そら さん

そらさん: そら千夜一夜
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プロフィール

ハンドル名そら さん
ブログタイトルそら千夜一夜
サイト紹介文憂鬱な引きこもりとDV被害者の男の奇妙な交流。そして引きこもりの淡い恋。今はそんなお話です。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供55回 / 158日(平均2.4回/週) - 参加 2008/04/20 02:33

そら さんのブログ記事

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  • 2008/08/14 23:35オリ 25
  •      17      コン コン コン   コン コン コン「あ!?」 ガチャリ、開く扉。「あ、ごめんな。今、大丈夫?」 オドオドと媚びるような笑みを浮かべ、母親が立っていた。顎で入れと示す。「急にごめんな」 きょときょと部屋の中を見回しながら、母親は入ってきた。「いや、びっくりしたわ。あんたの部屋に入るのなんか、久しぶりやし。いやあんた、綺麗にしてるやんか」 足下を見つめたまま、雄彦はピク... [続きを読む]
  • 2008/07/22 00:24オリ 24
  •       16 “件名: Re: Re:よかったね 差出人: チイ”《たけさん、元気に》「あー、めんどい。削っちゃおう」 削除ボタンをクリック。削除済みメール、56件→57件。 携帯に手を伸ばす。メールマークをタクッ。そのまま画面に合わせてタクタクタクタクッ。今日の翔君からのメール、まだ5通。もう5通?私はまだ3通。もう3通?そろそろ返すかなあ。いや、3通に1通返すくらいでいいんだよ、ってサ... [続きを読む]
  • 2008/07/14 20:18オリ 23
  •       15“件名:目つきについて 差出人: タダノミソラ好キ”《最近、妻の目つきが優しくなってきています。やはり人間、規則正しい生活をしているうちに心まで落ち着いてくるのでしょう。 そうなのです、もう夜遅く飲み歩くこともなくなり、毎日家事にいそしんでいるせいか、血行もよく、何よりよい目をするようになってきたのです。やはりあれですね、だらしのない自制心の少ない人間については、きちんとした大人がき... [続きを読む]
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  • 家事
  • 2008/07/06 17:25オリ 22
  •       14 理路整然と並べられる言葉。いつまでもいつまでも続く。次第に意味が分からなくなり、ぼんやりとした頭痛が襲ってくる。いったい、この音はいつになったら止むのか。いい加減やめてよ。うなずくのもつらい、ただ座ってるだけ…「聞いてんのかよっ!」 ばっちーん、頭きらきら目がちかちか。「ごめんなさい」 反射的に謝る。とにかく謝る。「何がごめんなんだ?何で謝ってる?言ってみろ」「…」「言ってみろ... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 頭痛
  • 2008/06/30 01:44オリ 21
  • “件名:Re:よかったね 差出人:たけ”《チイちゃん推薦狙ってんだ。どの大学?いや、俺も一応受験したからさあ、少しはアドバイスできるかと思って。ほら、俺ばっか相談すんのもあれじゃん。 面接はね、いきなりだめだったよ。追って連絡しますとか言ってたけど、もう最初からダメだもん。相手やる気ないし。ひどいことも言われたしね。なんだろ、採る気ないんなら最初から呼ぶなって思うよ。凹むなぁ。Web系の、出来て3年... [続きを読む]
  • 2008/06/28 21:04オリ 20
  •       13 とにかく気持ちいい初夏の風。頬を包む。厳しく透明な日差しを照り返す、チョークストライプのスーツ。ぴったりと身体を包む。イケテル、自分の姿が誇らしく、自然に笑みがこぼれる。こんな柄選んで、と昨日までは悔やんでたくせに。何気ない無邪気なこの天気って、人の心も晴々とさせる。 電車に乗る。入り口付近に身体を預ける。人はまばら。阪神電車。梅田まで、三十分。遠いのか、近いのか。雄彦は学生時... [続きを読む]
  • 2008/06/24 23:09オリ 19
  • 「ねえ、ショウくんてさあ」「なんだよ、ちなつぅ」「あ、“千夏”もヤンキーぽいんだあ」「でしょ?おれずっと思ってた」 得意顔の山下君。千夏はじっとその目を見る。「ねえ、山下君はぁ、本読むひと?」「えっ、全然読まないよ。字読むのって、漫画くらいかなあ」「そーなんだ」 不意に外された視線を追いかけるように、山下君が問いかける。「チイちゃんは本好きなの?って、休み時間いつも読んでるね」「うん」「好きだか... [続きを読む]
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  • 漫画
  • 2008/06/24 23:04オリ 18
  •       12 制服じゃない山下君。意外にカッコイイ。B系?ヤバイ、緊張する。電車に乗る。そのまま舞浜に。すぐ前がTDL。父親はいつもネズミーランドって言うんだ、って言うと笑った。取っておきの話。“アメリカのディズニーワールドじゃ、ミッキーの周り黒服が囲んでるんだって。専用のトレーラーがあって、1時間に1回ぐらいしか出てこないらしいよ、大物だから。なのに、なんか薄汚れてるんだって。やっぱアメリ... [続きを読む]
  • 2008/06/22 23:37オリ 17
  •  翌日、雄彦は母から5万円を渡された。何も聞かれず、何も言われず。彼は驚き、そして感謝した。そう、“感謝”した。感謝なんて感情、何年振りだろう。人と接することなく退化していた感情が、彼の中で命を取り戻してきた。いいことなのか、悪いことなのか。久し振りに味わう感情はとにかく刺激が強すぎて、やりきれないものだった。このときも、彼はこれだけのことで涙ぐんでしまった。いや、涙ぐむどころか思いっきり泣いて... [続きを読む]
  • 2008/06/20 23:54オリ 16
  •       11 最近の雄彦は、いつもパソコンに向かっている。少しキーボードを叩き、書く。すぐにやめるとサイトを見て回り、しばらくするとオナニーを始める。そして書き始め、すぐにやめ、ネットを始める。この繰り返しだった。が、少しずつとはいえ、徐々に書き上がってきた。自己PR。自分で定めた唯一の課題。彼にとっての唯一の仕事。彼はこの仕事を始めてから、朝十一時には起きるという比較的規則正しい生活を送っ... [続きを読む]
  • 2008/06/18 00:25オリ 15
  •  思い出していた。彼を変えたもの。そう、決定的に変えたもの。抑圧におびえ、かしずくことを宿命付けられた奴隷から、力を行使し畏怖させる、支配者へと変えたもの。現実にはこんなに簡単だった、この変化をもたらしてくれたもの、あのメール。“歴史見てみ。結局は、正しいことなんてみんなの思い込みやねん。ほかのなにものでもないねん。分かる?小学校の運動会で順位付けへんの、おかしい思うって自分書いてたやん。そやね... [続きを読む]
  • 2008/06/18 00:19オリ 14
  •       10 帰ってきた。上着を脱いだ。ネクタイを外した。妻の声。耳に入らず。顔を見ないように、目を見ないように腹だけを見た。そして殴った。力が入らず、ぽんっという感触が残った。妻は倒れた。腹を抱え、うずくまった。ひどく現実味がなかった。結局、滅多打ちだった。人はひどく簡単に泣き、驚くほど簡単に許しを請うのだと知った。暴力。魅せられる、確かに。これはハマる。うずくまる女の腹に鋭い蹴りを入れる... [続きを読む]
  • 2008/06/15 22:24オリ 13
  • 「よくそんなにずっとパソコン見れるね。疲れない?」「うわっ、びっくりした〜。お母さん、なに?」「あんまりパソコンばっかりしちゃだめよ。何やってるか知らないけど」「何って、メールだよ。私なんかあんまパソコンしない方だよ。美沙なんかさ、休みの日、一晩中パソコンやってんだよ」「え〜っ、お母さんには信じられない。何が楽しいのか分かんないからねえ」「美沙、ブログにはまってんだよね」「ああ、ブ・ロ・グね。は... [続きを読む]
  • 2008/06/14 20:33オリ 12
  •       9 千夏はミソラを繰り返し見てる。再放送のあるたびに。DVDを借りてきて。好きな回の話が入っているDVDは、買って持っている。ミソラを、“現生人類と別系統の進化を遂げた生物種、アテミナ。その血を引くと思い込んでいる、不思議っ子の小学2年生女子が、脳内世界(妄想)で大活躍する物語”と解釈する千夏に、やはり敵は多い。 ミソラたんのBBS(みんなのおしゃべり板)“投稿者:チナッチ”《ミソラっ... [続きを読む]
  • 2008/06/12 22:50オリ 11
  • 「裕樹、エエ?」「あ、ええよ」 するすると入り込む母親。大きな目、自分とおんなじ。「で、なに?」「なにって、あんた。そりゃ、色々あるけど…」 裕樹はテレビにリモコンを向け、消した。たちまち静かになる部屋。そう、わずらわしく騒がしいものも、消せばすべて終わりなんだ。簡単なことなんだ。「俺のこと?」「まあ、あんたのことでもあるんやけど…」「兄ちゃんのこと?」「まあ、そう言ったらそうやなあ」 裕樹はゆ... [続きを読む]
  • 2008/06/11 00:20オリ 10
  •        8「ゴホッ、ゲホッ」耳障りな咳の音を聞き、裕樹は思い切って部屋を出た。兄がいた。本当に久しぶりに見る兄だった。驚いたことに、髪は伸びていない。自分で切っているのか?じっと見つめる裕樹の視線を、雄彦の瞳が捕らえた。険しく顔を歪めながら。醜い。「大丈夫?」『はん?』雄彦は声に出さず、顎の動きで返事した。「風邪、引いてんじゃないの?」「るさいっ」 吐き捨てるように呟くと、視線を避けるよう... [続きを読む]
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  • 風邪
  • 2008/06/08 00:22オリ 9
  • 「柳瀬って、どーでもいい人間ですよね」 正雄は驚き、目を見張った。あの会社に、こんな物言いをする子がいたなんて。「うん、どーでもいい」「でも、正雄さんは違う」「どーいうこと?」「どーでもよくなんかないってこと」「何にとって?」「じゃなくて、誰にとってでしょ」 正雄は慌てて目を逸らした。何だろう、男なら女に常に覚えるあの感覚。全部見透かされている。結局、転がされてるだけ。「ね、私にとってってことで... [続きを読む]
  • 2008/06/07 01:18オリ 8
  •        7 今日の正雄は自由だった。後輩を誘って飲みにくるほどに。「先輩が飲みなんて、珍しくないです?」 なんでこいつはこんな無様なんだろう。いつも着てる安物のスーツのせい?小さくイヤラシイ目のせい?醜くしゃくれたあごのせい?低すぎる学歴のせい?正雄は、何も思ってはいませんよ、私は人を外見や学歴でなんか判断しませんよ、だからこんなに無表情なんですよ、といつもの顔で答える。「家庭持ちにも、た... [続きを読む]
  • 2008/06/04 21:20オリ 7
  •  そんな彼女の気持ちなどお構いなしに、時間はただ過ぎてゆく。学校が終わると、千夏は3人で帰る。この日も3人で帰る。「チイちゃん、今日も早いね」 教室の外で美沙が待っていた。これで2人。「遅いね、サト」 智子という少し古い名前の女の子。これで3人。いつも3人が揃うまでうろうろ廊下で待っている。「もう来るよ。あのさあ、美沙」「なに?」 美沙がいびつな輪郭の顔をぐるりとこちらに向けた。目はきれいなのに... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 学校
  • 2008/06/04 21:17オリ 6
  •        6 昼休みの学校。廊下に座りこむ3人。毛穴の開いた白い足がスカートから太々しく伸びる。その足を器用に回避しながら、数人の集団が通り過ぎる。何かの包み紙が彼女たちのそばに投げ捨てられた。が、誰も気にする者はない。「マジでー」「おめーの態度が悪いからだよっ」「なにそれー。むかつくんだけど」 喧騒の中、彼女は席を離れず一人で本を読んでいた。休み時間だというのに、友達と話もせず。時々思い出... [続きを読む]
  • 2008/06/02 16:58オリ 5
  •        5「あ、すいません」「いえ…」ぶつかって謝る若い女に、もごもごとつぶやく。雄彦は戸惑っていた。久しぶりの外出に。家から出たのは、五ヶ月ぶりのことだった。焼けるような夕陽を背に、街はなごやかな空気を湛えていた。慎ましやかに輝く駅前通りの店々は、その安っぽい色に似合わぬ風情を醸し出している。彼にはしかし、そんな雰囲気を気にかける余裕などまるでなかった。ただ自分が変に見えていないか、それ... [続きを読む]
  • 2008/05/31 17:36オリ 4
  •         4“ポーン”、耳障りな音。大き過ぎるチャイム。 妻が帰ってきた。正雄は思わず時計を見る。1時15分。もうそんな時間。「ただいまー。寂しかったでしょ?」 他人など気にもしないリミッターの外れた声。彼には出せないその大きさに戸惑いながら、まとわりついてくる妻を中に入れる。溜め息がこぼれる。「どーしたのー?沈んじゃって。こんな楽しいのにさあ。あ、ごめーん。遅くなったからすねてんでしょ?... [続きを読む]
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  • 時計
  • 2008/05/27 21:24オリ 3
  •         3 差し込む陽の温かさを感じ、彼女はまだ鳴っていない目覚ましを止める。むっくり起き上がる。せかせか動き出す。時計を見る。6時30分。いつもの時間。『今日の芸能早耳娘。で〜す…』 テレビの音に合わせて夫が起きてきた。「おはよう」「あ、おはよう」 くぐもった声で答える。なんだか知らないけれど、彼女には夫に対する挨拶のすべてが苛立たしく、やりきれないものだった。「ぐぅげぇー」 あんなに... [続きを読む]
  • 2008/05/26 01:24オリ 2
  •        2 8時を過ぎた駅の改札。こんな郊外でも、驚くほど多くの人が溢れ出てくる。仕事帰りの家畜化した人間共を捕まえようと、ビラを手渡す男と女。彼らには目もくれず改札を抜け出た一人の男。駆け出した。すぐにインド系の男の乗った自転車にぶつかったが、気にする様子もなくまた走り出した。「いっつ」 走りながら膝をさする。男には、ぶつかった時できたズボンの小さな瑕など気にもならないようだ。春のうざっ... [続きを読む]
  • 2008/05/26 01:20オリ 1
  •        1彼の日常。忌むべき日常。誰にも用のない日常。また、始まった。「5時か」 何となく悪い気がしてつぶやく。こんな時間に起きるなんて。でも、この罪悪感って、まったく意味がない。「テレビ付けよか」 もごもごと独り言。最近とみに増えている。彼も自覚はしている。 テレビから流れる雑音に包まれながら、一人、シャワーを浴びる。「早よせな」 なぜか焦っていた。別にすることなどないのに。自分で勝手に... [続きを読む]
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