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- 2008/10/06 23:18暗がりマシューはアクビする
- 影よ、お前に問おう。 「お前は、何故俺の脚にへばりつく?どうにかして、離れてはくれまいか?」 影は問われた質問に鼻で笑った。 「そりゃ、無理ってモンだ、旦那。俺は、アンタの影だ。俺はアンタの脚だ。俺はアンタの背中だ」 「どうにか、離れられる術はないのだろうか?」 「残念、それは旦那が死んだときさ」 俺は、影の言葉に頭を首を傾げた。 「何故、死んだときなんだ?」・・・ [続きを読む]
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- 2008/10/05 22:01恋するボディブロウ
- では、お二人のなりそめは? アナウンサーの質問に、大田夫妻はテレながら苦笑いを浮かべた。 私達の出会いは、ファーストフード店なんですよ。 それは、恋に効くというシナモンの香りが漂うカウンター席で、たまたま二人が隣り合わせになったときでした。 最初から座っていたのは、奥さんの百合さん。途中でトレーを持ってやってきたのは、ご主人の健一さんでした。 混雑の中健一さんは唯一空・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/10/02 22:46アキアカネの調べ
- この眼に映る世界が、暗闇に変わったのは一瞬の事。 厳かに茜立つ稲穂に、吹き荒ぶが風が通り過ぎる。 アキアカネが体を休める所を探して、私の人差し指に止まった。疾風に飛ばされそうにならないように、私はアキアカネを胸に近づけて風から守った。 人差し指にアキアカネがしがみついている感覚が、ずっと私の指に残っている。 アキアカネの眼は、夕日の色をしていた。 私の最後の風景。・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/10/01 16:00君の想像力は神秘を超えたんだ
- 宇宙で宇宙服を脱いだら、どうなんのかな? 「死ぬに決まってんじゃん!」 クラス一同は、林田君の言葉に一斉に笑った。 林田君は宇宙船に乗ったことがないようで、宇宙に行ったこともないと言っていた。 だから、宇宙を話しでしか聞いたことがないのだ。 「お前の、得意の妄想でわかんなかったのかよ?」 クラスのいじめっ子が、嫌みったらしく言う。 「わかんないよ。行ったことな・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/30 14:12笑う門に福来る
- 家の隣のおじいさんは、まったく笑わない無愛想な人で有名でした。でも、家の前で挨拶すれば挨拶を返してくれるし、町内会にもしっかりと出席して手伝ったりするので、偏屈な人ではありません。 ただ、まったく笑わないんです。 能面みたいだと、お母さんが言っていたことがあります。 「笑わない奴は、死んでいるのも一緒じゃな」 おじいさんが無愛想な顔で言っていました。なんで急にそんなことを・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/26 21:20テルコトハノクラ
- 影の愛する人は、傍で寄り添う光でした。 光もまた傍で寄り添う影を愛していました。 二人は常に傍で寄り添ってはいても、幸せとは呼べませんでした。 お互いが手の届くところにいても、姿が見えても、声が届いても、唯一触れることだけは叶いませんでした。 触れられないことは、何よりも苦痛でしかありません。 見えない壁がそこに存在していました。 「あなたの手は、どんな感じな・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/13 23:17え?えっ?ええ??
- 朝起きたら、かわいいドレスを着た西洋人形になっていた。 いやね、でもね、俺、男だから。すごい気持ち悪いのと、どんなに驚いても無表情なのが怖かった。だけど、口と体は動かせるんだ。 手前の立て鏡を何度見ても、人形だ。金色の長髪に赤いリボンをつけて、黒と白のフリフリのドレスを着ている。なんか、これぞゴスロリファッションと言えるだろう。 「え、マジでなんでこんな事に?」 「成功したようだ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/08 11:37我が心のオレンジ
- 海の音は、波の音だけなのか。 レスカは、膝を抱いて海を眺めながら耳を済ませた。 朝日の日差しに焼かれていた砂浜が、夕日に変化してから落ち着いたパチリパチリという砂の音が聞こえる。それは、体を休めるために羽を伸ばしているように感じた。 きゅうんと、遠くでイルカの鳴き声が聞こえる。その声に答えるようにもう一匹の鳴き声が聞こえてきた。親子?恋人同士?いずれにしても、とても楽しく戯れているの・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/07 17:39静かに、そっと歩いてごらん
- 一枚の花びらが、地面に落ちました。 僕は、運がよかったのかその光景を見れたことに喜びました。 落ちた一枚を拾って手に取ったとき、花びらをベットに妖精が眠っていました。 僕は本当に運がよかったのか、うれしくて仕方ありませんでした。 なので、そっと花びらを元に戻して、音を立てないように静かにその場を去りました。 ... [続きを読む]
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- 2008/09/07 12:27あ,角川警察署ですか?
- 角川警察署は、東京都内の東の外れの住宅街にぽつんとある。築年数八十年の三階建ての建物だ。元々はレンガ造りだったが、昭和五十六年にコンクリート建てに建替えた。それでも酸性雨を長年受けてある程度風化してしまっている。 角川警察署と彫られた看板が掛けられた門の両端を、二人の警察官が直立不動している。建物はバブルの影響は受けておらず、入り口は自動ドアなどという高級な物は付いておらず、手動の木製ド・・・... [続きを読む]
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- 2008/09/05 23:57タンポポの歌声
- 霧雨が服を湿らせ、肌に気持ち悪く張り付く。眼鏡も霧が吹いたように濡れてしまった。何度も眼鏡を拭きながら、公園を歩いていたら、道の端っこに膝を抱いて芝生を見ている少年がいた。 何をしているのだろうと、通り際に覗いてみた。 眼鏡が濡れたせいでいつもより見にくいが、どうやらタンポポを見ているようだ。 少年は、じいっと瞬きもせずに見つめているので、あまりにも気になって離れた所から様子を伺・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/04 08:52ナナびかり
- マシューマシュー! と、両腕を胸の前で交差してピースをする姿で大ブレークした元首相の孫のタレント、Tengo(テンゴ)。 彼は一発屋と呼ばれながらも、おバカキャラがさらに女性心をくすぐり、その人気は絶大だった。 もちろん、今テレビを見ている滝子さんも若い頃は彼の大ファンで、彼の出した写真集やCDはすべてそろえて、今も箪笥の裏側に眠っているはずだ。 彼は現在、俳優として二時間ド・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/09/02 22:27雨天飛行
- 笠原さんは子供の頃から、ふわふわしていました。生まれた時からそれはそれはふわふわしていました。 そのふわふわ感は、柔らかさのふわふわではなく、かわいさ溢れる私達が思っている程のふわふわではありません。 なんと、空気よりも軽いふわふわなのです。 昔、こんな事がありました。笠原さんのお父さんが高い高いと遊んでいて手が滑り、空の彼方へ小さくなって飛んで行ってしまいました。その時はたまた・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/28 10:12有限会社「デス・ザ・ロック」応募受付中!
- この世を変えるのは、「力」だ。 力こそ正義。力が有るからこそ正義が通される。 若者よ!世界を見よ!! この世界は病んでいる。そして脆弱な力無き者に支配されている。 こんな世の中で良いと考えるか。 否。 こうではいけないのだ。 くだらないと世の中を毒づくなら。つまらないと世界に不満があるなら。己の未来に不安があるなら。 今こそ、世界を粛正する時!・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/23 23:27銀色の、空の寒さに重ねて
- 勝利は我が手に!! 毎夜、毎朝、日夜、過ぎ去りし街を、酒に酔った兵隊達は肩を組みながら千鳥足で街を徘徊している。街の人間達は、露骨に迷惑そうに顔しかめる者も居れば、興味もなく視線すら向けない者がいるか、もしくは一緒になって叫ぶ者もいた。 勝利は我が手に!! ヘイムダルは二階の窓から騒ぐ兵隊達を眺めていた。硝子に映る自分の碧い瞳を越えた先の道で、兵隊達は腕を高々と振り上・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/11 22:59痛いというか、恐いのよ。
- 「痛かったら言ってくださいね」 無表情に医者の先生は、胃カメラを手に持っている。 私は、お前は歯医者か、と毒づいた。 看護師に麻酔を打たれたので、痛みはないとの説明を受けたから、痛いことはないのだろうけど、落ち着かない気分になってくる。 先生の手には、細く黒い管が今か今かと待っているように静寂していた。 実は、もう口と喉に感覚が無かった。私はベットの上で、目を瞑っていた。とて・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/10 23:22先生、痛いのはやめて下さい…
- 「来週、胃カメラでお腹の中を看ますね」 私はちょうど一週間前、医者にそう言われた。 え?大したことないじゃないかって? それがそうでもなかったのよ。この七日間は恐くて仕方なかった。仕事に手は付かないし、胃がきりきり痛む気がするし、考えただけで夜眠れなくなるし。もう、ほんとに散々よ。それに、一番の原因が、そこの先生。女の医者なのに、愛想がなくて無愛想でさ。言葉に優しさがないのよ。 ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/24 11:27熱意に悪意に地球を救う
- 暑い日々に囲まれて、生きた心地がしなくなっても、汗をかきながら仕事をする。汗は煌き、筋肉の躍動が美しい。焼けた肌は男らしさをさらにアピールさせる。 そう思いながら、工事現場で働く人たちを横目に通り過ぎる。 正直、暑さが余計に増してしょうがない。暑いので、少年はコンビニで買った水を一気に飲み干す。ごくごくと喉を鳴らし、渇きは潤ったので満足できた。 が、日差しがコンクリートから反射して、・・・ [続きを読む]
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- 2008/07/22 00:23カフェタイム・ザ・HATHI
- せっかちな人間なのだろうか?私は。 マイペースなつもりなのだが、どうもそうは思われない。困ったものだ。 言っとくけど普通だよ。 カップラーメンは、二分で食うし。化粧だって、十分も掛けない。風呂は五分も入らないし、濡れた髪も生半可に乾かすし。肉じゃがも、中途半端に煮込む。ご飯は芯が残っていることがしばしば。 普通だと思っていたのに、酷いもんだね、世の中は。 まあ、大体ね。世の中・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/20 00:14月の後姿
- 月を美しいと言う人がいる。 神々が存在していた時代から、誰しもが耳にした言葉だ。 月の輝きは、人を支え、人を惑わす。 子供の頃に見上げた月は、何処へ逃げても追いかけてくる。私はそれを恐いと思っていた。夜な夜な車に乗っていたとき、私は月を見て大泣きをした。両親とも、急に泣き出した私を必死に宥め、理由を聞いた。私が理由を話すと、父が笑って話しをしてくれた。 月は、とても恥ずかしがりや・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/04 20:31ポラリス
- 星の子と呼ばれた少年は、地球に降り立った時、空を見上げることを忘れてしまった。 それは、故郷を忘れてしまったことと同じだった。 そうして、少年が大人になった頃、彼は空を見上げた。それは何気なく、視線が動いたのだ。彼はその時、故郷を思い出した。 今まで忘れていた自分を恥じ、嘆いた。 もう、故郷に帰れなくなってしまったことに。変える方法を忘れてしまったことに。 三日三晩止むこ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/06/30 23:23セプテンバー・№ナイン
- リーディング・エルサレム。 かつて、子供達はこの地で一生を終えた。 人が忘れてしまった世界は、子供達にしか見えない。子供達はそれを本能で知っていた。自分達は世界で生きているようで、まだ本当の世界を知らない事に。手を触れられるものでもない。言葉で語れるものではない。それを人は知らないから、伝える手段が無いのだ。 子供達はそれを伝える手段を探していた。自分達を生んだ人へ、どうしても教えて・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/06/25 23:12父は、仙人様。
- 父は、仙人をやっている。 仕事は仙人。趣味も仙人。 意味がわからない。遊園地にも行った事が無いし、ファミリーレストランにも入ったことが無い。マックだって入るだけ、自販機だって眺めるだけ。家は、1Kの母屋で、物凄く狭い。こんな人生なんてイヤだ!! 私は物心がついた頃になると、そう思うようになった。 家庭にそんな物を持ち込むんじゃないとか、早く定職についてよ、が、母の口癖になったのも・・・ [続きを読む]
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- 2008/06/24 21:09つぎはぎセプテンバー
- 大きな街の石畳の道端で、人々に挨拶をする錆びたロボットがいる。 動く度にぎぎぎと錆びついた鈍いきしむ音が、関節のあちこちから聞こえてくる。動きもきわめて鈍く、旧型タイプなので言語機能も途切れ途切れになっている。赤茶けた身体は、いかにも年期の入った感が伺える。彼が錆びついてしまっているのは、古いだけではない。それは、長い間、彼はこの場所を動いていないからである。かれこれ、三百年近くここにいるそ・... [続きを読む]
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