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- 2008/10/05 17:16ココロの距離−6−
- 俺は、基本的に目覚まし時計をかけるが、これは、予防的なものだ。 大概は、目覚まし時計が鳴る、5分から10分前に起きる事が多い。 目を覚ますと、時計に手を伸ばし、時刻を確認する。 大体いつもと同じ通りだ。 それを確認して、スイッチを切る。 だから、俺は、目覚ましの鳴る音を殆ど聴いた事がない。 ごく稀に、目覚ましのベルを鳴らせてしまうと、目覚めが不愉快になってしまう。 昨夜、約束した [続きを読む]
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- 2008/10/02 12:03ココロの距離−5−
- 約束の時刻は特に決めていない。 それでも、相手が来るまでの時間を、一人で退屈せずにあの店では飲める。 今回は、俺の方が早く着いたようだった。 マスターにお勧めのものを聞くと、初めてここを訪れたとき頼んだ酒みたいなものが好みなのかと尋ねられ、『それでしたら、こちらなんか如何でしょうか』と、目の前にアルコールの入ったグラスが置かれる。 勧められるがまま、そのグラスの中の液体を口に含む。 ... [続きを読む]
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- 2008/09/29 13:51ココロの距離−4−
- 翌朝、目覚めると、まだ蛍は眠っていた。 それでも普段は起きる時間なので、顔を洗って、服を着替えて、朝食を作る。 出来上がった所で、蛍に声を掛けにいく。 「蛍、朝食作ったけど食べる?」 その声に反応して、ぱちりと目を開ける。 そして、一つ欠伸をして、上半身を起こし、伸びをする。 「あ、おはよう。智也。え? 朝食、作ってくれたの? ありがたくいただきます。」 「お口に合うかどうかわからない ... [続きを読む]
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- 2008/09/25 18:36ココロの距離−3−
- 週末、仕事があけると、一旦家に帰り、軽く食事を摂って、再びあのバーへと向かった。 再び訪れてみると、先日は気付かなかったが、それ程表立った広告は出していない。 あの中の雰囲気から考えて、外見は、確かに、バーではあるが、建物の色合いも極シンプルだった。 人を拒む、と言う感じはしないが、たむろするような店構えではない。 この店の存在に、どれだけの人が気付くか、あの夜、俺が、気付くことができた ... [続きを読む]
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- 2008/09/23 12:16ココロの距離−2−
- 行き慣れているバーに行くのもいいけれど、たまには、違った店で飲むのもいい。 そう思って一軒のバーを訪ねる。 割と小ぢんまりしているけれど、内装はしっかりしていて、結構金をかけているのだろう、穏やかな色合いの壁にバロック調の装飾品がところどころに見られた。 目に見える所のカウンターや椅子は、店内の薄暗い光でも、質の良い木が光沢するようなものがあつらえてある。 店内には、邪魔にならない程度 ... [続きを読む]
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- 2008/09/15 20:20ココロの距離−1−
- 微妙なずれが、二人の間を引き裂いていく。 全く同じ感覚を持った人間などいないのだから、それをその人のもつ性質の一部として認め、付き合っていくしかない。 無理して価値観を押し付けても、それは受け入れられるはずもないし、例え、受け入れた振りをしてくれたとしても、どこかで齟齬が出る。 だから、相手に何も期待してはいけない、と言うのではない。 それをわかった上で付き合っていくしかないのだ。 ... [続きを読む]
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- 2008/09/11 22:19偽装と真実の仮面−9−(完)
- 前日の土曜日、静香からお達しがあった。 「明日は、9時頃から忙しくなるから。それと、昼食はいいわ。作ってる余裕なんてないと思うし。ピザでも取りましょう。」 何故、忙しいのか、全然わからずに了承させられる。 この間、晴彦が言った言葉。 あれは、別れの挨拶ではなかったはずだ。 それなのに、一向に連絡がない。 静香の口からも、晴彦の名前が出る事はなかった。 まるで、何もなかったかのように ... [続きを読む]
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- 2008/09/08 23:22偽装と真実の仮面−8−
- 誰かに、甘えちゃいけない。 それが、自ら掘った穴ならば。 それでも、甘えてしまいたくなる時もある。 「静香、ごめん、今日、飯、静香が作ってくれる?」 晴彦と別れて家に帰った後、普段なら、日曜日は俺がご飯を作るのだけれど、とてもそんな気にはなれなかった。 「私はいいけど……文句は言わないでよ。たいした材料もないし。」 「大丈夫。静香が作ったもので、不味かったものなんてないから。」 「……彼と、 ... [続きを読む]
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- 2008/09/04 18:33偽装と真実の仮面−7−
- 「俺は、隆弘の事好きだけど、あいつは特別だから。あいつとの過去を消すことなんて考えられないし、忘れる事もないと思う。隆弘は、こんな俺の事許せない?」 「いや……」 許されるべきではないのは、俺の方なのだ。 ここまで正直に話してくれる、晴彦を俺は受け入れられる。 けれど、晴彦が、俺のことを受け入れてくれるかは別の事なのだ。 でも、話さなければ。 「晴彦。」 「何?」 「晴彦に、ずっと言えなか [続きを読む]
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- 2008/08/31 19:25偽装と真実の仮面−6−
- 晴彦と会うようになってから、土曜の夜は、大概、一緒に食事をし、それからバーに立ち寄るか、そのままホテルに行くかのどちらかが多かった。 一番初めに行ったような、凝った店にはあまり行かないけれど、それなりに、美味しそうな店を探して、食事を摂っていた。 外食するならするで、それなりにプロの味と言うものを味わいたかったから。 それは、静香と外食をするときも同じなのだが。 そんな訳で、土曜日は、夕 ... [続きを読む]
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- 2008/08/27 20:01偽装と真実の仮面−5−
- 二兎追うものは一兎も得ず、とはよく言ったものだ。 俺にとって、やはり、静香は静香で特別な存在。 そしてまた、晴彦は晴彦で特別なのだ。 晴彦とは、ホテルで朝食を取った後、いつまでも一緒にいる訳にはいかなかったので、次に会う約束をして別れた。 日曜日の昼食と夕食の担当は俺なので、それに間に合うように家には着いた。 昨日話題に出ていた所為か、チーズリゾットが食べたくなってそれを作った。 「 ... [続きを読む]
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- 2008/08/25 20:44偽装と真実の仮面−4−
- 相手に対する印象と言うものは、もちろん一目会っただけではわからない。 少ししゃべったからといって、わかる訳でもない。 何かを装っているなら尚更、その本質を見抜くのは難しい。 だが、人が何かを演じている時、それを見抜いてあげるのが親切なのか、そのまま騙されてあげるのが親切なのか、迷う所だ。 誰にも悟られたくないから、仮面を被って、その自分と言う役を演じている。 それに気付いて欲しいと、 ... [続きを読む]
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- 2008/08/24 13:38偽装と真実の仮面−3−
- 誰かに、何かを話さないでいる時、それは、秘密にしていると言うことになるのだろうか。 追求されて、答えをはぐらかした時、それは、嘘を付いている事になるのだろうか。 あえて、自分がゲイであることをオープンにする人もいるけれど、そうしない人たちも沢山いる。 別に、誰にも話さなかったといって、自分がゲイであることには変わらないし、自分自身の存在を否定していることにはならない。 だから、俺は、ず ... [続きを読む]
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- 2008/08/22 18:32偽装と真実の仮面−2−
- 人は結婚をする時、それに何を望むのだろうか。 結婚生活を持続させる為に必要なものは何だろうか。 ひとえに夫婦といっても、世の中に存在する夫婦の数だけ、その関係性は異なっているのではないだろうか。 静香は、自分を古い価値観を持った人間だと言った。 女は男と結婚して始めて幸せになれるものではないという事はわかっている。 結婚したからといって、上手くいっていない夫婦はこの世にごまんといる。 ... [続きを読む]
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- 2008/08/20 20:28偽装と真実の仮面−1−
- 人間と人間の関係なんてどう転ぶかわからない。 その時はその時なりに、色々考えて、例え後悔したとしても、何も考えずに行動するよりはずっとましだった。 世の中の型に外れることはやはり怖くて、でも、その型にだっていろんなものがあるんだ。 自分のことを優先して考えてみても、相手の事を優先して考えてみても、どうやったって考えるのは俺自身でしかない。 それは相手にも言える事。 それが我侭だとわか ... [続きを読む]
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- 2008/08/18 22:19蛍−8−(完)
- 悟さんに宣言していた通り、僕は、希望の大学に入ることが出来た。 学校や両親の手前上、他にも二つ私立の大学を受けて、合格をしていたが。 そして、それを悟さんに報告すると、いつの間に約束になっていたのだか知らないが、悟さんが宣言したとおり、大学に入学した後、悟さんが遊びに行くというゲイバーに何軒か連れて行ってもらった。 それぞれの店に集う人間模様も、中々興味深かった。 法律を学ぼうとしてい ... [続きを読む]
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- 2008/08/17 17:47蛍−7−
- 約束どおり、翌日、悟さんから連絡があった。 夜になるから、次の日は休みがいいだろう、と言うことで、土曜の夜に決定した。 両親には、受験の息抜きに、ちょっと友達と遊んでくる、と言うことで了解を得た。 そう言うところは、あんまり厳しい親でなくて助かる。 そう言えば、以前はよるバイトしてたけど、特に何も言われなかったからな。 家の親は特に無関心って言うわけじゃないけど、口うるさく干渉してこ ... [続きを読む]
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- 2008/08/16 23:39蛍−6−
- ひとつの『蛍』を卒業した時、僕は、僕の中に、新に『蛍』を作り出した。 橘靖史と言う人間が、真面目な高校生なら、家族や、学校とは別の所で持つ顔を自分の中で『蛍』と名付けた。 その名前は、何の意味も持たないけれど、僕の中で、橘靖史として生を受け、育ってきた世間との価値観の違いに疑問を持っていて、僕自身が模索したもの。 そして、新しい『蛍』を解放してくれた人。 僕は、その人の事をよく知ってい [続きを読む]
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- 2008/08/15 23:32蛍−5−
- 中々スムーズには行かなかったけれど、何とか先輩と別れることができた。 全てを話したわけじゃないけど、やっぱり、先輩の事が好きなわけじゃないから。 それは、多分失礼なことだから そして、僕は、貰った名刺の裏に書かれた携帯へ電話をかけた。 常識的に考えて、何時ごろなら、相手に失礼じゃないだろうか? とか色々考えた結果、やっぱり、昼間は仕事中だろうな(まあ、僕も学校だけど)とか、夜遅すぎても ... [続きを読む]
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- 2008/08/14 22:30蛍−4−
- 僕はいつまでこのバイトを続けるんだろう。 そしていつまで続けられるんだろう。 どちらもわからなかった。 いろんな人間と出会ってセックスをして。 このまま高校を卒業して大学に入って、就職する。 将来僕はどんな人間になるんだろう。 本当にやりたいことの見つけられる人間はどれだけいるんだろう。 そして、見つけたとしてそれを行うことが出来る人間はどれだけいるんだろう。 僕は何の為に勉 ... [続きを読む]
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- 2008/08/13 23:46蛍−3−
- 快感を快感として受け入れること。 ただ純粋に快感を追い求めることは悪い事ではないんだろうか。 セックスをする。 そこに快感がある。 その快感を恋愛感情として錯覚することはない。 カラダを許すのはその人ココロを許しているから。 僕が先輩とセックスをするのは果たしてそうだからだろうか。 考えてみても特に僕は先輩の事が好きなわけじゃないと思う。 普通が何かはわからないが、きっと先輩 ... [続きを読む]
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- 2008/08/12 22:41蛍−2−
- セックスに恋愛を混在させたのは誰なのだろうか。 食欲・性欲・睡眠欲。 それを三大欲求と言う。 ただの欲望としてのセックスは純粋なものだろうか。 その欲望はどこからやってくるのだろうか。 食べなければ人は死ぬ。 眠らなければ人は死ぬ。 けれど、セックスをしなくても人は死なないだろう。 僕は先輩とセックスをし、好きだといわれたけれど、セックスをするために先輩のその感情は必要だった ... [続きを読む]
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- 2008/08/10 14:57蛍−1−
- 生活に不満があったわけではない。 生きてきて自分が不幸だと思ったこともなかった。 実際振り返ってみても、そんな出来事は思い当たらなかった。 けれど、幸福だと感じたこともなかった。 生まれてこの方、何か些細な事でもいい、感動したことがあったか? それを考えてみても特に思い当たることはなかった。 いわゆる『お受験』が流行りだした世代に生まれてきた。 両親は勉強することを押し付けてくる ... [続きを読む]
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- 2008/08/07 17:01寂しい魚−4−(完)
- 「んん……あ…は…晴彦……ん……」 晴彦のペニスを受け入れ、俺は快感に喘いでいる。 「智也、ダメ…そんなに……締め付けちゃ……」 「まだ待って……はぁん……く……ぅん……」 アナルの中に圧倒的なその存在を感じ、それを飲み込むように締め付けてしまうのはどうしようもない。 一刻でも長く、それを感じていたくて、お互いのその存在を求めていて。 しかし、それを永遠に求めているわけにもいかなくって、その動... [続きを読む]
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- 2008/08/06 19:33寂しい魚−3−
- ふと寂しいと感じる時、それは、それまで感じていたはずの温もりが手の内から去っていったとき。 もしかしたら俺はずっと寂しかったのかもしれないけれど、晴彦と会って、晴彦と一緒にいる時間が多くなって、その時間が当たり前のようになったとき、本当に実感として寂しいと感じるようになった。 晴彦は俺よりもずっと素直に寂しいと感じていた。 明るく笑うその顔の中にも、その影を常に宿していた。 どこかで同 ... [続きを読む]
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