彩月空 さん

彩月空さん: 日向に降る雪
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プロフィール

ハンドル名彩月空 さん
ブログタイトル日向に降る雪
サイト紹介文自作小説『日向に降る雪』をまったり書いています。
参加カテゴリー
更新頻度(2年)情報提供72回 / 192日(平均2.6回/週) - 参加 2008/04/07 11:04

彩月空 さんのブログ記事

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  • 2008/06/26 07:48第55話
  • 「2人とも、相手のことを考えているからこそ、ソウシを討つのは自分の役目だって思いこんじゃってるの」「……でも、それって絶対おかしいよ」「そうね。私もそう思うわ」と、突然、みなみの瞳から涙が溢れた。これまで我慢していたものが、一気に溢れ出したようだった。「な、なんで……なんで、あたしは置いていかれちゃったんだろう……」泣きじゃくるみなみを前にして、さくらは何も言うことができなくなった。みなみはさくら... [続きを読む]
  • 2008/06/22 22:49第54話
  • ひなたの姿が完全に見えなくなるまで見送った後、さくらは家に戻りながら、このことをみなみにどう伝えるかを考えていた。きっと、うまく伝えることができない。彼がなぜ出て行ったのか。彼がなぜ、“自分”を置いていったのか――。結局、答えは出ないまま、家の前につく。できることなら、みなみがまだ眠っていてくれればいい。そう思って、さくらは扉に手をかける。だが、彼女の期待はすぐに裏切られる。みなみは玄関に立ってい... [続きを読む]
  • 2008/06/20 15:01第53話
  • 「……あなたと会えば、決心が鈍る」ひなたは、しっかりとさくらの瞳を見つめて口を開いた。「僕はあなたと一緒にいたい。でも……」さくらの頬を涙が伝う。まさか彼の口から、そのような言葉が聞けるとは思ってもみなかった。「でも、僕は行かないといけないんです」ひなたの顔は苦渋に満ちていた。彼も迷いに迷って決めたのだ。みなみもさくらも、そして、故郷も捨てて、街を出ることを……。「…………ないで」とても小さな声だ... [続きを読む]
  • 2008/06/18 17:38第52話
  • ――それは、全てが動き始めた日。朝、さくらは目覚めると何かが胸に引っかかっているような、なんだか釈然としない気分にとらわれた。その気持ちは机の上に置かれた手紙を見て、確信に変わる。それは、手紙といえるようなものではなかった。ただ、一言。――みなみを頼む。とだけ、書かれていた。ひなたは言った。いつかは出て行く、と。しかし、まさかこんなにも突然出て行くことになるなんて、さくらは思いもよらなかった。確か... [続きを読む]
  • 2008/06/16 11:15第51話
  • それからしばらく、何事もなく時は流れた。ひなたがみかげやソウシの動向を気にしてか、さくらの家を訪れない日々が続いたときもあったが、それでも取り立てて、これまでの日常と変わったことは起こらなかった。みなみの修行も順調に進み、ひなたをある程度満足させるまで成長した。そうは言っても、ひなたとしてはみかげの動きも気になるところで、やや駆け足気味に彼女の修行につきあっていた。「……ひゃっ!」短い叫び声をあげ... [続きを読む]
  • 2008/06/13 21:25第50話
  • 「……行ったか」夜の闇の中、1人の男の声がする。いつも“あの男”が寝泊りしているテントはそのまま残されていたが、その中は空だった。いや、正確には1枚の紙がテントの中に残されていた。男はそれを読んで唇をかみしめた。――行ってくる。俺は俺のやるべきことをやる。お前は、ここに残れ――考えはまとまらなかった。果たして自分は、みかげの言うようにここに残るべきなのだろうか。それとも――。思考の海を彷徨いながら... [続きを読む]
  • 2008/06/11 10:24第49話
  • side:ひなた今でもよく、当時の夢を見る。あれは、みなみに全てを話し、そして、僕が救われた日のこと。あの日、僕とカゲはひとつの“約束”を交わした……。「昨日、言ったこと覚えてんのか?」みなみが走り去ってから、カゲはつまらなさそうにはき捨てた。「覚えてはいる」「なら良い」「でも……」刀を鞘に戻そうとしたカゲは僕のその言葉で、動きを止めた。「それだけだ」「……どういう意味だ?」「僕は、お前に全てを背負わ... [続きを読む]
  • 2008/06/09 12:09第48話
  • どうして、そういう行動をとったのか。その理由を、みなみは自分自身でも説明できなかった。ひなたはみなみに全てを打ち明けた。自分が蒼風と呼ばれる悪党であること。何人もの人の人生を狂わせてきた犯罪者であること。そうなった理由が、かつて故郷を奪われた仇を討つためであること。そして、そんな過去を持つ自分が誰かと深く交わることは禁忌であると考えていること。ひなたの事情(すなわち、ひなたの過去)を聞き終えたみな... [続きを読む]
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  • 犯罪
  • 2008/06/08 16:17第47話
  • が、待てども待てども痛みはこない。おそるおそる目を開けると、そこには美しい刃紋があり、その刀が男の刀を受け止めていた。「……ひ――」みなみは、自分を助けてくれた男の名を呼ぼうとした。けれど、その言葉を途中で飲み込んだ。ひなたの瞳が、紅髪の瞳と同じに見えたからだ。みなみは、恐怖で足がすくんだが本能が働いたのか、地面から足を無理やりはがして走り出した。いや、逃げ出した。向かうところは1つ。ひなたのこと... [続きを読む]
  • 2008/06/07 13:28第46話
  • 「……とりあえずだな。お前、無詠唱魔法は使えないのか?」朝食を食べながら、ひなたがみなみに問う。「むえいしょうまほう?」彼女は、よく意味が分からないのか首をかしげた。「無詠唱魔法ってのは、詠唱しなくても発動させることができる魔法のことだ。実践では、詠唱する暇がない可能性もあるだろ? だから使い方次第ではかなりの武器になるんだ」「……ふんふん」みなみは首を縦に振りながら、メモ帳をぺらぺらとめくる。で... [続きを読む]
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  • 朝食
  • 2008/06/05 12:49第45話
  • 「……は?」森。茂る緑のせいで月明かりがわずかにしか入ってこず、お互いの顔すら見えない。「俺は、もうすぐここを出て“やつ”を追う」1人が軽い口調で言った。もう1人は震える拳を握り締めながら答える。「追ってどうする?」「殺すに決まってるだろ?」即答した声は、感情のこもっていない声だった。「……だったら僕も」そう答えた声に対して、もう一方が声を荒げる。「お前は来るな!」「どうして?」その問いには答えず... [続きを読む]
  • 2008/06/04 09:36第44話
  • 「じゃあ、そろそろ行くかな」夕食を食べ終わり、片付けも終わった頃だった。ひなたはそう言うと、おもむろに立ち上がった。「ん? どこ行くの?」みなみが外に出て行こうとするひなたを引き止める。ひなたはしゃがみこんで、みなみと同じ位置に視線を移動させる。「まぁ……修行、かな?」歯切れの悪い物言いだった。その態度にみなみは首を傾げる。「とりあえず、お前の修行は明日からだ」が、ひなたは詳しい説明をするでもなく... [続きを読む]
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  • 夕食
  • 2008/06/02 12:41第43話
  • 「……えーっと」初めての料理。それはうまくいくとは限らない。もちろん彼女にとっても例外ではなく、フライパンの上に黒こげの卵みたいなものが米と混ざって、なんだかよく分からないものができあがっていた。みなみは若干、涙目でその料理(と呼んでもいいかは定かではない)を見つめていた。「不器用だな」いつの間にか、みなみの背後に立っていたひなたはフライパンを覗き込んで言う。「……ちょ、ひなた!」さくらが慌てて止め... [続きを読む]
  • 2008/06/01 21:20第42話
  • 「炎のりゅーどー!!」森の中で炎を操るという非常識極まりない行動を起こすみなみ。しかし、なりふり構ってる場合ではない。もう数時間も魔法を連続使用しているが、ひなたにはかすりもしないのである。こんなにも簡単に避けられると、悔しいのは当然であった。「うわー……、炎まで使えるのかよ」そんなみなみとは対照的に、ひなたは明らかに楽しんでいた。みなみが魔法を使うたびに、まるで子どもが新しい玩具を与えられたかの... [続きを読む]
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  • 玩具
  • 2008/05/30 15:18第41話
  • 「ふぇ?」そうして、ゆっくりと体を離すと、みなみの顔をじっと見つめた。「僕が強くなりたい理由」守りたい……。その言葉に嘘はなかった。今、目の前にいる子。この子を守ってあげたい。ひなたはそう思ったのだった。それからしばらく経って、彼はゆっくりと体を離した。真っ赤な顔で動転しているみなみが目の前にいて、ひなたは微笑みを浮かべた。「……ん?」と、彼はみなみの指にきらりと光るものを見つけた。「それ、普通の... [続きを読む]
  • 2008/05/29 12:07第40話
  • 「こ、こんな重いの……も、持てない」少女は見よう見まねで丸太を持とうとして唸った。「おいおい。お前じゃそれは無理だ……」男は自分の体の何倍もある丸太を持ち、少女の前を歩いている。焚き火に使う薪にするために、彼はそれを運んでいるのである。「……で、でも、あたしも何かお手伝いしたいの!」「あ?」持ち上げることはできないとわかっていながら、少女は丸太を持ち上げようと奮闘している。「だったらまずは力をつけ... [続きを読む]
  • 2008/05/28 12:06第39話
  • 「あなたが、とても、とっても優しい人に巡り合えますように……」ぐっすりと眠る少女の額に人差し指をそっと当てて、女性が目を閉じる。彼女の左手につけられている指輪が小さく光り、一瞬間辺りを眩い光が包んだ。「ごめんね、みなみ……」女性はその手から指輪を外すと、少女の指につける。それから、1枚の手紙を彼女の手に握らせた。そこに書かれていた内容が、少女の人生を大きく変える。――みなみが“ひとりぼっち”になっ... [続きを読む]
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  • 指輪
  • 2008/05/26 21:56第38話
  • ノロッズの外、ひらけた場所に出てから、ようやくユキナとみなみは立ち止まった。「全く、お前はいつも面倒ごとを運んできてくれるな」 ひなたは不意に肩の上から話しかけられた。「あれ? いつの間に……」 ひなたは首だけを動かして、自分の肩の上にちょこんと座ったハム吉に目を向ける。「俺だって、あんな嫌なところに居たくはないからな」 ハム吉が2人の方を一瞥して言うので、ひなたは小さくため息をはいた。「まぁ、そうで... [続きを読む]
  • 2008/05/25 12:13第37話
  • そんな中、最初に口を開いたのはユキナだった。「それで、こんなところで何をやってるの?」「あたしはただ、ひな兄を探してただけ」 ひなたの前にいるときとは打って変わって、そう冷たく言い放つみなみ。「それより、あなたは何者?」 容赦なく人差し指をユキナに突きつけてからみなみは問う。2人の身長はほとんど同じであるため、互いの視線がちょうど同じ高さでぶつかり合った。「ひなたは私の従者だ」「従者……?」 疑り深... [続きを読む]
  • 2008/05/24 12:41第36話
  • フードの少女を捕まえるのにさほど時間はかからなかった。広場を出てすぐくらいに、ひなたが彼女の腕をつかむことに成功したのである。急に腕をつかまれたせいで、びくっと身体を震わせてひなたの方に向ける少女。そんな少女に向かって、ひなたが声をかけた。「こんなところで何をやってるんだ?」 少女の瞳がひなたの顔を捕らえた。じーっと、何かを判断するかのように長い間見つめた次の瞬間、「ひな兄っ!」 突然、少女がひなた... [続きを読む]
  • 2008/05/23 17:09第35話
  • そこは広場というよりも公園という方がしっくりくる場所だった。いくつかのベンチが並び、中心には噴水がある。そして噴水を囲むように並んでいる石版に、銃痕や刀で付けた傷跡などが残っていた。「……で、ここに何があるんだ?」少女のポケットから顔を出した小動物、ハムスターのハム吉がひなたに訊ねる。「僕たちが残した傷跡があるみたいです」 「ふ~ん。興味ないなぁ……」「あまりにも無関心すぎると、バカになっちゃうぜ、... [続きを読む]
  • 2008/05/22 20:40第34話
  • 大都市、ノロッズ。旅人や商人といった市民以外の者たちも多く行き交っている。そのため、都市は活気に溢れ、道路の横にはいくつもの出店が立ち並んでいる。 新鮮な野菜や魚介類、それから果物。さらには武器や乗り物など、出店だけで全てが事足りるくらいだ。そんな中、2人の旅人が出店の並ぶ通りを歩いていた。 前を歩くのは、薄い茶色の髪を後ろで1つにまとめた齢15,6歳といったところの少女であった。身長という面でみる... [続きを読む]
  • 2008/05/21 16:42第33話
  • 「そうは言ってもね……」 男の声がする。声から察するに年齢はもうそれほど若くない。「でも、私はこの子と一緒にいたいのよ!」 それに答えるように、今度は女の声が聞こえた。「だけど、こうすることがこの子にとっても――」「……っ!」 苦しそうに声を絞り出す男と、声にならない叫びを上げる女。「私たちは何も悪くないじゃない……」 嗚咽交じりの涙声で女が言う。男はその言葉に頭を抱えると、うな垂れるようにして、「時... [続きを読む]
  • 2008/05/20 17:41第32話
  • 足音が狭い廊下に鳴り響く。外からの光が一切差し込まないそこは、目が慣れなければ歩くのもままならないくらいの暗さだった。両端には独房が並んでおり、その中では凶悪犯と称される者たちが眠りに付いていた。 足音はある1つの独房の前で消え、代わりに錠を外す音が聞こえた。その音で目を覚ましたのか、それとも気配を感じていたのか、中にいた囚人がむくりと起き上がると、胡坐をかき睨みをきかせた。「これからどうする気な... [続きを読む]
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