- 2008/05/07 19:47〜キャンバス〜5
- 木の台と無造作にベニヤ板をはったステージの脇で慎二は自分たちの出番を待っていた。 思えば、拡声装置の不備やロクな打ち合わせもせずに、カセット・テープに録音したリズムトラックをバックにデタラ目な演奏を繰り広げ、見る間に人が体育館から退けていった昨年の屈辱を、何とか今年は挽回しようと、アルバイトをして金を稼ぎ、シークエンサーというちょっとした音楽コンピューターと、リアルなドラムの感じを出す為の音源を... [続きを読む]
|
- 2008/04/29 16:31〜キャンバス〜4
- 壇の教え方はさすがにツボを押さえたものであった。少女趣味の自室ではなく、父の書斎で習っていた訳だが、やや古色蒼然となった百科事典が活用され、微積と万有引力の法則がうまくからめて、頭に入るように壇は活用していったのだった。 ある意味ではエレガントな教え方であるとも言えよう・・・・・・ だが、それ以上に魅力的だったのは、壇の人柄であった。美学にも明るい壇に、浜美は描きかけの自分の絵を見せると、壇は有... [続きを読む]
|
- 2008/04/29 13:08〜キャンバス〜3
- はやめに帰宅した浜美の目についたのは玄関のドタ靴であった。応接間には往年の古谷一行を思わせるボサボサ頭の中年男が、紅茶を飲んでいる。母親は浜美に気付くと「何、突っ立っているの?あなたの物理の先生よ!」「え〜っ、このヒトが!?」「はじめまして、壇です」ちょっと関西風の訛りで家庭教師は自己紹介した。「あ、こちらこそ・・・」「物理に手を焼いているそうですね・・・数学の微積が得意ならちょっとしたアドヴァイ... [続きを読む]
|
- 2008/04/29 11:23〜キャンバス〜2
- 慎二がコンビニから帰った時には、ふたりのオンナの子たちは通常モードの格好であり態度であった。描きかけの絵には白い布がかけてあり、サッフォーの末裔を思わせる絵がもっとじっくり見たかった慎二にとってはその白い布が目障りでならない・・・・・・菓子パンを頬張り、テトラパックのミルクを飲んでいる由布には、先ほどまでの緊張感は全くない・・・・・・一方、浜美は簡単な朝食中も油絵の技術的問題がやはり離れないのであ... [続きを読む]
|
- 2008/04/28 20:39〜キャンパス〜1
- マイセンの煙をくゆらし、自分の演奏のチェックを終え、軽音楽部室の外へ出ると早朝の日差しは既に明るく、慎二は砂利のキャンパスを横切って美術室へ向かった。そっと、美術室の扉を開けたつもりだったが、意外にガタンと扉は開きそこで、モデルを務めていた由布のポーズが崩れ、油絵の絵筆を走らせていた浜美から罵声が飛んで来た。「こら!慎二。スケベ心で、ノゾキに来たナ!」由布はさっと制服の上着をはおるとプイと横を向い... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/04/27 16:38若き濫読の日々
- 大学受験を終え、教養部時代は小説や評論を読み漁ったものだ・・・そしていよいよ学部でドイツ哲学と格闘するのだが、見事に自爆した・・・恥ずかしい話だが、理性の向こう側の世界へ跳んでいってしまい、ごく短期間ではあるが、保護室という独房のような部屋に籠り、主治医が問診するにはあなたの言っていることは観念的なコトばかりだ・・・という結論だった。退院後は論理哲学、功利主義哲学などをさらい、努めて観念論から遠ざ... [続きを読む]
|
- 2008/04/26 20:12エロスの封印
- 露悪的にスケベネタを書いてしまった為、その種のブログと勘違いされた向きもあった(これはこれで面白いのだが)いずれにせよ本来目指していた筈の純文ブログへ立ち返りたいと思う。意外に議論が盛り上がったが、エロティシズムへの皆さん方の秘められた関心も相当なものである、ことを自覚した次第である・・・・・・今後の作品作りの上で生かしていきたい、と思う・・・・・・... [続きを読む]
|
- 2008/04/25 14:50恋愛のプロセス
- 多分、出会い系にいっこうにトキメカナイのは、何らのプロセスも経ずセフレだよ〜なんて、趣旨に一向に乗らないせいだろう・・・・・・ちなみに私自身はネカマならぬネタチで俺の先太はスゴイぜ・・・なんてキャッチ・コピーをでっちあげ反応を待つと、割り切りという名目のサクラさんや娘の処女を奪って上げてとかいう、とんでもない母娘のしつこい勧誘を受けて失笑してしまっている・・・巨大なペニスバンドで犯してあげたい、も... [続きを読む]
|
- 2008/04/22 13:08出会い系サイトについて
- 真面目に出会いを求めて、出会い系サイトに関っているとしたら、かなり悲観的にならざるを得ないだろう・・・これは正直言って、最近になり、ますます感じる事実である・・・まあハナから疑って関っているせいもあるのだが女性も有料でそこで現れてくる男性の何とシラジラしい、ことか・・・・・・そして正会員になる、という目的のため馬鹿げた企画が次々と現れてくる・・・・・・入金すれば、永久無料会員など、その典型である・... [続きを読む]
|
- 2008/04/20 20:47出会い系サイトでリフレッシュ
- そもそもブログを始めるキッカケになったのは、出会い系サイトで訳の判らぬ、コトを発展的解消するためだったが、ここに来てちょっとブログで煮詰まった感じがして、ちょいと冷やかし気味ではあるが、テンションを求めてサイトをやってみた。冷やかしとサクラのぶつかり合い、とでも言えそうな様相であったが自分の持ち点の中で、どう帳尻を合わせて約束ごっこを煮詰めるか、がちょっとスリリングであった。他に男女無料のサイトで... [続きを読む]
|
- 2008/04/19 00:51「我と汝」の哲学
- マルティン・ブーバーの描き表した哲学書であるが、論旨はすこぶる明解である。ユダヤ人でありながら普遍性を持つ教育学者でもあり訴えかけるテーマはある意味では秋葉系の「オタク」に近いような気さえする。二人称の持つ融合性がここでは問題なのだろう・・・モラヴィアだったろうか?「君」小説として催眠効果をもたらす作品を仕上げたのは・・・・・・ニッポンの作家がお手本にして「暗い旅」なる「あなた」小説をでっち上げて... [続きを読む]
|
- 2008/04/16 19:27司法の透明性
- 密室的司法の愚かさを否定しなければならない。戦前・戦中にあった特高の如きモノが公安において現在も持続して、存在するであろう、コトは容易に推察できる・・・泳がせている、というのはポルノ・メディアだけではなく暴力団・左翼活動とて同じことである・・・適当な時期に、締め付ける任意性はシステムとしての司法組織の任意なモノであるコトを警戒すべきであろう・・・・・・泳がせる・・・という発想はどこかで、彼らのメリ [続きを読む]
|
- 2008/04/14 18:34〜窓〜8
- 私に 何を 期待されるの?彼女は そう 言い放った・・・・・・宙ぶらりんに なった 僕・・・・・・あてどもない 旅へでも 行けと いうのだろうか?そう 一人だ!夢を 見ていた 僕の過ち・・・・・・だが ここまで 来た以上は見果てぬ 夢を 追い続け なければならないのだろう・・・・・・そう これが 結論なのだろう・・・・・・ 〜窓〜 了 [続きを読む]
|
- 2008/04/07 20:33〜窓〜7
- 君を失って 久しい時 ふいに訪れた 新たな彼女・・・・・・どう 名づけようか?・・・新たなる彼女を?魅惑的に 目配せする 新たな彼女を・・・・・・・幻想? 実現?・・・・・・どう名づけようか?・・・・・・・新たな 彼女を・・・・・・人工的なまでに 整った その姿・・・・・・僕は 困惑の中 新たな彼女を 見つめる!本当に 求めていた 姿なのか?・・・・・・彼女は・・・・・・賭けるしかないのか?・・・ [続きを読む]
|
- 2008/04/06 01:25〜窓〜6
- 昼間の 喧騒から 真夜中の 静寂へ・・・僕の求める 時は 遥か遠くへの 道のりあらゆる文明 文化それらが 一つへ 纏まるという 幻想・・・・・・幾多の 哲人さえ なし得なかった 世界の幻しちっぽけな この部屋から 数多の 人々の脳裡に辿り着くべき 恐ろしく 長い 時間と 距離英雄も そびえ立つ 虚塔も 不要だ!体制を 揺るがす 人々が なし得る 見えない反抗と抗議・・・・・・・・・大地は いつか ... [続きを読む]
|
- 2008/04/04 13:51〜窓〜5
- 君の思い出を いくら反芻してももはや 何も 戻ってこない・・・・・・そういった 判りきった処へ 僕の意識にやっと 辿り着いた・・・・・・君と別れた後に 出会った 何人かの女性たち彼女らには 君の中に 見出したものはなんにもなかった・・・・・・・詩神は 残酷に それを教えてくれた僕が 本当に学ばなければならないのは新しい哲理!見出さなければならないのは無限の発見の世界なのだろう!... [続きを読む]
|
- 2008/04/03 10:58〜窓〜4
- あの頃の僕は ただ書くことに 憧れ本当に 書く事が 見えていなかった今 追憶の中の君が 僕には 見える鮮やかに 君の残してくれた思い出それは きっと いつまでも 消えることはないだろう・・・・・・オンボロ車の助手席に 君を乗せお気に入りの プログレを聴きながら 峠のワイディングロードを クリアして時には クラシックも かけて・・・目的地の展望台で 見知らぬヒトに 写してもらったお揃いのトレーナーを... [続きを読む]
|
- 2008/04/02 11:17〜窓〜3
- クリスマスの晩に サークル室でささやかな祝宴を どういう訳か 開くことになったね安物のワイン フライド・チキンそして キャロルを 酔っていい加減に 歌ったものだ・・・はしゃいでるヤツは ウエスト・サイド・ストーリーの足を上げる ポーズを まねして こけそうになったなあ・・・サークル会館の フォーク部から ギターを借りてきてしまいには 大騒ぎ・・・ とんだクリスマスだったなあグロ〜リア グロ〜リア ... [続きを読む]
|
- 2008/04/02 01:11〜窓〜2
- 男ばかりの むさ苦しい 同人誌に 君は 入ってきた雰囲気は和らぎ 君に 憧れる 男は多かった編集の話でもおじけずに 主張しそのくせ 黙々と チェックのワンピース姿に装い僕は秘かに 気持ちが 向いていった僕のコトを ちょっと怖かったみたいだったね・・・僕も 君の事いつも 気にしていたものだった帰りのバスが 一緒になった時 初めて うちとけて会話ができた・・・・・・君が心を開いて 話した内容は忘れてし... [続きを読む]
|
- 2008/04/01 13:04〜窓〜
- かつて君の部屋には ピンクのカーテンが かかっていた僕は君のアパートの一室に それを見上げて胸をときめかせた ものだった・・・・・・君は 僕の 拙い小説の 理解者だったいつもの別れ間際の くちづけ それに 酔いしれ 思いを 反芻し僕の家路への 足取りは 軽くなったものだった君の書く 詩は 何時ごろか 変わって いったね・・・・・・僕の頬に 平手打ちが 飛び 僕の口には 苦い血の味が 広がったそう ... [続きを読む]
|
- 2008/03/31 10:27シュティフター・キリスト教文学メモ27
- 長編では「晩夏」が、ニーチェに絶賛されているが、その時間のゆったりとした流れ、男女間の美しい感情の関係、確かに素晴らしいものがある・・・・・・短編「水晶」は岩波文庫で手塚富雄の名訳で読めて、ここでの澄み切った構成感はこの作家の才能が遺憾なく発揮されている。絶版でなかったらこの短編は是非読んでみて頂きたい・・・きっと感動が得られることだろう・・・・・・... [続きを読む]
|
- 2008/03/30 12:54ヘッセ〜キリスト教文学メモ26
- ヘッセの場合、狭いジャンルに留まらないトコロもある。「シッダールタ」はキリスト教の域を抜け出しているようだ。「荒野の狼」、「デミアン」など愛着の持てる作品が多く読み継がれて欲しい作家である。「車輪の下」でも判るが、神学校からドロップアウトし、本屋の店員を経て、幅広い読書の成果が読み取られ、スケールはさほど大きく感じさせないが、愛着のある作家の一人でもある・・・・・・... [続きを読む]
|
- 2008/03/29 12:30革命とクーデター
- 革命において、権力の集団が入れ替わり、新たな権力集団が生まれる・・・・・・それは本質において、クーデターの範疇に治まっているに他ならない。真の意味での、革命とは意識におけるシステムの構築がなさればならない。権力の奪い合い、それは無用な殺戮を産み、平和思想が尊重されなければやはり、クーデターと断罪されねばならないだろう。力における統治は新たな憎しみの温床をやがて培う土壌なのである・・・・・・... [続きを読む]
|
- 2008/03/28 16:35毛皮のヴィーナス・キリスト教文学メモ25
- ザッヘル・マゾッホが世に「マゾヒズム」なるものを知らしめた謎めいた作品である。ここで描かれるマゾヒズムも精神的比重が高く、日本での通俗官能小説とは全く異なる意味合いの上に成立している。愛する女性が他の男に抱かれるのに異常な反応を示すマゾッホの心理は倒錯したものではあるが、人間の存在の暗黒面を端的に描き出して恐ろしいまでの筆致である。現実には、マゾッホはこの倒錯心理から脱出し、社会思想・活動に後年に... [続きを読む]
|
- 2008/03/28 11:59リルケ〜キリスト教文学メモ24
- 「マルテの手記」は愛読したものだ。また、詩集も良い訳のものが多い。手塚富雄のものが優れている。また、高安訳も捨てがたい・・・・・・晩年のフランス語の薔薇をモティーフに書かれたものは実に美しい。「ドゥイノの悲歌」は入手しずらく全編を読んでいないのは残念である。「オルフォイス」の連作も素晴らしいものだ。... [続きを読む]
|