gelsomina さん

gelsominaさん: Time waits for no one
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プロフィール

ハンドル名gelsomina さん
ブログタイトルTime waits for no one
サイト紹介文絶交して十年間会わなかったナナとメグミの再会の物語。
参加カテゴリー
更新頻度(2年)情報提供55回 / 386日(平均1.0回/週) - 参加 2007/09/23 11:59

gelsomina さんのブログ記事

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  • 2008/10/01 13:13chapter 54
  •  玄関の方でなにやら音がしたような。ううん、きっと気のせいね。こんな時間に征二が帰ってくるなんてありっこない。 このウチに出入りするようになって一週間。なのに、いまだに居心地が悪い。そりゃあこんなお屋敷だもの、セコムがあるから安心。と言い聞かせているのだが、わたしが言いたいのはそういうことじゃない。やっぱり家というものは主婦がいて初めて血の通ったものになる。そういう意味では、メグミを欠いたこの家... [続きを読む]
  • 2008/09/18 12:40chapter 53
  •  キミは「ご無沙汰してます」というと、ぺこりと頭を下げた。ご無沙汰ということは、つまりそういうことだ。われわれは初対面じゃない、以前会ったことがあるってことさ。とりあえず、久しぶり。いや、お帰り、と言うべきかな。ボクはすぐにキミの右手に荷物を探したが、出て行く時に持っていったボストンバッグが無かったので、ちょっとガッカリした。 でも、そのタータンチェックの服には見覚えがあるよ。肌寒くなると、必ず... [続きを読む]
  • 2008/09/11 12:16chapter 52
  •  最近、朝早く目覚めてしまうようになった。自分もそういう年齢になったってことなのかな。いつキミに起こされるかとヒヤヒヤしながらも、しばらく蒲団の中でグズグズしている。でも、キミがちっとも起こしに来てくれないから、そんな時間がどんどん長くなるよ。そして、そんな日々をのらりくらりと過ごしているうちに、いつか自分にもお迎えが来るんだろうね。その時はもちろんキミに来てもらいたいが、ワガママかな。 朝はパ... [続きを読む]
  • 2008/09/05 13:25chapter 51
  •  ヤバイ、寝過ごした。初デートに遅刻とは。って、デート? このオレ様が?  夕べ起こしてくれと頼んだはずの麻美はもういなかった。テーブルの皿には食べ残しのパンの耳。アイツはどうしていつも耳だけ残すんだろう。パンはこの部分が一番美味しいのに。訝しがりながら手に取ってかじると、さすがに冷めていて美味しくなかった。 落ち着け、オレ。それよりも喉がカラカラだ。冷蔵庫からエヴィアン水を取り出すと、一気に飲... [続きを読む]
  • 2008/08/29 14:24chapter 50
  • 「あんた、誰? オレんちで何してんの?」振り向くと、軽く180センチは超える大男が立っていた。胸板も厚く、まるでフットボール選手のような頑強な体躯。圧迫感に息が詰まる。「あんたこそ、誰?」と怖さのあまり口走ってから、しまったと思う。オレんちと言っているからには、メグミの夫以外いないだろう。 西條征二。病院の中庭でメグミと一緒にいるところを一度だけ見かけたことがある。あの時は遠目だったせいか、こんなに... [続きを読む]
  • 2008/08/22 15:14chapter 49
  • 「覚えてない? そんなことってホントにあるの?」 メグミの素っ頓狂な声が店の空気を微妙に揺らすと、その変化に食いつくようにドスケベな魚が一匹釣れた。Jだ。こちらをチラ見している。メグミが店に来てからというもの、Jの視線は泳ぎっぱなし。なんて分かりやすいヤツ。友人として、ちょっとトーンダウン。 それもしかたがないかと、隣りにいるメグミに目をやる。 まず目を引くのが、華奢な身を包むブルーのワンピース。... [続きを読む]
  • 2008/08/13 14:43chapter 48
  •  どれぐらい眠ったのだろう。 ドラマを見ていていつも思っていたことがある。肝心な場面で気絶する人間、あれって卑怯だなと。追い詰められたからって、気絶して難を逃れるとは何事かと。ということは、わたしも今頃みんなの間で卑怯者扱いされてるのかな。 そんなことをぼんやりと考えながら、見慣れない部屋の風景を眺めた。「メグミさん、気がついた? 気分はどう? 吐き気とか頭痛はしない?」 ウメの陽に焼けた顔がや... [続きを読む]
  • 2008/08/07 13:37chapter 47
  • わたしはやっと白い棺おけのような病室から抜け出した。と言っても、また別の棺おけに入っただけかもしれないけど。 ここは小夜子のマンション。そう、結局、自宅には戻らなかった。「メグミはわたしが預かる」と、小夜子が征二に宣言した結果、わたしは今ここにいる。今どき、ヤクザでもそんなセリフは使わない気がしたけど、征二のような悪党を前にすると、自然に口を突いて出るものかもしれない。 この数ヶ月で、小夜子は母... [続きを読む]
  • 2008/07/29 12:28chapter 46
  • 祭りの後というものはなんとも物悲しい。 こんなことを言うと、ただ単に後片付けが嫌いなだけだと突っ込まれそうなので言葉にしたりはしないが、心の中では秘かに思っている。 ウメは花火の燃えカスを捨て、ナナは椅子やテーブルを畳み、美雨は空き缶や紙皿などのゴミを集めた。オレはバーベキューの鉄板をたわしでゴシゴシ洗いながら、みんなが黙々と働くのをじっと眺める。 じきに別れの時間が来る。湿っぽいのが苦手なナナ... [続きを読む]
  • 2008/07/24 13:17chapter 45
  •  夕方になると、ロクは車に積んであったバーベキューセットを庭に運び始めた。そのほかにも折り畳み式のテーブルや椅子が運び込まれ、セッティングされると、なるほどこれがテレビで見たあのバーベキューというものなのかと、わたしの気分も一気に高まる。 美雨はバーベキューに興味がないのか、それとも珍しくないのか、さっきから七瀬に借りたデジカメで古ぼけたわが家を撮りまくっている。「いいなぁ、ウメさんっちって。な... [続きを読む]
  • 2008/07/17 12:08chapter 44
  •  夏休みに突入すると、七瀬は約束どおり美雨を連れて遊びに来ると連絡してきた。なんでも美雨の友だちも連れて三人で来るという。賑やかになりそうだ。 季節に限らず、朝は5時に起きる。特に夏は早くから明るくなるせいで、早起きはむしろ気持ちがいい。身支度を整えると、まずは畑に出向く。献立をあれこれ考えながら、使えそうな食材を収穫するのは楽しいものだ。特に誰かをもてなすとなれば、想像の世界はどんどん膨らんで... [続きを読む]
  • 2008/07/09 11:16chapter 43
  •  とうとうヤツから呼び出しを食らった。 Jを見てると、昔実家で飼ってたペロという犬を思い出す。構うと噛みつくくせに放っておくとうるさく吼える、どうにも扱いにくい犬。 その日、オレにしてはめずらしく早起きした。何の予定もない休日に限って早く目が覚めるのは子どもの頃からのオレの癖だ。お袋から何度叱られようともこの癖だけは直らない。一時間ほど川沿いをジョギングした後、ビールを飲みながらベランダで洗濯物を... [続きを読む]
  • 2008/07/03 09:24chapter 42
  •  その人は日焼けした顔に大粒の汗を光らせながら、入ってくるなり「今日は暑いね」とひと言言った。付き添い婦の仕事をしているというわりには、骨太の頑丈そうな体つきをしていた。そういう風貌で荷物を背負っているものだから、さながら昭和の時代の行商人を思わせた。これがウメだと分かっていなかったら、警戒心の強いわたしのことだから、間違いなくナースコールを押しただろう。 半ば極秘で入院しているため、この病室に... [続きを読む]
  • 2008/06/26 13:57chapter 41
  • 「ナナが神谷先輩に恋してるって?」 ナナはわたしの言葉を無視して、黙々とテーブルの上の夏みかんと格闘している。わたしが食べやすいようにと、ひと房ひと房実を剥いては皿に盛っている。時折り果汁の襲撃を顔面に受けながらも懸命に戦って、これから二つ目に取り掛かろうとしている。 神谷准。彼はテニス部でナナの一個先輩だった。ナナはいつのまにか先輩のことをJと呼ぶようになったが、わたしは当時のイメージしかないの... [続きを読む]
  • 2008/06/20 13:53chapter 40
  •  今年は空梅雨なのか、ここ一週間ほど雨を見ることはなかった。 小夜子は見舞いに来るたびに、「今日も蒸し暑いねえ」と汗を拭っていたが、空調の効いた病室で過ごすわたしには、「そうなの?」とそっけない返事しかできない。 雅子が来ると、たいてい西條医院の話になる。院長婦人として医院のことが気がかりなのは当然だ。あらかじめ小夜子から医院に関する話は、「メグミに心配かけるから」と口止めされているらしいのだが... [続きを読む]
  • 2008/06/12 14:52chapter 39
  •  なかなかウチに上がろうとしない客人に焦れたのか、ネコのウズラが先導するように七瀬を玄関に招き入れた。招き猫とはこのことかと、ちょっと吹き出しそうになる。わたしはちゃぶ台に漬物の乗った皿や箸を並べながら、「遠慮しないで、どうぞ入って〜」と声をかけた。すると、「お邪魔しまーす」とくぐもった声がして、七瀬が現れた。「これってちゃぶ台、ですよね? まだあるんですね」 まるで異次元に来た人間のように、七... [続きを読む]
  • 2008/06/04 13:22chapter 38
  •  気象庁は実は梅雨入り宣言より三日早く梅雨入りしていたことを発表した。やはり天気予報士は神の使いではなかったと、雨に煙る町並みを痛快な思いで眺めていると、「ウメさん、お疲れ〜」と顔馴染みの看護師から肩を叩かれた。「ねえねえ、見せてよ、ウワサのゴッドハンド」と、石川という勤続七年の看護師はわたしの手を取ると、珍品の陶器でも眺めるようにしげしげと見つめた。「これが数々の伝説を生んだ手かぁ。なんだかご... [続きを読む]
  • 2008/05/29 13:52chapter 37
  •  麻美が入院したと知らされたのは、テレビで梅雨入りの時期についてアナウンサーと天気予報士が話し合っている最中だった。 桜開花宣言の次は、梅雨入り宣言か。 全国民がまるで指示待ち子のように誰かに宣言してもらわないと行動することも出来ないんだろうか。それともせっかちな性分で、良いことも悪いことも誰よりも早く知っていないと気が済まないからなのか。神様でもあるまいし、そんなことまで宣言しなけりゃいけない... [続きを読む]
  • 2008/05/23 13:11chapter 36
  •  彼は公園のベンチに座っていた。 わたしはこの人をよく知っている。閉じられた瞼の奥にある茶色がかった瞳の色も、少しクセのある柔らかそうな髪も、大きくて温かそうな手のひらも、丸まった痩せた背中も。どのパーツも触れたことはないけれども、肉付きや骨の感じは目をつぶっていても思い浮かべることが出来る。 だから、そこに座っているのは彼に間違いなかった。と言うか、紛れもなく彼なのだ。でも、わたしは近づくのを... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 公園
  • 2008/05/15 12:51chapter 35
  •   午後三時。御幸通りに面した一角の雑居ビルに店を構えて以来、出勤する時間はいつも同じだ。 ビルのシャッターを開けていると、一階の花屋で働く茜がその音を聞きつけて挨拶に飛び出してくる。そして、軽く世間話をする。これもいつもと同じだ。「矢部さんかと思った。今日は神谷さんが先だったんですね。おはようございます」 矢部は同じビルの二階で居酒屋をやっている。どちらか先に来た者がシャッターを開ける。これも... [続きを読む]
  • 2008/05/07 13:54chapter 34
  • 「もう帰っちゃうの?」 パジャマ姿で見送ってくれた美雨が甘えた声でそう言った。しきりに目をこすっているので、一瞬泣いているのかと思ったが、そうではなかった。眠りの甘い誘惑に打ち勝とうと、必死で戦っているのだ。 そんな健気な美雨を両手でギュっと抱きしめたいと思ったが、寸でのところでその衝動を押さえた。 そんなことをして何になる。キモいオジサンと思われるのが関の山じゃないか。それに、だいたいおまえは... [続きを読む]
  • 2008/05/01 12:22chapter 33
  •  新幹線に乗り込んだ時は明るかった景色も、到着する頃にはネオンがまたたく夜の風景に変わっていた。たった一週間の出張とは言え、故郷の仙台よりもこの駅のコンコースの方が懐かしいとはいったいどうしたもんだろう。 時計を見ると、まだ八時半を回ったところだった。今日は木曜日だから、二人は美雨のジャグリング教室に出かけてるはずだ。教室が終わるのが八時だから、今から車を飛ばしていけば、ちょうど二人が帰る頃には... [続きを読む]
  • 2008/04/25 13:03chapter 32
  •   「お別れパーティー」    三年三組 岸 美雨 わたしはジャグリングをならっています。なぜかというと、クラウンになりたいからです。クラウンは人をしあわせにすることができます。クラウンを見ていると、みんなえがおになります。だから、わたしもクラウンになりたいです。 でも、クラウンはいろいろなことができないとなれません。ジロー先生はプロのクラウンです。だから、いろいろなことができて「すごい!」とお... [続きを読む]
  • 2008/04/17 09:50chapter 31
  •   「動物園へ行ってきたよ」 三年三組 岸 美雨 ゴールデンウィークに動物園に行きました。小夜子さんというお母さんの友だちもいっしょでした。でも、お母さんはいっしょに行けませんでした。おしごとがあるからです。小夜子さんには会ったことがなかったけど、お母さんの友だちなので、きっといい人なのだろうとおもいました。 動物園の門のところで、チケットをもらいました。きょうは子どもの日なので、ただでゆうえん... [続きを読む]
  • 2008/04/07 14:58chapter 30
  •  いつのまに眠ってしまったんだろう。 エッセーの続きが浮かばなくてちょっとソファに横になるつもりが、時計を見るとかれこれ一時間も寝てしまったことになる。付けっぱなしのラジオはハワイアン特集が終わったのか、ボサノバを流し始めている。女性シンガーの気だるい声が、開け放した窓からそよそよと吹く風に溶けていい感じだ。おまけに陽だまりは心地よくて、昼寝するのにいい条件が揃いすぎてる。 ボサノバなんて、昼下... [続きを読む]
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