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- 2008/06/29 23:38みどりの蝶
- 風に揺られてひらひらと飛んで行く蝶がみどり色だったので、なにかの突然変異かと思って窓の外を目で追って、それがそのままひらひらと地面に落ちてゆくのをみて、なんだ、ただの葉っぱかと、少し残念に思った。けれども、そんな風に葉っぱが飛んでいったのが、まるで生きているみたいで、感激もして。梅雨に入る前のできごと。6月は、波に負けている。... [続きを読む]
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- 2008/05/06 18:01まだ見えぬものが ニ
- 守らなきゃならないことがある、と、わたしにはあまり見せなかった顔で先生は、落ち着いてはいるけれどほんの少し怖い声を出した。それまでの、わたしの前の恋の話とか、先生が今までに年下と付き合ったことがないという話といった、ついこの間まではしなかったお互いの好みの話からゆっくりと方向転換して、ふたりのこれからの話になっていった。お昼休みの数学科教材室は、静かで、だけど決して無音ではなく、学校と先生と、わた... [続きを読む]
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- 2008/04/16 22:19今日、あなたはその飢えを満たすことができましたか?
- 空腹からの飢えよりもこの世界にもっと氾濫しているのは 愛と感謝への飢えなのです。 今日、あなたはその飢えを満たすことができましたか? 今日、あなたが愛されているのだということを 誰かが伝えてくれましたか? 誰かがあなたに感謝しているということを そっと感じさせてくれたり、 あなたは特別な人だということを伝えてくれましたか? あなたはまったくそのままでいいんだよ、 と誰かが太鼓判をおしてくれましたか? そして... [続きを読む]
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- 2008/03/28 14:12決意が
- 決意が貫き通せたら、アレキサンドライトと万年筆を買おう。... [続きを読む]
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- 2008/03/23 13:3110000分の1
- 「奇跡」っていうのは一体、何分の一の確率になるのだろう。わたしの好きな、彼にしか持てない世界を持った先輩が、そんな風に尋ねたので、みんなは、10000分の1ぐらい。万が一と言うしね。と言った。先輩は、じゃあ「奇跡」っていうのは10000回に1回は起こるってことだな。と、何かの検証事項みたいに、まだ考えているみたいに、とりあえず頷いていた。そう言われると少ないような気もするね。と、誰かが言ったので、わたしは、案... [続きを読む]
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- 2008/03/17 22:20まだ見えぬものが 一
- 途方もないかなしみや途方もない苦しみが、絶対に、間違いなく、まだ見えぬけれども確実に、この道にあるのはわかっていた。けれどもわたしはそのまだ見えぬものが、もしかしたらどこにもないのかもしれないと、ほんとうは想像の中にしか存在しないものなのかなと、あさはかな希望を持っていたので、別の道を選ぼうとはしなかったし、もしそれがあったとしても、かまわないと、後悔はするかもしれないけどそれでもいいと、思ったり... [続きを読む]
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- 2008/02/24 23:51花のある生活
- ここ数日の収穫。どちらもいただきものですが、薔薇は持っていっていいよと言われ持ち帰り、ガーベラは花屋のおばさんがおまけにつけてくれた。今日はお墓参りにゆき、たくさんの菊を生けてきた。明日は春に向けてチューリップの寄せ植えを作る。花に関わった生活。こころが、落ち着く。花は高いけれど、そのぶん癒やしをくれるから、たまに思い切って買ってくる。春は出会いと別れの季節。たくさんの花に埋もれる季節。しばらく、... [続きを読む]
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- 2008/02/13 23:31最愛のひとへ 十四
- 鈴のない自転車の鍵をポケットからとりだすと、やっぱりあるのが当たり前だった存在にふと寂しくなる。そんなに大事にしていたわけではないけれど。そこにあること自体が、当たり前で、ないことなんて考えられないようなごく自然な、そんなものだったのだと気づかされる。チリン。かすかに、空気が震えて、なくしたはずの小さな音を伝えたような気がした。振り返ると先生が見えて、わたしは背を起こす。目が、わたしを呼んだ。なに... [続きを読む]
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- 2008/02/11 20:07最愛のひとへ 十三
- 予鈴が、わたしへもう教室へ行きなよと呼びかけた。いま離れれば、ほんの一瞬の、たかが女子高生の、たわいもない淡い想いで終わらせることができるから。そんな風に聞こえたけれど、先生が、またわたしを、優しく見つめていたので、わたしは部屋を出られなかった。「俺、ずいぶんおじさんだけど?」先生が、子どものどうしようもないわがままを大人の余裕というようなもので聞くような顔をして言った。「妻も子もいるよ?」「…知... [続きを読む]
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- 2008/02/11 12:53最愛のひとへ 十二
- 先生が、好き。他のひとの話を、他の女のひとの話を、先生の口から聞きたくないと思うくらいには、わたしは先生が好きだ。ずっとずっと気づかなかった本当に小さな、春を待つまぶしいくらいの緑の新芽のように、そこにじっと、間違いなく確かに、育ってきてしまっていた。「もうこんな時間か」先生が腕時計に目をやって、後数分で昼休みが終わりになることを教えてくれた。計算途中の式が、まだ残っていたけれど、わたしはペンをし... [続きを読む]
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- 2008/02/10 22:30最愛のひとへ 十一
- 期末テストの数学は、34点という非情な平均点だったのでわたしの74点はまずまずの結果だと、自分自身を慰めてあげることにした。できなかったところは昼休みに、先生のところで解決できた。大きなまるがふたつ。それ以外には鉛筆のにぶい黒さえ書かれていないきれいな答案。先生はそれを見てうなって、「書いたところは全部合ってるんだよな」と、確認するように言って、「他はわからなかったの?」と聞いてきたので、わたしはそう... [続きを読む]
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- 2008/02/03 22:45最愛のひとへ 十
- 朝、鏡の前で、切りすぎた前髪と格闘したけれど、勝ち目はないと制限時間ぎりぎりでギブアップして、鈴のないままの自転車に飛び乗った。ペダルをこぐといつもの涼しげな音がやはり聞こえなくて少し寂しい。吹きつける風が髪を揺らして、決まらない前髪などもうどうでもよくなった。学校へ着くとそこはいつもと変わらない日常が待っていて、先生が学校を休んだことなんて忘れ去られていたかのように、ぽっかりと空いた一時間ぶんが... [続きを読む]
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- 2008/02/03 14:27ハコ
- フリースタイルなヒトのツーハンカタログhaco.no.14... [続きを読む]
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- 2007/12/29 15:07としが明ける。
- 今年の冬は寒いと思っていたけれど、未だに雪も積もらずに、なんだ、また暖冬かと思うくらい。今年を反省。1月、風邪を引いて忙しさに見舞われていた。2月、忙しすぎてストレスを抱え込んだ。3月、大切な人たちと別れ、大好きな人が戻ってきた。4月、報われなくても頑張れると思った。5月、応援してくれる人たちのために決意した。6月、体裁のために動くことに、憤りを感じた。7月、一瞬かもしれないけれど、本当に欲しいものを手... [続きを読む]
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- 2007/10/28 18:29最愛のひとへ 九
- 自転車の、ペダルがくるくると回る音を聞きながら、毎朝毎夕通いなれた道を走って、どこまでこの日常が続くのだろうと考えていた。横断歩道の鮮やかな青信号が点滅しかけたのが見え、やはり渡るのには間に合わず、ブレーキをかけた。車が、ゆっくりと左折する。五時間目の授業に、先生は現れなかった。代わりに英語の女の、みんなにはカナちゃんと呼ばれている、若い教師が自習だと告げにやってきて、男子を喜ばせていた。誰かが、... [続きを読む]
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- 2007/10/21 21:35墓参り。
- 天気が良かったので、洗濯をして、本を読んで、お昼をまわったので久しぶりに墓参りに行った。近くの物産店で安く仏花が手に入るので、山盛りのように買って、たぶんお花が枯れている頃だろうと思ったから、水と、缶コーヒーを持って行ってあげた。缶コーヒーなんてそんなに美味しくもないのに、よく飲んでいたから、それしか思いつかなかったからなのだけれど、いつもお花と一緒に持っていくことにしている。水を取り替えて、缶コ... [続きを読む]
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- 2007/10/21 18:23最愛のひとへ 八
- 化学の実験が長引いて、なにか薄い赤紫色の試薬で変化を確かめるそんな実験だったのだけれど、丁寧に用具を洗っていたら教室に戻るのが遅くなって、お昼休みの窓際は、男子でいっぱいになり、わたしの席だけがぽつんと取り残されていた。机の中からノートと、いつも広げてよれよれになった数学の問題集と、かばんの中に入った、朝お母さんが冷凍食品ばかりをつめこんだお弁当を取りだして、教室から逃げ出した。数学科教材室へ。こ... [続きを読む]
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- 2007/10/18 06:48最愛のひとへ 七
- 18×3.5計算機、とわたしが言うと、先生は「頭を使って計算しなさい」と、眉をしかめた。仕方なくノートに筆算を書く。面倒くさい計算だなと、ペンを持つ手が動かなかったのを先生が笑って、わたしのノートにすらすらと魔法を解くように容易に、美しく、18×3.5を計算してあっという間に63にかえてしまった。茫然とその数字を見ていると、先生が子どもみたいに自慢気に笑っていた。わたしはその魔法にずっとみとれていた。3.5は10... [続きを読む]
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- 2007/10/08 22:03実物を見に
- 平山郁夫を見に行った。教科書の表紙になっていた光る藤原京を描く人は、他にどんなものをどう描くのだろうと気になって。むかし画集を本屋で開いてみたけれど、実物をみる機会はなくて、今回の偶然の機会を逃すまいと、美術館まで足を運んだ。森の中で祈る仏陀や夜空に浮かぶ白い像。広島の赤い炎にかすかに浮かぶ救いの手。どれもが魅力的で、芸術というものは、やはりその人の想いなのだと思った。想いが強いほど、心が惹かれる... [続きを読む]
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- 2007/10/02 23:41最愛のひとへ 六
- わたしの日課。ノートに、数学のプリント問題を解くこと。進学校だからと、誰が言っていたのかは忘れたけれど、たぶんどの先生も言っていることだとは思うけれど、毎日、いろんな問題がプリントされている。わたしはそれを、どうせ他にやることがないのだからと、毎日ただ当たり前のことみたいに、解いている。わからないことがあったら、お弁当を持って、数学科教材室の先生のところに行く。たまに先生も奥さんの作ってくれた愛妻... [続きを読む]
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- 2007/09/29 21:09出会いの本
- 発売日だというので、昨日、本屋に寄ったら田舎の町だからやっぱりなくて、ヤンキーに会った。会いたくないから逃げたのに、向こうが見つけて話し掛けられて、ちょっとはなして別れた。今日は別の本屋に行ったので、目当ての本に出会えた。この作家は私にミステリーと活字のの面白さを教えてくれたひとで、読む楽しみと書く楽しみを知った。文章はそれだけで芸術。だから、本が出ると必ず買う。今回はずっと楽しみにしていた本だっ... [続きを読む]
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- 2007/09/24 11:25最愛のひとへ 五
- 手のひらサイズのパンを半分にわってみる。中に、優しい色のクリームが見えて、思った通りだった。その片割れにかじりつく。味は、ふつう。おいしいとかまずいとか、そんな感情はおこらなくて、ただ生きるために必要な養分をとるだけの、なんの楽しみもない食事をしていた。「それで足りるの?」先生が、お弁当の白飯をほおばりながら、このからあげ食べる?と私に弁当の中身を見せたけれど、首を振ってわたしはパンを飲み込んだ。... [続きを読む]
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- 2007/09/23 18:26花を生ける
- いとこが育てた菊をいただいて、いつか和家具を買ったときにおまけにもらった薬瓶にそれを差してみた。思いのほかかわいらしくて、菊といってもいろいろあるのだと感激した。真ん中が濃いあかむらさきでとてもきれい。わたしのいとこはいま眠っている。眠ったまま、起きない。結婚を約束していた恋人がいとこの名を呼ぶけれど、目は閉じたままで、ただ呼吸を繰り返す。目が覚めればいいのに。生きているのはつらいことも多いけれど... [続きを読む]
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- 2007/09/22 19:06最愛のひとへ 四
- なんて長い時間。四時間目の授業が終わって、五時間目がはじまるまでの、このもて余るほどたっぷりの時間を、どうやってみんなは潰しているのだろうと、ありきたりだけれど校庭でサッカーをしている男子たちを見ながら考えていた。日が差して、ワイシャツの袖をみんなまくっている。転んで汚れるとわかっているのに、着替えもせずに。校舎の中にいるわたしのところまで太陽がやってきて、日陰に逃げ込んだところで、先生の姿を見つ... [続きを読む]
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- 2007/09/21 20:30最愛のひとへ 三
- どこがちがうの。特別頭の回転がよかったわけでもなくて数学的センスを持っているわけでもなくてわたしはいつもわからないことばかりだった。先生が丁寧に説明してくれても、それを消化するまでにはずいぶん時間がかかる。シャープペンシルの先を宙で上下左右にきって、口のなかで何度も反芻する。頭の中にばらばらに散らばる数と文字が、少しずつ整列していった。全部が並び終わるのを待ってノートに書き出したら、同じように先生... [続きを読む]
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