- 2008/05/12 15:45absence page2
- 床屋には老人が一人、客用の椅子に座りテレビを見ていた。僕が入ると老人は立ち上がり、椅子の腰掛け部分をポンポンと叩き、僕に席を譲ってくれた。椅子は鏡を背にしたままだった。 「コーヒーは飲むかね」と老人が訊ねた。 「いや、いらない」と僕は断った。 老人はそれに対して何も言わず、しばらくコーヒーメーカーを見つめてから、僕の方に向き直った。僕はその間、コーヒーをいつどのような格好で飲むことを期待されてい [続きを読む]
|
- 2008/05/05 17:29Olympus 35RC
- シャッター速度優先EE、マニュアル操作可能の距離計連動カメラ。シャッターダイアルは軍艦部にあり、Bから15/30/60/125/250/500となっている。これまた必要最小限。もちろん、ちゃちな電池なんてなくても写真が撮れる。Yeah! 僕のRC君は見ての通り、完全ではない。ロゴの上の穴の開いている部分は以前、セルフタイマーレバーが付いていた。ごめんね。僕がなくしたのだ。 僕はよくeBAYで買い物をしてしまう。いけないとはわかっ... [続きを読む]
|
- 2008/05/05 17:28miniature vancouver page 2
- バンクーバーは一つの市であり(ここではバンクーバー島を除く)、また一つの都市としての総称でもある。だから通常、ブリティッシュ・コロンビア州においての『バンクーバー』は、いくつかの主要な市から成り立っている。例えば、大阪と言って、大阪市だけではなく、堺市とか、寝屋川市とか、八尾市とか、守口市とか、豊能郡とか、そういったものを含んだ(いわゆる『大阪府』という行政的区切りではなく)あくまで住んでいる人... [続きを読む]
|
- 2008/05/01 01:26Olympus XA
- オリンパスの特徴を凝縮したようなカメラ。距離計連動。絞り優先で絞りをマニュアルで設定できて、コンパクト。こういうのが所有欲をそそる。ただ、写りはオリンパスの他の瑞光に負けているかな。割に線が太く、良くも悪くも絵画的な描写になる。... [続きを読む]
|
- 2008/05/01 00:28miniature vancouver page 1
- あまりに唐突で申し訳ないが、偽のアオリ写真の書庫を新たに設けることにした。テーマはバンクーバー。バンクーバーとは、北米カナダにある西海岸のしょぼい都市だ。もちろん、しょぼいかどうかは僕の意見、または偏見であるけれど、とにかく、どういうわけか、僕はこの街にもう十年以上暮らしている。で、アオリ写真。これは本来、View CameraやTilt/Shiftレンズなんかで撮影するものであるのだが、もちろんそんなもの、普通の人... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/04/30 16:28absence page 1
- Absence'君が僕を見失ったとき僕は君のことを見ていた僕はちょうど影になって君からは見えなかったけれど'君は驚き立ち止まり泣き出しそうな顔になってどこかへ走っていこうとしたあのとき君はどこへ走っていこうとしたのか'僕達の映画館ではいろんなことがあったね一緒に観た物語のことすべては思いだせないけれど'君の顔を見ている方が僕にはずっと楽しかった特別な日特別な時間隣には特別な僕がいるようで&... [続きを読む]
|
- 2008/04/28 14:48poetography page 49, 50, 51
- これから隠れ家で暮らすことを考えると およそばかげたものばかりですけどでも 後悔はしていません 思い出はわたしにとって 服なんかよりずっと大切なものですから1942年7月8日 水曜日『アンネの日記』アンネ・フランク'あらゆるものはすべて繋がっている過去と未来ヒトとモノその間にあるようなないような時間と空間光と影電話が鳴り録音した僕の声が聞こえて切れた幼いあの娘がしていたように外した受話器の穴の... [続きを読む]
|
|
|
|
|
- 2008/04/23 16:14poetography page 42, 43
- 眠る前に歯を磨く それは歯のためとか そんなことではなく ずっと遠くへ行くための 準備なのだ僕は自分の悲しみがあの娘の瞳に映るのを見る日常に開いた虚しい穴狭い部屋の中はがらんと 時間に取り残され空気はどんな微かな音をも伝える胸の鳴る音息をする音視線がわずかに動く音’「テレビつけてもいい?」あの娘の声が熱を確かめるように額に触れた「ああ、そうしよう」と僕は言った... [続きを読む]
|
|
|
- 2008/04/19 15:15poetography page 38, 39
- 思わず立ち上がりながら、少年は「そうか、海は海だってことか」と呟いた。そうしたら急に笑い出したくなった。「そうさ、これは海なんだよ、海という名前のものじゃなくて海なんだ」もし友人がかたわらにいたら、こんな独白は一笑に付せられただろう。頭の隅でちらとそんなことを考えながら、少年はふたたび呟いた。「ぼくはぼくだ。ぼくはいるんだ、ここに」そうして今度は、泣き出したくなった ... [続きを読む]
|
- 2008/04/18 14:48poetography page 36, 37
- レモネードの作り方 ’ 自分の手で触れて 気に入ったレモンを選びます つんとした両先を左右に置き 断面が花の形になるよう 真ん中から半分に切ります 準備が整えば軽く目を閉じ レモンから レモン汁を絞り出します あっと声が漏れ 息が一瞬止まりそうなほど 冷たい清涼水を注ぎます ... [続きを読む]
|
|
|
|
|
|
|
|
|
- 2008/04/12 15:05poetography page 26, 27
- 僕はチョークで線を引く何度も何度もこすって消して また 見飽きた線を引く'時間に追われ しかたなく引いた線相手に対して 遠慮して引いた線限界を感じて のろのろと引いた線延ばし延ばしにして 引き分けは繰り返される... [続きを読む]
|
|
|
|
|
|
|
|
|
- 2008/04/08 14:30poetography page 16, 17
- 「お言葉ですが 名前にこだわるのは少し感傷的ではないですか?」「あなたは名前が必要じゃないと思うんですね」「そんなことないです 名前を呼ばれるととてもいい気持ちですわ とくにわたしにぴったりだなっていう名前なんかだと」*『さようなら、ギャングたち』 高橋源一郎... [続きを読む]
|
|
|
|
|