- 2007/12/10 13:45坂の上の新緑の町 一章?
- 一、いつからだろう。昨日が今日になり、今日が明日になっても、根本的に何一つ変らない日常、その穏やかに過ぎていく時間の流れの中に、ゆっくりと溺れていく自分に気付き始めたのは。毎日がおんなじ事の繰り返し。変化のない世界でじっとしているのが怖くて、くたくたになるまで街中を歩き回ってみたけれど、私の居場所は見つからない。 昨日も今日も・・・きっと明日も、同じ町、同じ坂道、同じ夕暮れ・・・みんなで同じ進路を... [続きを読む]
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- 2007/12/10 13:43坂の上の新緑の町 一章?
- 「坂の上の新緑の町」 byもじゃん 風の正体を知る人は少ない。 人の目に見えぬそれは、天のはるか彼方、あるいは土中深くにあると言われているその住処から、突如、人の世界に現れて、町の上空を、家々の軒先を縦横無尽に駆け巡り、汚れた町の空気を掃き清める。 空気も凍るような寒い晩だった。「急げぇいっ!」駅前の商店街に威勢のいい声が響き渡る。その声に促されるように、冬の終わりの突風が唸りを上げてアーケ... [続きを読む]
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- 2007/12/06 15:27坂の上の新緑の町 十一章?
- (シュシュ・・・。)「朱守・・・。」 ミドリは、いや諏訪は、子狐のいる岩の方にむかって舟から身を乗り出した。その途端、「見つけたっ!」耳元で囁く声がして、またどんっという壁を突き抜けるような感覚が全身を貫いた。(あっ!)着ぐるみのように身にまとっていた諏訪の体から、ミドリは自分の魂が、背中からゆっくりと抜けていくのを感じた。誰かがミドリの魂を諏訪の体から引き離そうとしている。ミドリは後ろから羽交い... [続きを読む]
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- 2007/12/05 18:43坂の上の新緑の町 十一章?
- どんっと音がして、周囲が真っ暗になった。ミドリはぎゅっと目をつぶり、それからおそるおそる目を開けた。日の光が幾筋もの細い線になって視界に差し込んでくる。しゃがみこんだ膝の先に何かが触れるのを感じて、はっとして見下ろすと、足元で赤い毛色の小さな狐が、金色の目を丸く見開いてこちらを見上げている。 ・・・シュシュ・・・ 「ごめんね、朱守」 突然、すぐ近くで声がしたのでミドリはぎょっとした。振り返ろうと... [続きを読む]
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- 2007/12/05 08:48作品紹介
- 今年二十歳になるミドリは大学浪人二年目。坂の上に建つ古い寺に、両親と一緒に住んでいる。 ある夜、ミドリは自宅の風呂場から、この世とあの世のはざ間にある世界、朱院の森に迷い込む。 そこで出会った金色の目を持つ美しい青年、シュシュ。 彼は、三百年前に亡くなった愛する娘の魂を救うため、神々の元で「言霊」を集める仕事をしている。 この出会いがきっかけで、ミドリはシュシュと共に町の言葉を管理する施設、朱金... [続きを読む]
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- 2007/12/03 18:46坂の上の新緑の町 十章?
- 目を上げると、頭の上に赤い鳥居があって、黒い木々が揺れている。どうやら朱院の森に出てきたようだ。「遅かったのう。」声がしたので振り返ると、オレンジ色の目が六つ、こっちを見下ろしていた。「中でさぼっておったんじゃろ。」「待ちかねておったぞ。」 三人の娘たちはそう言うと、ミドリの手からさっと本を奪い取った。 「・・・ちょっと!」ミドリは憮然として、思わず声を荒げる。「人を使っておいて何よ、その態度... [続きを読む]
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- 2007/12/03 12:55坂の上の新緑の町 十章?
- 部屋に入った途端、この前と同じように空へ投げ出されたような感覚を味わった。ミドリはしばらく、その場で立ち尽くしていた。何度かまばたきをして、あたりを見回す。部屋中、どこに視線を向けても眩しいくらいの青が目に飛び込んでくる。 壁も天井も、足元の床も、晴れ渡った秋の空の色をしていて、どこが境目なのか分からない。そもそも、この部屋はどのくらいの広さがあるのだろう。 ミドリは二三歩歩いてみて、足を止めた。今... [続きを読む]
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- 2007/12/02 00:29地味ですんまへんなぁ
- おリンゴを頂いたので、プルーンで煮てみましたふぅ〜温まる〜〜これで便秘なんざ無縁よ!... [続きを読む]
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- 2007/12/01 13:38坂の上の新緑の町 十章?
- 十章 重いペダルを漕ぎながら、ようやく朱金堂に帰ってきたミドリは、玄関脇に自転車を乗り捨てると、ひとつ深呼吸してから、わざと勢いよく玄関の戸を開けた。「ただいま戻りましたー。」「おかえり。」アズマ様は机の上の書物から目も上げずにそう返事をする。その前を、急いでいるふりをしてそそくさと通り過ぎ、土間のある部屋に入ってパタンと扉を閉めた。 「ふぅ・・・。」そのまま扉の内側にもたれかかる。 これ... [続きを読む]
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- 2007/11/30 10:04坂の上の新緑の町 九章?
- 光の壁の内側から娘たちを睨みながら、ミドリはまるで自分が全くべつの人間になったように感じていた。 右端の娘がやがて、気を取り直したように「ふんっ」と鼻で笑った。 「・・・そなたが諏訪であろうと、なかろうと、そんなことはどうでも良い。我らに手を貸すのか?貸さぬのか?」 シュシュをみすみす死なせるわけにはいかない。ミドリの内側から燃えていた炎がゆるゆると収まっていった。  ... [続きを読む]
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- 2007/11/30 01:28坂の上の新緑の町 の簡単な人物紹介☆
- なんだかんだ・・・九章まで書きました。 ここで私の頭の整理も兼ねて、坂の上の町に住んでいる人間と神様の紹介をさせてください。 ミドリ・・・このお話の主人公。坂の上のお寺で育った必要以上に人生にクールな女の子。浪人二年目。もうすぐ二十歳。 シュシュ・・・金色の目を持つ不思議な若者。その正体は300年前から生きている赤いキツネであることが判明。アズマ様の遣いで言霊を集めるのが仕事。性格は... [続きを読む]
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- 2007/11/30 00:38坂の上の新緑の町 九章?
- らんらんと光るオレンジ色の目が六つ、ミドリを見下ろしていた。 「・・・あんたたち。」 さっきセンジュ様が連れてきた三人の娘たちだ。ミドリは慌ててそこから飛び退ろうとして、自転車に躓いてまた転んだ。 「痛っあ・・・。」 今度は本格的に膝をすりむいた。 「なにをやっておるのじゃ。」「どんくさいのう。」 娘たちの嘲笑が耳元で鳴り響く。 「何の用よ!」 ミ... [続きを読む]
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- 2007/11/28 19:11坂の上の新緑の町 九章?
- 病院からの帰り道、土手の上を走っていると、あの対岸の椿が見えるところでシュシュは突然自転車を止めた。金色の瞳が何かを探すように対岸を彷徨っている。そのぼんやりした表情があまりに切なかったので、ミドリは思わず 「シュシュ!」 と声をかけた。シュシュは我にかえって振り返った。 「あ、ごめん。ちょっと考えごとがあって・・・。」「・・・スワのこと?」 シュシュは金の目をすっと細めた。 「見たんだ... [続きを読む]
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- 2007/11/27 10:36坂の上の新緑の町 九章?
- 明かりの消えた病室は夕暮れ時のように暗かった。広い個室の真ん中に置かれたベッドで、久美は眠っていた。ブラインドの隙間から細くこぼれる日光がその頬を青白く照らしている。その枕元に、シュシュは懐から出した手紙をそっと置いて言った。「思ったより元気そうだな。」「・・・そうかしら?」ミドリは、消毒薬の匂いがする四角い枕に沈みこんだ久美の顔をじっと見下ろした。「苦しそうに見えるけど。」「そりゃあれだけのこと... [続きを読む]
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- 2007/11/26 21:46ケーキだ☆わっしょい
- また行ってしまった・・・ケーキバイキング自由が丘のビゴの店です。どれもこれも旨かった・・・ケーキはもちろん、たくさんあったパンたちがどれも個性的でおいしかったです。特に、写真左上に写ってるパン!クロックムッシュ・・・ていうか、ハムとチーズを挟んだホットサンドの上にさらにチーズをかけて焼いているという手の込んだもの激甘党の私は、スイーツバイキングでこういう口直し(?)的なモノはあえて食べないのですが... [続きを読む]
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- 2007/11/26 21:28石のふしぎ
- 私はキラキラ光るものが好きです。前世はカラスか!?ってくらい、光るもんに惹かれます加えて縁起物が好きなので、パワーストーンのブレスを何本か持ってます。今日は自由が丘の愛光堂さんというお店に行って、半年くらい前に買った水晶のブレスの修理をお願いしてきました。有名なお店なので、今日もお客さんいっぱいで忙しそうでしたが、お店の人たちは相変わらずとても親切でしたきれいなものに囲まれて仕事をしているから、心... [続きを読む]
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- 2007/11/26 00:48坂の上の新緑の町 八章?
- 「私が本当に気がかりなのはシュシュが天界に行ってしまうことではなく、あの子が自ら創り出した闇に引き摺りこまれてしまわないかということ・・・」アズマ様は声を落とし、早口で行った。「・・・あなたがシュシュを引き止める綱であってくれればいい。」「何の話をしてるの?」シュシュが大きな紙袋をかかえてずかずかと入ってきた。ぼんやり座っているミドリを不思議そうに見つめ、やがてテーブルの上に置きっぱなしになってい... [続きを読む]
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- 2007/11/25 01:35坂の上の新緑の町 八章?
- ふと甘い匂いを感じた。目の前に熱い湯気を立てているティーカップが置いてある。あたりを見回して、自分がいつの間にか朱金堂に帰ってきていることに気付いた。テーブルの向かいで、白い髪を丸く結ったお婆さんが茶を汲んでいる・・・さっき若い時の姿を見てきたせいだろうか、目の前のアズマ様は急激に年を取ったように見えた。「母はそれから三年後に、入水して亡くなりました。娘を失った悲しみに、気が触れたのでしょう。」そ... [続きを読む]
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- 2007/11/23 23:50坂の上の新緑の町 八章?
- 「あのような小さな生き物が、三百年も生きるということは普通ない。あの子を生かしているのは、『スワ』というたった一つの言葉。その名前が、血液のようにシュシュの体を巡っている。『スワ』を想う気持ちが、あの子の存在の全てなのです。」アズマ様の静かな声を聞きながら、ミドリはポケットの中の小石をぎゅっと握り締めた。どうしてシュシュが、自分に一番大切な言霊をくれたのか・・・その理由がやっと分かった。幻の中で見... [続きを読む]
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- 2007/11/23 10:58坂の上の新緑の町 八章?
- はっとして目を上げると、アズマ様の深い目が静かに自分を見つめていた。「大丈夫ですか?」気付くと、周囲を取り囲んでいた煙は消え、ミドリは朱院の土間の真ん中に座り込んでいた。「この馬鹿娘どもが!!」銅鑼のような声が、部屋の空気を震わせる。「だってぇ・・・。」娘たちは三人とも目に涙を溜めながら、父に言い訳をしていた。「・・・あの娘のせいで、シュシュ様の魂が清められてしまうと、父さまが仰ったから。」「魂が... [続きを読む]
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- 2007/11/22 00:33坂の上の新緑の町 八章?
- なるほど、ドアの右と左に同じくらいの高さの本の山がふたつ。 昨日の晩の分と、今朝届いた分から、シュシュが「比較的安全そうな言葉」を選んでミドリのために残しておいてくれたのだ。安全そうだ、といってもあくまでシュシュの基準なので安心は出来ないが。 ミドリは適当に五冊ほど手に取ると、土間へ続く扉を開けた。「あっ!」と声がして、三人の娘らがこっちを振り返った。見ると壁際の戸棚の戸が開いている。一番真ん中に... [続きを読む]
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- 2007/11/21 13:54にほんブログ村
- いつもご協力ありがとうございます感想・批評なども大歓迎です。よろしくお願い致します。byもじゃん... [続きを読む]
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- 2007/11/20 17:21坂の上の新緑の町 八章?
- 第八章その日、山のような仕事をようやく終えた後、どうやって家に帰りついたのか、ミドリは覚えていない。目を開けると、自分の家の布団の中だった。そろそろと体を起こす。頭がぼんやりしている。ふとカーテンの隙間からこぼれる光に気付き、目覚まし時計に目をやった。「!」ぎょっとして跳ね起きた。慌てて洗面所に行って口をゆすぎ、顔を洗った。昨日はどうやら、服を着たまま眠ってしまったらしい。無理もない。たった一日で... [続きを読む]
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- 2007/11/19 16:40坂の上の新緑の町 七章?
- まだあんなに小さいのに・・・ミドリは、見知らぬ少女に激しく同情している自分に気付いた。罵りあう両親を泣きつかれた顔でぼんやり見上げている。生きる事に愛想をつかしたようなその表情が、鏡で見る自分の顔にどことなく似ているような気がした。「どうするの・・・。」そっと隣のシュシュを伺う。シュシュなら、この悲惨な状況を何とかできるはずだという期待があった。シュシュは無言で懐から両手につかめるだけの言霊を取り... [続きを読む]
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- 2007/11/19 11:26坂の上の新緑の町 七章?
- 「シュシュ・・・。」ミドリはほっとして、ぺったりとその場に膝をついた。赤い光に照らされた周囲を見ると、そこはミドリもよく知っている河べりの土手の上だった。あたりはもうすっかり夜のようだ。「こんな遅くにひとりぼっちで、何してるんだろう・・・。」シュシュは土手の下に目をやる。見ると、黒いセーターを着た五歳くらいの女の子が、河べりでしゃがみこんで、黒い川面を眺めている。「みんな大嫌い・・・みんな消えちゃ... [続きを読む]
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