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- 2008/08/18 21:14星図描き 1
- 「どうしましょう。また返されてきました、カンパニュラは」「刺繍工房からですか」「学校では、あれほど綺麗に刺繍ができた子はいないのに・・・」「ていねい過ぎるのだそうです」「その前は皮の型押し工房」「たしか、その前は、レース編み工房」「あの子の編んだレースは、 女王様の襟飾りにだって恥ずかしくないくらいですのに」「その前は、染め物工房」「その前は、ビーズ編み工房」二人の女教師は、茶房のすみのテーブルで... [続きを読む]
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- 2008/08/05 08:10人形たちの語る物語 「お相伴士」 11 シオンの妹
- 「それからも、よく言われたものだよ、シオンには。『あなたは、非科学的だから』ってね。彼女に言わせれば、パンがふくらむのもも科学だし、早く乾くように洗たく物を干すのも科学だというわけさ。実際、彼女が作った料理はれも美味しかったし、家の中はいつもきれいに整理されていたね」「シオンさんと、一緒に暮らした・・・結婚なさったんですね」スグリは思わず大きな声で言った。「初恋が実ったんですね」スグリがからかうと... [続きを読む]
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- 2008/08/04 18:17人形たちの語る物語 「お相伴士」 10 風車を作る少女
- 「わたしは、近寄ってその少女が風車を作るところを見てみた。はじめに、ホウの木の枝を切り離して、手に持つ方の枝を凹に、羽になる方の枝を凸に加工する。一口にそういっても、凸と凹がきつくても回らないし、ゆるすぎると落ちてしまう。風で回るくらいのちょうどよいすき間が必要らしい。少女は、小刀で枝を削っては、ちょうどよいすき間になるように調整していた。30分はかけていただろうか。ここが、風車の一番肝心な所であ... [続きを読む]
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- 2008/07/24 21:10人形たちの語る物語 「お相伴士」 9 ホウの木の風車
- 「今思うと、それは、ホウの木だったと思うんだが、葉が一か所から放射状に5,6枚出ている木でね、その葉が風車の羽根になって、回っているんだよ。わたしは、風車を持っている小さな男の子をつかまえて、聞いてみた。『この風車は、どうやって作るんだい』と。小さな子でもできるんだから、わたしにもできるだろうと思ったんだ。男の子は、わたしの聞き慣れない言葉に戸惑ったのか、だまって広場のすみを指さした。そこには、一... [続きを読む]
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- 2008/07/17 21:40人形たちの語る物語 「お相伴士」 8 風車
- 「わたしは、父の仕事の関係で、よく転校をしたのですよ。小学校1年生の時に転校した学校は、山の学校でね。町で育ったわたしは、ひ弱な坊ちゃん風の子だったので、すぐには友達ができなくてね。誰も遊んでくれないから、外には行きたくなかったのに、母親に追い出されて、いつも仕方なしに外に出ていたものだったよ。今思えば、母が心を鬼にして外に出してくれていたのだろうけどね。そんなある日、神社の境内で遊んでいる子ども... [続きを読む]
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- 2008/07/13 05:42人形たちの語る物語 「お相伴士」 7 アシビ老人の憧れ
- 「林望さんのエッセーの中に、スコーンというものの作り方がのっていてね。指の力が重要だと、およそお菓子らしからぬことが書いてあったので、興味がわいてきてね、ぜひ、食べてみたいものだと。それで、お願いしたわけですよ」「そうでしたか」「スグリさんでしたか。あなたが作ったのですか」「はい。こう見えても指の力はある方ですけど、いかがだったでしょう。粘り気が出ないうちにできるだけ早くバターに小麦粉をまぶすのが... [続きを読む]
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- 2008/07/11 07:07人形たちの語る物語 「お相伴士」 6 アシビ老人
- 「よく来てくれたね」アシビ老人は言った。「こんにちは。野の花舎から参りました。スグリです。今日は、お相伴をさせていただきます。よろしくお願いいたします」「そんな堅苦しい挨拶はいらないよ。さぁ、準備をはじめて下さい。腹が空いているのでね。お湯をわかすのでしたら、こちらが台所ですよ」スグリは、薬缶を火に掛けておいて、テーブルの準備をした。テーブルクロスを広げた上に、ポットやカップ、砂糖壺などを並べなが... [続きを読む]
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- 2008/07/10 07:07働く人形たち
- わたしの作った人形たちは地球とよく似たもう一つの世界に住んでいてどの人形も実直に働いていますその世界には地球とはちょっと違った職業があるようです紙芝居士薬草士夢分析士聴き人 お相伴士・・・仕事をしていれば壁にぶつかることもあります人形関係の悩みもありますそんな人形たちの語るものがたりをお聞きください... [続きを読む]
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- 2008/07/08 16:32人形たちの語る物語 「お相伴士」 5 アシビ老人
- 事務所に入ると、キオンは帳簿に何か書き込んでいるところだった。キオンは、スグリがドアを開ける音に気付いて顔を上げた。そして、スグリの姿をしばらくながめていたが、何も言わずに立ち上がった。「今日のお客様のことを説明します。お名前はアシビさん。72才の男の方よ。現在はおひとりで暮らしていらっしゃます。さっきも言ったとおり、今日は、イギリス風の紅茶とスコーンをご要望です。アシビさんのお宅に着いたら、お湯... [続きを読む]
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- 2008/07/03 22:44人形たちの語る物語 「お相伴士」 4髪を切った
- 「また、ずいぶん短く切ったものね、髪。キオンさんから、ハイジという指示が来ているけど、確かに、ハイジね。どうしたの?何かあったの?」「髪を切ると、みんなそう言うんですね」スグリは、そう言ったが、昨日のスギナとの喧嘩がきっかけで髪を切ったことを言い当てられたようで、うろたえていた。「スグリさんの髪の長さ、ちょうどよかったのにな。スグリさん、髪もそうだったけど、顔だちに癖がないから、どんな役にもなれる... [続きを読む]
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- 2008/07/01 08:39人形たちの語る物語 「お相伴士」 3 粉の山のカルデラ
- 「バター、小麦粉、砂糖、塩、ベーキングパウダー、卵、牛乳。はい、全部そろっているわね。はじめにバターを角切りにして冷やしておくの。その間に小麦粉とベーキングパウダーと砂糖と塩を量って。オーブンの設定温度は190度」センナは厨房にもどったスグリに、次々と指示を出した。「量った小麦粉、砂糖、塩、ベーキングパウダーを合わせて、2回ふるう」センナは、小麦粉を量ってからふるって・・・という指示の仕方は決して... [続きを読む]
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- 2008/06/27 07:45人形たちの語る物語 「お相伴士」 2 ハイジにしかなれない
- 「今日のあなたの髪では、イギリス風は無理ですね。せいぜいハイジといったところでしょうね。アフタヌーンティーの準備ができたらおいでなさい。衣装を準備しておきますから」「はい、申し訳ありません」やっとキオンから解放されて、スグリは、厨房に向かった。お相伴の食べ物を自分の所で作っているところはめずらしいという。出来合の食べ物を使うところがほとんどらしい。それなのに、ここ野の花舎ではお相伴をする本人が食べ... [続きを読む]
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- 2008/06/24 12:30人形たちの語る物語 「お相伴士」 1 アフタヌーンティーのお客さま
- 「おはようございます。今日は、どちらですか?」スグリの声に、主任のキオンが顔を上げた。キオンは、お相伴の注文を受けて、事務所に所属するメンバーの中から、ちょうどよいお相伴士を選んで派遣する仕事をしている。キオンの取り合わせの腕の確かさは、誰もが一目置くところである。「え、こんな取り合わせ?」と思うような取り合わせでも、2度3度とお相伴を重ねるうちに、確かにこの人しかないと思うようになるのだから。「... [続きを読む]
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- 2008/06/22 06:05人形たちの語る物語 「聴き人」女の子はキキヨウさん?
- 「女の子は、お話できない人なの?」カグヤとテルヒは声をそろえて聞きました。「女の子は、そのドーナツを食べた日から、少しずつ言葉が出るようになったの。そして、大きくなって、あの豆腐屋さんのようになりたいと思うようになったの」「魔法のドーナツだったんじゃない?」「女の子は豆腐屋さんになったの?」また、2人は声をそろえて言いました。「大きくなって、お話できるようになった女の子は、豆腐屋さんにお礼に行きま... [続きを読む]
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- 2008/06/19 10:50人形たちの語る物語 「聴き人」 レディのように
- 女の子には、豆腐屋さんが、女の子を小さいレディのように扱ってお皿やナプキンやフォークを出してくれたことは、解りませんでしたが、揚げたてのドーナツのおいしさはわかりました。『この子は、生まれてから一度も言葉を言ったことがないのです。今日は、遠くの街によいお医者さんがいるというので、ご相談に行ってきたのですが・・・機能はどこも悪くないということだけでした』お母さんは言いました。『見て下さい、お嬢さんを... [続きを読む]
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- 2008/06/16 22:37人形たちの語る物語 「聴き人」 おからのドーナツ
- 豆腐屋さんにドーナツ?と女の子思いましたが、急にうれしくなってきました。ドーナツが食べられるかもしれません。『はい、おからドーナツです。豆腐を作るとたくさんのおからができます。おから炒りを作って売っているのですが、そんなたくさんは売れません。何とかして、おからを無駄にしないようにできないかと考えました。それで、ためにし、ドーナツに入れてみました。そうしたら、ほくほくして、とてもおいしいんです。『で... [続きを読む]
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- 2008/06/12 05:17人形たちの語る物語 「聴き人」 不思議な豆腐屋
- 「あるところに小さな女の子がいました・・・というお話を聞いてね」と、キキョウは話し始めた。「ある日、お母さんと遠くまで出かけた帰り道のことでした。森の中のくねくねした道を車で走っていると、小さな赤い屋根が見えてきました。近づくと、丸太でできた家でした。『大草原の小さな家』のようにね。家の前には看板があって、『とうふや』と書いてありました。こんな山奥に、お豆腐やさん・・・と女の子は不思議な気がしまし... [続きを読む]
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- 2008/06/08 06:22人形たちの語る物語 「聴き人」 インディアンのふんどし
- 「今日ね、学校から図書館まで何歩あるか数えながら来たの」テルヒは言った。「1、2、3、4と数えてきたの?」キョキョウが聞くと、テルヒは、待っていたかのように得意げに言った。「そんなめんどくさいことしないわ。『インディアンのふんどし』って数えるのよ。ほら数えてみて、イ・ン・ディ・ア・ン・ノ・フ・ン・ド・シ・・・10でしょう。わたしが、『インディアンのふんどし』って1回言ったら、カグが指を折るの。左手... [続きを読む]
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- 2008/06/01 04:55人形たちの語る物語 「夢分析士」 その7
- 入り口に現れたのは、若い女の人と二人の子どもでした。短い髪に、白いシャツを着たその女の人は、二人の子どもの背を押して、わたしの前に来ました。そして、二人の男の子の頭を掌で押して、挨拶をさせながら、自分も丁寧に頭を下げました。それから、わたしに、席に着くように促しました。部屋を出た女の人は、湯気の立っているやかんを持って来て、ポットにお湯を注ぎました。そして、ポットにお茶帽子を被せたあと、子どもたち... [続きを読む]
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- 2008/05/29 06:04人形たちの語る物語 「夢分析士」 その6
- 三日たって、リラ婦人はやって来た。「夢は、いかがでしたか」ミンは尋ねた。「夢は・・・みました」と、リラ婦人は、答えた。「わたしは、駅の改札を通って、ホームに降りました。そこに、汽車が停まっていました。その汽車が、わたしの行きたい所に行く汽車だと、わかりました。乗りこんむと、間もなく汽車は、出発しました。そして、一つの駅に着きました。わたしは、そこで降りました。なぜか、そこが、わたしの目的とする駅だ... [続きを読む]
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- 2008/05/25 05:14人形たちの語る物語 「夢分析士」 その5
- 三人目の患者がリラ婦人だった。「どうだったのでしょう」リラ婦人は、挨拶することも忘れて、言った。ミンは、そんなリラ夫人を落ち着かせるように、ちょっと間をおいた。「お早うございます。昨夜は、お眠りになれましたか」リラ夫人は、そんなことはどうでもいい、と言わんばかりに、問いには答えずに、じっとミンを見た。「分析してみて、だいたいのことは分かりました」「どんなことが」「あなたは、探しものをなさっていると... [続きを読む]
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- 2008/05/22 07:51人形たちの語る物語 「夢分析士」 その4
- 夜が明けようとしていた。ミンは、ノゾミの分析したデータを、もう一度確かめてから処方箋を書こうと、リラの夢の入ったフラスコを、光に透かしてみた。カルテには、500余りの基準色に照らし合わせて判断した結果が、4桁の数字で書かれていた。 8264 2511 3907・・・ノゾミの判断は、妥当なようだった。ミンは、処方箋を広げた。いつも、処方を書く時は、もしこの処方が妥当でなかった... [続きを読む]
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- 2008/05/18 08:43人形たちの語る物語 「夢分析士」 その3
- リラ夫人は、しばらく考えていた。その時の気分を、どんなふうに表したらよいのか、適切な言葉を探しているようだった。「悲しい・・・苦しい・・・もどかしい・・・虚しい・・・どれなんでしょう。」「ご無理をもう仕上げてしまいました。結構です。詳しいことは、分析してみなければ解りませんので、明日またお出で下さい」ミンは言った。リラ夫人は、礼を言って帰って行った。「うまく、収集できた?」ミンは、隣の部屋のドアを... [続きを読む]
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- 2008/05/15 10:42人形たちの語る物語 「夢分析士」 その2
- 「とにかく、南に行く汽車に乗って、一歩でも近づかなくてはと思いました。そこがどこかは、分からないのですが。階段を駆け上がって、隣のプラットフォームに行きました。さっき行ってしまったのと同じような汽車が停まっています。でも、車体に行き先の表示がないのです。わたしは、走りました。次の車両には表示があるかもしれない。次の車輌にも、次の車輌にも表示はありませんでした。駅の人に訊けばいいのだと思いました。で... [続きを読む]
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