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- 2008/03/18 15:33夢を語る行為
- 「夢を語る行為」 夢から覚めた。 彼女が傍らで伸びをする。 彼女があくびをする。 彼女は悪い夢を見たという。 彼女は目覚めが悪いという。 でも夢は動作をする度にこぼれ落ち、 原形をとどめないあわい砂の城になる。 彼女は語り出す。 聞いているといないに関わらず。 もう1度布団の中に潜り込む。 残されたぬくもりの中で泳ぎ出す。 「私が夢の中で実家に... [続きを読む]
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- 2008/03/17 05:57「文章13」
- 「文章13」 じいさんの墓は国道をはさんだセメント工場の向かいにあって、工場の作業音と砂利を積んだ大型トラックの行き来する騒音が雑然と響く場所にこぢんまりとある。墓地のわきには貨物鉄道の高架が通っていて、線路を避けて墓地のほうまで生えてきた夏草がぼうぼうと茂る様子が殺風景さをきわだたせていた。 盆も3日を過ぎて香のかおりはほとんどなく、毎日の猛暑で供えられた果物は腐って甘い匂いを放ち、アスファル... [続きを読む]
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- 2008/03/16 18:44「文章8(その3)」
- 書くことに、何の意味があるのだろう。 どれだけ整理して、具体的かつ詳細に書いたとしても、それらが書き手である僕のもとから離れ、読み手の頭の中で再度、文章として構成されるときにはまるで違う形をしているかもしれない。いやむしろ「違う形を成すだろう」と考えた方が経験的かつ実証的に考えて妥当だろう。 ここから見れば確かに夜空の7つの星は‘ひしゃく’の形をしているように見える。でもそれはあくまでこの惑星か... [続きを読む]
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- 2008/03/15 18:12「文章8(その2)」
- 「文章8(その2)」 書くことに意味があるのだろうか、と思う。それというのも僕は、書けば書くだけ逆に、本当に書きたいことから遠ざかって行っているように感じるし、文に表そうと努力すればするだけ、自分自身がいったい、今どこに存在し、何を表現しようとしているのかますます混乱してしまう。 まるで、言い訳に言い訳を重ねるうちに話しの真実味がどんどん失われていくような、一つの行き違いを訂正するための言葉がいっ... [続きを読む]
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- 2008/03/14 09:21「文章3(その2)」
- 「文章3(その2)」 目を開けると部屋の中は真っ暗で(雨戸がしまってる)、天井も見えなくて、こうやって私は何も見えない部屋でただ目を開けている。 何も見えないのに目を開けている。それは目を閉じている風景とさしてかわりがないんだけど、とても不思議で、とても、怖い。 目覚まし時計の秒針の刻む音が私を責める。 暗闇で目を開けて、何も見ていない私を責める。 何もない暗闇を見つめる... [続きを読む]
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- 2008/03/12 08:44「文章11」
- 「文章11」 職場の連中は、客も同僚もどっちもクソったれだった。役職には一応「長」のついた適当な連中が、思いつきで回してくるいい加減な仕事に俺は振り回され、頭がいっぱいになる。わけがわからなくなる。思考が止まる。業務終了時刻には、俺の頭の中は引っかき回され、何も考えられなくなっている。めちゃめちゃな形のものを、ぐちゃぐちゃに突っ込むから、いっぱいなるのだ。一人で過ごす時間を取り、めちゃめちゃなかた... [続きを読む]
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- 2008/03/11 10:46Tomorrow of the same rabbit(1)
- 「Tomorrow of the same rabbit(1)」 暗い窓に反射した幽霊の正体は単なる労働安全衛生のポスターだ。 女が笑う白い歯を疎ましく思いながら私は超過勤務時間に突入する。 遅くなる帰りまで充分に私を働かせる。 既知のウサギが私に挨拶して傍らをまた通り過ぎる。 それが今日のこの日のすべて。 よく考えてみたけどむしろ私が思っていたより空の白鳥は白くない。 そして冬には帰らない... [続きを読む]
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- 2008/03/09 00:34目覚め
- 「目覚め」 それによって夜明けはやって来る ほとんど愛おしいと言うべき郷愁の色を帯びた衝撃を伴って 今日もやって来る、三千世界の向こうから 正しく傾いている光景 快復したと思っていた身体からの突然の痛みや 時間に付け加える事のできない予感を切り進みながら来る ひたひたの眠りの終わりは 牛乳よりも白い、充ち満ちた丸い縁を循環し 薄膜のような記憶によっていつも... [続きを読む]
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- 2008/03/07 05:54「文章10」
- 「文章10」 厳密に言えば、人をその人たらしめているものは肉体の部分ではないのかもしれない。この瞬間にも細胞は生まれては死に、死んでは生まれる。永久に生き続ける細胞は、ない。 それはまるで砂丘のようだ。砂丘それ自体は同じ形で存在するのに、その砂は常に風によって吹き飛ばされ、吹き積もる。去り行く砂の残す悲しみを堆積させながら、砂がすべて入れ替わった砂丘はただ恋人を待つ少女のようにその場所にじっと存在... [続きを読む]
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- 2008/03/06 09:28グランドフィナーレ
- 「グランドフィナーレ」高らかに終わりを告げて、終わりに印をつけます。(何故なら、あなた)そう。足は上げられます、中身は、今見せられて潤み始めます。ひっくり返され、 あなたの裏側をを示して、今赤い割れ目を開拓して下さい。私は、割れ目へ指を押入れるでしょう。それ(中指)及びぶすっとそれで押して、そしてぐるんと逆さに裏返します(猫の皮剥)その時にそれがあまりに大きいというなら、私はあなたにとって、厳しく [続きを読む]
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- 2008/03/06 05:55「きみのまち」
- 「きみのまち」 新しくできた幹線道路のおかげで、このごろは駅のまわりもすっかりさびしくなってしまいました。もう、むかしを思い出させるものは新幹線の高架橋ぐらい。これだけはあいかわらず、ゴーっという音をたてて新幹線が通過します。君の部屋で居眠りをしながら聞いた、このゴーっという音を、今でもときどき真夜中にふと、聞いたような気がして目が覚めます。僕の町はこんな風です。 君の町はどうですか。 駅へ続く街... [続きを読む]
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- 2008/03/05 09:17チャリンコドライブ
- 「チャリンコドライブ」〜あるいはクリスマスオーナメント2〜 ぐるっと回って一回転 犬が飛び上がる 今日の朝のメールチェック 驚いて飛び上がる SPAM合計三十四通 ああそうだ 気に入らない小学生は傘で殴ろう 自転車で一気に突き進む 青森−秋田間 その距離ほぼ二百?超 見事走破のファンファーレ チントンチントンチントントン 久しぶりにM... [続きを読む]
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- 2008/03/04 18:32「TSUMEKIRIのある風景」
- 「TSUMEKIRIのある風景」 そもそも一人で住んでいるのに、ものがなくなるわけがない。しかし見つからないのだ。よりによってそれはツメキリ。ツメのさきっちょの白い部分は悪である、というのが俺の思想体系の中核をなしているわけだが、そんなめんどくさい哲学を背負っているおかげで俺はとにかく頻繁にツメを切る。しかし、ないのだ、ツメキリが。ダイニング兼書斎兼リビング兼男の隠れ場の、まぁ簡単にいうと居間のテ... [続きを読む]
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- 2008/03/04 18:24「BENZAのある風景」
- 「BENZAのある風景」 3秒で答えて下さい。あなたのお宅の便座はO型ですか?U型ですか?いち、にい、さん‥、ビー。残念。じゃあ、ね、今度はもうちょっと時間をあげます。だからよおっく考えてみて下さい、あなたのお宅の、あなたが毎日使用しているその個室にある、便座のことを。どんな形だったか?どこのメーカーだったか?そもそも便座があったかどうか?いかがでしょう。ちなみに私的な話しで恐縮ですが、拙宅の便座... [続きを読む]
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- 2008/03/04 15:51身体
- 「身体」ああ、たまんない、二つの体・カラダ・身体峰一番上がったおっぱいのないよい身体は、線を武装させ、それは染めている若い肉夏色に汗をかかせ、それは、腹筋のもとでのくねくねしたものが、ああ、困難な筋肩の筋肉を囲むことが、そうでない胸がおっぱいに接吻をするほどの、薄い腰その飾られた一部分をしぼませた縄。かりっと巻きつけた。そう、ゆるやかに。困難ならせん形が(いくばくかの憐憫とともに)キーキー軋むと、 [続きを読む]
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- 2008/03/04 09:09花売り
- 「花売り」 あのひとは花を売るのをやめて いったいどこへいったのか わたしがそこへ訪ねていけば ガラス張りの木枠の中 古いミシンが1台切り 道路の上の毛皮のように カラスに喰われて 何もない、わたしの中身 どこにもいけないと思えたその時 やはり聞こえてくる、あの音 さざめくしじま ひそやかに死に絶えた道路のひび なぞりつつ広がる私の背後に ... [続きを読む]
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- 2008/03/03 15:27棘
- 「棘」 足に棘が刺さりました。 死に棘が刺さりました。 極めてパーソナルな問題から事の発端は始まります。 自分しか分かりません。死か分かりません。 箱をもらいました。底のない箱をもらいました。 私はそこに何か植えます。 私は底に何か飢えます。 魂の飢えです。 とても珍しい植木です。 嫌いな人にまずいお茶を飲ませました。 まずいお茶です。苦いお茶です... [続きを読む]
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- 2008/03/02 22:01ファイアスターター
- 「ファイアスターター」心が失敗して挫けそうになるほど、暑いその日あるいは、静かな厳しい夏。それにかかわらず時間が止まったか、このような一日。私はまた置いていかれました。あなたは知っていますか?あなたは焼身自殺について知ってますか?自分自身で燃えて自分を殺します。(幾ばくかの事実)はい、知っています。 この全面の緑、夏の青、それしかない此処です。此処より先には何もありません。静かすぎる、山の奥の、営... [続きを読む]
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- 2008/03/01 20:29別れ(1+2)
- 「別れ(1)」私は、今日それによって再び生まれ変わります。洗礼を受けます。彼は彼の頭の一番上の部分が削除されて、めぐりめぐって依然彼ではあるけれど、そうありたいと願ったので、そうしていたいと思ったので、実際削除されることができたその部分がたいへんかわいそうです。そして私が厳しいことがなにより悲しいです。悲しむ私のために、まだ近くに彼いて、彼を空白にする誰かと同様に、頭を自由に削除することができて、... [続きを読む]
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- 2008/02/29 09:16case of murder
- 「case of murder」 かつて、そこにあった事が、言われます。 母の親のまだ母から、小さい家、乾いた川、ある村で、 子供の母からまたその伝聞の伝聞、過ぎた時間およびその源から聞きました。 村および町でその中間である集落。結局は単なるcase of murderです。 それがそうである意味、思慮および質問は、いつも意味が無い事と判断されます。 夫婦であって、パートタイムの兼業農家です。か [続きを読む]
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- 2008/02/28 20:39「文章8」
- 「文章8」何を書けばいいのだろう。何から書けばいいのだろう。そもそも、書くべき何かなんて存在するのだろうか。浮かんでは消えるさまざまな思いは、文字として画面に写し出される瞬間に身の丈以上の華美な装飾を帯び、それでいて肝心な部分は欠落していて、結局は書かれるべき思いとまるでかけ離れた姿をしている。本当の思いは姿にならない。いや、姿を伴った時点でその思いは、とたんに不恰好で、無意味で、何か場違いな存在 [続きを読む]
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- 2008/02/28 09:22クリスマスオーナメント
- 「クリスマスオーナメント」 わたしのクリスマスオーナメント 失われたクリスマスオーナメント 十二月の午後四時にあても無く探しまわる 青く沈む今日と 同じくやってくる終日 雪の足裏と よく冷えた裏切りの構図 プルトップ 呼びかける クリスマスオーナメントの特徴を 思い返せ わたしの先を歩いていく二人組は 寄り添った影 どこよりもかたい足跡 [続きを読む]
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- 2008/02/28 09:17観察者
- 「観察者」視界の端、ちらりとすぎるその奥、見えないはずの物が見える。鬼目の私、不可視の自分。歌声。たくさんのにんげんのうたごえ。今日も心のスクランブル交差点の中央、立ち止まると、横断歩道の白と黒を心の中でより分ける。曇り空の下で。一本、二本、三本、紛れて交差して四本五本。もしかしたらそれ以上。向こう側にも同じ物があり、組み合わさって捻れて、ああ、通り過ぎる。耳に掴みかかる誘惑。みんな苦しんでいる。 [続きを読む]
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- 2008/02/27 18:02「文章7(百科事典と真夜中の電話)」
- 「文章7(百科事典と真夜中の電話)」 ありきたりの文句で始める。真夜中にかかってくる電話にロクなものはない。携帯電話が日付のかわろうとするころに鳴る。見慣れない電話番号。少し躊躇してから4度目のコールで出る。実家の母親だった。伯父が死んだらしい。家を一度出てから彼女はやたらと新機種の電話を求めたり、買い換える車で真剣に悩んだり、旅行雑誌を大量に買い込んだり、そんな小さな、しかしそれ以前の彼女には不 [続きを読む]
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