梔子 さん

梔子さん: 透明インクで綴った物語
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プロフィール

ハンドル名梔子 さん
ブログタイトル透明インクで綴った物語
サイト紹介文知らない内に妻子がいた。煎餅の町・草加を舞台に繰り広げる人情味溢れるミステリー『絆』現在、連載中!
自由文趣味で書き綴った小説を毎日少しずつ公開しています。”書きたい時に書きたい物を”モットーに書いておりますので、ジャンルも長さもばらばらですが、少しでもお気に召して頂ければ幸いです。
尚、当ブログで公開しております小説『空のレクイエム』は某携帯文学賞で特別賞を頂いた作品です。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供199回 / 194日(平均7.2回/週) - 参加 2007/11/10 23:59

梔子 さんのブログ記事

記事削除機能過去の記事 … 1 2 次へ
  • 2008/05/12 00:26絆 〜第九章 本心〜 その3
  • 「うちの可愛い茉莉亜ちゃんをお前のような赤点女と一緒にするんじゃない!」「何だって?」寅司の一言に満枝の目尻が吊り上がる。「そうだろ。いっつも赤点ばっかでセンコーに呼び出されてたじゃねえか」「だ、黙れ! あんただって呼び出されてただろ」「馬鹿言え、お前と違って俺は試験の成績で呼び出された事は一度もねえんだよ。これでも成績だけは良かったからな」──へえ、意外だ。昔の寅司がやんちゃばかりしている札付き [続きを読む]
  • 2008/05/11 00:22絆 〜第九章 本心〜 その2
  • ──もっと早くこうするべきだった。辰也は心からそう思っていた。寅司を一方的に毛嫌いして憎しみ続けてきた長い年月。その間に積もり続けた憎しみは寅司の良さを全て拒絶し、歪んだ父親像しか見せてはくれなかった。もっと早く和解していれば、寅司に辛い思いをさせずに済んだかも知れない。小切手を受け取ってくれた事が辰也の罪悪感をやや緩和する。勿論それで全ての自分の過去が精算される訳では無いが……。「明後日、向こう... [続きを読む]
  • 2008/05/10 00:00絆 〜第九章 本心〜 その1
  •  医者が予め通達していた通り、包帯が取れた茉莉亜の顔には小さな傷が残ってしまった。それは前髪を垂らせば見えなくなるような左眉の上の小さな傷で、言われなければ判らないくらいの大きさだったが、茉莉亜はやはりショックだったようで鏡で何度もその傷の辺りを確かめては悲しそうに表情を曇らせていた。ただ必死に茉莉亜を慰めてくれる『葛屋』の人々を悲しませてはいけないと子供心に思っているのか、決してそれを悲観するよ... [続きを読む]
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  • 医者
  • 2008/05/09 00:05ぶれいくた〜いむ
  • 小説『絆』第八章が終了しました。第八章は解決編なので、本当はここで物語が終了しても差し支えは無いのですが、この小説はもう一つ章を用意して辰也と茉莉亜の後日談を掲載したいと思います。さて小説『絆』第九章は明日(5/10)より連載を開始する予定です。これからも当ブログを宜しくお願い申し上げます。以上、本日の戯言でした。シュッ!(* ̄・ ̄)ノ ≡旦~~  ヘイ!オマチ!!拍 手←お遊びで設置してみました。長編小説ブロ... [続きを読む]
  • 2008/05/08 00:14絆 〜第八章 告白〜 その7
  • 「でも葛城君が思ったより早く帰国したせいで美亜は酷く動揺して、もう嘘はつけないから全てを告白したいと言い出した。ボクの名前は決して出さないからと。それがあの目撃された夜の事だよ。だけどこれだけは信じて欲しい。美亜はボクが突き飛ばしたんじゃない。自分で足を滑らせたんだ」「信じるよ。僕は別に犯人を捕まえる事が目的で甲本を呼んだんじゃない。ただ真実が知りたかっただけだ」苦しげな表情で告白する甲本の顔がほ... [続きを読む]
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  • 犯人
  • 2008/05/07 00:09絆 〜第八章 告白〜 その6
  •  「本当の事言うと、八年前の送迎会の後、玉砕覚悟で葛城君に自分の気持ちを打ち明けようと思ってたんだ。でも葛城君はすっかり泥酔していて、ホテルに運ぶのが精一杯だった。このまま朝まで一緒にいて介抱するか、それとも少し休んで家まで送り届けるか迷っていた時、葛城君は『甲本は女を感じないから友達として付き合える』と言ったんだ」僅かにはにかみながら言う甲本が可愛らしく見える。いつもの上から見くだすような威圧感... [続きを読む]
  • 2008/05/06 00:22絆 〜第八章 告白〜 その5
  •  暫くすると甲本が深く息を吐いた。そうかと思うと急にほっとしたように表情を緩め、どこかほっとしたような穏やかさを表情に漂わせていた。手酌で最後のビールをコップに注ぎ、空になったビール瓶を店員に渡すと追加のビールを頼んだ。言い辛い言葉をその行為の中で探し続けている。辰也にはそんな感じに見て取れた。そして次に甲本が言葉を発したのは、運ばれてきたビールの瓶が半分空いてからの事。「きっと葛城君なら気付くと... [続きを読む]
  • 2008/05/05 00:46絆 〜第八章 告白〜 その4
  • 「甲本、お前、怪我してるだろう」辰也の言葉に甲本の顔が驚きに変わる。「この間、ゴミ箱に使用済みの紙コップを入れられなかったのを見て気付いたんだ。しゃがめば難なく入れられるのに、そうはせずに立ったままの姿勢で何とかしようとしてた。それだけじゃない。その席に座る時も顔をしかめていた。今だって、無意識の内にその怪我をかばって両手を……」「こ、これは……」「その目撃者は通報はしたが、もう一つ大切な事実には... [続きを読む]
  • 2008/05/04 00:21絆 〜第八章 告白〜 その3
  •  暫く経って突然、甲本が笑い声を上げた。さも可笑しくて笑いが止まらないかのように両手を腹に充てて、体を捩るようにして笑う。常に冷静沈着な甲本とは思えない態度だった。「相変わらず面白い発想をするな、葛城君は。何を言うかと思えば……。どうしてそう思ったのか聞かせて欲しいな」まだ笑いが収まらない甲本に辰也の挑戦的な視線が突き刺さる。辰也も口元には笑みを浮かべているが穏やかさな雰囲気はない。「美亜が死んだ... [続きを読む]
  • 2008/05/02 00:09絆 〜第八章 告白〜 その2
  • 「何だよ、これ」「入院中の娘に頼まれたんだよ。恥ずかしかったぞ、これ買うの。店員に「本当にこれ買うんですか?」みたいな目で見られて……。でも約束した以上買わない訳にはいかなくてさ」照れ臭そうな辰也の仕草に甲本の緊張が少しずつ解れていくのが判る。「AB型だよ」「AB型か。えっと、O型とAB型の相性は……」冗談めかしてページを捲る辰也の様子を甲本は微笑みながら見つめている。どこまでも温かい視線。まるで... [続きを読む]
  • 2008/05/01 00:31絆 〜第八章 告白〜 その1
  •  大学時代、いつも集っていた居酒屋で辰也はじっとある人物が来るのを待ち侘びていた。既にビールは瓶を二本空けている。気持ちがどうにも収まらない。呼び出したのは辰也の方だったが、出来ればこのままその人物が姿を現さないまま時が過ぎてしまえば良いと思っていた。辰也の中で真実を明らかにしようとする正義感と信じる者を裏切る罪悪感が常に葛藤しており、飲まなければじっとしていられない。自然と酒を煽るペースが上がっ... [続きを読む]
  • 2008/04/30 00:40ぶれいくた〜いむ
  • 小説『絆』第七章が終わりました。疑惑が疑惑を生んだ血液型の謎。一度は稀血という解決を迎えたかに思える美亜の血液型。ところが茉莉亜の姉である結花の出現によってその仮説は成り立たなくなってしまいました。辰也が辿り着いた隠者とは一体誰のことなのか?いよいよ次章は解決編となります。さて小説『絆』第八章は明日(5/1)より連載を開始する予定です。これからも当ブログを宜しくお願い申し上げます。以上、本日の戯言で... [続きを読む]
  • 2008/04/29 00:14絆 〜第七章 隠者〜 その7
  •  何度も深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせてから病室に入ると、結花と茉莉亜は仲良く二人で一冊の本を手に笑っていた。「あっ、おじさん」結花が辰也に気付いて声を掛けた。「茉莉亜ちゃんの血液型は何型なの?」「O型だよ」「えーっと、そうすると茉莉亜ちゃんは牡牛座のO型だから……」何をしているのかと見れば、結花と茉莉亜は占い本を見ていた。どうやら相性占いでもしているらしい。まだ茉莉亜は文字を大して読めない [続きを読む]
  • 2008/04/28 00:13絆 〜第七章 隠者〜 その6
  • 「律子さんが入院した時も、辰っちゃんが高校へ行く時も工事現場で働いて何とか凌いでは来たけど、もうこの年だろ? 最近じゃ肉体労働は体力的に厳しいから、民間の貸金業者に借金して自転車操業だってうちの人から聞いてるよ」「工事現場?」「あれ、知らなかったのかい? 寅司はいつも店が危なくなると店が終わった後日雇い労働で働いて不足分を何とかしてきたんだよ。律子さんが入院した時はさ、どんなに苦しくても最高の治療 [続きを読む]
  • 2008/04/27 00:05絆 〜第七章 隠者〜 その5
  •  翌日、辰也は結花を連れて病院へとやって来た。病室で一人寝ていた茉莉亜は辰也を見た途端仏頂面を見せたが、もう一人、思わぬ訪問者が気になるようでちらちらとそちらへ視線を送っている。その様子に結花は満面の笑みを浮かべて、茉莉亜のために用意してきた花束を差し出した。「はい、茉莉亜ちゃん。早く良くなってね」「お姉ちゃん、誰?」「椎名結花って言うの。おじちゃんに茉莉亜ちゃんが入院してるって聞いてお見舞いに来 [続きを読む]
  • 2008/04/26 00:02絆 〜第七章 隠者〜 その4
  •  「あ、あの……。茉莉亜ちゃんは?」帰りがけ、玄関で結花が遠慮がちに辰也に尋ねた。さっきから時折きょろきょろ辺りを窺うような仕草を何度か見せていたが、どうやら茉莉亜を探していたらしい。考えてみれば結花にとって茉莉亜は妹になる。きっとここに来れば妹に会えると楽しみにしていたのだろう。「すまないね。茉莉亜は先日事故に遭って入院しているんだ」「そうなの? 茉莉亜ちゃん、大丈夫?」「ああ、何なら明日にでも... [続きを読む]
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  • 入院
  • 2008/04/25 00:24絆 〜第七章 隠者〜 その3
  • 「あの時、彼女を置き去りにしてしまった事を今でも後悔しています。呂律は回ってないし、足元もおぼつかない程でしたからね」耳が痛かった。美亜がそんなになるまで酔ったのは、辰也と揉めて憂さ晴らしに飲んだのが原因。あの時も感じていた罪悪感がまたも頭をもたげている。「別れ際に陽気に『バイバイ』と手を振った姿が最後になるなんて……」ふと辰也は違和感を感じた。確か井出の話では美亜と相手の男は言い合いをしていたは [続きを読む]
  • 2008/04/24 00:19絆 〜第七章 隠者〜 その2
  •  思った通り正志が『ヤクザ』と称していたのは、美亜の元夫である椎名の事だった。それを告げようと思った矢先に正志は渾身の力を込めて辰也の背中を押したのだから堪らない。見事辰也は自室の窓から放り出されて全身を思い切り打ち付けてしまった。芝生が敷かれていたので多少のクッションにはなったが、やはり痛いものは痛い。大した怪我も無かった事がせめてもの救いである。忌々しげに咳払いをすると、お茶を出しにきた正志に... [続きを読む]
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  • お茶
  • 2008/04/23 00:00絆 〜第七章 隠者〜 その1
  •  人間というのは踏ん切りのつかない気持ちを抱えてしまうと、きっかけを求めてしまうものなのかも知れない。ほんの些細なきっかけでもささやかな勇気をくれる。その勇気があれば新たな一歩を踏み出せる。そんな期待を抱いてしまうのだろう。本当はきっかけなどどうでも良いのである。迷いを持つ人間は迷いの中に答えを予め持っている。しかしその答えが正しいか判らない。正しいと背中を押してくれる者がいないから。だからきっか... [続きを読む]
  • 2008/04/22 00:21ぶれいくた〜いむ
  • 小説『絆』の第六章が終了しました。井出の口から出た新しい目撃証言。それによって事態は新しい局面を迎えています。またせっかく父親としての自覚が芽生えた辰也に対してあまりに素っ気無い茉莉亜の態度。この先、辰也と茉莉亜の関係はどうなって行くのか?そして井出の目撃した証言から何が明らかになって行くのか?次章はそんな部分を踏まえて読んで頂ければ幸いです。さて小説『絆』第七章は明日(4/23)より連載を開始する予... [続きを読む]
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  • 小説
  • 2008/04/21 00:01絆 〜第六章 疑惑〜 その11
  •  苦虫を潰したような顔で井出は頭を振った。「嫌な感じだったよ。柔らかい物の中に吸い込まれていく剃刀の感触がこの手に伝わってきたんだ。向こうも驚いたろうな、まさか通行人に刺されるなんて思っちゃいなかっただろうし」大柄な巨体の男性と言えば、辰也には美亜の元夫である椎名しか思い当たらない。第一警察で取調べを受けているくらいなのだからそうなのだろう。「その男に見覚えは?」「さあ、暗くて顔は見えなかったし、 [続きを読む]
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  • 警察
  • 2008/04/20 00:21絆 〜第六章 疑惑〜 その10
  •  辰也が思っていた通り、井出はずっと家族の後を追う機会を待っていた。でもすぐに後を追うのではなく、最後の仕事を終えてから死のうと考えていたのだった。だから妻と娘の葬儀を終えた後、ずっと客が来るのを待っていたのは事実。そして最後の客を迎えて全ての力をその仕事に注いだら、心置きなく後を追うつもりでいた。ところが辰也が帰った後、井出は困惑してしまった。死に方を考えていなかったのである。どうすれば死ねるの... [続きを読む]
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  • 葬儀
  • 2008/04/19 00:58絆 〜第六章 疑惑〜 その9
  • 「一度も見舞いに来てくれないから、とっくにアメリカに帰っちまったかと思ってたよ」井出が笑い顔を見せる。寂しい笑顔だった。心から笑ってはいない。必死に作った作り物の笑顔は所詮は作り物。見ている者の心に本来持つべき感情は伝わってこない。必死になればなる程、寂しい心の内が伝わってしまう。「そのつもりだったよ。だけど娘が事故に遭って……」辰也は慌てて井出から視線を反らした。とても直視など出来ない。見れば辰 [続きを読む]
  • 2008/04/18 00:16絆 〜第六章 疑惑〜 その8
  •  「辰っちゃん」病院を出て行こうとする辰也を満枝が呼び止めた。心配して追いかけてきたのだろう。「茉莉亜ちゃん、きっと具合が悪くて当り散らしているだけだと思うよ。だから許してやって」「あれで良かったんだ」「えっ?」辰也の口が僅かに歪む。しかし笑顔を作っているつもりが強張って笑顔にはならず、引きつっただけだった。さっき茉莉亜の言葉で傷ついた心の傷は思った以上に深い。心を鎮めようと一つ深く息をついた。「... [続きを読む]
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  • 病院
  • 2008/04/17 00:02絆 〜第六章 疑惑〜 その7
  •  茉莉亜の目が覚めたと聞いて、辰也は茉莉亜が入院している病院へと向かった。「茉莉亜ちゃん、パパが来ましたよ」「良かったわねえ、パパが茉莉亜ちゃんに輸血してくれたから助かったのよ。パパに感謝しなくちゃね」──パパ、パパって煩えよ。病室には正志と満枝と、そして今日は店に出ていたはずの寅司も顔を揃えている。寅司のたっての頼みで茉莉亜が個室に移された事もあり、そうそう他の患者に迷惑をかける事も無いと安心し... [続きを読む]
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