは大喜びです。ただ、それを引いて市場の中を回ると邪魔になるので、グレーテルが荷車と一緒に待っていることになりました。待っている場所は、この前と同じ、広場中央の目隠しをした女神の像の下です。 「じゃあ、行ってくるからな」 父... [続きを読む]
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- 2008/03/04 08:19ヘンゼルとグレーテルの反省 6(魔法みたいなお金)
- 6(魔法みたいなお金) あんなにたくさん買った食べ物も、一週間もすると底をついてしまいました。金の玉子も、三個ほどガチョウに温めさせて、あとは毎日ひとつずつ父さんが食べて、なくなりました。金色の玉子の殻はとてもきれいだつたので、グレーテルはそれをモザイクのように板に貼り付けました。 食べ物がすっかりなくなった台所で、テーブルに肩肘ついて、ぶどう酒の栓をもてあそんでいた父さんがつぶやきました。「そ... [続きを読む]
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- 2008/03/02 09:05ヘンゼルとグレーテルの反省 5(お金で買える幸せ)
- 5(お金で買える幸せ) 父さんは、肩からかけているズタ袋に手をやりました。そして、袋の口を開けて中に手を入れ、ひとつかみ金貨を取り出すと、スカーフのおばさんに差し出して言いました。「頭のスカーフをとって広げてくださいまし」 おばさんが驚いた顔のままスカーフを広げると、父さんはそこにバラバラと金貨を落としてから聞きました。「カゴの中に、玉子は何個あるんだね」 おばさんは、泡をくって答えます。「じ... [続きを読む]
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