キミコ さん

キミコさん: パリ体験
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プロフィール

ハンドル名キミコ さん
ブログタイトルパリ体験
サイト紹介文パリ暮らしは華やかですがハードです。パリで暮らした30年間。その体験で私の精神基盤ができました。
自由文現在、わたしは東京で小さな化粧品会社を経営しています。フランスのスキンケア製品の輸入販売です。
57歳の起業でした。
今の自分を作ったのは・・・・パリでの辛かった異国暮らしの体験でした。
参加カテゴリー
更新頻度(2年)情報提供131回 / 193日(平均4.8回/週) - 参加 2008/05/26 23:50

キミコ さんのブログ記事

記事削除機能過去の記事 … 1 2 次へ
  • 2008/10/14 09:51ピアス
  • 「ピアスに興味あるんだけど・・・・でも私は・・・・」そのくらいのフランス語なら会話に問題はないのですが、プレッシャーめいたものに押され、言いよどんでへどもどすると、「あ、穴があいてないんですね。あけましょうか?すぐできますよ」値段は当時のレートで2千円くらいのものでした。安いと知って久代の気持ちがうごいたのを敏感にキャッチした女の・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/13 15:18気持ちがうごいて
  • このころ久代はピアスの穴をあけました。若い頃から肩こりがあり、首や肩に負担のかかるネックレスは、どんなに綺麗でも、つける気にはなれませんでした。これなら大丈夫と勧められた軽いものでも、しばらくたてば重苦しく、首輪をはめられたみじめな気分になりました。指輪も同様の束縛感があり、アクセサリーとは無縁の人生だったのですが、ふいに気持ちが動いたの・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/12 21:24守られて
  • 久代が恐れたのは、この関係が外部にもれることでした。ちょっとした断片でもパリの狭い日本人社会に広まれば、尾ひれがついて拡大され、何を言われるかわかりません。夫に迷惑がかかることは明白です。それだけは避けたいとひそかに怖れ、心配しつづけていたのですが、「こんなことを他人には言えないでしょう。僕は誰にも言ってない。友人にだって言ってない。他人・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/11 08:59画策
  • 週に一度の「空白の時間」を作り出すのは大変でした。主婦の生活感覚からすれば、何もしない架空の時間、いわば存在しない時間。この日のために家事を分散して、買物や料理の下ごしらえを水曜までにすべて整えました。K君が喜んでくれ、待ってくれるから、時間を作るのは自分の義務だと思うのでした。K君は可能な限り仕事の調整をして木曜をあけ、待ってくれているのです。・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/10 11:05週に一度
  • 週に一度。久代はK君のための時間を作るようになりました。木曜日が「K君のため」の時間。自分自身のためであれば、会うのは数ヶ月に一度でも十分でした。K君が望むから、かなりの無理をしたのです。こうなってみて初めて、久代は自分の気持ちがたいしてK君に向けられていなかったことに気づきました。彼に会うよりは子供たちのために料理をしたり、・・・ [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 料理
  • 2008/10/08 20:36反応
  • 夫には不評でした。「なんで化粧なんかするの?何もしないほうがいいよ。自然のままのほうがずっといいよ」夫は結婚当初から、化粧を嫌いました。化粧をした女は男に媚びているようで嫌だというのでした。若かった久代は夫に言われて即座に化粧をやめたのですが、結婚して二十数年たった今はちがいます。「あなたのためにやってるんじゃないんだから、ほっといてよ」・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/07 17:27化粧で・・
  • この日から、久代はていねいに化粧するようになりました。K君のために綺麗になりたいのはもちろんですが、久代はエネルギーを必要としていたのです。今までのようなちんたらした自分では不十分。過去の自分からの脱皮が必要でした。闘うためです。相手は社会。現実に何をするわけでもありませんが、心もちとしては社会の価値観と正面きって闘うつもりになっていました。・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/05 18:00選択
  • K君の肌はすべすべした暖かいにおいがしました。心の安らぐ・・・茶色いような・・・懐かしいにおいでした。肌のにおいは強い麻薬のようなものです。あわあわとひろがり、久代の意識をつつみこんで麻痺させました。眠りにおちる直前に似て、なんともいえない心地よさ。体にたまった疲れが溶けて、染み出していく心地よさ。・・・ [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 麻薬
  • 2008/10/04 15:19孤独な目
  • 「私には、K君に何かがあったって分かるよ。辛い思いをしたんだなって分かる」「いいんです」他人事のようにさらりと言って、K君は、久代ににぎられていた手をそっと引きぬきました。何かがあったとしても、今はまだ話したくないという顔でした。その後は何をどう話しても、K君は心を閉じたままでした。こんなんじゃ一緒にいたって意味がない。・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/02 11:03やっぱり・・・・
  • これではいけないとさすがに久代も思いました。このまま流されて、行き着くところまで行ってみたい願望も、ひそかにありましたが、やっぱり常識的な理性が勝ち、「話をそらせちゃだめだよ」お母さん役はしたくないと思いながら、やっぱり母親の顔になっていました。「K君、自分をごまかしたって何も生まれないよ。次に進む力にならないよ」・・・ [続きを読む]
  • 2008/10/01 14:33冷たい指が
  • 前回の滞在時とはちがって今度の部屋は広く、寝室とサロンは別で、しかるべき家具もそろっていました。前回に比べれば経済的なゆとりがあるらしく見え、久代は心底ほっとしました。K君はエスプレッソの器具でコーヒーをいれてくれました。ダイニングのテーブルに向き合って座ったころには彼もリラックスしたらしく、肩の力もぬけ、久代を見てにこにこしました。いかにも嬉しげでありなが・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/30 19:08抱きしめられても
  • フランスのアパルトマンはドアがたいてい内開きです。ドアを開けてくれたのはもちろんK君です。閉めたのもK君です。顔を見るような余裕はありませんでした。気配を感じただけで、久代はK君の姿におどろき、呆然としました。髪の毛はボサボサ。全身からそそけだつような表情がかもしだされ、ずいぶん前に見た映画『猿の惑星』の猿にそっくりなのでした。体・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/29 15:12やっぱり
  • 翌朝、電話がありました。心のどこかで予想していた通りの展開でした。「もしもし」まっすぐに発音するのをためらうような、くぐもった声でK君はそれだけ言って、黙りました。余白に甘い柔らかさがただよいました。「はい」久代の声は自分でびっくりしたほど晴れやかでした。久代もそのまま黙りました。受話器の奥のく・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/28 13:47汚れ
  • その日帰宅してから、久代は久しぶりに時間をかけてメイクをしました。ディオールのリキッド・ファンデーションはもう十年以上前に日本から遊びにきた友人が使い残しを置いていってくれたものです。分離しかけているらしく透明なオイルだけが出てきたので、しっかり振って攪拌しました。変質しているのかもしれませんが、他には持っていないのです。こわごわ塗ってみると、なんとかい・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/27 11:57女失格
  • 運勢的にいうと今日はどういう日だったのだろう。最初は最悪の気分。それから最高に幸せな身体の浮きたつ幸福感をあじわい、今はふたたび暗く落ちこんでいる。占い師ならこのドラマチックな1日をトータルして、凶とか大凶と判定するのだろうか。4人掛けボックス席の向かいに座った久代と同世代らしいフランス人女性は、柔らかな金髪のふっ・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/26 18:49
  • これといった根拠もないのに、取り戻したと思ったのは、口紅で書いたメモのなまめかしさゆえではありません。口紅で書かざるをえなかったのは筆記具がなかったからだとK君ならわかってくれるはずだし、筆記具がわりの口紅のメモを残した久代の切実さも伝わるだろうし、そしてなにより「悲しかった」という久代の思いはK君の心にまっすぐ届くと確信したからです。悲しみはすっかり消・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/23 09:13メッセージ
  • 日本人の女の子にシャッターを押してくださいと声をかけられ、ハッと正気にもどりました。首にショールを巻きつけただけでコートもなしの薄着の女の子の二人連れは、パリは寒いですねと薄着のいいわけのような感想をのべ、それでもパリを楽しんでいるらしく明るい顔でポーズをとるのでした。様々なバックと様々なポーズで何枚か写真をとるうちに久代にも穏やかな明るさがしだいにもどって・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/22 16:05偶然
  • 1週間がすぎ2週間がすぎました。失くしてみると喪失感は日々拡大されるばかりでした。身体の中の空洞が日増しに大きくなるのです。十月になってから寒い日が続き、暖房なしには過せない寒さでした。家族が出払った日中、久代は地下室の暖房機をとめました。じっとしていると手足が冷え、体が硬くなってきます。それにつれて感情も麻痺してきます。寒さの中にいて心・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/20 08:40悲しみ
  • 「もう終わりにしたい。こんな宙ぶらりんな状態に耐えられない。苦しすぎる」そう言ってK君の電話は切れました。久代はしばらく座り込んでいました。それから少し泣きました。知らないうちに泣いていたのです。涙が流れているのに気づいて、とたんに悲しくなりました。喉のあたりから悲しみが太い固まりになって噴きあげ、目からあふれてきたのです。泣き始める・・・ ... [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 電話
  • 2008/09/19 13:37とうとう
  • K君は久代を家まで送っていくと言いました。「そんなのダメだよ。近所の人がおかしいと思うよ」久代が必死に断り、メトロのホームまでで我慢してもらいました。電車がくるまでの数分間、K君は明るくふるまっていました。ホームのベンチに並んで座っている久代をクルッと首をまわして見てはにこっとし、またすぐに首をまわしてにっこりするのでした。あまりに素・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/18 11:34口実・・・
  • せめて1週間に一度は会いたいと要求されました。久代の側からすれば要求されたとしか思えませんが、事実は懇願されたのです。本当は毎日でも会いたい。それがムリだと分かっているから週に一度で我慢する。せめてそのくらいは会えないと辛すぎる。そういわれると胸が痛みました。しかしほとんど家庭にとじこもっていた主婦がどうやって週に一度の外出の機会を作るか・・・ [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 主婦
  • 2008/09/17 11:12会いました
  • 「会いたい、会いたい、会いたい」と切実な声で連呼されて、返事につまり、久代は心を決めました。K君が辛い思いをしているのに、自分のことしか考えていなかった。ようやく久代はK君に会おうと決心しました。自分のお婆さんぶりに気づいてK君の恋が醒めるとしても、そのとき辛いのは自分だけだ。K君を苦しめるよりは自分が辛いほうがいい。そう思ったのです。・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/16 16:59ためらい
  • かつてあれほどK君に思われることを夢想したのに、いざ現実になってみると少々勝手がちがうのでした。甘い喜びはなく、喜びどころか、なにやら重いものがのしかかっているのです。子供が三人もいてなんの取柄もない主婦の自分が恋をされるなんて、華やかすぎるし、深刻すぎました。自分の手には負えないような気がするのです。私はこんなに普通のおばさんなのに・・・・美人でもなく素敵・・・ [続きを読む]
  •   関連キーワード
  • 主婦
  • 2008/09/15 12:37電話だけ
  • K君とは電話を中心とした関係がしばらく続きました。久代がほとんど外出しなくなっていたからです。北村さんは半年ほど前に帰国してしまい、ベビーシッターの仕事はなくなっていました。日本で独り住まいをしていたお姑さんが認知症になり、お義父さんの世話もあって、北村さん一家は急に帰国を決めてしまったのです。そのため久代には定期的にパリに出かける用事が何もないのです。K君・・・ [続きを読む]
  • 2008/09/14 19:29二重の・・
  • それだけですべてが了解されました。嬉しいというよりは、ひどく静かな気持ちでした。広大なフランスの空は青くひろがって、地平線のあたりに白い雲が薄くたなびいていました。あたり一面刈り取られたあとの麦畑。かなたにノルマンディーに向かう高速道路A14号線が1本の壁になって伸びています。運命を受けとめたような厳粛さ。ちょっと・・・ [続きを読む]
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