由季 さん

由季さん: 何やらゆかし
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プロフィール

ハンドル名由季 さん
ブログタイトル何やらゆかし
サイト紹介文双子の姉弟の禁断の恋――「トウィンクル・トウィンクル」を連載中。
自由文文才は全くありませんが書くことは大好きです。写真、幕末史など興味のあることは色々。同好の士とお友達になりたいなあ。
参加カテゴリー
更新頻度(2年)情報提供124回 / 250日(平均3.5回/週) - 参加 2008/01/31 21:25

由季 さんのブログ記事

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  • 2008/10/06 07:51ハレルヤ(2)
  • 「私には、どうしてあなたがご自分を卑下なさるのか理解できないのですが……」声をかけてしまったことで狂ってしまったシナリオを、元通りに修正することは、もう不可能だ。そう思うと、あともう少しだけ、このまま会話を続けても良いような気がした。少女が空けてくれたスペースに、直己は少しのためらいとともに腰を下ろした。いつもより近い体温。罪悪感と刹那の幸せ。天秤にかけたら一体どっちに傾くのだろう。「学校 [続きを読む]
  • 2008/10/04 16:31ハレルヤ(1)
  • 『汝、殺すなかれ』『汝の敵を愛せ』『愛する者よ、自ら復讐するな。ただ神の怒りに任せまつれ』幼い頃、無条件に信じていた神の言葉。教会に響く慕わしい楽の音。全てを失った今こそ、闇に閉ざされた心で叫ぶでしょう。ハレルヤと。施設と同じ敷地にあった小さな教会のことは、今でもよく覚えている。赤、緑、黄のステンドグラスが教会の床に小さな花を描き出す日曜日の朝のミサ。ピアノに向かう彼と、その傍らに立つ ... [続きを読む]
  • 2008/10/02 08:19秘密(3)
  • 会いたいと携帯で告げた時、母親が指定した場所は某高級レストランだった。恭しく通された奥の一室。アールヌーボー様式のクラシカルな店内は、普通の高校生であれば、足を踏み入れることに躊躇するに違いない。真っ白いテーブルクロス。窓に配されたステンドグラス。エミール・ガレのテーブルランプが投げかける光が、何の注文もしないのに出てきたブラッドオレンジジュースの色と交じり合って現出させる幻想的な赤。十 ... [続きを読む]
  • 2008/09/29 08:00秘密(2)
  • 「母親が誰とセックスしようと僕は全然構わない。でも、何だか釈然としないんだ」(どうしてこんな仕事をしているの?)何度も繰り返してきた質問が、また脳裏に浮かんだ。母親と青年が狂ったように激しく求めあう姿を見たのは、あれが最初で最後だった。切れたわけじゃなく、場所を変えただけだろう。それは単なる推測に過ぎなかったけど、青年がこの家にい続けることが、何よりもそのことを裏付けている。窓から見える ... [続きを読む]
  • 2008/09/24 19:45秘密(1)
  • ラベンダーとローズマリーが競うように咲いていた。木蓮の木陰に置かれた手作りのベンチに腰かけて、少女が気持ち良さそうに眠っている。生成りのワンピースにデニムのハーフパンツ。素足に履いたシンプルなミュールに一瞬だけ止まったてんとう虫。危ういバランスで上半身が揺れるたび、佇む少年は手を伸ばしては引っ込める。木漏れ日のまぶしさで目をさましたりすることのように、そっと手のひらで陰を作る。きれいな真 ... [続きを読む]
  • 2008/09/18 08:11天才と狂気(2)
  • 遥は真琴の手を離さなかった。家に着くまでずっと姉の手を握り続けていた。「あれで良かったんだろうか」テレビのモニターに映った美貌の少年を見つめながら、聖は無意識につぶやいた。地方都市で開催される音楽コンクールなんて通常はテレビで放映されるようなものじゃない。でも今年は、女優藤原麗華の息子で、モデルでもあり、音楽家としても、作曲家としても、さらには絵の世界でも将来を嘱望されている一条遥が参戦し ... [続きを読む]
  • 2008/09/13 16:58天才と狂気(1)
  • 「僕って、悪役? ひょっとして大切なお姫様をさらわれるとか思っているわけ? 念のために言っておくけど、マコと僕は双子の姉弟だ」外灯の淡い光の中で、遥は静かに微笑んでいた。でも、その透き通るような微笑は何だかとても痛々しくて、今にも砕け散りそうな、ひび割れた仮面を思わせた。「そうだよ。君たちは姉弟だ。その事実はこの先もずっと変わらない」聖は遥の言葉を繰り返したに過ぎない。でも意味する所は全く ... [続きを読む]
  • 2008/09/08 08:11星々の思い(4)
  • 「あの……お邪魔でしたでしょうか?」「ううん、そんなことないけど?」耳まで赤くした純情少年に代わって、少女は笑顔で否定した。「直己さん、わざわざ迎えに来てくれたの? ひょっとして心配かけちゃった?」微苦笑を浮かべた青年に哀れむような眼差しを向けられて、聖は思わず背を向けた。周囲の人間はことごとく聖の気持ちに気付いているというのに、どうして真琴だけが気付かないのだろう。むなしい思いでため息をつ ... [続きを読む]
  • 2008/08/28 22:31星々の思い(3)
  • 生垣を飾る梔子(くちなし)が甘い香りを撒き散らしながら純白の花弁を広げている。毎日通っている道なのに、今日に限ってその存在に目を奪われた。「ヒー君……ごめんね」真琴は細い指先で、聖の制服の袖を軽く引っ張った。どこか子供っぽいそのしぐさが、無意識の媚態と映るのは、甘くただよう花の香りのせいだろう。相手の歩調に合わせて、わざとゆっくり歩きながら、そんな思いが、ふと脳裏をよぎった。「謝るようなこと ... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 制服
  • 2008/08/25 22:26星々の思い(2)
  • 稽古着姿で保健室に現れた少年はひそとも音とたてることなく、眠る少女を見つめている。養護教諭が不在で心配なのはわかるけど、真剣な横顔は姫を守るナイトそのものだ。どう見ても自分たちはおじゃま虫だ。所在なげに佇んでいた二人の少女は、互いに顔を見合わせ、足音を忍ばせて保健室から出て行った。「いいなあ、真琴は」下駄箱まで来た所で、広夢はうっとりと足を止め、黄昏色の空に目を細めた。淡い色のメイクもきれ ... [続きを読む]
  • 2008/08/15 14:48星々の思い(1)
  • なぜ彼は、死ななければならなかったのか。なぜ彼女は、死ななければならなかったのか。この世は理不尽なことばかりだ。彼らを死の闇に沈めたあの女は今も光の中にいる。「本当に似てないね」顎の下で細い指を組み合わせた真下広夢は、大きな瞳をさらに大きく見開いて、真琴の顔をまじまじと見つめた。「うん……似てないね」真琴は曖昧に頷いた。困ったように落とした視線の先には、広夢が持って来たファッション雑誌が ... [続きを読む]
  • 2008/08/10 22:12カモミール(2)
  • 「ここで降ろして」「真っ暗ですよ」「平気。ここからは歩くよ。お金の節約」運転手は少し笑って車を止めた。支払いを済ませてタクシーを降りると、本当に辺りは真っ暗だった。閑静な高級住宅街は深い眠りの中にある。闇が苦手な姉のことを思い出し、遥はそっと微笑んだ。真琴は極端に怖がりで、暗いのも大の苦手だ。だから二人して夜道を歩く時は、しっかりと手をつなぎ、声をはりあげて歌を歌う。全ては昔のことだ。 ... [続きを読む]
  • 2008/08/07 07:50カモミール(1)
  • つつましやかなノックの音。ハーブティの香りとともに部屋に足を踏み入れた青年は、机につっぷしてうたたねしている少女を見て動きを止めた。「真琴さん」「…………」「真琴さん」「…………」「マコちゃん」ぱっと頭を上げた少女は、きょろきょろと視線を動かした。長身を折り曲げるようにして、必死で笑いをかみ殺している青年の存在に気付くこともなく、机の下を覗き込み、引き出しを下から順番に開けてゆく。こらえきれな ... [続きを読む]
  • 2008/08/01 08:14星は見えない(5)
  • 「私、こんなの初めて」「満足できなかったんなら、払い戻しするけど」「ううん、そうじゃなくて……」「ねえ、もう、帰ってもいい?」遥は静かに上半身を起こした。まんべんなく薄い筋肉のついた裸身は雪のように白い。しなやかな背中には、純白の羽根が何よりも似合いそうだ。それなのに……。眩しそうに少年を見つめていた女は、思い出したように薄い上掛けを引き寄せた。部屋にただよう濃密な香りは、ここで行われた行 ... [続きを読む]
  • 2008/07/31 08:23星は見えない(4)
  • 膝のあたりまで水につかったまま、遥は空を見上げていた。奈落を逆さにしたような空。どんなに目を凝らしても何も見えない。足元に広がる水面もまた、夜闇を映して真っ黒だった。「……マコト……」かすれた声が空しく闇を震わせる。浅いはずの沼に身体がゆっくりと沈み込む。膝から、腰へ、そして胸へ……。そう、ここは、罪人を埋葬するための底なし沼なのだ。夢だと言い聞かせても、泥に押さえつけられた胸がだんだんと苦 ... [続きを読む]
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  • 埋葬
  • 2008/07/30 08:21星は見えない(3)
  • 「マコをどうするつもり?」「ど、どうもしない。た、ただのスカウトだよ。あっ、ひょっとして、ハルって、お姉さんっ子? まあ、無理もないか。美人だし、君たち全然似てないし、ちょっとは変な気になっても……」「変な気になったのは、あなたの方でしょ」矢崎の喉がごくりと上下した。ぞっとするような暗いオーラが少年の全身を包んでいる。「矢崎さんがお気に入りのモデルに手を出していることは知ってるよ。 僕にとっ ... [続きを読む]
  • 2008/07/28 11:24星は見えない(2)
  • 「ハル、君の双子のお姉さんのことだけど……」撮影終了後、モデル事務所の社員に真琴のことを持ち出され、遥は聞こえないふりをした。それは拒絶の意思表示だったのに、男はかまわず話し続けた。「クライアントから問い合わせがあったんで、悪いとは思ったけど、少し調べさせてもらったんだ。桜明学園の生徒会長なんだって? 大女優・藤原麗華の一人娘で、ハルの双子の姉で、日本有数の進学校の生徒会長とくれば、話題性は十分 ... [続きを読む]
  • 2008/07/27 11:55星は見えない(1)
  • ファッション雑誌の表紙撮影は、黒のパーティドレスをまとった人気モデルとのツーショットだった。オフホワイトのタキシードに真紅の薔薇。ゆるいウェーブのかかった髪をかきあげ、憂いを帯びた瞳でカメラを見つめれば、女性スタッフから一斉にため息が漏れる。モデルの仕事はわりの良いアルバイトだ。それ以外の何の意味もない。でも、気まぐれを起こすことはあるわけで……。「きれいな髪」賞賛の言葉とともに、長い髪を ... [続きを読む]
  • 2008/07/26 09:26トライアングル(7)
  • 「これ、誰の手だと思う?」「わからないわ」あまりにそっけない返答に、思わず首を傾げたくなる。こんなにわかりやすいのに、どうしてわからないのだろう?ひょっとすると、本当は全てわかっていて、わからないふりをしているだけなのかも知れない。(ハル、報われないね)今頃は大急ぎでバイト先に向かっているはずの幼馴染に、心の中で語りかけた。(でも、報われてはならないことも事実だから、僕は何も言わないでお ... [続きを読む]
  • 2008/07/25 07:33トライアングル(6)
  • 言葉には反応したものの、真琴はこちらを見てはいなかった。ほっとする思いと、複雑な思いがこみ上げてくる。いつしか二人は玄関ホールまで移動していた。本人は自覚していないと思うけど、この場所を通るたびに、真琴の歩みは遅くなる。漆黒の双眸は、壁に飾られた絵に吸い寄せられてしまうのだ。昨年の二科展で総理大臣賞を受賞したその作品は、彼女の弟が描いたものだった。学校側のたっての願いで、今はこの場所に飾ら ... [続きを読む]
  • 2008/07/24 07:51トライアングル(5)
  • 「屋上にいるって、どうしてわかったの?」「カーテン」「え?」「会が終わった後でカーテンを開けたら、ヒー君が見えたの」「ああ、そう」心の中で胸を撫で下ろした。聖が見えたということは、遥は見えなかったということだ。危ういバランスで屋上の手すりの上に立っている弟の姿なんて、真琴には絶対に見せられない。遥の真琴への執着はシスコンの域をはるかに超えている。それなのに、聖が真琴のそばにいることは黙 ... [続きを読む]
  • 2008/07/23 08:04トライアングル(4)
  • 少女は困ったようにこちらを見た。「ヒジリ君、きらきら星、好き?」「う、うん」「じゃあ、聴いてくれる?」うんと言う代わりに聖はソファーに腰掛けた。本当は『きらきら星』が好きかどうかなんて考えたこともなかったけど、気がつくと二人が紡ぎ出す音の世界に引き込まれていた。時にきまぐれに、時に弾むように、そして時に鮮やかに……。次々と形を変えていく。幼い子供が弾いているとは、とても思えない。漆黒の髪 ... [続きを読む]
  • 2008/07/22 07:58トライアングル(3)
  • あの日、少女に続いてフェンスをくぐると、そこは花々に彩られた別世界だった。フリルのような西洋シャクナゲの向こうに、変わった形の「離れ」が見えた。廊下で母屋とつながったそれは、ピアノのためだけに造られた防音室だった。大きな窓と、風に揺れるカーテン。磨き上げられたグランドピアノ。部屋の隅に置かれた三人がけのソファーの上で、宗教画から抜け出た天使が眠っていた。色素の薄い柔らかなくせっ毛。花びら ... [続きを読む]
  • 2008/07/21 09:07トライアングル(2)
  • 「あっ、美山君と一条さん」「姫とナイトが手をつないでる!」「大胆! でも、お似合い」すれ違う女生徒たちのひそひそ声。廊下を並んで進みながら、聖は何気ない調子で口を開いた。「気にならない?」「何が?」「いや、いいんだ」一条真琴の不思議さは、自分が周囲から注目されているという認識が全くないことだ。目とか耳とかに特殊なフィルターでもついているのか、告白されても、美人だと賞賛されても、どうやら ... [続きを読む]
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  • 生徒
  • 2008/07/20 11:29トライアングル(1)
  • 誰もいない屋上でしばらく風に吹かれていたかっただけなのに、放心したような後姿が本当に具合が悪そうに見えたらしい。「ヒー君!」悲鳴に近い声にどきりとした。驚いたのは向こうも同じのようで、こちらに駆けてくる足音が焦っている。「ヒー君、大丈夫? 本当に具合が悪かったの? ごめんね。私、ただの仮病だと……」「心配しなくても、ただの仮病だよ」「本当に?」腕を引っ張られて振り返ると、真琴は目を丸くした [続きを読む]
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