前野利貞 さん

前野利貞さん: 小説「ハイエナの城」
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プロフィール

ハンドル名前野利貞 さん
ブログタイトル小説「ハイエナの城」
サイト紹介文不良債権処理は本当に成功したのか。その処理の切り札として登場したサービサーだが、腐敗が始まっていた。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供95回 / 336日(平均2.0回/週) - 参加 2007/10/14 15:43

前野利貞 さんのブログ記事

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  • 2008/05/08 13:42髪結いの亭主(120)
  • ・四菱銀行 二〇,〇〇〇円  残七二四,二三〇円 ・アポール 六,八〇〇円   残三五一,九〇〇円 ・太陽信販 一五,〇〇〇円 ・富士ローン 五,〇〇〇円 ・生命保険 七,四七六円 ・国民健康保険未納分 一〇,〇〇〇円 ・税金未納分 一七,〇〇〇円 ・知人 一〇,〇〇〇円 ・家賃 六四,〇〇〇円                  計 一五五,二七六円  毎月の返済額が、几帳面な文字でぎっしり書き込まれていた。これだけ... [続きを読む]
  • 2008/05/04 18:56髪結いの亭主(119)
  •  鈴木里美は、現在四三歳だが十年前三つ年下の男性、佐山と結婚して埼玉県に美容院をオープンした。里美も佐山も共に美容師であった。その際、銀行から借り入れた額が約二〇〇〇万円。結局、それが返済できなくなってしまい、現在に至っている。 夫の佐山が年下ということもあって、主債務者は里美の方がなり、佐山が連帯保証人になっていた。 美容業界は競争が激しく、カリスマ美容師のように高い技術をうたい文句にする高級店... [続きを読む]
  • 2008/05/02 13:56髪結いの亭主(118)
  •  女は少し固い表情を覗かせながらドアを開けて入ってきた。  高山は、彼女を第一応接に案内した。新規案件のために来社する者の数が急に増え、三つの応接室は常に満室状態になっていた。  高山はいったんオフィスの方に戻ると、分厚いファイルを抱え込み、金森と一緒に再び応接室に戻ってきた。 「どうもわざわざお呼び立て致しまして、すいませんでした」 まず、金森が口を開いた。 女の名は鈴木里美。 ここに来る多くの者... [続きを読む]
  • 2008/04/29 14:11敗北(117)
  • 「ほう、ずいぶん調べたようだな。しかし、あのマンションは好評だったんで、全部売却済みだよ。うちの会社の資産なんて何も残っちゃいないよ」 「しかし、青山のマンションには、御社の持ち分が残っているんじゃないですか」「あれは宮川建設の持ち分だろう。おまえらの債権は宮川不動産に対するものだろうが。お宅らもよく知っているように、別々の法人なんだよ。お前らが宮川不動産に対していくら債権を持っていようが、宮川建... [続きを読む]
  • 2008/04/24 14:49敗 北 (116)
  • 「せっかくわざわざお出で頂いたのだから、お話だけでも伺おうか」  二人は、パーティシションで仕切られた応接室に案内された。 高山が名刺を差し出すと、宮川は、 「先日拙宅に来られた方とは違うようだが」 と言った。 「村井ですか。村井は退社しました」 「そうですか。その方が身のためだよ。あんたらも、こんな仕事から早く足を洗った方がいい。だんだん人相が悪くなってゆくから」  宮川は嫌味たっぷりに言った。 「あれ... [続きを読む]
  • 2008/04/22 16:39企業舎弟(115)
  •  天野不動産を出ると佐賀は、飯田橋から市ヶ谷にかけて外堀沿いの緑道をトボトボと歩いていた。この道は桜並木で、桜の季節になると大勢の花見客たちで賑わう。お堀を横切って外堀通りを渡るとすぐに神楽坂で、手前に行くと靖国神社の広大な敷地にぶつかる。  この辺はオフィス街というよりはどちらかというと学生街で、佐賀の横を大学生やセーラー服の女子高校生たちが通り過ぎて行く。かく言う佐賀も学生時代はこの辺を友人と... [続きを読む]
  • 2008/04/18 16:23企業舎弟(114)
  • 「なるほど。頼もしい限りですね。うちの回収部も、土谷を初め剛の者が何人かおりますが、和田さんにはとてもかなわないだろうな」  佐賀は不快であったが、適当にお世辞を言った。 「東京もんは大人しいって聞いてるんで、がんがん締め上げて、オジキの顔に泥を塗らないようにがんばるつもりですので……」 「でも一言言っておくけど、うちは法務省の監督下に置かれているサービサーなんで、やりすぎにはくれぐれも注意して下さ... [続きを読む]
  • 2008/04/15 13:04企業舎弟(113)
  •  サービサーを不動産の仕入れに活用するというのは的確な判断である。フューチャーのやり方は、投げ売りと言ってもいいほどの安値で売りまくるというものであった。常に自転車操業状態なので、とにかく日銭が欲しい。そのため、しばらく寝かせておいてから高値で売る、などという悠長なことは言ってられなかった。 以前土谷が、 「明日の一億より今日の一〇〇万」 などと、冗談まじりに言っていたが、フューチャーを表す上では至... [続きを読む]
  • 2008/04/11 16:36企業舎弟(112)
  •  天野不動産東京支社は飯田橋にあった。八階建てのビルの六階のワンフロアーにオフィスを構え、社員数は一〇人を少し上回る程度であった。この会社も人の出入りが激しく、長くいる社員はそう多くはないらしい。そのため、支社長の松田と楠田の二人で仕事を切り回していた。 「こちら佐賀課長。フューチャー債権回収のエースですから」  楠田が佐賀のことを松田に紹介した。 「この度はいろいろとお騒がせ致しまして」  佐賀はま... [続きを読む]
  • 2008/04/08 16:42企業舎弟(111)
  • 「佐賀さん、すまないね。いろいろと手伝って貰って」 「いえ。とんでもない。会社までご一緒します。一応額面では一〇〇億円近いものを輸送するわけですから、楠田部長一人で行かせるわけには行きませんので」 「本来なら、ガードマンが同行してもおかしくないよね」 「一〇〇億円がいくらになるか楽しみですね」  佐賀と楠田は、すでに冗談が言い合える仲になっていた。 楠田がフューチャーの監視役として来たことはよく承知し... [続きを読む]
  • 2008/04/03 15:23企業舎弟(110)
  •  黒崎にとって、天野が以前回収業を営んでいたという話は初耳であった。そしてこれは、もし自分が今回の借金を返済できなくなったら、やくざ者を差し向けるという脅しともとれ、背筋が寒くなった。  突然天野が、 「ちょっと、楠田を呼んでくれませんか」 と言った。 猪川はすぐに内線でフューチャーのオフィスで待機している楠田に、すぐに来るようにと伝えた。  楠田が駆けつけると、 「今、黒崎社長と話し合いがついたとこ... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 借金
  • 2008/03/31 14:45企業舎弟(109)
  • 「残念ながら、弁護士法によって、回収行為は本来弁護士以外はやってはいけないことになってるんですよ。唯一の例外がサービサーなんです。ですから、社長のところで回収すると、法律で罰せられてしまうことになりますよ」 「ですがな。うちも今じゃ不動産会社などと大いばりでやっておりますが、以前は債権回収、いやそんなきれいなもんやないな、取立屋を主にやっておったんですわ。これはヤクザの専売特許みたいなもんですから... [続きを読む]
  • 2008/03/26 16:43企業舎弟(108)
  • 「この件ついてはもうええがな。借りたもんを利息をつけてきちんと返してもらえば儂はこれ以上何も言わん。ところで本題に入らせてもらうが、金銭消費なんとかという、要は借用書ですな。それを今日はあんたんところから預かりに来たんですわ。今回の整理回収機構から買い取った四六〇件の債権は、儂の金で買い取り、お宅からはまだ一銭も返してもらっておりまへん。そうですな、黒崎社長」  天野はぎょろりと黒崎のことを睨みつ... [続きを読む]
  • 2008/03/24 20:48企業舎弟 (107)
  •  黒崎は、少し時代がかっていると思われることを恐れず、テーブルにぶつかる程深々と頭を下げた。両手の五本の指先はテーブルの表面にしっかりと据えられていた。 「社長、あんたには一杯食わされましたわ。よくもまぁ、あんな子ども騙しみたいなことしてくれよったな。こちらも税理士資格持つ優秀な人間を送り込んでいるんやから、すぐにばれるのわかっておりまっしゃろ。儂らの世界だったら、きちんと落とし前つけてもらうとこ... [続きを読む]
  • 2008/03/21 16:14尾行(106)
  •  港区法務局は地下鉄大江戸線の麻布十番駅が最寄りだったが、六本木駅からだと歩いた方が早い。一〇分ほどで法務局に辿り着き早速謄本を上げてみた。 すると、まさにビンゴであった。  株式会社日進住宅販売の謄本の役員欄には宮川次郎の名前が載っていた。そして驚いたことに、代表者は谷村静枝だった。 しかし、実権は宮川が握っているに相違ない。  さて次にどうすべきか。高山はしばらく思案にくれていた。再びあのビルに... [続きを読む]
  • 2008/03/18 12:44尾行(105)
  • 「高山さん、てっきり一緒についてきてくれたのかとばかり思ったよ」 「えっ、あの階段を降りてきたんですか……」 「そうだよ。気づかなかったかい? 俺が目で合図した時こちらの方を見ていたから、気づいてくれているとばかりと思っていたよ」  何と言うことだ。階段を降りてくる乗客の流れに、必死に目を凝らしていたつもりだったにもかかわらず、谷村静枝どころか山田の存在さえ見逃していたのだ。 逆に言えば、素人が探偵... [続きを読む]
  • 2008/03/10 17:39尾行(104)
  •  社に戻り、同じ課の山田に協力を求めると、快く引き受けてくれた。山田は、以前調査会社に勤めていたことがあったので、尾行に関してはエキスパートであった。とりあえず谷村静枝の顔を知ってもらうため、再び都庁へと向かった。 業者名簿は、閲覧のみでコピーはできないので、山田に写真の顔をしっかり頭に刻み込んでもらう必要があった。  早朝の張り込みは、対象者の出勤時刻より少しでも遅れたら無意味に終わるので、午前... [続きを読む]
  • 2008/03/02 16:45尾行(103)
  •  高山も、新規案件に対して片端から電話をかけていた。三〇件のうち五件とはすぐに連絡が取れ、来社の約束を取り付けることができていた。残りの二五件についても、なるべく早急に来社させねばならない。 五件の新規案件の来社予定日は週後半に集中していたので、前半はとりあえず宮川の案件に引き続き取り組むことにした。高山は何でものめり込むたちなので、今はこの案件のことで頭が一杯であった。  二〇件は必ず存在するで... [続きを読む]
  • 2008/02/24 19:02尾 行 (102)
  •  整理回収機構の債権がフューチャーに譲渡されると、回収部はにわかに活気づく。特に今回は、四六〇件もの大量案件が入ってきたので、回収部の者にとっては、一人当たり三〇件近い案件が、新たに振り分けられることになる。 債権が譲渡されると、まず整理回収機構の方から債務者に「債権譲渡通知書」が送られる。しかし、実際のところ、この作業は、フューチャーが代行する。債権譲渡通知書を作成し、差出人が整理回収機構になっ... [続きを読む]
  • 2008/02/18 15:32水底の家(101)
  •  高山はそれ以上聞くのは諦め、ていねいに礼を述べてから、家の前を去った。 そして、老婆が指さした方向へと歩いて行くと、そこには、堤防の間をゆるやかに流れる川があった。護岸工事がなされた川岸に立ち、宮川の家が沈んでいると思われる川の中ほどをしばらく眺めた。川面はなめらかで、何事もなかったかのように、静かにたゆたっていた。  高山は、ようやく事情が飲み込めてきた。要するに宮川の家は、国から買収されたの... [続きを読む]
  • 2008/02/15 13:26水底の家(100)
  •  埼玉県に入ってからも一時間以上電車に揺られ、B駅で下車してから、さらに三キロほど歩いたところにY町はあった。 駅前は繁華ではないがスーパーもあり、それなりに生活の便は良さそうであった。しかし、目的地に近づくにつれて立ち並ぶ家々も疎らになり、やがて畑や草茫々の空き地が目立つようになってきた。 橋に二級河川と掲示された川を越えると、風景は一変した。 そこは離れ小島のような一帯で、狭い場所に小さな建物... [続きを読む]
  • 2008/02/12 15:26水底の家 (99)
  •  戸籍の付票によれば、宮川次郎は昭和四〇年代まで埼玉県○市Y町に住んでいたことになっている。その住所地の謄本を上げると、建物の所有者は現在も宮川の名義になっていたが、土地の所有者は何故か建設省であった。 これはいったい何を意味してるのであろう? 国有地の払い下げの場合、所有者が省庁であることはよくあるが、払い下げによって個人の名義に変わるはずである。また、国によって買収されたとしたら、何故建物だけ... [続きを読む]
  • 2008/02/09 16:31法務省からの呼び出し(98)
  •  フューチャーにとっては免許取消はおろか業務停止だけでも十分命取りになる。特に佐賀の担当する仕入の仕事は、信用が第一である。監督官庁の法務省から処分を受ければ、その噂は瞬く間に業界に広がるであろう。現在まで、業務停止処分をくらったサービサーはまだ1社もない。もしサービサー業界初の処分となれば、新聞でも大きく取りあげられるだろう。 そして、多くの金融機関は、問題のあるサービサーとは縁を切るに違いない... [続きを読む]
  • 2008/02/07 15:37法務省からの呼び出し(97)
  • 「申し訳ございません。黒崎はこのところいろいろと立て込んでおりまして、私が代わりにやって参りました」 「いつもそんなことばかり言ってるんですよね。ところで、西さんはどうしたんですか?」 「ちょっと家庭の事情があって、退職することになりました」 「西さんは、責任ある立場の人だったんでしょう。どういう事情か知らないけど、上の人がコロコロ変わるようじゃ心配ですね。ところで、佐賀さんは、どういうお立場なんで... [続きを読む]
  • 2008/02/04 16:43法務省からの呼び出し (96)
  • 「また一つ余計な仕事が増えてしまった」  佐賀は、黒崎から呼び出されたかと思ったら、法務省の窓口になってくれと突然言われたのであった。 西が辞めた時点で、うすうすは予感していたとは言うものの、ただでさえ忙しいのにさらなる重責を担わされるというのは、正直言ってまっぴらだった。 法務省のパイプ役と言えば一見聞こえはいいが、対応いかんによっては責任が問われる、損な役回りである。  フューチャー債権回収では... [続きを読む]
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