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- 2008/05/03 19:31不思議な接着剤 ―連載45―
- 皿にとり出されたケーキは、ひしゃげたシルクハットにそっくりでした。「どうして、こうなったのかなあ。シフォンって、気むずかし屋でね。きれいに焼きあがって見えても、とり出しにかかったら、こうなることって、よくあることなんだ」 瞳は、ひどくがっかりし... [続きを読む]
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- 2008/03/24 11:21不思議な接着剤 ―連載44―
- そして、紘平は、思ったことを実行しました。 不思議な接着剤、すなわち、アルケミー株式会社製品の超化学反応系接着剤クッツケールがひき起こした事件の一切合切を、瞳に話したのでした。 瞳は、竹ぐしとパレットナイフをもちいて、ケーキを型からとり出す作... [続きを読む]
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- 2008/02/26 18:33不思議な接着剤 ―連載43―
- 瞳につづいて入ったキッチンには、あまいにおいがただよっていました。 テーブルに、空きびんと、それにささった筒がありました。筒は、逆さになったケーキの型でした。 キツネ色に焼けたケーキが、筒の下からはみだしています。「シフォンケーキ... [続きを読む]
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- 2008/02/17 08:09不思議な接着剤 ―連載42―
- 瞳は、ピアノを習っていました。 瞳はピアノの練習が嫌いではありませんでしたが、その指づかいには、友だちが遊びにくる前に練習を終えてしまいたい、というせっかちさがあらわれていました。 かのじょは、同じかしょで、3回つかえました。 ピアノの音... [続きを読む]
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- 2008/02/07 04:56不思議な接着剤 ―連載41―
- ねんのために、紘平は、朝刊の日づけを見ました。 間違いありませんでした。 不思議な接着剤の作用で、21日の木曜日だったはずの今日は、23日の土曜日となっていました。 その土曜日に、おさななじみの瞳と遊ぶ約束があったことを、紘平は思い出し... [続きを読む]
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- 2008/01/08 08:13不思議な接着剤 ―連載40―
- クッツケールで、カレンダーの中の数字20と23、つまり20日と23日をくっつけたあとで、紘平は眠ってしまったようでした。 目がさめてみると、朝だったのです。 小鳥がさえずり、カーテンのすきまから、ひかりがほとばしっていましたから。 それで... [続きを読む]
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- 2008/01/07 18:12不思議な接着剤 ―連載39―
- 白いネコをだいた少女の絵が描かれた下に、西暦年と月がありました。 西暦というのは、キリストが誕生したとされる年を元年にして、年を数える、年代の数えかたです。 西暦年と月の下には、曜日が横ならびをし、曜日の下には、数字が順ぐりにわりふられて整列... [続きを読む]
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- 2007/12/22 16:35不思議な接着剤 ―連載38―
- しかし、もちろん、そのねたは使えませんでした。 あしたは、工作より、放送の原稿をさきにすませることになるでしょう。 そして、きっと、工作をする時間がたりなくなって、どうしようもないできそこないを、提出するはめになるのでしょう。先生の首をかしげ... [続きを読む]
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- 2007/12/16 18:02不思議な接着剤 ―連載37―
- 放送室には、機械係、音楽係、アナウンサー、それに放送内容の記録をとる書記がつめます。 係のクラスの生徒が、放送室に給食を運んでくれますが、放送中はだれもがいそがしくて、たべるひまなどありません。 終ってから、みんなであわただしく給食をたべ、給... [続きを読む]
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- 2007/12/10 15:38不思議な接着剤 ―連載36―
- 5 あしたは、しあさって おかあさんと翔太は、家に帰りつくと、洗面所で顔と手足をきれいにしただけで、寝にいってしまいました。居間には、紘平とつくりかけの工作がのこりました。 おかあさんは、寝まきに着がえてから、階段をおりてきて、紘平にいいま... [続きを読む]
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- 2007/11/28 17:38不思議な接着剤 ―連載35―
- ですが、小さな勇者は、病院の外へ出て、ネコがいなくなっていることを知ると、大泣きしそうになりました。あのピアノの声でです。 翔太は、おそらく、いままではネコとの再会を思って、そのことで頭のなかがいっぱいで、泣くひまがなかったというわけなのでしょう... [続きを読む]
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- 2007/11/26 19:38不思議な接着剤 ―連載34―
- ながい時間がたちました。 というのは、紘平の感じかたで、じっさいには15分が経過しただけでした。ふたりが出てきました。 翔太は、まだ、右目のまわりをはらしていましたが、泣いてはいませんでした。おかあさんは、顔をあからめています。 おかあさ... [続きを読む]
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- 2007/11/24 17:55不思議な接着剤 ―連載33―
- 看護師さんがいったように、すぐに診察の順番がきました。 なぜって、待ち合い室には、紘平たちのほかに3人いただけだったからです。 おかあさんは、救急病院の待ち合い室が、翔太と同じ新型のインフルエンザにかかった――つまりピアノ協奏曲そっくりの声で泣... [続きを読む]
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- 2007/11/23 15:05不思議な接着剤 ―連載32―
- 「あら、まあ、ぼうやは……。お目めは、どうしたのかな?」と、看護師さんは、翔太のほうへ身をかがめて、いいました。「ネコにさわったようですの。この子は、アレルギーでして」と、おかあさんがいうと、看護師さんは、ほほえみました。「今日は、それで、お... [続きを読む]
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- 2007/11/20 02:32不思議な接着剤 ―連載31―
- 動物の毛にさわると、翔太は目がかゆくなり、ときには、目のまわりがはれることもあったのです。 そういいながらも、紘平は、翔太といっしょに、すこしの時間、ネコとあそんでしまいました。 兄弟は、病院の正面玄関わきの茂みへ、ネコをかくしました。帰ると... [続きを読む]
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- 2007/11/18 19:02不思議な接着剤 ―連載30―
- 紘平は、翔太を見つけました。 弟はしゃがんで、木のかげに逃げこんだネコをなでていました。白い子ネコです。 紘平を見ると、ネコは緊張した顔つきで、身構えました。ネコは、じぶんには気をゆるしていないように思えましたが、紘平はネコをつかまえました。... [続きを読む]
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- 2007/11/17 17:52不思議な接着剤 ―連載29―
- おかあさんの運転する車がつぎの信号で左にまがれば、救急病院に指定されている総合病院の、白い大きな建物が見えるはずでした。 おかあさんは、そのように車を進め、病院の門から駐車場に入り、そこで車をとめました。 3人は、車からおりました。おかあさ... [続きを読む]
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- 2007/11/16 21:12不思議な接着剤 ―連載28―
- 夜になったばかりの街は、ぼんやりとした暗さでした。 街灯は、手もちぶさたのあかりを、街灯どうしでなげかけあっていました。 遊戯施設の巨大なあかりは、眠そうでした。ハンバーガー店に、ドーナツ店に、コンビニのあかりは、計算されただけの空間を、き... [続きを読む]
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- 2007/11/15 15:12不思議な接着剤 ―連載27―
- ――ぼくたち、ちゃんと帰ってこられるんだろうか。翔太が病院で、ピアノの声で泣いたら、どんなことになるのだろう? なんとしてでも、弟をまもらなければ、と紘平は思いました。 家を出てからの道のりが、はるかなものに感じられました。いっそ、行きの道を帰り... [続きを読む]
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- 2007/11/13 08:06不思議な接着剤 ―連載26―
- 4 青い目のネコ 夜、おかあさんとどこかへでかけるとき、紘平はきまって、もう二度と家に帰ってこられないような、変な不安がうすくひろがるのでした。 べつに、おかあさんが運転が下手だからとか、そういったこととは関係がありません。 どうして、そ... [続きを読む]
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- 2007/11/11 20:06不思議な接着剤 ―連載25―
- おかあさんは、さいごまでいわせずに、きっぱりといいました。「紘平。あなたのせいじゃありませんよ。毛布をかけてくれなかったせいで、翔太が、インフルエンザにかかったということはあるかもしれないわね。でも、だからって、新型ウイルスの責任まで、とろうとす... [続きを読む]
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- 2007/11/08 16:10不思議な接着剤 ―連載24―
- そう思った紘平は、クッツケールの説明書になにか解決のてがかりはないかと、あらためてそれを読みました。 そうすると、解決のてがかりらしいことが、書いてないこともありませんでした。〈応急処置および取り扱い上の注意〉の箇所です。 ●接着を後悔した... [続きを読む]
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- 2007/11/07 17:14不思議な接着剤 ―連載23―
- きっと、おかあさんは、泣きすぎて頭がおかしくなってしまうでしょう。 そうなると、おかあさんは、学習塾で子どもたちに勉強をおしえることはできなくなりますし、勉強が苦手な子どもは、学校のテストで零点をとってしまい、テスト用紙をやぶることになるでしょう... [続きを読む]
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- 2007/11/05 15:30不思議な接着剤 ―連載22―
- ふいに、紘平は、クッツケールの説明書にあった、いったん接着したもの同士は、二度とはがれない。という、不吉な注意事項を思い出しました。 がくぜんとしながら、ポケットに押し込んだ接着剤のパッケージをとり出して、もう一度読んでみます。パッケージの裏... [続きを読む]
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- 2007/11/02 10:44不思議な接着剤 ―連載21―
- 紘平は、居間に入ると、ソファのそばに毛布をそっと置き、廊下に引きかえしました。 ひとりになって、これからすることを、だれにも見られないようにする必要があったのです。 さいわい、おかあさんは、目のまえで起きている現象に心をうばわれてしまっていて... [続きを読む]
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