- 2007/10/14 00:22新聞紙に抱かれて(その参)
- 「奴は、生き残りなのかい?」若い方の白衣が聞いた。 「ああ、アノ島のな・・・2〜300人は居るらしいよ。世界中の施設に散らばっているらしいが・・・」 「前から気になってたんだけど、あいつがいつも弄ってるプラスチック・・・ありゃあ何だい?」 「う〜ん、俺もよく解らないけど、昔のコミュニケーションマシンらしいぜ・・・・」 「え゛〜、その為だけにあんなモノを持ち歩いていたのかい?」 「あまり大きな声じ... [続きを読む]
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- 2007/10/13 00:42新聞紙に抱かれて(その弐)
- 意識が戻ったのか戻らないのか、私の耳に男女の会話が聞こえてきた・・・ 「あんたらが、ちゃんと治ったって云うから連れて来てもろたのに・・・ これじゃ、前より悪うなっとるで」・・・聞き覚えのある母の声だった。 「いえ、あちらに居た時は本当に良くなっていたんです。不思議です。」白衣の男の一人がすまなそうに母に告げた。 するともう一人の白衣が 「ここに来る車の中でも、やたら、奥さんやお子さんの話をし... [続きを読む]
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- 2007/10/10 23:33新聞紙に抱かれて(その壱)
- 昼過ぎに出稼ぎ先から自宅に戻ると年老いた母以外は誰もいなかった。 「あいつら、何処行ったんや」私の問いかけに母はよく聞こえなかったのか返事をしなかった。 『まあ、ええか・・・』とやり残しの仕事に取り掛かった。あっという間に辺りが薄暗くなり、仕事にキリがついた私は、『まだ、帰って来んなあ、映画でも見に行ったんかいのぉ・・・しゃあない、飯でも作るか』 侘しい夕食を済ませ、仕事を再開し、なんとかやっ... [続きを読む]
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- 2007/10/03 21:00「卒業式へ行こう!」過疎地の小さな小学校の卒業式・・・
- あれから多少手直しした祝辞を用意して、いざ卒業式へと向かいました。その凄い卒業式は、卒業生3名、在校生20名、昨年の災害の為に使えない講堂の変わりに用意された狭いランチルームの式場の中で、子供たちの少し緊張した面持ちで始まりました。 1.開式の辞 2.国歌斉唱 3.校歌斉唱 4.卒業証書授与 5.学校長式辞 6.教育委員会告論 7.来賓祝辞 ここで、私のスピーチです。何度も咬みましたが、なんとか... [続きを読む]
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- 2007/09/30 23:37CABARET(Stage1)
- キャバレー?何やまたお水ネタかよ。と思ったあなた・・・早とちりはいけません。かつてアカデミー賞を総なめにした名画、ライザ・ミネリのキャバレーをイメージしてください。つまりアメリカンドリームならぬジャパニーズドリームです。 夜の送迎のバイトをクビになった私は新天地を求め或るプロダクションに飛び込んだ。そこは、今でも放映されている?「中学生日記」の裏方のスタッフを募集していた。現地ロケで照明をさせて... [続きを読む]
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- 2007/09/30 23:34CABARET(Stage2)
- 薄暗い狭くて長い階段を登っていくと小さなスペースに初めて見る機材がところ狭しと置かれていた。♪パァラパァラァラァ♪聞きなれない音の方向に振り向くと、眼下に吸い込まれるようなホールが現れた。真紅の絨毯の上には幾つもの大きな大理石の丸テーブル、前方中央には鏡のように光ったダンスフロア、そして一番奥に一際煌びやかなステージがあった。その音源は、リハーサル中のビッグバンドのトランペットだった。『こっ、こ... [続きを読む]
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- 2007/09/30 23:31CABARET(Stage3)
- 師匠のリュウちゃんが右のスポット、私は左、「ええか、俺と全く対象の動きをするんやで」二つの光の輪が両端からフワっと現れ、す〜と近づきやがてクロスし、そうして離れていく。それを何回か繰り返しオープニングの音楽と共に消えてゆく。まるでアイスダンスのペアーのように・・・しかし、どうしてもライトを動かしながら光の輪をスムーズに絞ることができない。 しだいにホールがざわつき始めた。コテコテにお洒落をした客... [続きを読む]
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- 2007/09/30 23:29CABARET(Stage4)
- 光のトンネルがすぅ〜と舞台に向かって降りている。その下では着飾った客と店の蝶たちがジルバを踊り、トンネルの終点では『ディック・ミネ』が激しくスイングしていた。 「ええか、はなび、今日はいつもの2〜3流歌手とはちがうからな、腹くくってやれ、それから、必ずカーテンコールがあるからタイミングだけは間違えるなよ。」2時間前のリュウさんの言葉を思い出していた。 『ディック・ミネ』なんて言われてもよく知らな... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:24飯場ぶるうす、マリコ #1
- そう、私がまだ学生だった頃、閉店後のキャバレーのお姉さま方を自宅まで送迎するという変わったバイトをしてました。当時は彼女たちのことを「キャバ嬢」ではなく「キャバスケ」と呼んでました。 当時は風営法もなく、深夜2時頃からお店が退けた彼女達を車で自宅まで送迎してました。みんな結構遠方から通っており、最後の一人を届けると朝!なんて事もありました。また中には自宅に着くなり、4〜5人の若い衆が車を取り囲み... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:21飯場ぶるうす、マリコ #2
- マリ子は、色白で透き通るような肌をしていた。その乳房には毛細血管が・・・ 「ちぃがぁう〜エロじゃない!」 マリ子の首が突然、にゅるにゅる〜と伸びて私の前に廻りこみ、クルリッと振り向き、血走った目でこちらを凝視した・・・ 「ちぃがぁう〜ホラーじゃない!」 マリ子は突然、「うわぁ〜〜〜ん、家に帰りたひぃ〜、お父ちゃんとお母ちゃんに会いたい〜」と大声で泣き出した。グワァギィ〜〜〜と急ブレーキを踏んだ私は... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:19飯場ぶるうす、マリコ #3
- 私が冷静な自分を取り戻したのは、テンパったまま小牧ICから高速に乗り10分くらい走ってからだった。『俺って高速乗るの始めてやん』『神戸まで高速代なんぼやねん』『この女金持ってるんやろか』『この車、昼までに店に返さなあかんかった』頭の中が急にグルグル廻りだした。 けど、もの凄い睡魔が襲ってくる、堪らず「マリ子さん、さっきから何も喋らんけど、俺、居眠りしそうなんですわ・・・何か話してください・・・」... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:17飯場ぶるうす、マリコ #4
- バシッバシッというパッシングライトでハッと意識が戻った。ギュンと左車線に入るとキューンと音を立ててあっという間に過ぎ去ってゆく赤い車、「なあ、あんた、寝てたんとちがう・・・あれ、ポルシェやで」うとうとしたのは一瞬だったんだろうが、足がガクガク震えた。確かこちらも150km位で走っていたと思う。「♪・・・真っ赤なポルシェ〜♪」マリ子がまた歌いだした。 しばらくして歌い疲れたのか、マリ子が「なあ、あん... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:15飯場ぶるうす、マリコ #5
- ぼや〜と視界に西宮ICの看板が入ってきた。何故か大津を出発してからの記憶が全くない。『これがホロン(*1)ってやつか』と思いながら「まっマリ子さん、俺2千円しか持ってないけど・・・」「アホやなあ、うちが払うに決まっとるやん。あんたみたいなビンボ学生に頼らへんて・・・クククッ」 高速を降りて少し走ってから、二人は吐く息の白さにブルッとしながら早朝の喫茶店に入った。 私は睡魔と寒さから逃れるために、熱い... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:09飯場ぶるうす、マリコ #6
- マリ子の両親は、夫婦で砂防ダムの工事現場で働いているらしく、私は六甲へと車を走らせた。次第に山々が険しくなってくる、そそり立つ剥き出しの岩肌が襲い掛かってくるように感じる。マリ子によると、六甲は昔、石切り場が沢山あり当時のままの姿で残っているという。 ようやく、現場らしき場所に辿り着き車を止めた。しかし、重機は一台も動いておらず人影もまばらだった。事務所らしき建物に走っていったマリ子は、直ぐにゆ... [続きを読む]
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- 2007/09/30 15:05飯場ぶるうす、マリコ #7
- 背後に人の気配を感じ振り返ると、後から車を降りてきたマリ子だった。彼女は不思議な笑みを浮かべていた。また、私の頭の中がグルグル廻り始め、そして・・・プツッと音がした。「ええ加減にせぇよ・・・家に行くんやなかったんかいっ、人を散々引っ張りまわして楽しいんかいっ!おちょくっとるんかぁ!このぉウソつきのキャバスケがっ!」怒りで体が震えた。 マリ子はその大きな瞳で私をキッと睨んだ、その目には満ち潮のよう... [続きを読む]
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- 2007/09/30 14:55飯場ぶるうす、マリコ #8
- ずっと無言のままの二人を乗せた車が名古屋に着いた時は、すでに繁華街のネオンがキラキラと輝きだしていた。店から少し離れた路上に停車して降りようとすると「あんたは、ここにいて・・・うちが店長に話するから・・・」マリ子は一人で店の中へ降りていった。 30分位待っただろうか、店長と着替えたマリ子がやってきた。 「兄ちゃん、あんまり勝手な事しとったらあかんがや、こいつからだいたいの事は聞いたで・・・まあ... [続きを読む]
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