- 2008/05/07 09:42[与太話]レストラン蜃気楼
- このレストランには何か違和感があった。 視界のどこかにおかしなものが見えているのだと思うが、 それが何なのか見分けがつかない。 あの自動ドアかしら。 ゆっくり開いてまた閉じるリズムが奇怪に見えなくもない。 不思議に見え出すと止まらないものなのよ。 この世界にすっかり見慣れて、たくさんの不思議なものの前を いつも素通りしているのだわ。 ところで、あのドアには誰も近寄りもしていない。 なのに奇妙なダン... [続きを読む]
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- 2008/05/06 13:01[連続小説2]タンブルウィード(7)
- [http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080505:title=前回までのお話タンブルウィード(6)はこちら] 再び眠れない夜がやってきた。 親父に聞いた昔話の登場人物が僕を追いかけるのは何故だろうかと自問自答している。 手作りボールを宙に投げてはキャッチ。 このボールが気になるあまり、記憶倉庫から手がかりになりそうなものを引っ張り出したら、見当外れだった上に僕はそれに現実味を与えてしまった。 ああいうものはたぶん、... [続きを読む]
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- 2008/05/05 13:01[連続小説2]タンブルウィード(6)
- [http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080504:title=前回までのお話タンブルウィード(5)はこちら] 親父は僕ら兄弟のために野球ボールを作りながら、子供の頃の話をした。 『お前達のおじいさんは昔狐に化かされて 田んぼでワルツを踊ったんだよ。 小学生だった私はそれを道端で見ていたんだ。 狐は私に気づいていなかったけどね。 明るい月夜だから、少し動くだけでも目立ってしまうんだ。 だから私は松の木にぴっ... [続きを読む]
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- 2008/05/04 17:15[連続小説2]タンブルウィード(5)
- [http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080428/p1:title=前回までのお話タンブルウィード(4)はこちら] 夜道でこんな影を見たことが何度かある。 僕らをじっと見つめている妖怪枯れ尾花だ。 子供の頃見たそれの正体は黒いポリ袋だった。 犬の世話をする爺さんだったこともある。 しかし今日僕の部屋の廊下にいたのはそのどちらでもなく、 幼い悪夢に出てきた女でも無かった。 死んだ親父だったのだ。 生前よく着ていた明るい紺... [続きを読む]
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- 2008/05/01 07:23[ゆめかうつつか]夜明けのあと
- 小説の続きの前に休憩。 両ブログのコメント欄をためしにやめてみた。自分とブログの立ち位置の確認をしてみるのだ。 私はブログというツールを、お客さんとコミュニケーション可能なライブみたいな場と考えて一生懸命書いているし、感想をいただくととても嬉しい。 紙に書く小説は読者がゼロでも関係なく書きたいし書かないではいられないが、ブログやライブではお客さんがゼロでもかまわないとは全く思わない。特にこの「... [続きを読む]
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- 2008/04/28 09:54[連続小説2]タンブルウィード(4)
- [http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080422/p1:title=前回までのお話タンブルウィード(3)はこちら] 同じ場所にいたはずなのに、待ち合せした弟とはついに会えなかった。 弟の携帯電話はその日二度とつながらなかった。 僕は改札近辺をくまなく歩きまわって弟を探した。 僕ら兄弟は同じ時間の柱のまわりをぐるぐる回っていたのだろうか。 動物園の熊のように改札前をうろうろする内に雨が降ってきた。 雨は本降りになり、僕... [続きを読む]
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- 2008/04/22 23:43[連続小説2]タンブルウィード(3)
- ([http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080417:title=前回までのお話タンブルウィード(2)はこちら]) その日はぼんやりとあたたかい1日だった。 厚い雲の向こうに見える太陽はかた茹での卵色にぼやけていた。 雲ににじむ月を朧月というが、雲に透ける太陽の呼び名は知らない。 人間は手当たり次第呼び名をつけては安心する生き物なのに、 あの太陽はうまくそれをかわしている。 その夜、七時半に原宿駅で弟と待ち合せた。... [続きを読む]
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- 2008/04/17 17:27[連続小説2]タンブルウィード(2)
- (前回までのお話[http://d.hatena.ne.jp/oiharamumay/20080412/p1:title=タンブルウィード(1)はこちら]) 夜寝つかれず、起き出して『ブレードランナー』のDVDを見た。 しかしカタルシスを期待したラストシーンと僕の憂鬱はうまくかみ合わなかった。 幾度となく見たこの映画が心に響かなかったのは初めてだ。 テレビを消して、僕は眠れない原因を見た。 キッチンのテーブルに置いてある、親父の手作り野球ボールだ。 親... [続きを読む]
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- 2008/04/12 04:49[連続小説2]タンブルウィード (1)
- 親父は酒飲みで何から何まで飲み代に変えてしまった。 彼が死んだ後家族に残されたものは借金の他何もなかった。 だから親父の部屋を片づけるのは簡単なはずだったが、母の気持ちはなかなか片づかなかった。 そのため親父の死後三年間、彼の古めかしい小さな行李は押し入れの中にほったらかしにしておいた。 親父の三回目の命日に、僕は紫色の花束を持って出かけた。 紫の花は女性の悲しみを癒すらしいと女友達が教えてくれた... [続きを読む]
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- 2008/04/07 07:26[与太話]ひとりごとを聞いている
- 「サイテー」 自分の大きな独り言に驚き、僕は我に返った。 誰かに聞かれただろうかと周囲を見回すと、いつの間にオフィスには僕1人だった。 PC画面の時計を見ると「22:22」だ。 僕は今度は意識して言った。 「本当に俺ってサイテー」 さっきはミスをした同僚に随分トゲのある言い方をしてしまった。 あんなに意地悪な言い方をしなくても、伝わったはずだ。 僕はきっと元々毒のある人間なのだと時々思う。 つくづく嫌な野郎... [続きを読む]
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- 2008/04/03 03:20[うつつの声]入道を見上げて
- 仕事帰りは小説を読んで口元がにんまり。 傍目にどうかしら? 不機嫌よりはいいんじゃないかな。 爆笑は押さえられていたし。 今朝逆向きのエスカレーターに乗っていた女性はハイジを怒鳴る三秒前のロッテンマイヤーさんみたいな顔をしていた。 眉間にシワ。 でも髪に綺麗な髪止めをつけていた。 それが可愛らしくて、これを選んだ時の彼女はどんな表情だったかしらと好感を持った。 妄想だ。楽しい。 日本には昔からみこし... [続きを読む]
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- 2008/03/31 12:27[与太話]火山ガレット
- 青いタイル張りの小さなビルの階段を降りると、ライブハウスの扉の横に「オープンマイク・ナイト」と書かれた黒板がたてかけてあった。ドアを開けるとステージで黒髪の長い女が拙いギターを弾きながら下手な歌を歌っている。 「セラピストが昨日の私の夕飯は冷えた夢のステーキだったって 占い師は明日の私の夕飯はホットケーキが幸運を呼ぶって 今日の夕飯だけは自分で考えなよ 今日の夕飯だけは自分で決めなよ あ... [続きを読む]
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- 2008/03/30 11:32[ゆめかうつつか]太陽の無い世界
- 青く美しいらしい地球も、人類の一方的親友である月も、 太陽が無ければ輝かない。 闇夜、誰の顔も見えない。 息を殺して声も聞こえない。 花粉症のせいでにおいもわからない。 手触り。体温。冷えきってわからない。 その時与えられたあたたかいスープが、 のどをうるおして体にあたたかみを伝えた。 野菜を煮込んだ旨味を味わって、 私はその味を美しいと思った。 [f:id:oiharamumay:20080330154217j:image] この絵は私... [続きを読む]
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- 2008/03/27 17:44[うつつの声]ニュートラル・ポジション
- 背筋ののびた女性を美しいと思う。 女の美の大部分は背中で決まる。 しかし、いつでも背筋をのばして直立していることを良しとされる動物は人間ぐらいだ。 哺乳類としてはかなり不自然な形であるのに。 昨晩、暗がりの中になまめかしい枝垂れ桜を見た。 人間が切り整えてからしばらく経っているらしい、 自由にばらばらと枝をのばす姿が色っぽい。 濃い色の花を、闇にしなだれかかるようにして咲かせていた。 姿勢は夢二の描く... [続きを読む]
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- 2008/03/26 16:09[うつつの声]慣れ
- 昨日歯医者に行ったら、先生がやけに明るい口調で 「麻酔してもいいよね?体調悪くないでしょ。」と言った。 奥田英朗の小説に出てくる伊良部医師を一瞬思い浮かべた。 注射が上手な人だし、必要ならばと麻酔してもらった。 彼は花粉症に咳き込みながらも朗らかに、すばやく治療を開始した。 麻酔は完ぺきで、何をしているのかはわからない。 そのうち焦げたような匂いがしてきて、それから何か塗りたくって治療が終わった。 ... [続きを読む]
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- 2008/03/23 12:43[うつつの声]たまごさがし
- [f:id:oiharamumay:20080324011627j:image:right]さっきガブリエル・バンサンの「たまご」を見たくなって家中を探していた。 どうして「マリオネット」(同じくバンサンの絵本)はあるのに「たまご」はないの? しばらく探し回った後、ようやく見つけてゆっくりページをめくった。 ああ、幸せ。 たまごから目が離せなかった。 そして今お風呂に入っていて気がついた。 今日はイースターだったんだ! 母はクリスチャンだ。 私... [続きを読む]
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- 2008/03/22 12:58[うつつの声]映画「アニー・リーボヴィッツ」
- 映画「[http://annie.gyao.jp/:title=アニー・リーボヴィッツ]」を見た。 デミ・ムーアの妊娠ヌードやジーンズ姿のヨーコに裸のジョン・レノンが抱きついているなど、大胆な発想の写真で有名なアニー・リーボヴィッツのドキュメンタリー映画である。 [f:id:oiharamumay:20080321161009j:image:right] 映画を見てみると予想に反して、リーボヴィッツは普通の感覚を持った女性として理解出来た。非常に優秀な商業写真家である... [続きを読む]
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- 2008/03/21 14:47[うつつの声]the last straw
- [f:id:oiharamumay:20080321022307j:image:right]10年ほど前、アメリカに住んでいる友人が It is the last straw that breaks the camel’s back. という諺を教えてくれた。 諺を知った私が最初に思い浮かべたのは、中学校時代の友達だった。バスケ部のトレーニング中にボールが顔にぶつかって、彼女は火がついたように泣き出した。一度泣き出したら止まらなくなって、体育館の外に飛び出して行った。 私は彼女の後を追い... [続きを読む]
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- 2008/03/20 13:45[落書き]描
- [f:id:oiharamumay:20080320020258j:image:right]この前の土曜日、イラスト用のペンを買った。わーい。何を描こう。 最近猫をブログに描いていない。 本来、私にとって猫はプライベートなものだ。天体も然り。 独りで見上げて一対一で対話するのが自然だ。しかし誰もがそれらを愛おしみその名を口にするので、時折食傷してしまう。 ともあれ何かしら描かないことにはペンが化けて出そう。 それにしても「猫」「描」…似ている... [続きを読む]
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- 2008/03/14 17:14[うつつの声]三羽のカラス
- 今日のわが社の皇帝ペンギン社長は、否定的ペンギンであった。 こんなのだめ。これもだめ。これもやだ。 しかし私は否定ペンギン社長に直接かかわる仕事をしていないし、 ペンギンよりもウミガラスの方がずっと好きだ。 陸上においてペンギンよりも鳥らしく、海中をも飛び回るかのように自在に泳ぐ。 ただのカラスも好きだ。 しかしハシブトカラスよりもハシボソカラスの方が可愛らしい。 さっきテレビで「永遠のマリア・カラ... [続きを読む]
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- 2008/03/11 09:23[うつつの声][落書き]オレンジの口
- [f:id:oiharamumay:20080311143003j:image:right]オレンジに光る口をあけて笑うのは夜空そのものなのか、消え残ったチェシャネコか。 街の頭を撫でるほど低くまで 澄んだ春の空気とは珍しい。 本屋の2階の屋根のすぐ上に にんまりとした口元。 「ああ美味しかった」 って声が聞こえてきそう。 何を食べたのさ。 まさかおまえ、 カノープスを食っちゃったんじゃ ないでしょうね。 それとも珍味、コルヒドラ。 人間も食べるけど... [続きを読む]
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- 2008/03/09 00:37[落書き][うつつの声]アーガイルの波
- [f:id:oiharamumay:20080309224359j:image] パリ〜ニースという詩的な響きの自転車レースが今日から始まった。 1週間の春のフランス旅行という風情である。 ロードレースシーズンの始まり!顔見世のような趣もあり楽しげだ。 チームスポンサーの入れ替わりが多く、チームジャージが目に新しい。 その中でもひときわ注目どころにスリップストリームという米国のチームがある。 新しいスタイルのチームを目指す、爽やかな風の... [続きを読む]
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- 2008/03/08 01:13[落書き][うつつの声]春雷の指先
- [f:id:oiharamumay:20080308125252j:image:right]きのうの午後、1度だけ雷鳴が響いた。 くぐもった春雷の指先に触れられると、私の指をそれにからめたくて手を延ばすが、指は宙をさまようのである。 春は苦手だが、春を愛している。 心から感電している。 昨晩は傘を春雨に打たせて、女友達とスペイン料理を食べに行った。 皮をローストしたスモークサーモン サフランのソースが美しい前菜 京人参の色彩豊かなスープ メイ... [続きを読む]
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- 2008/03/07 17:36フラメンコを踊っておくれ
- 朝起きたら頭の孫悟空の輪がきつくて体が重くて、 「仕事に行きたくない!」 と思った。 行きたくない加減が珍しく激しかったので、介護していた頃を思い出すという奥の手を使った。 「誰も今は死にかけてないし、行けばお金になる。」 これで立ち直り、弁当作り。 今日は野菜キノコ炒め、バナナのオムレツ、チーズひとかけ。 ご飯は海苔弁。 体が弱ってるから栄養高め。 バナナオムレツなんて普段から食べてる訳じゃない。 人... [続きを読む]
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- 2008/03/06 16:56[うつつの声]インフォメーション
- 大きな目標のために3月の終わりまでにしなければいけないことがあって、2月はメルマガの配信をお休みしました。 あらかじめお知らせするべきなのに、日常の仕事に流されてしまって反省しています。 しばし「ストリートライブのようなブログ」ではなく、もっと小さな記事が続くことになりそうですが、その分感じたことをこまめに投稿したいと思います。 布団をとりこみにウッドデッキに出たら、空が劇的に美しくて戸惑ってし... [続きを読む]
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