|
- 2008/03/23 08:46シーン7 "ルーズユアセルフ" 後書き
- それぞれの道を歩み始めた留璃子達の先には何が待っているのか。人は何故産まれ、何の為に生き、何処へ辿り着くのでしょう?長男の琥珀は優秀な医師であり資産家の息子であるという、人もうらやむ環境を自ら捨て去りました。危険の中に身を投じる決意をした彼の目は何を見ているのでしょうか?二男の黒曜はひたすら父親に忠誠を示し家業を守ってきました。不器用な彼が初めて父親の意向に逆らい自分の欲しい物を求めた結果が、妻... [続きを読む]
|
- 2008/03/22 08:57シーン7-2 "ルーズユアセルフ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい「私、色々考えました」もう何度目になるだろう?臨床心理士の多岐川先生との面談は足掛け三年に渡っていた。「自分の中でけじめを付ける必要があるんです。これ以上、結論を持ち越すことはできません」真摯な眼差しを向ける多岐川先生に、私は告げた。「今、今が、その時... [続きを読む]
|
- 2008/03/21 08:55シーン7-1 "ルーズユアセルフ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい主婦不在の家で年賀を祝うことは出来ないから老舗の温泉に集まれと、パパからの連絡があったのは年末も押しせまった時期だった。名古屋市近郊のこの宿は値段と料理が良く非常に高額であることで知られていた。正月なら、さらに値段は上がるのだろう。パパは一緒に住んでい... [続きを読む]
|
- 2008/03/20 08:43シーン6 "グラスオブハウス" 後書き
- 経済的に恵まれた高倉家で、一見何不自由無く育ったように見える留璃子達姉弟は、それぞれに心の傷を背負って生きています。家族という絆は脆いガラスの家の中でどんな役割を果たしているのでしょうか?タイトルのグラス・オブ・ハウスはビリ・ージョエルの名曲をモチーフに命名しました。この曲は実際の少年の犯罪を元に書かれたと聞きかじった記憶があります。次回シーン7"ルーズユアセルフ"は最終章となります。お気... [続きを読む]
|
- 2008/03/19 05:37シーン6-11 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいママはリハビリの甲斐あって明日にでも退院できると、見舞いに来た琥珀が話してくれた。 私が入院した後、ママの付き添いは家に通ってもらっている家政婦さんに頼んでいた。その人に退院後のママの介護もしてもらうことになったと言う。私が結婚後に変わった家政婦さんで、... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/03/18 06:33シーン6-10 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいママの容態を心配した姉弟の間で当初転院を検討した。この地方で随一の尾張大学付属病院、琥珀の勤務先にだ。しかし、先進医療を研究する大学病院の性質上、脳梗塞患者のリハビリには限界があるのだという。つまり難治性の高い病でない人は早々に退院させる方針なのだ。名... [続きを読む]
|
- 2008/03/17 07:51シーン6-9 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいタヤマ病院を退院してからもうすぐ一年になる。季節は冬から春へ、夏から秋へ、そしてまた冬が訪れた。若い小笠原医師は毎回同じ質問を繰り返す。「睡眠は取れていますか?」「お食事は?」「お通じは?」「変わったことは?」そして私も同じ答えを返す「はい変わりはあり... [続きを読む]
|
- 2008/03/14 09:03シーン6-8 "グラスオブハウス
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいオーストラリア旅行は今回で6度目、ケアンズ滞在は4度目になる。信じられないことに、空港に向かう列車の中で私は緊張していた。祐輔は日常英会話が出来る。常備薬の抗うつ剤と眠剤はちゃんと処方箋付きだ。滞在先のシェラトン・ミラージュ・ポートダグラスは既に三回目... [続きを読む]
|
- 2008/03/13 16:58シーン6-7 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい紗香さんに電話をしようとして何度も躊躇う。私はこの義妹が好きだった。一人っ子らしいちょっと我がままな部分も、ポンと口をついては飛び出す余計な一言も、彼女の素直さの現れだと好感を持っていた。「瑠璃?どうしたの?」祐輔は私の顔を不思議そうに見ていた。私は手... [続きを読む]
|
- 2008/03/12 14:57シーン6-6 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいあれ以来、パパからの呼び出しが多い。あれとは、会社に国税庁の査察が入ったことだ。パパは用事がなければ自分から連絡を取ってこない。それぞれ家を出た私達の住処を訪れるなど稀だった。私達の新居祝いに祐輔の両親と共に招待したけれど、パパは来てくれなかった。事務... [続きを読む]
|
- 2008/03/09 16:03シーン6-5 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい担当医が替わった。総合病院では仕方ないことだけれど、研修を終えたばかりといった風情の医師の若い顔に、思わずためいきを漏らしそうになる。うつ病の治療は長期に渡る場合が多いのに、医師の入れ替わりは激しかった。「睡眠は取れていますか?」小笠原と名乗る ... [続きを読む]
|
- 2008/03/07 08:40シーン6-4 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい黒曜を捕まえるのは至難の業だった。もとより私が一方的にメールや留守電を送りつけるだけで、向こうから連絡してこない奴なのだ。しかたなく、私は高倉不動産の社長として、高倉建設社長の黒曜に予定を取らせる非常手段に出た。マリオットのラウンジで司法書士 ... [続きを読む]
|
- 2008/03/06 13:50シーン6-3 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい黒曜の奥さん、紗香さんに会ったのは三年振りだった。唐突に鳴らされたインターホンに私は居留守を決め込んだ。それでも気になり玄関モニターを覗くと、そこには固い表情をした義妹の姿があった。「留璃子姉さん。元気そうですね」紗香さんは言うと紅茶を一口飲 ... [続きを読む]
|
- 2008/03/03 21:24シーン6-2 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいあまりにもキレイに折れていたため、怪我は一ヶ月もでほぼ完治した。もともとが丈夫な上、ずっと運動を続けていたので『理想以上の回復をした』と医者に驚かれてしまった。暴力を振るった女性を告発することはせずに、示談で解決をつけたらしい。女性は二度と私 ... [続きを読む]
|
- 2008/03/03 08:55シーン6-1 "グラスオブハウス"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい洗濯機を回す。洗濯物を干す。夕方取り入れる。ゆっくりと畳む。そして収納する。小学生の頃からやってきた『洗濯』って作業なのに、三十六の今になり負担を感じる日があった。パンと珈琲に果物だけの簡単な朝食、出来合いのお惣菜とご飯を炊くだけの夕食、たっ ... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/03/01 09:55 シーン5-10 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい金剛が大検を取得した。今は高卒認定と言うらしい。進学校をドロップアウトした金剛はパチンコ屋で働いているため、夜学や、日曜に授業の行われる通信制高校に通えなかった。だから参考書を買い、仕事の合間に勉強したのだと言う。先日のママの四回忌でかなり ... [続きを読む]
|
- 2008/02/28 10:30 シーン5-9 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい桜の蕾が綻び、ママが死んで三度目の春が来た。実家に戻るのはママのお葬式以来だった。お寺さんを招き四回忌のお経を貰うのだ。褐色砂岩色のタイルを外塀から使った外見は、こじんまりとした家の多い住宅地で異彩を放っていた。電子解錠式の大きなガレージは開 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/26 16:27 シーン5-8 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい何故か私の思い描くバスは、乗った事も無い田舎街を走る古いものだった。ガタガタと揺れる車体、色あせた緑の布が貼られた椅子。その少女は小さかった。まだ小学生くらで、長い髪を両分けに結んでいた。左右の位置が違うのは鏡を見ながら自分でゴムを巻いたから ... [続きを読む]
|
- 2008/02/25 07:26 シーン5-7 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい業者のハウスクリーニングに来てもらった。年末に電話をしたけれど予定は満杯だと言われ、年明けに予約をしたのだ。どうやら業者に大掃除を頼みたいと考えるのは私一人では無いと知り、すこしホっとした。見知らぬ他人を家に上げ、自分一人で対応をするのは緊張 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/23 23:04 シーン5-6 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい「こんにちは、椙山さん」「こんにちは。よろしくお願いします」こちらこそと言い、多岐川先生は私に椅子を勧めた。圧迫感を感じない程度に狭い臨床心理室には、私達が向き合っている大きめのデスクと、本棚、小さな箱庭と何故だから沢山の小さな人形が置かれ ... [続きを読む]
|
- 2008/02/14 10:01 シーン5-5 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい祐輔は元気一杯で出勤して行った。冬の朝、吐く息は白く部屋着のままでエレベーター前まで見送った私は、凍えそうな体にブランケットを巻き付けソファーに横たわった。義父母の家に10日もお世話になり、この週末に帰宅した私は、怖々と歩を進めるヒヨコのようだ ... [続きを読む]
|
- 2008/02/13 07:31 シーン5-4 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい翌週末、私達はいよいよ我が家に帰る。退院のお祝いだと、義父母から洒落た懐石の店に招待された。立派な門構えから一歩店内に足を踏み入れると、思ったよりモダンな内装が施されていた。私達は予約された奥の個室に通される。高い天井には立派な梁が通され、一 ... [続きを読む]
|
- 2008/02/12 10:09 シーン5-3 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さいお義母さんのお弟子さん達が離れに集まる賑やかな声が聞こえた。今日は午後からの稽古日だった。『離れ』とは呼び名だけで母屋と続きになっている。お稽古場の玄関は別構えで、広い板間と縁側、水場とお手洗いが備えられていた。義母はこの地方では名門と言わ ... [続きを読む]
|
- 2008/02/11 10:41 シーン5-2 "スケアリモンスタ"
- *警告*このブログには自殺、流血、薬物、飲酒、精神病治療のシーンが含まれます。自己の責任で対処できる方、小説と現実の区別がつく方のみ閲覧して下さい気を紛らわようと眺めている景色にさえイラつきを覚える。長閑で良い場所だと思った。. . . . . . たしかに昨日は。私は安定剤の効き目が現れるのを待っていた。ソワソワと落ち着かず、動けないのに、じっとしているのが辛い。. . . . . . 『気分変調』磯崎医 ... [続きを読む]
|