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- 2008/08/29 01:10[高校生編]?星屑こんぺいとう-07
- * * * 浴衣の着付けは、ヒナが想像していた以上に大変な作業だった。 おととしまで着ていた少女用の浴衣と違って、浴衣用の下着をつけて、補正をつけ、付け帯ではなくちゃんとした半幅帯を締めてもらうなど、かなりの手間がある。 形がついたころには、ヒナはなにもしていないのに、もう汗だくになっていた。 もちろん、着付けてくれる母は、ヒナ以上に汗だくになっている。「あんたがもうちょっと撫で肩 [続きを読む]
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- 2008/08/28 00:10[高校生編]?星屑こんぺいとう-06
- 前の週に合宿があったので、その週の空手の稽古は休みになっていた。 週末に佐野との一本勝負(?)を控えているヒナには、ある意味で好都合(良いインターバル)だったが、複雑な気持ちでもあった。 その後の佐野とのやり取りと言えば、1通のメールのみ。 花火の日に迎えに来る場所と、時間の確認だけだったからだ。 あっさりした佐野の対応に、ヒナは相変わらず戸惑っていた。 佐野に花火の話を切り出した日を繰り返すよ [続きを読む]
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- 2008/08/26 12:55[高校生編]?星屑こんぺいとう-05
- 8月に入り、兄貴たちが下宿先に戻り、また静かな日々が戻ってきた…と思いきや。 ヒナの周りは、にわかにまた騒がしくなってきた。 甘ったるいほどの、恋の話題で……。 オグ&アイピたちはもちろん、関西に帰省しているタマちゃんから来るメールや着信で、ヒナのケータイはほぼ四六時中稼動していた。 親友たちの恋バナ報告を代わる代わる受け、一緒に悩んだり、のろけ話におなかいっぱいになりながら。 もちろん、ヒナも [続きを読む]
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- 2008/08/24 10:06[高校生編]?星屑こんぺいとう-04
- 「それはそうと、身体の調子はどうなんだよ? 元気になったのか??」 すかさず、佐野の言葉が続いてきた。 高鳴る胸の轟きで喉がつまり、ヒナは「え…あ…」と相変わらず焦ってトチる。「は、はい。もう…はい、元気です」「だろうな。いつものニャンコの声しとるわ」「そ、そそ、そうですか?」「うん。…てか、どんだけ緊張してんだよ」 トチりまくっているヒナに、佐野はまたクスクスと笑い出した。 言い訳する余裕もない [続きを読む]
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- 2008/08/23 12:12[高校生編]?星屑こんぺいとう-03
- 「…わ、可愛い!」 しっとりとクラシックな柄に一瞬見とれた後、ヒナは浴衣に駆け寄った。「可愛いでしょ。お母さんが娘時代に着てた浴衣よ」 膝をついて浴衣を眺めるヒナに、母が微笑みかける。ヒナは母を見て、うんうんと頷いた。「めっちゃ可愛い! て言うかきれい!!」「そう、良かった。じゃあ、ヒナに貰ってもらおうかな」「…え」 途端にヒナは目を見開いた。 そして言葉を失って、浴衣と母の顔を交互に見た後で、「 [続きを読む]
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- 2008/08/22 13:46[高校生編]?星屑こんぺいとう-02
- ケータイをいじりかけてたヒナは、「もぉー!」といい加減本気で怒って声を上げる。「だから、ブタじゃないし! ウザいなぁ、出てってよ!!」 ヒナがヒステリックな声を上げようが、兄貴たちは動じない。 冷房のあるヒナの部屋であぐらをかき、快適そうにデザートのスイカを食べだした。 それでも黙って食べてくれるなら、ヒナも苦労はしないが。「そー言えば。向かいの慎吾が、女の子と歩いてたな」 エセ関西弁でイサムが [続きを読む]
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- 2008/08/21 11:01[高校生編]?星屑こんぺいとう-01
- 18、星屑こんぺいとう …夏の夜・火の花・二つ星 7月も末の、土用晴れの土曜日。 澄んだ青空の下、蝉の声も遠く、囁くような風鈴の音が微風と戯れている。 そんな静かな夏の日のお昼前、縁側のすだれの影に、ヒナはいた。 一見すべてを投げ出して、無気力に横たわっているようだが。 人形のように動かないヒナの頭の中は、ずっとずっと働き続けたままだった。 眠れないほどに、ずっと。あの合宿の日の後から……。 慎吾が [続きを読む]
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- 2008/08/20 00:31[高校生編]?九回裏二死満塁-31
- 「…泣くなよ」 佐野が言って、頭を突付いてきた。 ヒナはびっくりしてから、手で涙をこすった。「泣いてないです…」「泣いてるだろ、泣き虫ニャンコめ」 短く息をつくと、佐野は窓を閉めた。 クーラーのひんやりとした冷気が、ヒナの涙を冷やしていく。 佐野はきっと、ヒナがまだふて腐れていると思っているんだろう。「ウノとかトランプなんか、いつでもできんだろ」 そう言って、またため息をついて、閉まった窓に肘をつ [続きを読む]
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- 2008/08/19 10:52[高校生編]?九回裏二死満塁-30
- * * * エンさん、荒木田師範、嘉藤師範代に見送られて、佐野とヒナは駐車場向け歩き出した。 日はだいぶ傾き、オレンジ色が強くなった光で、影が長く伸びる。 砂浜を見たら、道場生たちが夕食のバーベキューの準備をしていた。 おでこに冷えピタを貼ったヒナは、その様子をぼんやりと見つめながら、トボトボと佐野に続く。 時々佐野が振り返ってきたが、言葉はない。 ヒナも、うなじまで真っ黒に焼け [続きを読む]
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- 2008/08/18 01:30[高校生編]?九回裏二死満塁-29
- 「これから親来るの待つより、そのほうが早いっすよね?」 佐野が言うと、エンさんは携帯を耳から離した。「そりゃ、そうだけど…」「送ったら、すぐトンボ帰りしてきますから」 エンさんは一瞬まじまじと佐野を見てから、「多分それで大丈夫だと思う。でも一応先生と、ご両親にお伺いをたてないとね」 言って、また携帯を耳に当てた。 佐野サンが、送ってくれる。 信じられない展開にヒナはしばし固まっていた。 でも……。 [続きを読む]
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- 2008/08/16 08:39[高校生編]?九回裏二死満塁-28
- ヒナがクラクラとして目を閉じかけた時。 佐野が動いた気配で、五感が一瞬冴えた。(…佐野サン?) ヒナは目を開けることが出来ずに、息を飲む。 佐野の気配、体温、海水や砂混じりの匂いが近づいてきた気がしたので……。 薄紅色のもやが覆う中、ヒナはドキドキを募らせた。 肌に、なにかが触れたような気がして、鼓動が一際強く打ち込まれる。 くすぐったくて、変な感じで、身をよじりたいけど、出来ない。 ヒナは勇気 [続きを読む]
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- 2008/08/14 00:12[高校生編]?九回裏二死満塁-27
- ヒナの目の前が色も光も失い、ぬばたま色に染まろうとした時。「…オイ、大丈夫か!?」 佐野の声と、腕をつかんでくる強い力が、途切れかけたヒナの意識を飛び戻した。 針の先ほどだった光がどんどん大きくなって、またヒナを照らす。 上も下もわからない、あやふやな感覚の中、ヒナは佐野に抱きかかえられている自分に気づいた。 声を出そうとするけど、無理だった。まるで声の出し方を忘れたように、すぐにヒナは途方に... [続きを読む]
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- 2008/08/14 00:04[高校生編]?九回裏二死満塁-26
- 一瞬わなないてから、ヒナは金縛り状態になった。 佐野の視線に、めまいすら感じる。 佐野は憮然としていた。 寺島の話のせいなのか、ヒナの視線のせいなのか。 いつも明朗として笑顔の印象の強い顔が、別人みたいにピリピリしている。(まさか…。エロ妄想しちゃったの、バレてる?) 佐野に申しわけなくて、ヒナは小さくなる。 でも激しく恥ずかしくて、そして自分が情けなくて、身体の中では信じられないほどの感情が膨 [続きを読む]
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- 2008/08/12 17:42[高校生編]?九回裏二死満塁-25
- 心臓と、頭の中、目の前に赤い弾幕が通り抜けた。 その赤には熱があって、ヒナを内側から蒸していく。 カッカと、頬やおでこ、鼻の先が熱くなっていくのがわかる。 鼓動がドキドキ急ぐのに、息ができない。 熱くて苦しくて、ヒナは悶えたくなった。 もう少し佐野の視線が長くとどまっていたら、酸欠でバタンキューとなっていたかもしれない。 幸か不幸か、佐野の視線はすぐに途切れた。 寺島が、佐野の肩を嬉しそうにバン [続きを読む]
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- 2008/08/08 16:05[高校生編]?九回裏二死満塁-24
- 「みちるちゃん。そんな、優勝オメデトウとか、おおげさだって!」 いつも陽気で絶好調な寺島は、賞状をパタパタさせながら笑った。「あんなん、ただのゲームで、遊びだよ? 俺はハナッから本気なんか出してねーし!」「ほんとにー? すごいマジ顔だったじゃないですかー」 みちるも手を叩きながら、笑う。 他の道場生たちの笑い声もかぶさってきた。「…みちるちゃん。言っとくけど、寺島さんの言うことは99%ホラっすからね [続きを読む]
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- 2008/08/06 18:02[高校生編]?九回裏二死満塁-23
- 散らばった道場生の大半は、みんな渚にかけだして水に飛び込んでいた。 日が傾いてきたとは言え、まだ猛暑はゆるんでいない。 みんな歓声をあげて水と戯れている。「うわー。あたしも海入りたいなー!」 みちるが、また腕を引いてきた。「ヒナ、泳ごうよ!」 考え事をしていたヒナは、弾かれた様に「はい?!」とみちるを見た。 みちるは異様なほどニッコニコしている。「せっかく可愛い水着着てるんだから、みんなにお披露 [続きを読む]
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- 2008/08/04 15:43[高校生編]?九回裏二死満塁-22
- どくん、と。 身体全部をゆすりそうなほど強い鼓動が、耳の奥を突き抜ける。 最初は気のせいだと思った。 しかしそれが気のせいじゃないと言う証を、佐野は示してきた。 ふんわりと笑って、ヒナ向けて軽く手を上げたのだ。 信じられない光景を前にしたヒナは、倒れたくなるぐらいの動悸に襲われた。(佐野サン、あたしを見つけてくれた…) 笑ってくれた……。 感情の傍流が、雷のようにヒナの身体を突き抜けていく。 そ [続きを読む]
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- 2008/08/03 01:55[高校生編]?九回裏二死満塁-21
- ヒナがぼんやりしている間に、準決勝第2試合で寺島が勝利した。 佐野の時と同じように、みちるは嬉しそうな笑顔で手を叩いている。 でも、みちるや周りの道場生、観客の雰囲気から取り残されて、ヒナはひっそりと膝を抱えていた。 驚くほどいきなり、身体と心から、力が抜けてしまって……。「ヒナー、ぼーっとしてる場合じゃないよー」 余りにもぼんやりし続けてるヒナの肩をつかんで、みちるが揺すってきた。「決勝始ま... [続きを読む]
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- 2008/08/02 14:54[高校生編]?九回裏二死満塁-20
- 「あ、佐野サンの出番みたいだよ」 みちるが鼻息荒く言って、その場に座った。ヒナもつられて、座る。「あら、楽しみねえ」 本宮師範は豪快な笑顔で顔をくしゃくしゃにすると、「…じゃ、ふたりともお疲れさん! ほんと助かったわ、ありがとうね!!」 手を振りながら、旦那さんでもある戸塚師範のほうに歩いていった。 ついでに本宮と言うのは旧姓で、旦那さんと混同してややこしいので、道場では旧姓で通っているらしかった... [続きを読む]
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- 2008/08/01 15:58[高校生編]?九回裏二死満塁-19
- * * * ヒナとみちる、そして本宮師範が戻ると、砂浜は予想以上に沸き返っていた。 観客の数もハンパない。 道場生のまわりを、関係のない遊泳客の輪が囲って、完全に壁になっている。 砂浜に下りただけでは大会の様子が見えないぐらいに。「すごい人ー…」 みちるがぽかんとして、人だかりの前で立ち止まった。 ヒナも本宮師範もひるむように、その場に止まる。「こりゃ、簡単には前に出れないわよ... [続きを読む]
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- 2008/07/30 20:00[高校生編]?九回裏二死満塁-18
- 目的地の小さな野菜卸場に着くと、師範は業者の人のところに、ヒナ&みちるは野菜を取りに場内に走った。「本宮師範って、恋バナ好きだったんだねー。びっくりしちゃった」 巨大な野菜貯蔵用の冷蔵庫に入りながら、みちるが笑った。「あたし、本宮師範に教わりたかったなー。荒木田師範も悪くはないけど…本宮師範ならプライベートの相談もできそうだしー」「うん。確かに、恋の相談とかバンバンできそうですもんね」 真夏の... [続きを読む]
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- 2008/07/30 19:36[高校生編]?九回裏二死満塁-17
- * * * 長い昼休みが、まさに終わろうとしていた時だ。 みんなが集合場所に向かう途中、ヒナとみちるは多岐支部の本宮師範に呼び止められた。 今回の合宿は、県南の3支部合同で行われていたが、本宮師範は県内でも唯一の女性師範だった。 本宮師範は40代半ば、子供が3人いるママさん空手家で、見た目も性格も典型的な肝っ玉かあちゃんと言った感じだ。「みちるちゃん、ヒナちゃん、ちょっとお手伝いして [続きを読む]
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- 2008/07/29 16:20[高校生編]?九回裏二死満塁-16
- 「ヒナー。水、これくらいでいい?」 佐野に見とれていたヒナは、星児の声でハッとした。 いつのまにか傍らに、海水を入れたペットボトルを持って、星児が立っていた。 そんな星児も佐野に負けないくらい、すでにこんがり黒くなっている。 ついでにエンさんとみちるは、日陰で昼寝中だった。「…うん。だいじょうぶ、ありがと」 半分呆然としながら、ヒナは星児からペットボトルを受け取って、砂の城……らしきものにかけた... [続きを読む]
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- 2008/07/28 15:39[高校生編]?九回裏二死満塁-15
- その後、いたずらのお詫びにとみちるがソフトクリームをおごってくれる事になったので、ヒナは一応落ち着いた。 あくまで、表面上は。 道場の用意してくれた焼きソバでお腹を満たした後、日陰でみちるとソフトクリームをなめながら、ヒナの心はふつふつと落ち着かずに泡立っていた。 寺島とビーチフラッグの用意に出かけた佐野が、一向に帰って来る様子がなかったから。 この昼休みに佐野と話ができたらと、ちゃんと話せな... [続きを読む]
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- 2008/07/28 15:19[高校生編]?九回裏二死満塁-14
- 寺島の追求に、ヒナはまた一気にテンパって、首をブンブン振った。「そんなの、わかんないですよ!」 いや、もちろん答えは決まっているけど。 ヒナは答えることが出来なかった。 シャレとして流すスキルもないので、ただただアワアワと焦り続ける。「ははは、そっかそっか!」 寺島もそこは大人で、それ以上追及してくることはなかった。 と言うか、ヒナを追求する代わりに、「…つーか、おめーはなに突っ立ってんだ?」... [続きを読む]
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