- 2008/05/13 21:25第三話 狂乱戦争の事実 第7回
- F.C.七二四年、海を挟んだ亜大陸カヲ=スから三人の使者がやって来た。 この者達は、カヲ=スの三勇士と言われたコーゼス、ティ・アー、サーディンガーという者達であった。 その際にコーゼスが、この大地のことを「聖地フォーラの存在する土地」と呼んだことから、「アル・フォーラ」と名付けられたという。 その三勇士が、何の目的で「聖地フォーラ」に足を運んだのか。それには相応の理由があるはずだ。どうも、迎える [続きを読む]
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- 2008/05/12 22:21第三話 狂乱戦争の事実 第6回
- アル・フォーラに戦いという文字が刻まれ始めたのは、まだこの大地に名前がなかった頃だった。 それまでは、大地は自然の恵みにあふれ、人々も亜人達も一緒に自然と共存し、平和で穏やかな時代が続いていた。それは、この地に初めてたどり着いた者達の理想でもあった。 しかし、一度争いが起こってからは、領地侵略、食糧略奪、部族虐殺、権力闘争とそのスケールは縦横に広がり、悲惨で陰惨な戦いがいくつも起きることとなった [続きを読む]
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- 2008/05/11 11:04第三話 狂乱戦争の事実 第5回
- しばらくして、宿の入り口の方からドヤドヤと、他の三人の子息達も入ってきた。そして、それぞれジェシカの女将さんやブロンケ老と、しばらくぶりの旧交を暖めていた。 しかし三人は、ロクスリーのように故郷の現状や戦争の事について、二人を問い詰めたりはしなかった。 そればかりか、自分達の修行旅での出来事も話そうとはせず、早々に住み慣れていた部屋へ向かって行ってしまった。 彼らに言わせれば、『過ぎた事は、過... [続きを読む]
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- 2008/05/10 13:22第三話 狂乱戦争の事実 第4回
- 「それは、一人の奇妙な男じゃった。名はマルキス・リュトラムと言うた。それはまさしく、地獄に仏じゃった。あのお人がいなければ、アーバンズも全滅じゃったて。身なりも人となりも、人から好かれるようではなかったが、儂らはあのお人を認めねばならんて。リュトラムの操っておった装甲巨人(ゴーレム)というもんは、とにかく凄い物じゃった。なにしろ、街のすぐ外が轟々と燃えさかる炎の壁で覆い尽くされていたにもかかわらず、そ... [続きを読む]
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- 2008/05/08 22:47第三話 狂乱戦争の事実 第3回
- ジェシカの言葉は、ロクスリーにとって確かに嬉しいものだった。だが、今、彼が求めているものは、そういったものではなかった。 そして、その要求を満たしてくれるべき人物が、幸運にもその宿屋にはいた。 カウンターの端で、壁に寄り掛かるように休息をしている老人がいた。痩せた顔に白い帽子をかぶり、白い口髭を携えていた。 その人物が、この町の長老というべき人だということを、ロクスリーは記憶の一片に蘇らせてい... [続きを読む]
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- 2008/05/05 22:30第三話 狂乱戦争の事実 第2回
- 約八年もの年月を経て、リゾート国、次期玉座騎士一行を乗せた船がアル・フォーラの自由都市アーバンズへと戻って来た。 その船が港へと接岸すると同時に、羽織ったマントを大きくなびかせながら、一人の青年、いや勇健な男が素早いモーションでタラップから飛び降り、そしてそのままアーバンズの中心街へと駆け出していった。 その後に続いて、男と女と子供が降りて来た。彼らの体つきもかなり鍛練されたものであった。 最... [続きを読む]
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- 2008/05/04 11:32第三話 狂乱戦争の事実 第1回
- 「いよいよ出発だね」 珍しく、ピア=ピアがそんなふうに言ってきた。いつもは、あっけらかんと話すのに、何か思いの込み上げる調子の言葉だ。 確かに、十年近くもの間、故郷を離れていたのだ。ピア=ピアだって高ぶる気持ちを抑えきれるものではないだろう。いや、感受性の強い草原人だ、本当は私達よりずっと泣いたり叫んだりしたいのかもしれない。 私の方も、荷物をまとめている手が思うように動いてくれない。もっぱら、... [続きを読む]
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- 2008/05/04 00:01第二話 試練の旅 第11回
- 結局、子息達は、ハタモトから褒美を受け取ることなく、早馬で港を目指していた。 あのピア=ピアが、褒美の事を忘れるはずもない。ロクスリーは、後々までしつこく責められるだろう。 港に到着するやいなや、ロクスリーは、アル・フォーラ行きの船便を探した。しかし残念ながら、ヒヤマトからは直行便がなく、それが彼の苛立ちを一層のものとしていた。「航路の増発について、早急に対策しなければな」 ロクスリーが外交政... [続きを読む]
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- 2008/05/02 21:45第二話 試練の旅 第10回
- 気を取り直し、ライドーは話し始めた。「いやぁ、なに、つい先達てまで拙者は、南方の『鳳蘭』(フォーラのことか?)という島の、かなり大規模な戦争に駆り出されておってな、そこでそのような術を見たのでござるよ。とにかく、凄いものでござった。島全体で、かなりの被害が出とったのでござったが、そこでも拙者の活躍は凄いものでござ・・・」「な、なんだって!やっぱり、そんなことが・・・いやな予感がして・・・いや、... [続きを読む]
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- 2008/05/01 22:34第二話 試練の旅 第9回
- この事件の結末は、実にあっけないものとなった。 宝玉を盗まれたはずの城主が、その宝玉を我が物にせんがために仕組んだ芝居だったのである。 城主、鬼瓦権左ェ門守は、子息達が宝玉を見つけられないように隠匿し、子息達を利用して盗みの罪を着せようと企んでいたのである。 しかし、『トウヨウ』には広まっていない魔法というものが、権左ェ門守の知識の範囲内にあろうはずがなかった。 ルーフィンの物品探索(サーチオブジェク... [続きを読む]
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- 2008/04/29 00:16第二話 試練の旅 第8回
- 「何者だ。そこにいるのはわかっている。隠れていないで姿を見せろ」 マックは叫んだ。 実は、相手の位置を正確に捉えてはいなかったマックだが、それは相手を威嚇するためだと兵法で学んだ。けして当てずっぽうではない、と彼は主張する。 その刹那、木々の不自然な動きとともに、やはり何かの影が見えたように思えた。 マックは、その影が倒すべき敵だと確信し、すかさず剣を抜いていた。その早業は、イアイドーでは四段に... [続きを読む]
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- 2008/04/27 15:37第二話 試練の旅 第7回
- きらびやかだが、落ち着きのある装飾が、外装にも内装にも施された城だった。 同じ城という名称であっても、子息達が過ごしてきた城とは違い、まるで異空間にでもいるような感覚だ。 子息達は、紙のような仕切りで区切られただけの一室で『ザヴトーン』という布きれの上に直に座らされていた。「これじゃあ、拷問みたいだぁ」とピア=ピアは小さく声に出し、他の四人も居心地悪そうである。 調度品はほとんどなく、周りは風... [続きを読む]
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- 2008/04/26 14:59第二話 試練の旅 第6回
- さらに東へと進路をとった子息達は、イズナ、シーナといった地方に至った。 この辺の地域は、大陸でも特に「トウヨウ」として区別されているほどで、不思議な文化様式を特徴としていた。 とにかく、色々と困ったことが起きた。 まずは言葉だ。アル・フォーラと今までの大陸諸国では、本質的な言葉の違いはあまりなかった。 しかし、「トウヨウ」においては、子息達の母国語も、それまで旅をしてきた西方の言葉も全くといって [続きを読む]
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- 2008/04/24 23:32第二話 試練の旅 第5回
- 次に子息達は、ユーラフから南東に進み、アラビスという広大な砂漠地帯に着いた。そこはそれまでのユーラフと違って、とにかく何もない所だった。 オアシスと呼ばれる都市群にたどり着くまでは、生死の境をさまようことさえあった。 そして、彼らはそこで生まれて始めて異獣(モンスター)との戦闘というものに遭遇した。突然、砂の中から現れた大砂虫(サンドワーム)の巨体が、容赦なく目の前の五つの獲物に襲いかかったのだ。 いち早く... [続きを読む]
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- 2008/04/23 21:42第二話 試練の旅 第4回
- 子息達は、アーバンズで数ヶ月を過ごすと、本来の目的である、大陸への渡航の準備に移った。アーバンズでもこんなに素晴らしい所なのだ、大陸はさぞかし予想もつかないほどだろう。 だが、何故か彼らは妙な胸騒ぎがするのだった。特にロクスリーは、渡航に対して非常に消極的だった。 しかし、まさか胸騒ぎがするという理由でこの旅を断念し、真の目的を無にするわけにもいかない。子息達はある晴れた春の日に、アーバンズの... [続きを読む]
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- 2008/04/22 23:28第二話 試練の旅 第3回
- 食堂には、すでに時遅しとばかりにルナとルーフィンが待っていた。「あら、いつもより早いのね。昨日は、ロクスリーでもよく眠れなかった?」「私はいつも通りよく眠れましたよ。何事にも動じない精神力が新たな創造力を生み出すのです」 ルナとルーフィンが、朝の挨拶代わりに言葉をかけてきた。単に、おはようとだけ言うのでは素っ気ないというものだ。 そして、ジェシカの女将さんがそのゆったりとした体を揺らして入って... [続きを読む]
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- 2008/04/21 20:20第二話 試練の旅 第2回
- 「他のみんなは?」 私は、いつもの口調でピア=ピアに尋ねた。「ルナは朝食の準備の手伝い。ルーフィンは朝の散歩。マックはまだ寝てるよ」 ルナは、普段の口数こそ少ないが、ここぞという時には本領を発揮し、いつも頼りになっていた。もちろん、いい意味でだ。 そしてその日も、朝早くから食事の準備に忙しいようだった。それまで寝床にいた自分が、そんなことを言える立場ではないのかもしれないが。 ルーフィンは、いつ... [続きを読む]
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- 2008/04/19 22:48第二話 試練の旅 第1回
- 十年というのは、長いようで短かった。幼い自分にとっては、すべてが初めての体験となり、不思議で興味をそそられることばかりだったからだ。 この街、アーバンズにやって来たのは、大陸へ修行旅をする準備を兼ねていたのだ。 というのも、アル・フォーラから大陸への非軍事・非貿易的渡航が許可されているのは、唯一の自由都市であるアーバンズだけだったからだ。 もっとも、大陸貿易においても、今ではアーバンズが最大の流 [続きを読む]
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- 2008/04/18 22:53第一話 騎士への旅立ち 第10回
- そこに、城門から吹奏楽隊を引き連れて、数名の高官達が現れた。もちろん、その中にシニョレリは含まれていなかった。 その先頭には、軍服に数多くの勲章をつけ、生気に満ち溢れた割腹の良い男がいた。 その男は、威風堂々とした態度で前に歩み出で、ゆっくりと子息達に言葉をかけた。 もちろん、子息達はその男の名を知っていた。リゾート国軍総督ヨインハイム・フォン・ローゼンシュトックだ。 その横には、対照的なほど... [続きを読む]
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- 2008/04/15 23:00第一話 騎士への旅立ち 第9回
- 言いたいことを言い終えたマッケンジーは、何やら、ロクスリーが一人の女性から話し掛けられて戸惑っているのを見つけ、そちらに足を進めた。マッケンジーには、もう一つ悪い癖があるようだ。「ロクスリー君、とにかく身体にだけは気を付けて。それから、他のみんなにもね。きっと楽しい旅ができるわ」 そんな風にロクスリーに話し掛けることができるのは、ベラームの孫娘のエルシィ・マリアローズぐらいしかいない。 エルシ... [続きを読む]
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- 2008/04/14 23:39第一話 騎士への旅立ち 第8回
- 子息達は、城門の前で割れんばかりの歓声を上げている人々を、不思議な気持ちで見ていた。 さっきまでの嘘偽りの儀式と、ここにいる人々の声とどちらが本当であるのか。 城門の前で左右に分かれ、子息達を迎えてくれているのは、城の周辺に住む平民身分の人達である。 子息達は幼少の頃、周辺の街や村へとよく遊びに出かけては、城の執事達に叱られていたものだ。それでも、遊びに抜け出す方が楽しかった。 村人達は彼らを... [続きを読む]
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- 2008/04/13 08:46第一話 騎士への旅立ち 第7回
- いくつもの宝石をきらめかせながら、一人の痩身の男が壇上に立った。王室秘書官のミヒャエル・シニョレリであった。 特徴的な片眼鏡と鋭く立った口髭が『似合う』、とても『独特な』な男である。服装もデザインこそ独創性はないが、どこか奇抜で、不思議と人々を惹き付ける雰囲気を醸し出している。「霜寒の折、皆様方には、一層ご健勝のことと存じ上げます。今、これより旅立てる若人こそ、我がリゾートの国をさらに末長きに... [続きを読む]
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- 2008/04/12 10:16第一話 騎士への旅立ち 第6回
- 「いやぁ、まさに吉日ですなぁ」 果たしてそれは、誰に向けられた言葉なのか。リゾート国軍元帥アレフレド・フォン・カイゼルベルグは、したたかに言を発した。「まことに、その通りで」 同じような口調で、やはり軍部風体の男が、大事そうに顎髭をしごきながら言葉を並べた。リゾート国軍幕僚長ヒルバート・クロネッカーであった。 この二人は、自分達にとっての吉日を、まさに自分達だけで堪能していた。『餓鬼どもが消えてく [続きを読む]
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- 2008/04/10 23:35第一話 騎士への旅立ち 第5回
- 精神の騎士と言われるアルベインに至っては、残念ながら子宝に恵まれなかった。 いや、本来ならば二人いるはずで、同時に二つの喜びを享受するはずだったのだが、それは叶わなかった。 さらには、その時の無理が双子の母親となる予定の愛妻も命をも奪いとってしまった。 アルベインは数年もの間、悲しみに暮れていたが、ようやく養子をとることを決意した。しかし、亡き妻と生まれるはずの子供のことを思うと、それは容易く... [続きを読む]
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- 2008/04/08 21:34第一話 騎士への旅立ち 第4回
- 他の二人の騎士にも、それぞれの悩みがあるのだろうか。 大自然の騎士ファルナスにも隠しきれない事情があった。 ファルナスの子息はエルサス・ティア・ルーフィンという名であった。 眉目秀麗などという言葉も陳腐に聞こえるほどで、芸術的才能の秀逸さと、何より本人自身が芸術の産物であるかのような容姿については、人々からも一目置かれていた。 それだけなら、贅沢な悩みである。問題は、ルーフィンの瞳が金銀妖瞳であ [続きを読む]
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