|
- 2008/09/23 23:04スミヤキストQの冒険
- スミヤキストQの冒険 (講談社文芸文庫)倉橋 由美子 / / 講談社スコア選択: スミヤキ党というおかしな名前の政治結社の党員Qが、孤島らしき場所にある感化院に潜入して不気味な人々やおぞましい実態を次々に目撃していくという話。ユートピア小説のグロテスク版。Qが潜入した理由は党に命じられてとのことだが、なんだか曖昧に書かれている。登場人物たちの会話も哲学的で良く分か・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/21 20:14子供部屋
- ドアを開けると、埃の臭いが鼻をついてくしゃみがでた。ここに戻るのは何年ぶりだろう。まるで菌類の如く書架や机に落ちかかった埃を別にすれば、そこは私が子供時代に遊んだ場所、そのものだった。見覚えのある活字が薄暗い木製の洞から、いくつもいくつも飛び出ている。それは規則正しく、或いは独特の字体によって不規則に並んでいた。小さい頃の私は体が弱く、外に出る代わりにこの活字の塊をひたすら読む・・・ ... [続きを読む]
|
- 2008/09/18 19:41しゃばけ
- ふとしたことから、先日の三連休の課題図書となった。タイトルは知っていた。妖怪が出てくる話だというのもどこかで聞いていたけれど、何故か今までノーマークだった。京極堂と比べて軽めな印象があったせいかも知れない。でも実際に読んでみたらなかなか面白いんだこれが。主人公は廻船問屋「長崎屋」の若だんな。子供の頃から身体が弱い若だんなには、子供の頃から化け物との付き合いがあって、部屋・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/11 16:25影絵の町
- ●作品概要:砂漠の中にあるという、不思議な町のお話。そこでは人々は実体を伴わぬ影だといいます。果たして、この町はどうして出来たのでしょうか?外部からの訪問者たちによって、「影絵の町」の正体が明るみになってゆきます。異世界ファンタジーを目指して、自分の中では少し長めの短編に挑戦してみました。書き足りない分は外伝という形でタイトルを改めて発表するかも知れません。・第一回・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/11 16:07影絵の町?(ラスト)
- カチカチ カチカチホシカゲロウの翅音のざわめきが聞こえてきた。彼らは星の落ちたところから生まれる。翅は薄青色にぼんやりと明るく、群れを成して砂漠を移動するのだ。虫達の光は時に星と見間違えられ、星座を目印に骨の砂漠を渡りゆく多くの交易商たちを惑わせ、死に追いやった。カチカチという独特な翅音もまた、この虫の特徴である。金剛国では、ホシカゲロウは魔神の遣いとして恐れられ、カチカチとい・・・ [続きを読む]
|
|
|
- 2008/09/11 15:45影絵の町?
- ******************************あなたはおそらく、私の家につくまでにこの町の様子をみたことでしょう。民はあなたの国の人々とは異なり、皆影の身体しか持たない。そればかりか、犬や猫、家畜さえもここでは影の存在である。しかしながら、これは神がこの世を創造した始めからそうだったわけではない。つまり、ここに住む者たちも、元々はあなたたちと同じ姿をした人間だったのじゃ。・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/11 15:30影絵の町?
- 一見すると、その町は廃墟のようであった。噴水の水が天高くまで勢いよく噴出し、ところどころに懐かしい木々や草花が溢れているが、人工の建造物は悉く荒れ果てていて、人の住んでいる気配がまるでない。噴水近くの倒壊した神殿は、壁一枚のみが未だ倒れず残り、嵌められた玻璃窓の色鮮やかな神々が、陽光によって地面に投影されていた。石段に腰掛けながらその美しい装飾を眺めていた年若き学者——名をイフラスという—・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/11 15:16影絵の町?
- 時代は二百年経ち、現の代となる。王国間は一層人々の行き来が激しくなり、巷には瑠璃国や瑪瑙国から渡ってきた者も多くみられるようになった。国王の代も三度は変わり、現在はかつての王のひ孫がこの国を治めていた。国王は珍しいものが好きな人物だった。国内外の畸形者を集めてきては、城内に好きなように住まわせていたし、お抱えの画家におぞましい怪物の絵を描かせては、自らの寝室の壁をそれで埋めていたのである。・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/11 12:30影絵の町?
- 人跡未踏の「骨の砂漠」と呼ばれるこの地に「影絵の町」がいつごろ生まれたのかは定かではない。我々の知識の中にこの町が登場するのは、今からおよそ二百年前のことである。ヘビツバメの一群とともに町を渡り歩く行商が、砂嵐の為に道を誤り、偶然足を踏み入れたのが最初の発見であった。行商は影絵の町の人々との二週間ほどの交流を日録にしたため、外国産の多くの珍しい品物とともにこの国へ巡ってきた。彼・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/09 18:18作品集を作る
- 今、創作短編のカテゴリをずらっとみていったら、そろそろ作品数が40に届きそうだ。気に入った作品も勢いで書いた作品も玉石混交(自分の基準で)しているけど、我ながらよくあきもせず多くの話を書いてきたものだと感心する次第である。そこで、50話になったところで作品集でも作ってみようかな、と考えている。50作の中から好みの作品を厳選し、全200ページくらいで一冊の本を作ってみたい。挿絵も・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/09 10:02蜃気楼
- 蜃気楼。かいやぐら、海市、浜遊び、喜見城。狐だま、狐松原とはその正体を狐に求めた故だろうか。或る書物には大蛤の口から吐き出す気だといい、また別の伝では蛟(みずち)の仕業だという。もっとも、これらの伝説を本気にするのは馬鹿げたことに違いない。或る小説家は「不可思議な大気のレンズ仕掛け」と書いた。如何にも玩具的で愛らしい言い回しであるが、この言葉が最も的確かつ簡単に、その現象の正体を捉・・・ [続きを読む]
|
- 2008/09/05 03:17伊藤潤二 恐怖博物館<3>
- ホラー漫画が大好きだが、その中でもとくに好きなのが伊藤潤二の書く漫画だ。ほかのへなちょこな描線のホラー漫画と一線を画した、繊細で、グロテスクな描線。そして誰も思いつかないような奇抜なアイディア。「富江」でも「死人の恋わずらい」でもいい、どれか一冊手にとって読めば、ホラー漫画好きならば大抵の人は「次も次も」と、まるで吸血鬼にでも噛まれた人のように、見境なく伊藤漫画を漁ることになる・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/30 06:53怪奇小説のテーマ
- 怪奇小説によく使われるテーマを抽出してみた。小説考える時に使うつもり。勿論、参考にしてもらっても構わない--------------------●吸血鬼…今まで散々扱われてきたテーマ。だがドラキュラ、カーミラ、バーニィなどのヴァンパイヤ、吸血生物(ウェルズの小説に吸血蘭の話があった)、グール(食屍鬼)、カニバリスム、早すぎた埋葬などなど吸血鬼カテゴリは幅広い。無・・・ ... [続きを読む]
|
- 2008/08/30 02:24購入本
- 今日の買い物・妖怪画本 狂歌百物語・白昼艶夢(朝山蜻一)ふー、ようやく手に入れた。狂歌百物語は化け物をテーマにした狂歌の収められた江戸時代の本。江馬務の「日本妖怪変化史」では白黒だったのでてっきり元の絵も白黒だと思っていたけど、実物をみたらカラーだった。絵にはいろんな作者の狂歌が卒業式の寄せ書きのように載ってて、それはとるに足りない下らないことばっかり書いてある・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/28 16:42月の旅人
- 俺たちはバーのカウンターに座っていた。逆円錐型のグラスに、なみなみと注がれた透明の液体。水面には小さな氷の粒がひとかけら、スイスイと泳いでいる。妻の前にも同じものがあった。「あなた、こんな悠長なことしてていいのかしら?みんなに遅れてしまうわよ」無表情な顔の妻。ギラギラと輝くグリーンの目をこちらにむけ、幾千もの俺を映す。心配性なこの性格は出逢った頃からまるで変わっていない。「ハハァ、・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/25 23:51一角獣・多角獣
- 一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)シオドア スタージョン / / 早川書房スコア選択: またまた異色作家短編集。今回はシオドア・スタージョンという作家の『一角獣・多角獣』という作品集を読んだ。多分この人の作品は『幻想と怪奇』というアンソロジーで読んでるはずなんだけど、これを買った時点では思い出せない。そのあとで『幻想と怪奇』の目次を見返して、「それ」という・・・ ... [続きを読む]
|
- 2008/08/20 18:05くじ
- くじ (異色作家短篇集)シャーリイ ジャクスン / / 早川書房スコア選択: 本を読む読むといいつつ、結局数ページ読んでおわり、そんな日常。政界に倣ってこれも「やるやる詐欺」というべきか。やりたいことにはやりたいが、何セやる気が起こらないからどうしようもない。あてにならない呪文「そのうち」。そのうちそのうちとお念仏のように唱え続けるだけでは、山積みの本も問題も・・・ ... [続きを読む]
|
- 2008/08/20 11:26もののけろく
- ○8月×日:朝おきると身体を盗まれていた。僕はシーツ一枚だけを頭からすっぽり被ると、失われた身体を取り戻すために慌てて家を飛び出した。線路脇の草叢に右腕をみつけた。昔好きだった子のバイオリンケースの中に左脚をみつけた。スイカ畑の真ん中に変わった色のスイカがあると思ったら、僕の頭だった。こうして僕は次々と身体を取り戻していったわけだが、どうしても目玉だけがみつからない。嗚呼どうしよう・・・ ... [続きを読む]
|
- 2008/08/17 16:49新刊メモ
- 倉光清六 『憑き物耳袋』なぜ憑き物や、憑き物筋ということが言われるのか。狐憑き、犬神憑き、トウビョウ、外道、餓鬼憑きまで、〈魔の呪力〉 とはなにか、日本人の精神史の裏面を掘り下げる、憑霊信仰の民俗学の記念碑的名著。解説=小松和彦(河出書房新社 予価1890円)---ついに出た!まだ買ってない 8月刊『妖怪画本・狂歌百物語』 京極夏彦・多田克己妖怪画集シリーズの最新作。江・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/17 01:29長い夜
- 夕刻から降っていた雨晴れて、ちぎれ雲残る夜の空。空の破れ目からは満月が覗いている。ところどころ破れ、剥げかかり、煤で汚れた障子戸は、月の光を湛えてまるで青行灯のようである。時折影絵のようにむこうを横切るのは狐か、鼬か。ここからは庭の景色は判然とせぬ。ただ虫の声に紛れて何かがひょ、ひょ、と啼いているのが聞こえる。それよりずっと遠くからは、夜の隙間を縫うような透き通った声で、犬がとおぼえしている。・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/10 17:09開けるな
- 「いいかい、この箱は絶対開けてはならないよ」 横からの陽の光に顔の半分だけを橙色に染めた祖母は、青畳の上に置かれたその箱を指差しながら言った。いつもは優しい祖母が、今ばかりは微笑み一つない顔でその低い声を私に投げかけるので、見知らぬ誰かのような気がして一寸怖かった。 箱は一辺六尺もあろうかという大きな立方体である。人一人ならば入れそうだ。全体に青い和紙が貼り廻らされており、その蓋のところは・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/10 15:59髪切り
- 夕子は項垂れながら、夕暮れの町をとぼとぼ歩いていた。いるはずのない修平の声がリフレインされる。「ごめん……実は…」修平の後ろにはひとりの女生徒がいた。隣のクラスの子だ。テストの時にはいつも上位のほうに名前が載っているし、生徒会の役員もやっている。おまけにすれ違う誰もが足を止めてしまうほどの美人なので、夕子は一度も話したことはなかったが彼女のことをよく知っていた。「本当にごめんな・・・ [続きを読む]
|
- 2008/08/10 00:23赤い月
- 「もし、お嬢ちゃん」学校からの帰り途、ふと呼び止められた朝子は男の風体にぎょっとした。黒マントに古めかしげな黒い山高帽、鼻の下には立派な髭が生えていて、目には丸いレンズの眼鏡をかけている。まるでインチキ手品師か都市伝説の怪人のようだ。「な、なんですか?」「ふふん、君があんまり美しいものだから、僕の宝物をあげようと思ってね」そういうと男はマントの裏を探りはじめた。朝子はいざとなっ・・・ [続きを読む]
|
|
|
- 2008/08/09 18:16脱皮
- とつぜん身体のあちこちが痒くなった。かきむしると尚痒くなる。伸ばしてきた自慢の黒髪は抜け、白かった皮膚には血が滲んで硬くなった。嗚呼、ようやくこの日がきたのか。そうなるといよいよ痒みが増し、私は両手でかさかさかさかさと掻きまくった。やがて皮膚の下のものが見える。青と緑の混ざったようなどろどろが蠢いている。どうやらもう皮膚と肉は繋がっていないらしい。畳の上は私の体の一部だったものでいっぱ・・・ [続きを読む]
|