青島ヨウイチ さん

青島ヨウイチさん: 午前三時の妄想
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時事問題恋愛小説(オリジナル)創作広場-Endless*Stories-
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短編小説青春小説ショートショート
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プロフィール

ハンドル名青島ヨウイチ さん
ブログタイトル午前三時の妄想
サイト紹介文午前三時。街も眠る時間。
心に現れては過ぎていく、
いくつかの幻を書き留めてみました。
参加カテゴリー
更新頻度情報提供34回 / 135日(平均1.8回/週) - 参加 2008/04/22 21:17

青島ヨウイチ さんのブログ記事

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  • 2008/09/03 02:42無題
  • 始めそれは、老人の思い過ごしかと思われた。彼はその亡き妻にうり二つな女を目の前にしても、まだ己の目が信じられずにいた。女を客間に通し、かつては妻が使っていて、今は来客用に取ってある布団を与えると、老人は自室に戻って、タンスの奥から、古いアルバムを取り出してきた。それは、彼と、妻が結婚した時に記念として撮った写真だった。セピア色の画面の向こうで、若き日の老人と、彼の妻が、幾分緊張した面持ちでこちらを [続きを読む]
  • 2008/09/01 21:30無題
  • ある晩のことだった。季節はすでに秋で、7時にもなると辺りは暗くなった。老人にとって、特に遅くまで起きている理由もなく、その日も早くに寝るつもりだった。老人は自分一人の寝床を整え、そうして眠気が訪れるまで、布団の中で静かに横になっていた。その辺りは、都市に近い海辺がみんなそうであるように、夜遅くになると暴走族がひっきりなしに通り過ぎた。当然警察もそれを警戒して、網を張っているので、毎晩彼の家の前の道... [続きを読む]
  • 2008/08/30 03:21無題
  • 東京から神奈川に入り、海の見える海岸線沿いの道をずっと南下していった先に、小さな一軒家があった。「早々庵」その家の入り口には、古い木材に、筆字でそう書かれた表札がかかっていた。その家に住む老人は、齢67に過ぎなかったが、頭はほとんどはげ上がり、見た目にはもっと年取って見えた。先年妻が亡くなったため、彼は一人だった。それでも、家の庭に小さな畑を構え、そこでピーマンや白菜など日常使う野菜を育てては、自ら... [続きを読む]
  • 2008/08/28 03:14サテライト
  • これは裏切りに当たるのだろうか。なめらかな女の肌の上で、男は自問自答していた。時は深夜。週末の捨て鉢のような喧噪が静まり、人々がふと、何か埋めがたい物寂しさを覚える頃。男もまた、一人、あふれ出してくる孤独に耐えかね、同じような気色に囚われた様子の女と供に、他人の歴史に汚れた寝床の上で、夜を明かそうとしていた。そのホテルに入ったのは、男にとって初めてのことだったが、彼が特にそのような素振りも見せなか... [続きを読む]
  • 2008/07/21 19:15metamorphosis
  • さなぎは窮屈だよね。それまでは自由に、好きな葉っぱに昇っておいしい緑の葉っぱを食べていた芋虫が、さなぎになってしまうともう1センチも動けずに、狭い土壁に囲まれた個室の中で、身動き取れないで眠ったようになっている。私、あれに似たもの見たことあるんだ。昔近くの美術館でエジプト展をやっていた時に、エジプトの偉い王様のミイラが、固い木か何かで出来た入れ物にすっぽり収まってたの。そのミイラの入れ物にも、きれ... [続きを読む]
  • 2008/07/18 00:09シンボリック
  • 君が美術館に行きたいというので、僕は対して興味もないのに、君が行きたいというその近代美術館とやらへ、ひょこひょことついて行った。君はどこで学んだのか、絵画や、芸術に並々ならぬ興味を見せて、時折熱っぽく語ることがあるが、僕は君が実際に油絵だとか、水彩画だとか、スケッチですら、実際に絵筆を取って描いている姿を、これまでとんと見たことがない。音楽鑑賞を趣味と公言するひとのほとんどが、実際には楽器を扱えな... [続きを読む]
  • 2008/07/13 02:21失われた指
  • 久しぶりにあった彼女は、何もかもが変わってしまっていた。以前には見られた、はじけるような快活さは身を潜め、沈鬱で、どこか世を捨てたような諦めに似た空気を背負った彼女がそこにいた。「幻滅したでしょう。」男に出会った時、開口一番、彼女はそう言った。「だから、会いたくなかったのよ。」そう言うと女は皮肉に笑った。彼の知っている彼女なら、決して見せなかった笑顔だった。彼は驚きの内に、しばらく言葉を失っていた... [続きを読む]
  • 2008/07/10 00:09二人の酔いどれ
  • 「体を意識しない恋愛は恋愛ではないのさ。」Tは言った。長く片思いと失恋を繰り返していた私に。「そうなのか?」私は彼の言説には懐疑的だった。「君は純愛というものを否定するのか?」「そもそも、どこにそんなものが存在する?」彼は声を張り上げた。早い時間から飲み始めたためか、彼は少し酔っていた。飲み始めた時はビールだったが、今彼の前にあるのは冷えた芋焼酎だった。私は先ほどから冷や酒を飲んでいた。彼は、そん... [続きを読む]
  • 2008/07/06 01:33スターリー・スカイ
  • 離島の夜空は晴れ渡っていた。バーベキュー大会の時に見えた厳かな夕日はすでに水平線の向こうへと沈んでしまっており、辺りは静寂と、暗闇だけが支配していた。施設周辺は港町になっているため、昼間はそれなりに賑わいがあった。観光客目当てのサザエの壺焼きを売るおばさん達が、狭い通路の両脇で威勢の良い声を上げていて、どこからか焼きトウモロコシのにおいも漂ってくる、そんな場所だった。冬は分厚い雪雲に閉ざされ自殺志... [続きを読む]
  • 2008/07/04 21:07One for Helen
  • 少年にとって18回目の誕生日を祝ってくれたのは、幼げな顔の少女だった。「高校生最後の誕生日だね。」彼女は言った。「私達にとっては始まりだけど。」そう言って彼女は目を細めて笑った。少年も併せて笑ったが、その裏で、彼は付き合いの不思議を考えていた。数ヶ月前まで、誰が、彼女と一緒に誕生日を祝うなどと考えていただろう。彼女は彼にとって、無数にいる友人の一人に過ぎなかった。それが今や特別な存在になり、彼にほほ... [続きを読む]
  • 2008/06/28 22:59お姉さんになる日
  • 「ねえ、先生。」放課後、教室に残って先日の課題の添削をしていた私のもとへ、クラスの女子児童の一人がやってきた。「なんだい?」私は答案から目を外し、少女の顔を見ていった。少女はまん丸い目を更に円くして言った。「お母さんが妊娠したの。」私はどきりとした。少女の口から妊娠という言葉が飛び出すとは予測していなかった。「ほんとかい。」努めて冷静に私は言った。「じゃあ、お姉さんになるんだね。」「お姉さん?私が... [続きを読む]
  • 2008/06/26 01:38吠える犬
  • 「俺、鹿児島に両親がいるんだ。」男は言った。両軍の衝突から3日続いた戦闘は、彼の表情から少年じみたふくよかな頬をすっかり奪い去っていた。落ちくぼんだ眼下の奥から、緊張と恐怖の渦巻いた目が、ぎらぎらと光っていた。「それでも戦わなくちゃ行けないのかな」「まだ迷っているのか。」年上の男があきれたように言った。「君は志願して、この隊に入ったはずじゃないか。それでもまだ...。」「確かに、志願はしたさ。」若い男... [続きを読む]
  • 2008/06/21 03:53すいかのたね
  • ぺぺはすいかのたねをうえました。とおいとおい日本から、アフリカまで、船に乗ってやって来た、丸くて大きなすいかは、ぺぺたち小さなギャング団によってぬすみだされてしまい、すっかり食べられてしまいました。ぺぺははじめこのかみなりのようなくだものを見て、ばくだんではないかと思いました。おそるおそる近づいてみて、ちょんちょんと指でつついて、それでも何とも言いませんでしたので、ぺぺは勇気を振り絞って、それを近... [続きを読む]
  • 2008/06/21 02:07老人と電車
  • 抱き上げてみると少女の体は思ったよりずっと重かった。老人はその重みに、自らの子を抱き上げた時のことを思い出した。妻の初めての出産は難産だった。当時は分娩室にはいることは許されず、老人は夜通し、待合室で、うろうろと落ち着かなかった。何度も外に出ては星を見上げ、月を見上げて、妻と、そして生まれてくる新たな命の無事を祈った。柔らかな産着に包まれて初めての娘が真っ赤な顔をして彼の前に現れた時、老人はどれほ... [続きを読む]
  • 2008/06/20 00:04雨の校舎
  • 昨日から降り続いた雨が、今日もまた校舎の窓を濡らした。幾多の水玉模様で、きれいに磨かれた窓は濡れていた。くらい空の下で、蛍光灯に照らされた教室の中だけが妙に明るい。先生は黒板を見つめたまま、何やらぶつぶつ言っている。少女はうんざりしていた。梅雨という季節は彼女を憂鬱にさせた。何時になっても、雨、雨、雨。夏が遠く、待ち遠しい。しかも、少女をうんざりさせる物がもう一つあった。父だ。彼女は傘を壊していた... [続きを読む]
  • 2008/06/18 23:38再会
  • 女と再会したのは十数年ぶりだった。男は女の横顔を見ながら、長い時の経過を思っていた。男の目に、女はひときわ美しく映った。男の知る女に見られた、少女の面影はすでになくなっていたが、以前までは目立たなかった女性らしい容姿と物腰が今の女には見受けられた。女は左手をアイスコーヒーの冷えたグラスに伸ばした。その薬指には銀の指輪が光っていた。「久しぶりね。」女は言った。「...何年ぶりかしら、こうして二人過ごす... [続きを読む]
  • 2008/06/17 19:36ハツカネズミと人間
  •  男はネズミの脳を取り出そうとしていた。同僚の多くはすでに夏休みを取っていたため、研究室には男一人しかいなかった。 雲一つない青空が窓から見えていた。もう、お盆だもんな。男は窓の外に陽光を浴びて眩しくきらめく、隣棟の白壁を見つめながら思った。ネズミは麻酔を掛けられ、解剖台の上にうつぶせに手足を固定されて、観念したように大人しくしていた。鼻先が小さくひくついている。その様子は、男の胸中にも些かの同情... [続きを読む]
  • 2008/06/16 19:18捨て子の話
  • つい、先日の話だ。早朝、まだ薄明かりの時間だった。私は、いつものようにバイト先の店の前を掃除していた。辺りに人通りはなく、車もほとんど通らなかった。ふと、向かいの建物の角に立つ人影に気がついた。そこは個人病院だったが、開業までには、まだ時間があるはずだった。それは女のようだった。しきりに辺りを気にしていた。女はやがて、病院の入り口の前に手に持っていた荷物を下ろすと、振り返りもせず、その場を立ち去ろ... [続きを読む]
  • 2008/06/15 00:35家族
  • 「あんたあたしを、アル中だと思ってなめてんだろ。」女は言った。時間はまだ、夜の八時にしかならないが、彼女はすでに相当酔っていた。キッチンの床には空けられたワインの瓶が2本転がっている。小学4年生の娘がその空き瓶を片付けようとしていた。その表情には、また始まるんだ、という大きな不安が張り付いていた。「なめてなんかいないさ。」男は努めて冷静に言った。「ただ、君を思ってのことだ。」「あたしを、『思って』!?... [続きを読む]
  • 2008/05/30 22:35'Round Midnight
  • 真夜中の車中。車の中に男と女。車は疾走する。誰もいない高速道路。アスファルトの上を滑る様に走る銀のセダン。車中には絶え間なく低音のベース音。オレンジ色のナトリウムランプに照らされた、助手席の女が運転手の男に話しかけた。「ねえ、私達、これからどうするの?」男は答えなかった。唯、その先に続く道が、ほとんどRの無い緩い曲線を描いていることを知ると、静かにギヤをシフトした。エンジン音が一段と軽やかに上昇す... [続きを読む]
  • 2008/05/19 19:43Defect of originality
  • 「ふふ...。ぼくは....、ぼくは爆弾...なんだ。」少年は一人つぶやく。ある地方都市、人通りも激しい駅前の中央交差点を前にして。目の前には大型の電気店、その脇には同様に集客力のある大型書店。信号が赤から青にめまぐるしく変わる度に、人と、車が交互にその交差点を埋め尽くした。そんな、人混みの中に一人、紛れていた少年。もうじき夏だというのに、長いコートを着て、髪の毛はしばらく切っていないのか伸び放題。元々パー... [続きを読む]
  • 2008/05/17 00:38Kid
  • 少女の手を握った時、男はその小さな指先に、人間の感覚を覚えた。ああ、俺は、ずいぶん長いこと、この感覚を忘れていた。男は思った。最後に触れた手は誰の手だったか。今のように、必要に迫られて触れた幼い少女の手だったか、それとも、単に、コンビニの店員がおつりを渡す時、多すぎる小銭を落とさないように、そっと添えてくれた左手だったかも知れない。いずれにしろ、俺は、この人の手の感覚という物を、もうずいぶんと長い... [続きを読む]
  • 2008/05/12 00:40In the bowl (5)
  • 僕と君の食卓はいつも、この小さなテーブルの上。ブラウンの長方形に区切られた閉鎖的な低い平テーブル。その空間に並べられた僕らの料理。生きようとする僕らの浅黒い意思の表れ。人に絶望したことはあっても自らの命までは捨てきれない人間の。しかし、僕らの皿にのせられた食事は、いつもそんな動物的な要求を感じさせないほど優しい色をして澄ましている。生血に口を濡らし、肝臓をすする肉食獣と毒の入った草を平気で毟り喰ら... [続きを読む]
  • 2008/05/09 20:26Some, so formulaic (4)
  • 太陽が落ちてから、世界が本当に夜に浸るまでの、短い薄明に、彼らは匂いの籠もった巣を這い出し、おもむろに街に行き交う人々の中に混じる。光源を無くした世界は、それでも太陽光の間接照明を受けて薄明かりの中に微睡んでいる。その時間には、影が消え、かといって、十分な明かりがあるわけでもなく、深みを増す群青色の空の下、夜にも昼にも属さない刹那の時間の中で万物が狼狽える。それは彼らも同じ。むしろこの混乱する時間... [続きを読む]
  • 2008/05/08 00:36Crescent drown in glass (3)
  • 僕と君が失った物が、本当に右腕と、両耳だけであるかは、考えてみると、疑わしくも思えてくる。僕らはそれ以上に、何か大切なものを、永久に、失ってしまったような気がするのだが、それが何であるかを具体的に見出すことはできずに、ただ、身体的なこの欠失感を、あたかも、僕らの、あの時失った物であるかのように錯覚しているだけなのかも知れない。少なくとも、僕には利き腕を通して、君を感じることは今もって出来ていないし... [続きを読む]
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