一期 さん

一期さん: 墓場でデート
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プロフィール

ハンドル名一期 さん
ブログタイトル墓場でデート
サイト紹介文また今日も沙織と裕香は幽霊の噂話を持ってくる。連載小説です。ついに一夜目、完結です。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供15回 / 31日(平均3.4回/週) - 参加 2008/04/10 12:44

一期 さんのブログ記事

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  • 2008/05/10 02:06一夜目 桜の木の下で (十)
  •  卓巳は舞を連れて成海大学の中庭に来ていた。辺りはすでに薄暗くなっている。桜の花びらは絶え間なく舞い落ちて、まるで根元に掘られた穴を覆い隠そうとしているようだった。「まだ、いる?彼女」「いえ、いません」「成仏したのかな」「わかりません」 卓巳は力なく笑った。「君でもわからないことがあるんだな」「それは、そうですよ。遺体と一緒に行ったのか、好きな人に見つけてもらえて成仏したのか」 赤いと思っ ... [続きを読む]
  • 2008/05/10 02:05一夜目 桜の木の下で (九)
  •  すぐに卓巳は解放された。散々に卓巳の陰口が飛び交っていた学校でも、あっという間に笑い話に転換されていた。教師の中には一部ではあるが、以前は必要な事以外に話しかけてこなかったのに、今回の事をきっかけに話しかけてくるようになった者もいる。心なしか生徒に声をかけられることも多くなったようだ。卓巳も嫌な気分ではない。 卓巳が解放されてから間もなく、殺人死体遺棄事件の真犯人が逮捕された。 卓巳は犯人の名 ... [続きを読む]
  • 2008/05/06 16:22一夜目 桜の木の下で (八)
  •  次の日は朝からどんよりしていた。それは放課後になっても変わらなかった。 舞は授業が終わるとすぐに学校を出た。今日はマジックニードルに寄ってT・Hセンセが卓巳でないことを確かめなければならない。 八実駅で電車を降りるといつもなら南口へ出るのだが、今日は初めて北口へ出た。南口よりは静かだったが小さな商店街はあるようだ。その商店街からちょっと外れた変な場所にマジックニードルはあった。 中に入ると十 ... [続きを読む]
  • 2008/05/03 01:04一夜目 桜の木の下で (七)
  •  舞はその夜、姉のパソコンを借りて被害者のブログを初めから丹念に読んでいた。 昼間、警察署へ行った沙織と裕香と舞の三人は案の定、門前払いを食った。それですごすごと帰ったのだが、舞は帰ってから姉に少し詳しい話を聞くことができた。 大学では警察が捜査に入った関係で、ある程度の情報が流れていた。それを姉が、舞が気にしているだろうと収集してきてくれていたのだ。もちろん被害者のブログのことも伝わってきてい ... [続きを読む]
  • 2008/04/30 04:35一夜目 桜の木の下で (六)
  •  警察署の取調室では、卓巳は完全に犯人扱いだった。「いいかげんに喋っちゃいなよ。幽霊がいたから掘ったなんて、物理の先生にしちゃ非科学的すぎるだろ」「本当なんだからしょうがないじゃないですか」 卓巳はふてくされていた。霊に比べたら刑事なんて怖くもなんともない。その態度が気に入らないのか、刑事は必要以上に凄んでみせる。「もし本当なんだとしたら、お前の罪悪感が見せた幻なんだよ。埋めた本人じゃなきゃ、 ... [続きを読む]
  • 2008/04/26 01:15一夜目 桜の木の下で (五)
  •  死体は出た。白骨化していたが。 卓巳は休みの日に成海大学の中庭で許可も得ずに桜の木の下をスコップで掘り返した。当初は手当たり次第に掘るつもりでいたが、よく見てみると根元の地面の一ヶ所が少し高くなっていた。もっとも、それだけでは過去に掘り起こした跡だとは言い難いのだが、霊が立っていた位置に近いということもあり、まずはそこから掘り返してみたら一発で死体が出てきた。 もちろん、すぐに警察を呼んだ。こ [続きを読む]
  • 2008/04/22 23:03一夜目 桜の木の下で (四)
  •  舞と再会してから、卓巳の心の中で心霊物理学の残り火がくすぶり始めている。 研究のための経費と時間がたっぷり使える大学准教授の立場と、一高校教師とでは環境が違いすぎる。おまけに大学の経費で作った機器類や買い集めた物品的資料は、クビになった時点で大学側に全て返上させられた。研究の継続を諦める気持ちになったとしても仕方のないことだ。 けれども、ここへきて研究への欲求がむくむくと頭をもたげてくるのは、 ... [続きを読む]
  • 2008/04/17 23:26一夜目 桜の木の下で (三)
  •  翌日の一年生のオリエンテーションの中に部活動紹介の時間があり、各部、同好会、愛好会の代表生徒が体育館の壇上で順番にPRをすることになっていた。時間があったので、沙織たちがどんなPRをするのか気になって、卓巳は覗きにいった。 沙織と裕香のPRは最悪だった。「わが心霊研究会は最高に楽しいです。ね」 マイクを握った沙織が言うと、裕香が気の抜けるような声で答える。「はぁーい」「わが心霊研究会は他の [続きを読む]
  • 2008/04/15 17:04一夜目 桜の木の下で (二)
  •  誰もいない物理準備室で卓巳はコーヒーを飲んでいた。四月に入ったとはいえ、まだ夕方は薄暗い。それでも校庭の方からは熱心な部活動の声が聞こえてくる。 結局、成海大学の中庭の桜の木の下には何も出なかった。それでも心霊研究会の会員たちは、これまで同様に懲りずに何度でも夜の活動を行うに違いない。時には食べ物や飲み物を持ち寄ったりして、夜なのにまるでピクニック気分だ。目的の霊が出てこなくても充分楽しんでい ... [続きを読む]
  • 2008/04/13 03:34一夜目 桜の木の下で (一)
  •  成海大学のキャンパスを訪れるのは一年ぶりのことである。平原卓巳は少し憂鬱だった。できれば知った顔には出くわしたくない。 三年前の夏に長野県の山道を走るバスの中で恐怖の体験をしたときには、研究が進展することを期待していた。検証ができていない以上、霊の存在を妄信することはできないが、少なくとも感覚的には確信することができた。あとは検証を積み重ねればいいだけだと思っていた。 ところが、その後は全く検 ... [続きを読む]
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  • 長野
  • 2008/04/11 23:53プロローグ (二) 続き
  •  バスが再び大きく揺れた。どうやらバスは蛇行し始めたようだ。「何してるんですか、矢田さん!」 スタッフが運転手に向かって叫んだ。すると運転手は狂ったように笑い出した。 ヘソ出し女はよろけながらも前へ走った。ホスト風の男も立ち上がって前へ向かった。 外から金属が擦れるような音と振動が断続的に伝わってくる。ガードレールに当たっているらしい。窓の外のガードレールのむこうには地面が無く、その下方には闇 ... [続きを読む]
  • 2008/04/11 23:47プロローグ (二)
  •  帰りのバスの中は静まり返っていた。エンジン音だけが重く響いている。 結局、出番があったのは中年女性と坊さんだけだった。当初の予定ではタレント達の肝試しの後、タレントと霊能者および学者による心霊スポットでの討論会を行うはずだった。討論中に何かが起こってくれれば面白いという狙いだったそうだ。何が面白いのか卓巳には全く理解できなかったが、そんな軽薄な企画にホイホイ乗った自分の愚かさを悔やんだ。 結果 ... [続きを読む]
  • 2008/04/10 08:12プロローグ (一) 続き
  •  米山は続けた。「どいつもこいつも科学のかの字もない詐欺師みたいなやつらだ。知ってるか?こいつらがテレビに出たがる理由を」「さあ」「今日集められた中でテレビによく出てる有名人は僕ぐらいだろ」「はあ」「当たり前だよ。名前の売れてる霊能者なんかをこの人数集めたらギャラが高くつく。まあ、名前が売れてたってインチキには違いないんだけどな」「はあ」「今回の番組企画ではどうやら人数が必要らしい。僕らの ... [続きを読む]
  • 2008/04/10 07:56プロローグ (一)
  •  待機しているバスの中にいるのは、運転手一人とテレビスタッフ一人を除いて、あとは胡散臭そうな連中ばかりである。もっとも自分もその中の一人だったと、平原卓巳は自嘲した。 卓巳たちは少人数だったが、用意されたのは中ほどにトイレまで付いている大きな観光バスだった。卓巳たちゲスト出演者を大切にしてくれているとも考えられたが、単に仮設トイレ代わりにバスを用意したとも思えてくる。時おりスタッフらしい人間が用 ... [続きを読む]
  • 2008/04/10 07:40はじめに
  • また今日も沙織と裕香は幽霊の噂話を持ってくる。こんにちは。ご訪問ありがとうございます。連載小説を掲載いたします。時間を作って少しずつ書きすすめておりますのでお待たせすることがあるかもしれませんが、気長にお付き合いくださいませ。 ... [続きを読む]
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