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- 2008/10/01 00:37第二話 「青い光」 第1章
- 一 赤い光。 遠く、星空の下で輝いている。 湖を渡る、生暖かい風。 僕はまた、その道を歩き、光に近づいていく。 うち寄せる波の音は静か。 君の寝息の様に。 赤い炎。 むせかえるガソリンの匂い。 轟々と響くのは炎の音? ひしゃげたガードレール。 メルセデス・ベンツ、E四〇〇。 赤い車の中は、より赤い炎で満たされている。 その暴力的・・・ [続きを読む]
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- 2008/08/20 00:09あとがき
- 第1話、お送りしました。見直すと、ちょこちょこ設定上のミスが散見されて困ります。今後も全く前触れ無く削除、加筆等いたしますが、ご容赦下さい。登場人物の名前も、全く前触れ無く変える可能性があります。バンド名は三島由紀夫氏の有名な脚本から採っています。差別的表現の問題は認識しておりますが、他に適当なバンド名が思いつきませんので、ご容赦下さい。小説(もどき)の世界は、想像の中で自分の想い人が・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/19 23:52あとがき
- jazzamuraiのバンド小説(もどき)、第1話、如何でしたでしょうか?わはは。見直すと、ちょこちょこ設定上のミスが散見されて困ります。今後も全く前触れ無く削除、加筆等いたしますが、ご容赦下さい。小説(もどき)の世界は、想像の中で自分の思い人が動くので、面白いのですが、まだまだ、勝手には動いてくれません。勝手に動いてくれるようになると、もっと面白いのですがねえ。全10話の予定でま・・・ [続きを読む]
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- 2008/08/16 01:30第1話 「黒猫は踊る」 第12章 (第1話最終回)
- 十二 片付けている時にふと気付くと、鍛冶舎タケシの姿はなかった。演奏が途切れる瞬間まで、奴はいたのだろうか。 打ち上げで行った、前と同じ店の同じ部屋の片隅で、俺は冬美の隣に座った。乾杯が終わって冬美は、ミネを飲みながら囁くように言った。 「凄く美味しかった。もう少しでイケそうだったのにね」 睫毛バサバサの奥の瞳に、濃厚なエロスが満ちあふれていた。 薫子が冬美と一緒・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/08/06 00:55第一話 「黒猫は踊る」 第11章の4
- “彼はもう生きていないのよ”と儚い顎が動いた。 消え逝く、パッセージ、美しすぎる、黒猫の背。 ビロードの手触りの、漆黒の闇。 俺は奴を抱いていた。 / 死んでいた魂を抱いていることしかできなかった。 少女は奴を川に流した。 / 再生のために。 アルトは、ただ単純に美しく鳴っている。 アルトが、こんなに明るくて、悲しい音をした管だと、今まで、知らなかった。 きら・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/30 22:26第一話 「黒猫は踊る」 第11章の3
- そうだね。 薫子は、ロングトーンの、美しいフレーズを唱って俺を待つ。その瞬間、俺は区切りのつもりで硬くて大きなフィルを入れた。 そして、その直後から、俺達は、それまでとは次元の違うフォービートの中にいた。 そのビートはあくまでもオン・タイムのフォービートだ。 でも、明らかにスウィングしていない・・・・。こんな全くタメのない硬質のビートを、フォービートと呼べるのか? だが、俺の・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/23 21:33第一話 「黒猫は踊る」 第11章の2
- そんなことをふと考えながら、俺は薫子に合わせていった。 薫子は決してアルトにノイズを交えない。アルトサックスが楽器として持っている、一番クリアーな音を鳴らしている。 薫子は客席に背を向けて、俺の方を向きながら、目を閉じて吹いている。 アルトは次第に、早いパッセージを紡ぎ出す。感情に流されない音だ。タンギングの切れが凄い。音の粒質にバラツキがなく、一音一音が凄い存在感だ。時々、パンパン・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/16 16:09第一話 「黒猫は踊る」 第11章の1
- 十一 テーマを演奏していた時に、ふとフロアーを見ると、鍛冶タケシは殆ど同じ格好で立っていた。乗ってもいないが、出ていってもいないということは、何か奴にとって美味しい部分があるのだろう。 宮坂は・・・・、この展開に少し疲れた顔をして呆然として立っていた。おいおい、お前のメインディッシュは、これからだぜ。 薫子のソロ・パートのネタは予め決めてあった。 “私は、そのままやっ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/09 00:04第一話 「黒猫は踊る」 第10章の3
- 俺は、いきなりブレイクせず、少しトップシンバルとハイハットだけでフォービートを入れてやった。するとあゆみは、とてもゆったりしたテンポの、印象的なリフを繰り返した。コーラスとリバーブが効いて、優しい感じだ。一部の客はそれを聞いて喜んでいる。 ・・・・何故だ?あゆみが良く弾くリフなのかな。 それに合わせて薫子のピアノの単音とヴァイオリンがユニゾンで冷たいメロディーを奏で始める。 やっぱり・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/07/02 01:34第一話 「黒猫は踊る」 第10章の2
- 一旦、ブレイクしてから、予め決めておいたフレーズのフィルを俺がぶち込んで、テーマに帰る約束だ。マイクをつけたアルトの薫子は余裕で、ステージに帰りながらテーマを吹いた。ふと見ると、次のソロの元輝は、ピックアップ・マイク付きのテナーを喰わえて、にやりっと笑っていた。 “あっ、やられた”と、一瞬、俺は思った。何処から持ってきたんだ。今日はギターしか持ってきてなかったじゃないか?等と、考える間も・・・... [続きを読む]
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- 2008/06/25 00:40第一話 「黒猫は踊る」 第10話の1
- 十 つまり今日は、前回と同じメニュー、ミンガスの「フォーバス知事の寓話」をやる。 “あのね、前回は・・・・”薫子は、最初の練習の日に言った。 “前回は、私たちのことを神ノ内さんに見せるために、無伴奏ソロを回したから、今回は同じ素材で神ノ内さんと私たちがどんな感じで一緒にやるのか、うちのファンに見せてあげてね。だから、練習では内容はあまり決めない。適当にジャムるから、手の内・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/06/18 01:10第一話 「黒猫は踊る」 第9話の3
- “なんだ?何故、いる?” 鍛冶舎は、少しゆるんだ口元に上手く丸めたハッパを喰わえながら、フレームの小さな伊達メガネの奥で、鋭くつり上がった一重まぶたの目を、俺に向けているように見えた。独特な細く長い指が、広い掌の中でルー・リードのようにそれを包んで、赤い光点を描いている。 久しぶりのライブで少し緊張を抱えていた俺としては、会いたく無かった人間だ。だが、“ええい、今日はツマランことを考え・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/06/11 00:28第一話 「黒猫は踊る」 第9章の2
- “両親がいない?死んだのか?” “そうみたい。ただ、理由までは詳しく知らないの” “話したくないんだろうな” “違うの。訊けば話してくれそうなんだけど、話す時の口調が何か自嘲的で、それを見るのが辛いんだ”と、あゆみは言い、それ以上は言わなかった。 「・・・・神ノ内さん。何か私の顔に変な所でもあるの?」 薫子に言われて、俺は慌てて目を逸らせた。 「いや、別に・・・・。薫子は・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/06/11 00:16第一話 「黒猫は踊る」 第9章の2
- “両親がいない?死んだのか?” “そうみたい。ただ、理由までは詳しく知らないの” “話したくないんだろうな” “違うの。訊けば話してくれそうなんだけど、話す時の口調が何か自嘲的で、それを見るのが辛いんだ”と、あゆみは言い、それ以上は言わなかった。 「・・・・神ノ内さん。何か私の顔に変な所でもあるの?」 薫子に言われて、俺は慌てて目を逸らせた。 「いや、別に・・・・。薫子は・・・ [続きを読む]
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- 2008/06/04 00:51第一話 「黒猫は踊る」 第9章の1
- 九 五月三日、『The End of North』で、『癩王のテラス』はリハーサルをしなかった。三回目の練習で、「これ以上、この曲をやったら、本番でテンションが殺がれる気がする」と薫子が言ったからだ。 午後八時開演。前回と同じ、二十四時終了予定。俺は今回、誰にもチケットを売らなかった。イベントのタイトルは、「ジャズ・ジャンク・スタイル」。・・・・まあ、前のイベントの二回目って・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/05/28 00:45第一話 「黒猫は踊る」 第8章の4
- 「“それがどんなイデオロギーであろうと、イデオロギーと結びついた音楽なんて信じられない。特に、黒人解放運動と結びついた、あの頃のジャズなんて、形式がワンパターンなのに何が解放なんですか”と言ったんですよ。六〇年代のジャズなんて、ソロ回しをしていただけじゃないですか。 また、殴りますか?」 ・・・・あゆみが、困った目をしてこっちを見ていた。 不思議と怒る気はしなかった。冷静に聞いていれ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/05/21 22:34第一話 「黒猫は踊る」 第8章の3
- 「ああ、あのプログラミングは俺も良いと思った。あれは、誰が入れたの?」俺は宮坂の嫌みを受け流した。 「カオルン」 「薫子ちゃんの造るグルーブは、何時も、トランスっぽい感じだったんですよ。それをあゆみチャンが横に揺らして、他のメンバーがインプロヴィゼーションを展開して、時々薫子ちゃんが歌を入れて・・・・。僕が現段階で最も理想とする音です。 でも、この前のは装飾過多で少し下品だったな。そ・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/05/14 00:49第一話 「黒猫は踊る」 第8章の2
- 「大体、誰なんだ、宮坂って」 あゆみと元輝は顔を見合わせて、「誰って?」 「必ずチケットを買ってくれて、何枚かは売ってくれる人」と、あゆみは言った。 「勝手に、自分のホームページで『癩王』のライブレビューを書いている人」と元輝は言った。 「どんな、ホームページなの?」 「まあ、見たら分かるよ。多分、音楽の趣味は神ノ内さんに似てると思うんだけど。・・・・ちょっとね」 「ふー・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/05/07 18:42第一話 「黒猫は踊る」 第8章の1
- 八 何度か、練習してみて分かったこと。 みんなが持っている楽器は何故か全て古いこと(俺もそうだが)。ただし、楽器の手入れはこまめにされていること。 あゆみはとても配慮のある、暖かいバッキングをする。ただし、しばしば破壊的な勘違いをする。彼女以外は、他人の裏をかく演奏の方が好きなこと。 元輝のテナーは習得途上だが、奴のテナーさえ除けば、四人は、やたら上手いということ。た・・・ [続きを読む]
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- 2008/04/30 22:25第一話 「黒猫は踊る」 第7章の3
- その瞬間、ギターソロは己を全うし、三コーラス目に向かった。気が付くと、冬美が来ており、既にヴァイオリンを顎に挟んでいた。・・・・そして、奴は、あのテーマを弾く。 その時の目の冷たさが、俺に突き刺さった・・・・。 「良いんじゃないの」と最初に言ったのは冬美だった。「僕、こういう正確なドラム、好きだな」 「やっぱりブルフォード好きだと思った。俺も良いと思う。あんた、最近は叩いてないってい・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/04/23 00:07第1話 「黒猫は踊る」 第7章の2
- 「それで、連休のライブでは、何を演奏するんだ。オリジナルがあるなら、聴かせてくれないか」 「ああ、あるにはあるんだが。薫子が次のライブではやる気がないみたいだ」 「じゃあ、今日は何をやるんだ」 「まあ、そんなに決めなくても良いと思う。最初はゆっくり行ったら良いんじゃないの? ・・・・なあ、このリフ知ってる?」と言って、元輝はヘビーなディストーションで、有名なリフを弾き始めた。・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/04/16 00:00第一話 「黒猫は踊る」 第7章の1
- 七 あんな酷い酩酊状態でも、俺は電話番号を交換できたらしい。日曜日の夜、あゆみから電話が入った。 「おはようございまーす。あゆみでーす」 「なんで、この番号、知ってる・・・・」 「えっ。なんでって、私とカミさんの仲じゃない。手帳をご覧下さーい」 俺のボロボロの手帳には、俺以外の誰かのヘロヘロの字で、「二十二日、午後九時〜十二時、京大オルタナ部のスタジオにて初練習」・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/04/09 10:00第一話 「黒猫は踊る」 第6章
- 六 ・・・・俺の想像力も、大したもんじゃないな。 これが夢だとは既に分かっていた。 あの黒猫が、横笛を吹きながら、二本足で歩いている。 辺りは真っ暗なのに、あいつが楽しげに歩いている様子が良く分かる。 何がそんなに楽しいの、お前は。 “楽しいのは、僕じゃなくて、君でしょう?” 俺が? 何で? “つい、この前まで、君は死んでいたようなもんでしょう?つまら・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/04/02 02:20第一話 「黒猫は踊る」 第5章の5
- 「俺はわがままだぜ。相手が高校生でも、含めて諭すような物言いは出来ないし」 「それは私も、みんなも同じこと」 俺の目を見て、薫子はきっぱりとそう言った。切れ長の二重の目が、固い意志力を表す光で俺を刺した。左目の下の、小さなほくろが、印象的だった。 「次のライブは何時だ?」 「来月の連休中」 「間に合うのか?」細かいことが気になって、俺は言った。 薫子が、何か答えようとした・・・ ... [続きを読む]
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- 2008/03/26 01:25第一話 「黒猫は踊る」 第5章の4
- おい、あんた、と言われて俺はさすがにムッとした。そして、黙ったまま、冬美を睨んだ。だが、奴は意に介した向きもなく、リュックを担いで、ヴァイオリン・ケースを手に持った。 腹の立つ奴だ・・・・。 「こんな時間まで外にいて、ご両親はお坊ちゃまの事が心配じゃないのかい」 「うちの親父の代わりに説教してくれるのかな、オッサン。そっちこそ目がトロンとしてるよ。あんまり飲み過ぎて、町で喧嘩してギャ・・・ ... [続きを読む]
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